2011年08月11日
盆の天気、さらに猛暑、今日の雷雨は?(8月11日)
夜中に暑さで目が覚めて・・・・今朝はちょっと寝坊。
更新時間が遅くなったので、文章は短め・・・その変わり図は盛りだくさん。
興味のある図の書き込み中心に読んでみてください。
1、盆の天気(週間天気図)、熱帯低気圧(台風11号のタマゴ?)の動向

15日まで、前線帯が停滞したり湿った空気が流れ込みやすかったりと、不安定な天気が続きそう。
右下には夕立の様子(夕立の有無程度に思ってください)がわかるように、21時の図も掲載しておきました。
繰り返しになりますが、これはGSMというシミュレーションの生データですから、11時に発表される最新の週間予報の天気マークや降水確率を解釈し、頭上の空模様をイメージするための道具に使うのが吉です。
ところで南海上の熱帯低気圧・・・・気象庁としては海面水温の高さ、停滞の長さなどから、台風11号に成長する可能性も示唆しています。
規模が小さいので、台風(風速17.2m/s以上)への発達は微妙なところですが、盆休みの海のレジャーに注意喚起が必要なことも考えれば妥当な判断だと思います。
2、今日の猛暑と雷雨
猛暑が昨日よりすごい!!!熱中症注意!!とニュースで連呼していると思います。
今日の雷雨は猛暑の原因とも関係しているので、その辺を中心に・・・・・

ポイントは暖湿流(赤矢印)の流れ込む方向。
山陰方面から緩やかな角度で流れ込み、長野県付近の高い山々を越えて関東に流れ込むわけですが、風下の関東では下降気流になってフェーン現象が発生します。
ただでさえ強い日射で猛暑なのにフェーンが加われば猛暑も強烈ですね。
ということで、今日の暖湿流の流れを詳しくチェック・・・

フェーンが発生すれば関東は乾燥した下降気流の場になりますから、雷雲の発達も抑えられる傾向。
今日の雷雲の発生は西風の湿り気がそぎ落とされる中部山岳地帯中心ということになります。
ただ、雷雲の「発生」が中部山岳ということ。
発生した雷雲は西風にのって平野部へと移動する可能性があります。
雷雲が弱まりながら関東方面に流れ込み、そこそこのお湿りになればイイんですけれど・・・・・
とりあえず、西風が吹きやすい状況や上空の寒気の様子などをチェックしておきました。

4枚の図はそれぞれ猛暑や雷雲の発生・発達に関係している事柄ですけど、ちょっと専門的なので、書き込みを読んでいただいて「ふーん」程度でも、普通の天気予報プラスアルファにはなると思います。
さて、今日の雨の様子を具体的に・・・・


ここ数日と地上付近の風の流れが異なっています・・・特に長野県内。
この流れが長野県内の雷雲の発生・発達にどう影響するのか?・・・Kasayanにはイマイチわかりません。
今日はこの状況を勉強すべき状況なので、予想は占い程度だと思って見てくださいね。
もっとも関東地方のゲリラ(的)雷雨の発生は少ないこと、そして、夜になって秩父や丹沢方面の雷雲が流れ込みやすいという点はかなり可能性が高いと思います。
16時追記:
日中は平野部への流れ込みが少なめ(雷雲が弱まるため)かと思いましたが、秩父・奥多摩方面で発達した雷雲は、日中でも衰弱せずに平野部(都心まで)へと流れ込みました(ガストフロントを発生させつつ連鎖的に西へと移動した可能性もあると思います)。また、ガストフロントが、千葉・茨城方面の不活性な南北方向の収束帯を活性化させてしまうおそれもあります。日没以降、山岳の雷雲が発達するとともに、平野部の流れ込みがより活発化するおそれがあるかもしれません。

3、昨日(10日)の雷雨のおさらい
昨日の雷雨の様子を、眠れぬ夜中にモソモソとまとめておきました。
考察などを書いている時間がないので、図だけ掲載しておきますが、昼頃に時間があれば、追記をしたいと思います。








16時追記:
昨日(10日)、関東平野南部でゲリラ雷雨発生が無かったのは、気温上昇が極めて強く、北関東にも低圧部が発生し、強い海風が北関東まで順当に吹きあがったこと。そして、上空の太平洋高気圧のコアを回るように吹く風(上空1500m以上)が南西風となって山梨、静岡方面からフェーンとなって吹き下りる傾向にあり、対流雲の発達が抑制される傾向にあったこと、などと考えました。
気象庁レーダー(基本ツール): http://www.jma.go.jp/jp/radnowc/
河川情報センター(広域詳細チェック用): http://www.river.go.jp/
Xバンドレーダー(地域詳細チェック用): http://www.river.go.jp/xbandradar/
東京アメッシュ(地域限定詳細チェック用): http://tokyo-ame.jwa.or.jp/
ご意見・ご質問等は、コメント欄・メール(kasayangw@yahoo.co.jp)にてどうぞ。
可能な限り返信いたします。

(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)
2011年08月10日
熱帯低気圧と盆の天気、猛暑、今日の雷雨(8月10日)
1、熱帯低気圧は台風11号になるのか?盆の天気は?
日本の南海上に熱帯低気圧が発生していますが、盆休みの天気はどうなるのよ?と心配されている方も多いと思います。
台風11号になっちゃうの?(12号じゃありません。11号は発生が予想されましたが消滅しちゃいました。)
ということで・・・今日のGSMという気象庁のシミュレーションから。

熱帯低気圧を赤で塗っておきましたが、北上とともに尻すぼみ傾向。
世界遺産に登録された小笠原方面ではスコールのような雨の影響があるかもしれませんけど、とりあえず大きな影響はなさそうです。
もっとも、太平洋高気圧が南に弱まるので、日本付近は高気圧縁辺の湿った空気が流れ込みやすい状態。
不安定な天気が続いてしまいそうです(夜9時の予想図ですから夕立の影響が計算されています。週間予報のマークは比較的よい天気を表示していると思います)。
2、猛暑はいつまでか?
猛暑はますます厳しさを増していますが、猛暑は12日頃まで・・・という話を昨日の記事に書きました(グラフ等は昨日の記事参照)。
その傾向は変わっていないので、今日は気温に影響する太平洋高気圧の動向をまとめておきました。

12日以降、太平洋高気圧は南海上に勢力を弱めます。
その後、西日本方面で北に勢力を強めますが、東日本方面は上空の気圧の谷の影響を受け続ける傾向。
とりあえず、昨日や今日のような猛暑は向こう一週間復活はしそうにありません。
ムシムシの平年並の暑さに戻るというハナシですけど・・・・・・
3、雷雨の発生は?
昨日は、西日本も含めて、山岳地帯中心の局地的な雷雨にとどまりました。
今日は、とりあえず今日の雷雨の様子をまとめてから、昨日のおさらいをすることにしましょう。
(1)今日の雷雨は?
まずは予想天気図で状況把握から・・・・


今夜の予想天気図に熱帯低気圧が描かれていますから、その動向も含めて理解しやすいように、短期予報解説資料というプロ用の資料に掲載されている簡易図も並べておきました。
ポイントはゲリラ雷雨というよりは、今日から明日以降、北日本や北陸中心に流れ込む暖湿流による雨。
温帯低気圧になった台風9号が持ち込んだ湿った空気と太平洋高気圧の縁辺を日本海に流れこむ暖湿流の影響ですが、台風9号崩れの低気圧が暖湿気を吸い上げて、暖湿気が多くなっているという効果もあると思います。
そんな様子を詳しく・・・・


暖湿気を北日本に運び込む風が収束するようになると、先の新潟・山形方面の豪雨ほどではないにしろ、そこそこの大雨も考えられますから、今日・明日は、北日本・北陸は注意が必要だと思います。
具体的に雨の様子は?


ゲリラ雷雨は少なめ・・・その理由知りたい方は、下にまとめた昨日のおさらいを見ていただければ・・・・
山岳地帯中心の局地的な雷雨になると思いますが、予想外に発生するのがゲリラたる所以。
一応目安だと思ってくださいね。
(2)昨日(9日)の雷雨の様子
図毎に説明を入れると時間がたりなくなってしまうので、まずは図だけ掲載します。





昨日の記事と見比べていただくとよくわかりますが、地上の局地的な気圧配置がシンプルな構造をしていたため海風の収束が少なく、上空の太平洋高気圧からの乾燥下降流で雷雲の発達の抑制されたため、積雲や雄大積雲は発生したものの、積乱雲まで発達するには至らなかったというところだと思います。
日没前後に雷雨がやや活発になっていますが、日没によって上空が冷やされた影響でしょう。
ちなみに、昨日の朝に予想した雷雨の発生エリアですが・・・・

千葉県や茨城県方面はハズレ・・・・他のエリアは、位置的にほぼ正解だったと思いますが、Kasayanの頭の中ではもう少し帯状の発生をイメージしていたので、過剰な予想でした。
今日はどうなりますやら?
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2011年08月09日
盆休みの天気?猛暑いつまで?今日の夕立は?(8月9日)
今日はタイトルの通り、盛りだくさんの内容になっています。
興味のある項目だけざっくりと目を通していただければ、テレビの天気予報プラスアルファの何かをお持ち帰りいただけるかも?
1、盆休みの天気
昨日から盆休みの天気に触れはじめましたが、最新の計算値に早くも変化が見られたので、さっそくご紹介。
12日~15日の豪華版?にしてみました。

昨日の計算値よりちょっと悪目に変化(まだまだ変化する可能性はありますから悲観することは・・・・?)。
今日午前11時に発表される週間予報の天気マーク、あるいは降水確率もちょっと悪目に変化する可能性もあるので、盆休みの天気が気になる方は、11時過ぎにご自分の地域の週間予報をチェックしながら、この図と照らし合わせて頭上の天気をイメージしてみてください。
2、猛暑いつまで?
次は、うんざりの猛暑がいつまで続くのか?
盆休みの天気でチェックしたように、12日には太平洋高気圧が南海上へと勢力を弱めることになりそうです。
ということは・・・涼しくなる?

週間の気温グラフを見ると、12日から東日本の気温が平年並に戻ります。
でも・・・・そもそも残暑厳しきこの季節・・・・湿った空気が流れ込みやすいのですから、平年並みの気温と言えども盆休みもムシムシの暑さが続くと思ったほうがよさそうです。
3、今日の夕立(ゲリラ雷雨)は?
(1)昨日(8日)の雷雨
天気は日々変化して二度と同じ空模様は訪れません。したがって、西高東低の気圧配置とか、南高北低の気圧配置など、天気をパターン化すると天気を読み誤るおそれがある・・・というのがKasayanの考え方なんですが・・・・予測が困難な雷雨に関しては別物・・・・・
雷三日ということわざがありますが、雷雨が続くときには過去のパターンを見つけ出して利用することは非常に重要だと思っています。
そこで、まずは昨日14時の雷雨の様子(雷雨の始まり頃)から・・・(過去はふり向かないぜ!という方は読み飛ばしてください)。

昨日14時の局地的な気圧配置と大ざっぱな風(海風)の様子。
強い日差しによって中部山岳地帯の山肌が暖められて、長野県の松本付近に小さな低気圧(熱低気圧・ヒートロー)が発生。そこに日本海、太平洋から海風が吸い寄せられています。
アメダスの風向風速データを使って同時刻の海風の流れを詳しくチェックしてみると・・・・

上で見た局地的な気圧配置に従って、各海域から特徴的な風向で海風が流れ込んでいるのがわかります。
その海風が収束したり、山にぶつかったりするところ(黄色の点線)で雷雲が発生。
実際はどうだったの?・・・気象レーダーでは・・・・


発生した雷雲が上空3000m付近の北北西の風に流されて拡大しています。
昨日の記事に掲載した予想図と比較してみると・・・・

朝飯の前に大ざっぱに考えた予想にしては結構イイ線かな?という感じ。
相模湾、東京湾の海風が比較的強く、東京23区や埼玉県南部での風の収束や高温による上昇が比較的弱く、一昨日よりはゲリラ雷雲の発達がおさえられたように思います。昨日の記事には、「海風が強くなる影響がゲリラ(的)な雷雨へにどのように影響するか?」と書きましたが、昨日のデータは重要な資料になりました。

(2)今日(9日)の雷雨(ゲリラ雷雨)は?
で・・・・今日の夕立は?ゲリラ雷雨は?

昨日は日本付近・・・日本海の高圧部と太平洋高気圧にはさまれて弱い気圧の谷でしたが、その傾向は多少改善されています。
もっとも、等圧線をよく見ると、中部地方あたりで南に凹のカタチになっていて・・・・弱い気圧の谷があることに変わりはありません。
昨日ほどの雷雨はなさそうですが・・・・・それでも?・・・・どの程度?


関東平野南部の風の流れが収束よりも発散傾向ですから、埼玉や東京のゲリラ雷雨の可能性は低くなっているんじゃないかな?・・・と思います(??と書いてあるのは予想できないのがゲリラだから)。
一方、山岳地帯では、猛暑による夕立には引き続き注意が必要だと思います。
というのも・・・弱い気圧の谷の影響で、湿った空気は今日もそこそこ流れ込みそうだから・・・・(西日本は強まる傾向なので昨日より雷雨拡大)
今日の午後からの雨の様子と湿った空気の様子を重ね合わせてアニメを作ってあります。
計算値の解像度では十分に雷雨を計算できていないということを念頭において、アニメを使いながらご自分の地域の天気予報の天気マークの意味を考えてみるとイイんじゃないでしょうか?

気象庁レーダー(基本ツール): http://www.jma.go.jp/jp/radnowc/
河川情報センター(広域詳細チェック用): http://www.river.go.jp/
Xバンドレーダー(地域詳細チェック用): http://www.river.go.jp/xbandradar/
東京アメッシュ(地域限定詳細チェック用): http://tokyo-ame.jwa.or.jp/
PS、毎日たくさんの図を作って大変ですねぇ・・・というメールをいただくことがあるのですが、今日の図の作成に要した時間は図が多かったので1時間ちょっと。普段なら30分~40分で作れるんです。
このブログを書いているのも、天気が好き・・・というわけじゃなくて、天気チェック能力維持のため・・・。包丁を研ぐように、道具としての天気予報をチェックしているみたいなぁ・・・です。
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2011年08月08日
盆休みの天気、今日もゲリラ雷雨のおそれ大(8月8日)
台風9号、台風10号の直接の影響のおそれは無くなりましたから、多くの方が気にしているのは盆休みの天気とゲリラ雷雨の二つだと思います(猛暑がいつまで?という疑問は夏なので・・・・見て見ぬふりをしちゃいます・・・昨日の記事をご覧ください)。
まずは盆休み・・・とりあえず12日~15日の雨の様子をGSMという計算値でチェックしておくことにしましょう。

なんだか雨っぽいなぁ・・・という印象を持たれると思いますが、沖縄方面を除いて、ベタ雨というよりは不安定な天気という表現のほうが適切な気がします。
太平洋高気圧が南に弱まって、暖湿流が日本付近は沖縄~九州~日本海沿岸というコースで流れ込んできますから、ムシムシ・・・午後を中心にアチコチで雷雨が発生しやすいというイメージ。
生の計算値そのままですから、週間予報の天気マークと照らし合わせて空模様をイメージしていただければイイと思います。
まだ先のことなので計算値に変化があるかもしれませんから、様子を見て、またこの図をご紹介したいと思います。
さて、昨日7日は、関東甲信を中心に広範囲で雷雨がありました。
特に雷雨が活発だった関東甲信付近の雷雨の様子と、風の様子をまとめてみたので・・・・・今日のゲリラ雷雨をイメージするためにおさらいを・・・・・


山の雷雨はそこそこ予想はつくのですが、関東平野南部の雷雨については発生場所・発生時間ともに正確に予想することは困難です。
昨日は、相模湾・東京湾・外房・鹿島灘の海風が強まり始める14時頃から、それぞれの海風が集まって上昇気流の発生しやすい場所でゲリラ的に雷雲が成長し始めました。
そして、成長した雷雲は上空3000m付近の弱い流れに乗って、夜にかけてゆっくりと南下。
関東北部の雷雲も流れ込んで、関東平野は広く雷雲に覆われることになりました。

昨日の記事に掲載した計算値をご覧になるとわかりますが、関東平野部の雨は計算されていませんでしたから、まさにゲリラ(的)。
計算の解像度の限界を越えているからです。
で・・・今日のゲリラ(的)雷雨はどうなるのか?・・・まずは、予想天気図から。

今日の日本付近は大平洋高気圧と日本海の高圧部にはさまれて弱い気圧の谷。
二つの高気圧から吹きだす風が本州上でぶつかって上昇気流が発生しやすい場になるようです。
また、弱い気圧の谷には、西から暖かく湿った空気(雨の原料)が流れ込みやすくなりますから、上昇気流と暖湿気(雨の原料)、さらに強い日差しによる気温上昇という、雷雨発生の要素がすべてそろってしまうことになります。

ということでゲリラ雷雨の発生可能性は昨日以上に高そう?
昨日のおさらいで見たように、雷雲は方向の異なる風がぶつかる場所、山にぶつかる場所中心に発生し、関東南部では海風の収束が特に関係してきますから、風の計算値から雷雨の発生しそうな場所を考えてみることにしましょう。


Kasayanが無理やり予想した雷雨の発生場所(初期の発生場所)が赤の点線。
昨日より海風の風速が強まる傾向がありそうなので、仮に風速が強まった場合、雷雨を少なくする方向に作用するのか?多くする方向に作用するのか?影響がイマイチわからないところ(一般的には雷雨が増えると考えたほうがよさそうですが、ゲリラ的な収束への影響がわかりません)。
気象庁は、関東甲信地方に「大雨と雷及び突風に関する関東甲信地方気象情報」を発表して昨日以上に警戒を呼び掛けていますが・・・・どうなるんでしょう?
気象情報: http://www.jma.go.jp/jp/kishojoho/103_index.html
なんども繰り返していますけど、計算値の限界を越えて予想外に発生するのが「ゲリラ雷雨」と呼ばれる所以。
風の流れも時々刻々と変化しますし、いったん雷雲が発生すると、ガストフロントと呼ばれる雷雲からの下降流による小さな前線ができて風の流れはさらに複雑に・・・・ますますゲリラ的に雷雨が発生しやすくなります。
あくまで気象レーダーや目視で雷雲をチェックする際の目安程度につかっていただければと思います。
気象庁レーダー(基本ツール): http://www.jma.go.jp/jp/radnowc/
河川情報センター(広域詳細チェック用): http://www.river.go.jp/
Xバンドレーダー(地域詳細チェック用): http://www.river.go.jp/xbandradar/
東京アメッシュ(地域限定詳細チェック用): http://tokyo-ame.jwa.or.jp/
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2011年08月07日
台風9号黄海へ、猛暑とゲリラ雷雨は?(8月7日)
台風9号の一番外側の雲が西日本にかかっていますが、台風の直接の影響は高波だけで済みそう・・・・

そうなると、気になることは猛暑とゲリラ雷雨。
まずは猛暑の予想から・・・

猛暑の原因・・・むこう一週間の太平洋高気圧の勢力ですが、11日(木)あたりまで西日本中心に北へ勢力を拡大。
少なくとも今週いっぱい・・・金曜日あたりまで猛暑が続き、その後やや収まるといったところでしょうか。
次はゲリラ雷雨・・・まずは今日の予想図から。

天気図がシンプル過ぎるので、気圧配置の変化や注意項目が書かれている短期予報解説資料というプロ用の資料から図を抜粋しておきました(Kasayan加筆)。
昨日に引き続き、ポイントは雷雨の原因になる暖湿気(雨の原料)が、どこにどの程度流れ込むのかということ。
九州は、台風9号に吹き込む暖湿流の影響。
東日本は、日本海と大平洋の暖湿気が、海風や熱気で発生した局地的な低気圧に吹き込む風に乗って流れ込む影響が問題になります。
ということで・・・まずは暖湿気の様子を概観。

昨日に引き続き日本海、大平洋ともに暖湿気が流れ込んでいるのがわかります。
この暖湿気が集まったり、ぶつかったり、山岳などで強制的に上昇させられるとそこに雷雲が発生。


そんな場所にざっくりと線を引いてみました。
もっとも、昨日の記事に書いたように、シミュレーションプログラムの解像度が雷雨を予想するには大きすぎること、風が弱く海風の影響が予測しきれないこと・・・などの理由から、計算されていない雷雨の予想が特に困難な状態。
ちなみに、昨日(6日)も、関東南部でゲリラ(的)雷雨が発生しました。


長野県や北関東の山岳地帯の雷雨はお約束のようなものなので、ある程度予想はできるのですが、赤丸で囲んだ風の弱い平野部での雷雨の発生についてはほぼお手上げの状態。
アメダスの風向風速データなどを使って後から分析してみると、様々な方向からの海風が収束する場所で雷雨が発生したことがわかるのですが、事前にどこで収束が起こるのか?を予想することは難しいのです。
とりあえず、東日本では昨日とほぼ同じ風の流れが予想されるので、昨日と同様の場所で雷雨が発生すると考え、レーダー画像などを携帯でチェックしつつ対応するのが無難だと思います。
(明日は微妙に暖湿気の流れ込みが強まりそうですが・・・今日は昨日より少し活発かな?)
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ということで・・・十分に降水が計算されていないということを意識しつつ午後からの雨の様子をチェックしてください。

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2011年08月06日
台風9号、10号の影響、全国的に不安定(8月6日)
いきなりですが、GSMという気象庁のスパコンの計算値で、台風9号の動きと雨の変化の様子。

台風のコースよりも、台風による影響を把握するために、午前9時~午後9時~午前9時・・・という流れでアニメを作ってみました。
台風からの暖湿流の影響を受ける九州は別として、本州の降水に着目してみると、明後日まで、午前9時の降水は少ないのに、午後9時の降水が多く計算されていることがわかると思います。
そうです・・・・雷雨です。
九州だけではなく、本州に広く暖湿気が流れ込むから。

台風から九州方面への流れと、太平洋高気圧縁辺から東日本への流れがあって、挟み撃ちで暖湿気(雨の原料)が流れ込んできます。
この状態・・・いつまで続くのか?・・・ノロノロと進む台風次第ですが・・・・


台風を流す強い流れは、はるか北のロシアの沿岸付近なので、まだまだノロノロと北上。
一方、日本付近上空は大平洋高気圧のコアに覆われて下降流帯のムシムシの猛暑が続きそう。
下降流帯なので、基本的には雷雲が発達しにくい状態なのですが、強い暖湿気の流入と強烈な気温の上昇で、弱い気圧の谷や低圧部が発生して風が集まるなどのちょっとした引き金で雷雲が思わぬところで発達するおそれがあります。
ここで今夜の予想天気図を見てみましょう。

日本付近・・・特徴のない気圧配置ですが・・・・
この図を簡略化して、今後の気圧配置の動向と、様々な専門の天気図の解析による解説を加えると・・・・

短期予報解説資料というプロ用の資料に掲載されている図の抜粋ですが、天気予報のキャスターの解説と同じようなことが簡単にまとめられています(キャスターがこれを参考にしてコメントを考えていることが多いからですけど・・・)。
台風の影響(雨・風や沿岸の波など)以外のポイントは、流れ込む暖湿気(雨の原料)による雷雨ですね。
その様子をアニメで見ると・・・・

なんだかポツポツと降水が計算されているだけで、大したことないじゃん・・・・という感じがしますけど、この計算値のメッシュ(計算される格子)の間隔は5Kmで、解像度は20キロ前後と考えるのが無難です。
とすると、計算されない雷雨も十分に考慮しなくてはなりません。


そこで、いつもは風の流れや地形を考慮して雷雨の引き金になる上昇気流の発生しそうな場所を予想しているのですが・・・・
今日は太平洋高気圧に覆われて全般に風が弱い状態。
このため風の計算値もイマイチ信頼がおけず、計算値の風だけで考えるのは危険な状態です。
東日本の雷雨は基本的に山で起こりますが、平野部でも海風の収束も考えられ、その場所の予想は困難です。
したがって、レーダーで目先の雷雨を発見するのが一番。
最近ではXバンドレーダーなど、最新のレーダーが運用されていますから、スマートホンなどが急速に普及しているこの夏・・・・・レーダーを使いこなす工夫をされてみてはいかがでしょうか?
(原理や使い方はそれぞれのサイトの解説を読んでください)
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2011年08月04日
台風9号、10号、11号進路予想と不安定な天気
8月5日20時追記
やっと更新できる時間になったのですが・・・・疲れちゃったので、追記というカタチでざっくりと・・・
台風11号になるか?と思われた熱帯低気圧は結局台風にはなりませんでしたが、暖かく湿った空気だけは日本に運ぶことになったようで、今日はアチコチでゲリラ(的)雷雨がありました。
他方、台風9号の予想進路は大陸の陸上を進むのか、沿岸を進むのか・・・が、多少ばらついているようですが、とりあえず、九州方面の接近・上陸の可能性は低めの傾向で推移しています。
(米海軍のGFSモデルは日本の気象庁のGMSという計算値よりさらに大陸の陸上よりを示唆し、大きく振れている状況が逆に計算値の不安定さを感じさせます)
そのかわり、台風11号になれなかった熱帯低気圧と同様、暖かく湿った空気を運んでくるという役割はキッチリ?と果たすようなので、全国的な不安定はさらに増してくる傾向。
発生場所を特定しにくいゲリラ(的)豪雨の可能性が高くなって、いずれにせよ、やっかいな台風ということになりそうです。
昨日から今朝にかけて、二つの「ありゃりゃ?」がありました。
ひとつめは、台風11号(のタマゴ)の発生。
計算の誤差?単なる低圧部?と思ってしまうような空気の渦ですが、衛星画像などを厳密に解析した結果、気象庁は台風に発達する熱帯低気圧と判断したようです。
昨日、ここ数日の太平洋高気圧の勢力の計算値を比較してみましたが、思わぬところにシミュレーション計算の不確定要素が顔を出してきました。


上図は、いずれも明日(5日)午前9時のMSMという計算値ですが、八丈島付近に小さな渦が計算されています。
今朝、4時25分に気象庁から発表された資料によると、24時間以内に台風(風速17.2m/s以上)に発達するとのこと。
気象庁の予想進路図では遠州灘方面へと北上することになっています。
気象庁予想進路図: http://www.jma.go.jp/jp/typh/
小さな台風・・・それも急に関東・東海方面に北上しますから、問題は接近に伴って何が起こるのか?ということでしょう。
気象庁の台風予想や上の計算値を見ても、風については暴風域が発生するほど発達はしないと思われますが、台風ですから少なくとも瞬間20m/s以上の風が吹くことは想定しておきたいところです。
で・・・・波は?

台風11号?の北東側に波高3mのエリアが計算されています。
台風9号付近の波高に比べたら大したことないじゃん・・・・という気がしてしまいますが、すでに台風9号のうねりがあり、新たな波が立つ波も合成され、いわゆる一発大波があれば関東付近でも6m前後の高波が考えられますから、夏休みの海は厳重警戒といったところです。
そして、雨は?
台風自体の雨雲は台風9号と比べようも無く小さいものですが、関東南部に所々降水が計算されているように、不安定な雨・・・ゲリラ(的)な雨が降る可能性が高まってきます。


これは台風にともなう特に湿った空気の様子ですが、台風11号?に伴う湿った空気が南東の風にのって今日以降、関東南部や東海方面に流れ込みやすくなります。
昨日の関東のゲリラ(的)雷雨は、この湿った空気の影響の兆候だったのですが(これは下で詳しくご紹介します)、今日、明日にかけてますますその傾向が高まってくると考えておくのが良いと思います。
で・・・台風11号?はこれくらいにして、今日から沖縄に直接影響する台風9号。
マスコミの天気予報でバンバン伝えられるでしょうから簡単に・・・・

今夜から明日にかけてが長いヤマ場というところですが、台風の通過に伴って、風や雨がどのように変化するのか?をこの図から読みとって、影響をイメージしていただければよいかと思います。
沖縄通過後のコースですが・・・・・アメリカ海軍のGFSという計算値は、多少西寄りのコースに変わってきたものの、相変わらず九州の西側を北上するコースを計算しています。

米軍の台風進路予想は一貫して大陸寄りを示唆していますから、この計算値については、とりあえず横目で見ながら無視するフリをしておきたいと思います。
米軍進路予想図
http://www.usno.navy.mil/NOOC/nmfc-ph/RSS/jtwc/warnings/wp1111.gif
さて・・・やっと今日の天気・・・まずは予想天気図から・・・・

今日のポイントは、どこへ・・・どのように湿った空気が流れ込んでくるのか?・・・・
南海上に台風が並んでいるということは、それぞれの台風の右側(東側)が湿った空気を北へと運ぶポンプの役割をします。
その場所は、九州方面と関東・東海方面。
関東・東海方面に台風11号?から湿った空気が流れ込む様子は、すでに上の立体図でご紹介しました。
で・・・・湿った空気がどこで上昇して雨雲(雷雲)になるのか?・・・を風と絡めてチェック。


図中の赤点線の地域で発生しやすいんじゃないかな?ということですが、それ以外の地域でも十分に可能性があると思います。
ところで・・・昨日は、計算値よりはるかに多い雨が降りました。
これが二つめの「ありゃりゃ?」
昨日の記事に掲載した予想図には、降水が計算されていない関東沿岸にも、アヤシイという意味で細い点線をつけておいたのですが、アヤシイどころかドバッと雨が降ってしまいました。


関東南東側から湿った空気が流れ込み、湿った空気が収束する場所を中心にまとまった雨になったようです。
今日はもっと湿った空気が流れ込むので・・・・ゲリラ(的)な雷雨は十分に考えられます。
外出前には気象レーダーで一応雨雲チェックがオススメです。
なお・・・明日(5日)朝のブログ更新ができないかもしれません。
その場合は、夜になって簡単に更新したいと思います。
ご意見・ご質問等は、コメント欄・メール(kasayangw@yahoo.co.jp)にてどうぞ。
可能な限り返信いたします。

(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)
2011年08月03日
台風9号進路予想、局地的な雷雨(8月3日)
昨日に引き続き、台風進路と太平洋高気圧の勢力の予想ストーリーの主流は、「太平洋高気圧が勢力を強めて台風の北上をブロックする・・・・台風は大陸へと進み、西日本から次第に暑さが厳しくなる」というものだと思います。
Kasayanも現役で天気予報番組の制作を担当していたのなら、ためらわずにこのようなストーリーを伝えていたと思いますが(気象業務法という法律でそうせざるを得ないということもありますが)、これはブログですから、天気予報番組を制作者が「予想がはずれる場合はこうなるんだろうなぁ・・・」と心の底で心配しているであろう情報を中心にまとめていきます。
さて、昨日は気象庁(GSM・台風モデル)やヨーロッパ中期予報センターの計算値が一貫して大陸方向を示唆している一方、アメリカ海軍のGFSモデルという計算値だけが九州に接近を示唆しているということを書きましたが・・・・

6日09時の予想ですが、今朝の計算値では、若干西寄りにコースを変えています(昨日の記事参照)。
この計算値と同じ初期値の気象庁のGSMという計算値で、同日同時刻の予想を見てみると・・・・・・

相変わらず大陸方面を予想していて、テレビで見る予想進路図を同じです。
ここで、ここ4日間の気象庁GSMの太平洋高気圧の計算値の変化も見てみましょう。

いずれも6日09時の予想ですが、台風の予想進路は安定しているように見えるものの、大平洋高気圧のカタチにはずいぶん変化が見られます。
台風の勢力や進路は高気圧の勢力と密接に関係していますから、主流の進路予想にも不確定な要素が感じられてきます。
昨日も書きましたが、もしヨットオタクのKasayanがヨットで九州方面を旅していたら、台風の予報円の一番東寄りを通る場合も十分にありうるを考えて対策を考えていると思います。
インターネット時代ですから、様々な計算値を見ることができますが、その結果が異なっていても、それぞれの計算値は科学技術の成果として、ひとつの可能性を伝えてくれているものです。
命がかかる場面で計算値を使うのであれば最悪のパターンを想定し、比較的簡単に危険を回避できる場面で使うのであれば、その程度に応じて中間のパターンを想定すればよいのです(経済効果を考えるならコマメな修正によって安全と経済の調整を図ることになるでしょう)。
米軍進路予想図
http://www.usno.navy.mil/NOOC/nmfc-ph/RSS/jtwc/warnings/wp1111.gif
気象庁進路予想図(5日間予想)
http://www.jma.go.jp/jp/typh/11095.html
台風6号に続き、ノロノロ台風に頭を悩ませておられる方も多いと思いますが、これは、台風6号のときと同様、台風を押し流す強い流れがはるか北にあるため。

自転車をゆっくり走らせるとハンドルがグラグラしてしまうように、計算値もバラツキ易くなります。
最後に、MSMという防災用の計算値で、確実に影響を受けるであろう沖縄の様子を・・・・・

これも一つの計算値にすぎず、天気悪化のタイミングは変化する可能性がありますが、台風が接近した時の影響についてはこの図から考えればよいと思います。
ずいぶん台風のチェックが長くなっちゃいましたが・・・・今日の天気・・・予想天気図から・・・

昨日とほぼ同じですが、オホーツク海高気圧の中心が南下してきていて、冷たい空気と暖かく湿った空気の流れ込み方が少々変化しています。
二つの空気がゆっくりとまじりあうように合流するというのがチェックポイント。


本州中部付近で性質の異なる二つの空気がゆるやかにぶつかって雲を作り易いという状態。
激しくぶつかるというわけではないので雷雲があちこちで活発に発生するという状態ではありません。
次に上空の大平洋高気圧の様子を見ると・・・・

西日本上空の高気圧と東海上の大平洋高気圧が合体して勢力をやや強めていることがわかります。
上空に高気圧があると、地上付近は下降流の場になって、雷雨=上昇気流が発生しにくくなりますから・・・特に上昇気流が発生しやすく、湿った空気が流れ込みやすい場所で局地的な雷雨になるはず・・・・
で・・・・今日、天気が崩れるところは?・・・風の様子とからめてチェック。


二つの空気が合流する場所で、風が複雑に流れて収束したり、山肌が暖められて上昇気流(熱低気圧)ができやすい長野県付近を中心に局地的な雷雨がありそう。
雷雲を流す上空3000m付近の風が弱いので、局地的といっても、同じ場所で降り続くので・・・・ありきたりですけど、河川の急な増水などによって流されないように注意(丹沢のキャンプ客や神戸の川で事故がありましたよね)が必要です。
今日は図も多くダラダラなブログになってしまいましたが(いつも?)・・・・必要な所や興味のある図だけ眺めてもらえるブログなんで・・・・イイですよね?
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2011年08月02日
台風9号進路予想、引き続き不安定な天気(8月2日)
テレビやラジオの天気予報では、台風9号は大陸へと進み、太平洋高気圧が次第に日本を覆うようになって、暑さが戻ってくる・・・・というストーリーが主流になっています。
日本の天気予報のモトになるGSMという計算値(下のアニメ)や台風専用の計算値、ヨーロッパ中期予報センターの計算値などを見ると、このようなストーリになる可能性が高そうだ・・・・ということなのですが・・・・

一昨日の記事で、アメリカ海軍のGFSという計算値が九州への接近を示していることをご紹介しましたが、昨日のGFSは他の計算値と同様に大陸方面へ進むように変化していました。
このため、昨日は九州方面への接近の心配はもう大丈夫かな?などと考えていましたが・・・・
今朝のGFSの計算値を見ると・・・・・

再び九州方面への接近を示唆しています。
観測値や先に計算されたシミュレーションデータをスパコンに入力してバーチャルの地球を作り、バーチャル地球を高速回転させて未来の天気を予想するのが数値予報ですが、台風の計算値と高気圧の計算値は密接に関係しています。
二つのバランスがうまく取れていないと、台風の北上をブロックする大平洋高気圧を過剰に発達させてしまう場合もありますから、このブログでは、気象庁発表の台風予想進路図の予報円の一番東寄りを進むストーリーも十分にある・・・・と考えてチェックしていきたいと思います。
ちなみに、昨夜の大平洋高気圧の様子を上空から下層の天気図4枚でチェックしてみると・・・

はるか上空ではチベット高気圧と大平洋高気圧がつながって、台風の北上をブロックしていますが、地上に降りてくるに従って、大平洋高気圧が東海上に勢力を弱めていて、台風の北上を許しています。
次に、今夜21時の上空5800m付近の予想天気図を見てみると・・・・

東シナ海にあった高圧部と東海上の高気圧が西日本上空でつながって、台風北上ブロック体制ができることを予想しています(だから暑さもぶり返すと言われています)。
これだけ見ると台風の北上は心配しなくていいんじゃないの?という気になりますが、明日・明後日の計算値を見ると、大平洋高気圧がバリバリに勢力を回復するという感じがしないのです(ペシミストのKasayanのあてにならないカンですけど・・・)。
米軍進路予想図
http://www.usno.navy.mil/NOOC/nmfc-ph/RSS/jtwc/warnings/wp1111.gif
気象庁進路予想図(5日間予想)
http://www.jma.go.jp/jp/typh/11095.html
さて、今日の天気のチェックといきましょう・・・・・・まずは予想天気図から。

日本付近は弱い気圧の谷・・・・というのが、曇りベース、にわか雨のおそれがある・・・という今日の天気予報のポイント。
気圧の谷には、オホーツク海高気圧(山)から冷たい空気が・・・大平洋高気圧(山)からは暖かく湿った空気が流れ込んで合流(前線帯)します。
冷蔵庫を開けると冷たい空気が流れだして白い湯気ができるように、性質の異なる空気がぶつかって雲ができるというイメージでしょう(ぶつかった空気の上昇もありますが)。
それでは、性質の異なる空気が日本上空でぶつかる様子をチェック。

青で塗った数値(相当温位)の空気と、赤で塗った数値の空気が日本付近で緩やかにぶつかっていることがわかります。
強烈に衝突する場合は朝鮮半島付近のように等値線が混雑して、通常の天気図には前線が描かれるのですが、今日は緩やかに・・・混じるように衝突するので天気図上に前線は描かれていません。
次は性質の異なる空気の流れが、地上付近の風としてどのようにぶつかるのかを詳しくチェック。


計算値から簡単に読みとれることを書き込んであります。
点線は風がぶつかる(収束)しやすそうな場所・・・・雲が発達しやそうな場所を意味していますが、今日の空気のぶつかり方は、混じるようなぶつかり方ですから、雨雲の発生しやすい場所が時々刻々と変化します。
基本的に地形によって風が強制的に上昇させられる山沿い中心でしょうけれど、雨が気になる方は携帯の天気予報サイトの気象レーダーなどでコマメにチェックすることをオススメします。
最後は、雨の降るエリアの一応の目安としてMSMという計算値のアニメを掲載しておきます。

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2011年08月01日
台風9号進路予想、西日本沿岸中心に雷雨(8月1日)
8月に入りましたが、早めの梅雨明けからずいぶん経ちましたから、いつものように、あらためて夏を感じないのは私だけ?
さて、ここ数日、台風9号の進路の計算値をアレコレ見てきましたが、日本に限らず、各国の機関の計算値が大陸方面へ進むことを示すようになりました。

例によって、気象庁のGSMという計算値をアニメにしてみましたが、沖縄を通過して大陸方面へと進むことを示しています。
米軍進路予想図
http://www.usno.navy.mil/NOOC/nmfc-ph/RSS/jtwc/warnings/wp1111.gif
気象庁進路予想図(5日間予想)
http://www.jma.go.jp/jp/typh/11095.html
そうなると、台風のコースより、台風によって何が起こるのか?を考えるほうが生産的。
台風が接近すると天気予報でしばしば耳にするのが「台風からの湿った空気」というフレーズですが、湿った空気で発生するのが雨雲です。
上のアニメで青や赤で塗られた部分は1時間降水量を意味していますが、台風の接近に伴って日本付近はなんだかぐずつき気味。
台風の北上をブロックする大平洋高気圧が、どのように日本付近を覆うかが、どれだけ不安定な天気になるかを左右します。

「今朝の計算値では・・」、太平洋高気圧の中心が南海上にあって、上空の大きな空気の流れは矢印のように日本海経由東日本行き。
先日のように新潟方面や東北日本海側に湿った空気が流れ込んでにわか雨や雷雨を降らせやすい状態になるおそれもありますから、今後台風が大陸に進むからといって、安心ばかりはしていられないといったところです。
さて・・・・今日の天気・・・まずはいつもの気圧配置から。

Kasayanの住む長野県の気温は20℃を下回る所が多く、風に吹かれると少々肌寒さを感じるほどですが、東海以北では多くの方が涼しさを感じておられると思います。
北海道の北にあるオホーツク海高気圧(地上に向けた扇風機みたいなもの)から吹きだす冷たい風が北東風になって東日本の太平洋沿岸に吹き込んでいるため。
沿岸部では、この風が海から水蒸気を運んでくるので、低い雲や霧に覆われ、広い範囲で濃霧注意報が発表されています(ヤマセですね)。
一方、西日本では相変わらず熱帯夜になった所も多いと思いますが、西日本には大平洋からの暖かく湿った風が流れ込む状態が継続。
関東沖の低気圧が暖湿気を吸い込んで東海地方に流し込み、先の北東風と相まって今朝は紀伊半島でまとまった雨になっています。
この二つの風(空気)が点線で示したあたり・・・・朝鮮半島で大雨を降らせている前線の延長線上でぶつかって、弱い前線帯を形成。
前線付近は特に不安定な天気になりそうです。
まずは、東日本に涼しさをもたらしている北東風の影響を見てみましょう。

地上に近い高さの気温の分布ですけど、北東風が寒気(冷気?)を太平洋岸に運び込んでくる様子が良く分かります。
次は暖湿気の様子を、気温や水蒸気量を加味した相当温位という空気の性質(雨を降らせる能力と密接に関係)を示す数値でチェックしてみると・・・・こんな感じ。

暖湿気(数字を赤で塗ったエリアの空気)がドバッと流れ込むわけではありませんけど、南から複雑な風の流れに乗ってジワリジワリと流れ込みます。
一方、東日本には北東の風に乗って、冷涼乾燥空気(青で塗った数字)が南下してきています。
この二つの空気がぶつかる本州付近が弱い前線帯になっています。
(線がうんと混雑しているところの南側が明瞭な前線帯。朝鮮半島の前線が活発ですね)
以上、性質の異なる空気がぶつかるということを念頭において、地上付近の空気の流れと雨の様子をチェックしてみると・・・・

二つの性質の異なる空気が収束する場所や、暖湿気がぶつかって強制的に上昇させられる山岳地帯で雨が予想されています。
さらに、下層雲(地上付近の低い雲)の様子を重ねてみると・・・・

東日本太平洋岸にべったりと雲がかかっている(黒色)のがわかります。
これがひと夏・・ずーっと続いてしまうと、東北で冷害が発生してしまうのですが、今回は一時的。
大ざっぱに言ってしまえば、今日の夏空は東日本太平洋岸を除いて、全般に雲の多い晴れ・・・・暖湿気が流れ込みやすい場所・・・それも弱い前線帯中心に雷雨ということになりそうです。
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(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)