2011年07月31日

台風9号進路予想、甲信・東海の不安定続く(7月31日)


 例によって台風9号の進路予想ですが・・・・




 今朝はアニメではなく5日09時の予想図。
 気象庁発表の進路予想を素直に延長して考えると、この図のように大陸方面へと進むことになるでしょう。
 また、ヨーロッパ中期予報センターの計算値も大陸方面へ進むことを示唆しています。

 気象庁進路予想図(5日間予想)
  http://www.jma.go.jp/jp/typh/11095.html

 次に、アメリカ海軍が計算しているGFSという計算値(いくつかの計算値の中の一つ)。




 ずいぶん九州南部に接近しているように見えますが、この先の計算値では、このまま北上することを示唆しています(米軍の台風予想は気象庁の予想とほぼ同様)。

 米軍進路予想図
  http://www.usno.navy.mil/NOOC/nmfc-ph/RSS/jtwc/warnings/wp1111.gif

 アメリカ軍の計算が当たるという神話?があるようですが、経験上Kasayanとしては決してそんなことはないと思います。
 天気予報は占いではないのですから、いずれの計算値も一つの科学的に導き出された可能性のひとつです。
 最悪パターンを考える必要があるのか?中間を想定して備えるか?・・・個々が天気予報を必要とする状況(旅行ためなのか?防災上の準備なのか?農業・漁業の対策なのか?)に合わせて考える必要があると考えるべきだと思うのですが・・・・どうでしょう?


 さて、不安定な天気が続いていますが・・・・・今日の天気は?




 ポイントは日本付近が相変わらず気圧の谷・・・新潟県や福島県に大雨を降らせた前線は天気図上消滅していますが、弱い前線帯は残っていて、上空に寒気も居座っています。
 大気の不安定な状態は続いていますから、規模は小さくなりつつあるものの、引き続き突然のにわか雨や雷雨の可能性があると考えておいたほうが良いでしょう。

 では、いつものように上空の寒気から詳しく見ていきます。




 東日本の上空では寒気がゆるやかな渦を巻きながら南下しています。
 今夜になってもこの渦は東日本上空。

 次は、寒気の下に流れ込む暖湿気・・・雨の原料の様子。




 暖かく湿った空気(オレンジの矢羽根)が関東沖から東海・甲信方面に流れ込むことが予想されています。
 上の予想天気図では、関東沖に低気圧がありますが、この低気圧の周辺を回って流れ込むようです。

 そして、この暖かく湿った空気(相当温位336K前後)と、北日本の冷涼な空気(相当温位324K前後)が東海・関東甲信方面でぶつかって弱い前線帯を作ります(赤の点線)。
 この付近で特に雨雲が発生する可能性大。

 雨雲の発生は地上付近で発生する上昇気流とも関係しています。







 (記入を忘れてしまいましたが、上の図は15時の予想です)
 暖かく湿った空気がぶつかる山や風が収束する場所では上昇気流が発生して雲ができやすく、暖湿気が流れ込みやすい場所で発生した雲は雨雲になります。

 そんな目で見ると、東海や甲信南部中心に雷雨が発生するということになりそうですが・・・・日本付近の空気の流れは非常に複雑ですから、それ以外の場所で雷雨が発生しないということにはなりません。
 ご自分の地域の予報文を読んで、「所によって雨」とか「雷」の文字がある場合には、少なくとも山沿い方面で雷雨のおそれがあると考えておいてください。

 予報文: http://www.imocwx.com/yohoud.htm


 ご意見・ご質問等は、コメント欄・メール(kasayangw@yahoo.co.jp)にてどうぞ。
 可能な限り返信いたします。



(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)

  


Posted by kasayan at 06:23Comments(0)雑記

2011年07月30日

台風9号進路予想、関東甲信越の大雨(7月30日)


 まずは台風9号の進路予想から・・・・

 気象庁予報に最も使われるGSMというシミュレーションプログラム・・・・昨日から沖縄付近を通過し大陸方面へと進むコースを示唆し始めましたが、今朝は大陸方面へと進むことに変わりはないものの、ほんの少し日本寄りに揺り戻し・・・




 大平洋高気圧の勢力が昨日の計算値よりやや弱めに計算されたためと思われますが、太平洋高気圧の勢力は台風の勢力とも連動しているので、まだまだ計算値は不安定傾向




 気象庁の進路予想図の予報円の中ならどこでも台風がやってくる可能性があると思っていたほうが無難です。

 米軍進路予想図
  http://www.usno.navy.mil/NOOC/nmfc-ph/RSS/jtwc/warnings/wp1111.gif

 気象庁進路予想図(5日間予想)
  http://www.jma.go.jp/jp/typh/11095.html

 また、台風接近のタイミングで太平洋高気圧が日本付近に勢力を拡大することが計算されているため、週間予報では4日前後から東日本の気温が平年並になることが予想されています。




 このあたりも、太平洋高気圧次第ですから、かなり流動的。
 今回の台風が8月初旬の天気傾向に大きく影響することになりそうです。


 さて・・・・新潟や福島方面で大雨による災害が発生していますが、今日の雨は?




 メディアの天気予報では、大雨をもたらしている前線は南下しつつ弱まる傾向・・・・と言っていると思います。
 大平洋高気圧が弱まって前線が南下、暖湿流(雨の原料)の日本海方面への流れ込みの程度などが変化しているので、天気図から前線が消滅していますが、天気図に描かれていないだけで実質的な前線は停滞し続けています。

 また、上空の寒気のコアも、今日いっぱい関東甲信越や東北南部の上空にあります。

 少なくとも今日いっぱいは、関東甲信越方面で突然の大雨のおそれがあると考えるべきでしょう。

 では、上空の寒気の様子から詳しくチェックしていきましょう。




 上空5800m付近で-6℃以下の寒気・・・・天気図中「C」と書かれている所がコアの部分ですが、北陸から関東付近をゆっくりと南下中
 今日いっぱいは寒気の影響を受けて、大気不安定の状態が続きそう

 次は暖湿流・・・寒気の下・・・地上付近に流れ込む雨の原料の様子。




 昨日のようにダイレクトに北陸へと流れ込む傾向はおさまりますが、山陰付近を経由して関東甲信地方へ・・・やや西よりの方向から流れ込むことが計算されています。

 で・・・雨はどのように降るの?

 まずは今朝5時の実況から。




 今朝の段階でも、新潟・福島・栃木・群馬県境付近の山岳の北側で激しい雨が降っています。
 日本海側から暖湿気が流れ込むので、暖湿気がぶつかって上昇しやすい山の風上側で雨雲が特に発達していることがわかります(山間を抜けた暖湿流が太平洋岸でも雨雲を作っています)。

 この雨のメカニズムは?







 大平洋高気圧が弱りつつあるため、昨日まで優勢だった南西風(昨日の記事参照)は西日本の太平洋側まで押しやられ、代わって北のオホーツク海方面から流れ込む北東の風が優勢になっています。
 このため、前線は南下しつつ弱まる傾向にはあるのですが・・・・

 東海沖をはじめ、関東甲信地方は全般に低圧部になっていて西日本に流れ込む暖湿気を引っ張り込み複雑な流れの暖湿流がぶつかる山や、暖湿流が収束する場所で上昇気流が発生し、寒気によって雨雲が発達するという構造になっているようです。

 具体的な雨の変化は?




 引き続き関東甲信越地方を中心に雨が活発
 今朝の気象庁から大雨情報が発表されていますから、何ミリ降るのか?など量的な予想は、以下のURLの最新の情報でチェックしてください
 
 大雨情報: http://www.jma.go.jp/jp/kishojoho/



 ご意見・ご質問等は、コメント欄・メール(kasayangw@yahoo.co.jp)にてどうぞ。
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Posted by kasayan at 06:48Comments(0)雑記

2011年07月29日

台風9号進路予想と関東甲信越の大雨(7月29日)


 昨日台風9号が発生しましたが、その予想進路は流動的
 GSMという気象庁の予報の中核を担う計算値は、一昨日・昨日と九州・四国方面への接近を示唆していましたが(昨日の記事参照)、今朝の計算値は沖縄付近を通過して大陸方面に進むことを示唆しています(発達の程度も大)。




 これは、太平洋高気圧の発達に関する計算が不安定なためと思われますが、新しい観測値を加えて計算するたびに計算値はフラフラと異なった結果をはじき出す可能性があります。




 今月いっぱい台風の進路は定まらない(迷走の可能性も)と考えて、最新の予想進路をチェックするのがオススメです。

 ちなみに、米海軍のGFSという計算値はこんな結果になっています(初期時間はGSMと同様28日21時)。




 日本のGSMとほぼ同様の位置に台風を計算していますが、もう一つ・・・台風と思われる低圧部を計算しています。
 野球で遠投するとき、手元が少し狂っただけで、とんでもないところに球が飛んでいってしまうように、気象のシミュレーションも遠い未来を予想しようとすると結果が大きく異なってしまいます。
 今言えることは・・・・台風9号は沖縄付近に接近するということだけは確からしい・・・・が限度でしょう。

 米軍進路予想図
  http://www.usno.navy.mil/NOOC/nmfc-ph/RSS/jtwc/warnings/wp1111.gif

 気象庁進路予想図(5日間予想)
  http://www.jma.go.jp/jp/typh/11095.html


 さて、今日の天気・・・・引き続き北陸や東北日本海側を中心の大雨・・・・

 テレビやラジオの天気予報では、「大平洋高気圧が西日本に張り出し、高気圧縁辺・・・・東シナ海~朝鮮半島~日本海を回って、北陸方面に暖かく湿った空気が流れ込んでいる・・・・上空には寒気があって、前線付近では特に大気が不安定」・・・・・「前線は消滅する傾向だけど、この週末も東日本中心に大気不安定の状態が続く」という話が繰り返しされているはずなので、耳にタコ?かもしれませんが・・・・




 書き込みを読んでいただければイイですよね?
 特に大雨のおそれがある関東甲信越付近をズームしてみると・・・・




 前線付近・・・新潟県方面で二種類の空気が強烈に収束しているのがわかります。
 さらに、新潟・群馬・栃木県境付近の山々による空気の強制上昇も加わって、山の北側を中心に雨が活発になることも読みとれます。

 以上を踏まえて、今日の雨の様子をアニメで見ると・・・・





 ありきたりですけど、大雨厳重警戒
 そして、この不安定な状態・・・一番上のアニメをご覧になればわかるように、少なくとも向こう一週間は続いてしまいそうです。


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Posted by kasayan at 06:46Comments(2)雑記

2011年07月28日

台風9号?の動向に注意、東日本は大雨注意(7月28日)


 南海上の熱帯低気圧・・・昨日中には台風9号に格上げされると思われましたが、今朝3時の中心付近の最大風速は15m/s
 台風に格上げされるには風速が17.2m/s以上になる必要があるので、いまだ熱帯低気圧という扱いですが、遅かれ早かれ台風9号になる可能性が高いので、その動向には引き続き注意をしなくてはなりません。

18時15分追記
 15時の実況にもとづいて台風9号の発生が発表されました。

<28日15時の実況>
大きさ -
強さ -
存在地域 フィリピンの東
中心位置 北緯 12度05分(12.1度)
東経 135度10分(135.2度)
進行方向、速さ 西 20km/h(12kt)
中心気圧 998hPa
中心付近の最大風速 18m/s(35kt)
最大瞬間風速 25m/s(50kt)
15m/s以上の強風域 全域 370km(200NM)





 これは最新のGSMという計算値ですが、昨日の計算値と同様、西日本方面へと接近することを示唆しています。
 米軍の予想進路図も同様の傾向。

 米軍予想http://www.usno.navy.mil/NOOC/nmfc-ph/RSS/jtwc/warnings/wp1111.gif

 イヤな感じがしますが、先週上陸した台風6号より日本接近時の大きさは小さめ




 台風6号接近時の海面水温と、一昨日の海面水温を比較してみると、わずかですが海面水温は低め
 台風の発達は海面水温だけで決まるものでもありませんが、(コースにもよりますが)台風6号ほどのおそれはないかもしれません。


 さて、今日の天気・・・・東日本で大雨のおそれ・・・・




 昨日と似たような書き込みですが、天気図上には停滞前線が描かれるようになりました。
 近年の気象庁の天気図は、異なる性質の空気・・・特に温度(密度)の異なる空気がぶつかることが明瞭になることをもって前線を描くことにこだわっていて、風がぶつかって(収束して)雨雲が発生するだけでは簡単に前線を描かない傾向にあります。

 今日の短期予報解説資料(プロ用の資料)を読むと、「北海道付近に高気圧が発生し、南の高気圧との間でシアーライン(空気がぶつかる場所)が明瞭となる。温度場(気温差)としては前線ははっきりしたものではないが、500hPa の渦度0 線(強風帯・ジェット気流)、850hPa 相当温位(雨の原料の量の差)のピーク、シアーライン(風がぶつかる場所)等を目安に、前線が顕在化すると考える(カッコ内Kasayan加筆)」と書かれていて、今日の大雨の解釈には前線を描かざるをえない状況になっているようです。

 いきなり難しいことを書いてしまいましたが、ポイントは、テレビの天気予報でも言っているように、「暖かく湿った空気が日本海に流れこみ、オホーツク海からの涼しい風とぶつかって東日本付近に前線ができる。前線上空には寒気が居座っているので、前線の雨雲が発達する」です。

 で・・・せっかく短期予報解説資料を抜粋したので、その中に記載されている項目に沿って天気を詳しくチェックしていきましょう(ちょっと難しいかもしれませんが・・・)。

 まず、「北海道付近に高気圧が発生し、南の高気圧との間でシアーライン(空気がぶつかる場所)が明瞭となる」の部分。




 シアーライン(空気がぶつかる場所)が明瞭・・・ですよね(赤の点線部分)。
 空気がぶつかれば空気の逃げ場所は上空のみ・・・・上昇気流できて雲が発生しやすくなります。

 そこに寒気があれば発生した雲が発達することになるのですが・・・・「温度場(気温差)としては前線ははっきりしたものではないが」という部分は比較的地上に近い高さの気温のことですが、上空の寒気も日本付近を広く覆っていて、「寒気が通過」というメリハリのある寒気ではありません




 「寒気が居座る」という表現がピッタリなので、大気不安定の状態が継続することになります。

 なぜ寒気が居座るのか?ですが・・・「500hPa の渦度0 線(強風帯・ジェット気流)」が関係しています。




 簡単に言ってしまえば渦度0線というのは、空気の流れの早いところを意味します。
 ものすごく大ざっぱですが、図中の青の線は北から寒気を運びこむ流れで、赤の線は南から暖気を運びこむ流れ。
 大陸沿岸で大きく蛇行して上空の低気圧と高気圧が細かく並んでいますが、ねじ曲がった空気の流れは簡単には解消しにくいので、日本付近には寒気がシベリア方面からの寒気が流れ込みやすい状態が続いてしまう・・・寒気が居座る・・・という状態が続いてしまうわけです。




 これは日本付近のジェット気流の様子を拡大して立体的に表示したものですが、前線上空に弱いジェット
 詳しい説明はしませんけど、ジェットは前線につきものなので、気象庁は前線を描くにあたってこれも根拠しにしたようです。

 最後は、「850hPa 相当温位(雨の原料の量の差)のピーク」の部分。
 ようは暖かく湿った空気が流れ込む場所(先端)のことですが・・・・







 大雨で災害が発生している朝鮮半島を経由して北陸・東北に流れ込むことがわかります。
 日本海側中心に大雨のおそれがあるわけです。

 で・・・以上をイメージしながら今日の雨の様子を見てみると・・・・




 前線の雨のエリアがゆっくりと南下してくること・・・そして暖湿流が流れ込む日本海側ほどまとまった雨になることがわかるはずです。
 日本の脊梁山脈の日本海側でまとまった雨になる傾向もありそうですね。

 そういなると、具体的に何ミリの雨が降るのか?が気になると思いますが、これは防災情報ですから安全マージンも考えてある気象庁発表の大雨情報でチェックしてください。

 大雨情報: http://www.jma.go.jp/jp/kishojoho/

 なんだかダラダラと長くなってしまいました。
 テレビじゃ絶対許されない内容ですが・・・読み飛ばせるブログだから・・・イイですよね?


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Posted by kasayan at 08:11Comments(3)雑記

2011年07月27日

台風9号?進路に注目、不安定な天気続く(7月27日)


 現在台風8号が発生していますが、台風8号は大陸方面に西進しそうなので日本への直接の影響はなし

 ただ今日にも発生しそうな台風9号?が非常にイヤな感じ・・・・
 一昨日から台風9号?の予想進路(計算値)を掲載していますが、今朝の最新の計算値ではコースが大きく変化しています。




 昨日の計算値は、小笠原付近を通過したあと、日本の東海上を北東進するというものでしたが、今朝の計算値はコースを西寄りに変えて、九州・四国の南へと進むことを示唆しています。

 大平洋高気圧の西への張り出しが強めに計算された結果だと思いますが、今後の計算値からは目が離せません

 米軍予想http://www.usno.navy.mil/NOOC/nmfc-ph/RSS/jtwc/warnings/wp1111.gif

 さて、今日の天気ですが・・・・今日も大気不安定・・・・上空の寒気と地上付近の暖湿流の影響で、今日は強い日差しがなくとも雷雲が発生しやすくなっています。




 ここ数日、似たような天気図でちょっとマンネリ気味ですが、今夜の予想天気図には、北海道付近にオホーツク海高気圧が顔を出しています。
 図に山の絵を書き込んでおきましたが、日本付近はオホーツク海高気圧(山)と大平洋高気圧(山)にはさまれた気圧の谷
 上空の空気の流れが大きく蛇行しているからですが(昨日の記事参照)、蛇行は簡単には解消しませんから、この状態がしばらく続いてしまいます

 そして、谷には谷川が流れているように、気圧の谷にも寒気や暖かく湿った空気が流れ込みやすく、日本付近は大気不安定の状態、雲が広がり易い状態が続くことになります。

 まずは上空の寒気を詳しく・・・・




 上空の空気の流れが蛇行していると、流れの淀みには寒気が貯まって居座るようになります。
 今日は-9℃の寒気のコアの部分が北日本を通過・・・北日本の大気は特に不安定へ。

 また、今日は大平洋高気圧がやや西に張り出すため、暖湿気が日本海を経由して東北方面にも流れ込むようになります。




 では、上空の寒気と暖かく湿った空気の相互作用で、いつ、どこでたくさん雨が降るの?




 暖湿流が避けて通る九州方面の雨は少なくて済みそうですが、近畿から東北にかけてはいつどこで降るかは特定できない状態
 どこでも雨が降り易いというしかありません。

 特に雷雨が活発になりそうな午後の様子を拡大して見ると・・・




 西では大平洋側、北では日本海側で活発という傾向はみられますが、雷雲は上空の風に流されますから断定はできません。
 また、頭上では降っていなくても、隣町では降っているというコマカなスケールの雷雲も多くことが考えられますから、安全をみて「所によって雷雨」とイメージしておくしかなさそうです。


 ところで、昨日(朝)の計算値・・・関東平野(特に南部)の雷雨についてはかなり過大に計算されていたようで、実際の雨の降りだしは遅く、その量も計算値ほどではありませんでした。




 昨日夕方の気圧配置や風の様子をざっくりと考察してみると、関東平野の風(海風)は収束しにくい状態
 雷雨の計算値には暖湿気の強さに大きく左右され、過大な降水をはじき出してしまったのではないかと思います。

 このため、気象庁発表の東京や神奈川の雷雨の予報については、多くの方がハズレという印象を持たれたのではないかと思います。
 ただ・・・今日の関東南部の雨については・・・あたりだと思います。


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Posted by kasayan at 07:17Comments(0)雑記

2011年07月26日

次の台風の影響は?今日の夕立は?(7月26日)


 昨日の記事で、8月1日前後に次の台風が日本に接近するかも?・・・ということを書きましたが、今朝発表のGSMというシミュレーションでも同様の結果になっています。




 台風本体は関東沖をやや離れて通過しますけど、問題は台風に先行して強い雨が降り続きそうなこと。
 ノロノロと北上する台風から流れ込む暖湿気によって雨雲の発生が活発になり、それが長時間続くといったおそれが考えられます。

 コースはまだまだ流動的ですが、いつもの夏なら海に山へとレジャーに最適な8月初旬。
 いつもの夏のイメージで計画を立てると思わぬことになるかもしれませんから、台風のコース、さらに先行する台風の影響には注意しておきたいところです。

 また、次に涼しくなるのは?ということについても昨日の記事で書きましたが、今朝の計算値でも今日から一週間ほどは、平年を下回る傾向にありそうです(先週の涼しさほどではないと思いますが・・・)。

 さて、今日の天気・・・・昨日より夕立の範囲が広がります・・・・




 昨日、日本上空に入ってきた寒気は居座ったまま
 これだけで大気は不安定なのですが、今日は西日本~東日本太平洋側の地上付近に暖かく湿った空気(雨の原料)がたっぷりと流れ込んできます。

 このため、昨日以上に大気不安定となって、昨日夕立が無かった(少なかった)地域でも夕立(雷雨)のおそれがあります。
 また、場所によっては、豪雨といえるほどの降り方をするおそれも。

 まず、上空の寒気の様子を詳しく見てみましょう。




 上空の空気の流れ(川の流れと思ってください)は大陸沿岸で大きく蛇行していて、ちょうど日本海が淀みになっています。
 この淀みの部分に渦ができているため、蛇行する流れにのってシベリアからやってきた冷たい空気が渦をまいたまま居座ることになるわけです。

 次は地上付近の暖湿流の様子。




 日本付近への大平洋高気圧の張り出しが弱いため、高気圧縁辺の南西風が日本に吹きこむ傾向。
 この南西風が大平洋の暖かく湿った空気を日本に運んでくることになります。

 そして・・・・寒気と湿った空気がぶつかる場所で(上空と地上で重なりあう場所)雷雲が発生(図には前線で描いておきました)。
 その様子を詳しく・・・・




 雨のエリアが徐々に北上してくることがわかります。

 もうちょっと詳しく・・・・







 暖かく湿った空気は山にぶつかり強制的に上昇させられます。
 上空には寒気があるため、暖かい空気は熱気球のようにさらに上へ上へと上昇
 積乱雲(雷雲)がグングンと発達しやすい場所は、山岳南西斜面ということになります。
 (平地でも暑さや海風の収束で上昇気流が発生すれば雷雲発達・・・関東平野内部ではゲリラ雷雨発生可能性大?)

 また、発達した積乱雲を押し流す上空の風は南~南西方向から
 南西方向に雷雲が見えたら、自分のほうにやってくるおそれが高いということです。

15時15分追記:関東地方の雷雲の発生タイミングがやや遅れ気味。

 で・・・・似たような状態は、しばらく続きそう・・・・どころか、1週間ほど続いてそのまま台風の接近によってMAXになるかもしれませんから、台風情報、そして週間予報・・・マークだけではなく降水確率にも着目してチェックしておいたほうがイイかもしれません。


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2011年07月25日

暑さいつまで?次の台風は?(7月25日)


 台風の置き土産・・・涼しさの後の暑さに・・・次に涼しくなるのはいつ?とお考えの方も多いと思いますので・・・




 最新の週間予報用の資料から抜粋したものですが、27日以降、全国的に平年を下回る気温が続くことが予想されています。
 先週の涼しさほどではないかもしれませんけど、農業への影響で野菜が夏野菜が高騰なんてことになっては困りますからこれで良しとしましょう。

 また、夏のレジャーシーズンですが、台風6号のような台風が来ちゃ困ると、次の台風の心配をされている方も多いと思うのですが・・・・




 8月1日の予想天気図を見ると、伊豆諸島の南側に台風の・・・同心円状の等圧線が・・・・・・
 まだまだ計算値が変わる可能性があるので心配しても意味がないのですが、これから天気予報や天気図を見るときは南海上にも注意をしておきたいところです。

 さて・・・今日の天気・・・・全国的に不安定な天気・・・朝から雷雨なんて所が多いのですが・・・まずは予想天気図




 太平洋高気圧にガッツリ覆われるわけでなく、低気圧がやってくるわけでもない・・・とらえどころのない天気図ですけど、書き込みのようなポイントを挙げることができます。

 上空の天気図で詳しくチェックしてみると・・・




 日本上空に-6℃以下の寒気

 また、天気変化に大きな影響を与える上空の流れは大きく蛇行するとともに弱い
 シベリアの冷たい空気を南に運びやすいとともに、いったん運び込んできたら居座るという状態で、大気が不安定な状態がしばらく続いてしまうようです。
 今後、地上付近に暖かく湿った空気が流れ込むことも計算されていますから、明日以降も雷雨・・・集中豪雨に注意が必要になります。

 では、今日の雨の様子をザックリと・・・・




 西日本・東日本中心に、どこで雨が降るのか?を断定できないほどアチコチで雨が降ったり止んだり。
 それぞれの雨のエリアは小さいので、頭上は晴天でも隣町では強い雨が降っているという降り方になりますから、折り畳みの傘を持って出かけるのがオススメかもしれません。

 ちょっと詳しくみてみましょう。










 いつもならどのあたりで雷雨があるのか?を予想しますが、今日は予想しても意味がない状態。
 一番下の図は発生した雷雲を流す上空3000m付近の風の様子ですが、全般に南西の風で8m/s前後
 あちこちで発生する上に、雷雲が流れていくので「広い範囲で雷雨の可能性がある」としか言いようがないわけです。
 それでも、関東平野の南部では、引き続き雷雨が発生しにくい状態が続きますけれど・・・・

 さあ・・・今週もスタート・・・・


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Posted by kasayan at 06:29Comments(0)雑記

2011年07月24日

上空に寒気、大気不安定へ(7月24日)


 7月24日・・・平年並みに季節が変わるのなら梅雨明け直後・・・・梅雨明け十日の安定した夏空が続き、夏休み最初の週末・・・なんていう雰囲気なんですけど、猛暑・台風通過・肌寒い陽気とめまぐるしく天気が変化し、季節感がムチャクチャになっています。

 そんな陽気に、昨日は風邪で寝込んでしまったKasayanですが、今朝は復活。
 気を取り直して今日の天気をまとめておくことにします。

 まず今夜の予想天気図で今日の天気傾向を大ざっぱに・・・・・




 天気図だけ見ると、日本付近に台風6号があるだけで、これといって目立った高気圧も低気圧も見当たりません
 理科の教科書や一般向けのお天気の解説本などを読んだだけでは、自分で天気を予想するのが難しい場面だと思います。

 いくつか書き込みをしておきましたが、ポイントは①台風の影響を受ける北日本太平洋側と、②上空の寒気の流れ込みによって大気が不安定になり、西日本太平洋側・関東甲信越山沿いで雷雨が発生しやすい、ということになります。

 もっと詳しく見ると、地上付近の空気の流れなどもポイントになってくるのですが、テレビの天気予報の解説ではこれら二つのポイントを簡単に解説するのが限度ですから、このブログでは二つのポイントをさらに詳しく・・・そして地上や上空の空気の流れもまとめておきたいと思います。

 まず、上空の寒気の様子




 ただ寒気が流れ込んでくるのではなく、上空の気圧の谷(上空の低気圧の南端)が寒気を運んでくるといったイメージ。
 
 上空の気圧の谷の南端(青い線の付近)には上空の強い流れがあるのですが・・・・・




 川の流れがカーブしていると淀みができたり渦ができたりしますが、上空の空気の流れも同じ。
 上空の流れが南側にU字にカーブしていると低気圧性の反時計回りの渦ができやすい状態になります。

 このように、上空では寒気が流入し、低気圧性の渦ができやすい状態が形成される・・・・つまり、大気が不安定(雷雨が発生しやすい状態)になるわけですが、さらに地上付近に雨の原料が流れ込んでくれば雷雨のパワーが強まります。




 地上付近には大平洋高気圧の縁辺の風(一番上の天気図のオレンジの矢ばね)に流されて、湿った暖かい空気(雨の原料)が流れ込み始めています。
 東日本ではまだ沿岸ギリギリですが、四国や九州にはかなりの量。

 だから・・・・大気不安定に雨の原料の流れ込みも加わって、西日本中心・・・それも太平洋側中心の雷雨。
 東日本は、海風が湿った空気が内陸に運びこんでくる場所ほど・・・・気温が上昇して上昇気流が発生しやすい場所ほど雷雨発生の可能性が高くなります。

 以上のイメージを意識しながら、風の流れと降水の関係を見てみると・・・・







 詳しくは図中の書き込みを読んでいただくとして・・・・・

 西日本南岸の雷雨はかなりの確率で発生すると思うのですが、関東甲信越の雷雨の発生の予測はかなり困難
 湿った空気の流れ込みに影響を与えるのが地上の加熱によって発生する局地的な熱低気圧(ヒートロー)や海風
 でも、どの程度のパワーで湿った空気を内陸に運び込むのかがわからない・・・・・。
 雲が多く太陽を遮れば、パワーが弱くなって雷雨も小粒になるし・・・・・「所により」でお茶を濁したいのが本音です。

 雷雨発生のひとつの目安と考えて、最寄りの気象台の予報文で「雷」の文字をチェックしてください

 予報文: http://www.imocwx.com/yohoud.htm

 今日はこれでおしまいですが・・・・
 上空の寒気というと、テーブル上にこぼした水が広がるようにやってくる寒気をイメージしますが、大気は立体的。
 上空ほど気温が低いわけですから、寒気がやってくる場所ほど低温の高さが低いということになります。
 そんな様子をイメージできる図を作ったのでご参考まで(今日の下層寒気)。




 

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Posted by kasayan at 06:03Comments(2)雑記

2011年07月23日

週末の天気と台風6号の影響


 いつものように朝の天気チェックをしていたら・・・どうも目と頭がイタイ・・・・

 再び寝てみたんですけど・・・・・どうも思わしくないので・・・・
 週末の天気傾向・・・途中までまとめた図だけ掲載しておくことにします・・・・ゴメンナサイ。


 今夜の予想天気図・・・書き込みできませんでしたが・・・昨日と大きく変わらないです・・・・





 この週末のポイント・・・明日・・・日曜日になると上空に-6℃の寒気がやってくるということ。




 今日は大したことはなくても、明日日曜日・・・気温が上がると・・・(いまのところ)山沿い中心に雷雨が活発になるんじゃないかと予想されます。

 で・・・とりあえず、今日の天気傾向。




 四国・北陸・東北太平洋側あたりで雨が降り易いけれど、それ以外はまずまずの週末といったところでしょう。

 ただ、明日日曜日は・・・・




 関東甲信、東北南部あたりで夕方から雷雨が予想されます。

 ということで・・・頭痛薬でも飲んで再び寝ます・・・・ごめんなさい。


  


Posted by kasayan at 08:12Comments(2)雑記

2011年07月22日

台風6号の影響継続、気温は徐々に上昇(7月22日)


 先週の三連休前から始まった台風6号の影響・・・・一週間を経て、次の週末がやってきたのにまだまだ日本に影響を与え続けています。

 この週末はどうなの?




 ご存じのように、台風6号は日本の東海上をゆっくりと北上中

 GSMという気象庁予報の中核をなす数値予報の計算結果では、明日以降台風が少し発達する傾向を示しています。
 右下の書き込みのように、予報官は発達傾向を下方修正しているようですが、仮に現在の陸地との距離を九州や四国沖に置き換えてみると、海の遊びどころではない状態でしょうから、引き続き警戒が必要という状態にかわりはありません。

 MSMという計算値で今日の雨の様子も見てみましょう。




 この台風・・・四国を中心とした西日本に大雨をもたらしましたが、上陸とともに台風の東側陸上でたっぷりと雨を降らせたため、台風の西側の雨雲は少なくなっていました。
 しかし、海上に出てからは西側にも雨雲が流れ込み、降水の様子だけは再びいっぱしの台風の形を整えつつあります(衛星画像で見る台風はかなり崩れていますけど)。

 ということは・・・風や波も相変わらず要警戒状態。







 伊豆諸島方面を中心に引き続き強風が吹き荒れ大しけの状態。
 東日本太平洋岸の波高は明日になっても3m以上
 気象庁の予報官は、東北地方沿岸の波の高さの計算値を上方修正すべきと判断しています。

 すべては台風がノロノロ運転しているというのが最大の原因ですが・・・・




 昨日までは、多少なりとも、北海道の北にある上空の低気圧縁辺の流れに乗って多少は足早に進むのではないか?という期待もありましたが、台風6号・・・完全に上空の動く歩道?(強い流れ)に間に合わなかったようです。
 しばらくは太平洋高気圧縁辺の弱い流れに流されつつ、台風自身の力でゆっくりと北上せざるを得ない状態になりました(一昨日・昨日の記事参照)。


 さて、台風はこれくらいにして、今日の天気をざっくりとチェック。







 基本的に全国的に晴れですけど、西日本はちょっと雲が多め
 日本海側の空気と太平洋側の空気・・・気温や含む水の量が少々異なる空気が西日本付近でぶつかる傾向(。
 雲が多めで局地的に弱い雨が降るかもしれません。

 あと・・・涼しかった気温・・・東日本は今日いっぱい過ごしやすさが残ると思いますけど、上空の寒気(冷気といったほうがイイかも)は徐々に北上傾向(昨日の記事中の図参照)。
 明日以降は暑さが戻ってきそうですから、今日の爽やかな夏空を満喫したいところです。

 
 話は変わりますが、ヨットオタクのKasayan・・・
 台風がやってくると日本各地を長距離航海しているヨットのことを考えてしまいます。
 さすがに、今年は三陸付近を南下するヨットは少ないと思いますが、ノロノロの台風6号に多くのヨットが長期間の足止めをくらったことでしょう。
 Kasayanも台風を避けるため、八戸に20日以上も足止めをくらったことがあるのですが、艇長の頭の中は台風と今後の航海計画が錯綜していることと思います。
 ヨットの旅は、まさに待てば海路の日和あり・・・・足止めに腐らず、日和待ちを楽しんでほしいと思います。


 ご意見・ご質問等は、コメント欄・メール(kasayangw@yahoo.co.jp)にてどうぞ。
 可能な限り返信いたします。



(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)


  


Posted by kasayan at 06:03Comments(0)雑記