2010年07月31日

ゲリラ雷雨と隅田川花火大会





 長野に住んでいると、あまり関係ないですけど、今日は隅田川花火大会

 もうずーっと昔のことですけど、隅田川花火大会の日、Kasayanは東京の某放送局の夕方の天気予報の番組担当だったことがありました。

 バラエティー番組の中で、隅田川花火大会の中継が予定されていたので、番組クルーにも空模様を伝えたりしていたのですが・・・・・

 夕方になって、どしゃ降りの雷雨
 そのころはゲリラ雷雨とかゲリラ豪雨なんてコトバは存在していませんでしたけど、まさにソレ。

 レーダーから目をそらして、夕方のニュースの中の天気予報の内容をアレコレ打ち合わせしている最中でしたから、そりゃ大慌てでした。


 今日も、14時過ぎからゲリラ雷雨が東京で発生
仕事中だったので、タマタマ発見できました。




 赤の点線の部分で発生している雷雲は、風が集まることと、強い日差しで空気が暖まることによって発生しますから、そこそこ予想はできます
(その頃は、こんな図も簡単には手に入りませんでしたけど)

 一方、赤丸で示した東京の雷雲は、とらえどころがなくてまさにゲリラ
後からアメダスの風向風速の観測値などでチェックをしてみると、東京湾や相模湾、外房から鹿島灘にかけての海風が集まって上昇気流が発生したんだな・・・なんてわかるんですが、海風がどこで集まるか?・・・というのは、ズバッと予測できないんですよね。

 ですから、実況をレーダーなどで監視しつつ、あれ?と思った時点で警戒モードに入るしかないのです。
 この点、最近はXバンドレーダーなど、積乱雲が発達する初期の段階から、監視ができるので、多少は早めに警戒が可能になっています。

 気象庁は、13時にそれまでの予報を大幅に修正していました。







 とても素早い対応だと感心したのですが・・・・・

 気象庁の予報をそのまま使っているネットの天気予報の中には、気象庁から予報訂正の電文が届いているにも関わらず、データの更新が遅いサイトが多いこと・・・・
 特にピンポイント予報なんて、修正が簡単にできませんから、どのサイトでも晴れマークのオンパレード(ピンポイント予報は、気象庁GPVデータをもとに、各社のモデルで再計算して作る)。




 使っている方が多いでしょう・・・Yahooのピンポイント天気
立川のピンポイント天気ですけど、晴れマーク・・・一方、このサイトを見ている人のアンケートでは、雨が圧倒的な人数になっていますよね(かなり皮肉ですよね)。
 ピンポイント天気より、気象庁の予報のほうが素早い対応や安全マージンがとられているという結果になっていました。l

 ちなみに、Yahoo天気は日本気象協会がデータの元ですが(昔はウェザーニューズだった)、携帯を使った参加型の天気予報でおなじみのウェザーニューズ・・・・その時間帯にサイトで放映していた動画解説ではどうなっていたかというと・・・・




 関東は、ゲリラ雷雨可能性エリアからキレイにはずれています。
全然、予測していなかったんですね・・・・・

 ちなみに、対応が早かった気象庁といえども、今朝の予報作成のための資料には・・・・




 「山沿い中心」「局地的」と、まったく想定していませんでした

 もちろん・・・・Kasayanも全然想定していませんでしたから、同類です。
後になって思えば・・・なんですけど、仮に懸念材料をコメントして適中したとしても、何度も繰り返すうちに、狼が来たぞ・・・ということになってしまう可能性が高いと思います。

 海風の様子を、今は10分単位でチェックできるアメダスを使ってチェックしつつ、Xバンドレーダーなどの最新観測装置を使って、常にアンテナを立てていないとダメということですね。

 となると・・・・それをどうやって一般に伝達するのか・・・・・

 この点は、よいしょするわけじゃありませんが、現時点でウェザーニューズの携帯メール配信しかないでしょう。
その意味で、予測ははずれても、このサービスのこれからの進歩が期待されます。

 長野県なら、夏山登山者用のメールサービスなんかができればイイですね。
 上高地の河童橋のあたりで、屋台を開いて、期間限定の加入サービスなんかしたりして・・・・
 
 隅田川花火大会・・・・やっぱりKasayanにとっては鬼門でした
 夕方以降・・・ゲリラ雷雨の可能性は低くなっているようですから、たぶん花火は大丈夫だと思いますが・・・・

 当ブログの記事等に関して、ご質問・ご意見等がありましたら、コメント欄だけではなく、以下のアドレスにメールしていただいても構いません。
  kasayangw@yahoo.co.jp
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(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)
  


Posted by kasayan at 17:42Comments(2)雑記

2010年07月31日

天気予報は当たるのか?(7月31日)猛暑いつまで?夕立は?




 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。久々の長野の天気に慣れるため、毎朝コツコツ天気予報の修行中。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言

昨日15時に「北日本から西日本の高温に関する全般気象情報 第1号」が発表されています。

(本文抜粋)
 北日本から西日本にかけては、向こう一週間は気温が平年より高く、平均気温が平年より3度程度高い日の続くところが多い見込みです。
 また、最高気温が35度以上の猛暑日となるところがあるでしょう。
 気温の高い状態が続きますので、農作物の管理や熱中症などの健康管理に十分注意して下さい。


 昨日は、一か月予報も発表されています。




 最近は、この図もテレビの天気予報やワイドショーなんかにしばしば登場するようになりました。
あくまで確率論の話ですが、東日本・西日本では、気温が平年より高くなる確率が70パーセント以上ということを意味しています。

 未来の空模様をスーパーコンピューターで計算しようとすると、初期値になる観測データのちょっとした誤差で未来の空模様は大きく変化してしまいます。
 野球の遠投では、手元がちょっと狂っただけで大暴投になるのと同じ。

 それじゃこまるので、初期値をちょっとずつ異なる未来の空模様を沢山計算してその平均をとると、未来の平均的な空模様が、そこそこの精度で計算できるわけす。
 アンサンブル予報というのですが、むこう一か月の気温の様子をグラフにしたものでは・・・・




 右(8月27日)に近づくにつれて、誤差が多くなってグラフがばらけていますが、計算値の多くが平年値(真ん中の線)より上に位置しています。
 北日本と比べると、西日本や東日本はバラツキが少なく、ほとんどが平年以上

 向う一か月、猛暑が続く・・・・と断言すると当たりはずれの話になっちゃいますが、確率論ですから、その可能性が高いということになります。

 その理由ですが、向う一か月・・・東日本・西日本は、太平洋高気圧に覆われる傾向が続くから・・・シンプルな理由・・・・・
 暑いからどうの・・・という話はしません・・・・・テレビでたくさんやってくれるでしょうから・・・・

 北日本は、低気圧や気圧の谷が通過しやすい状態が続くようですから、盆休み・・・北海道方面の旅行は、天気のタイミングをよーく見計らう必要がありそうです。

 あくまで確率論の話でした。

            (今朝のニュース)熱中症死者、全国で200人超

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 今日は、一か月予報の話なんかまとめちゃったので、後はシンプルに。
猛暑エリアは、太平洋高気圧の張り出しの形とピッタリ一致しています。
 じゃ・・・北日本は?・・・・予想天気図でチェックです。

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 「昼前から昼過ぎ 晴れ」ですから、朝残っている雲さえ取れれば夏空再開
もちろん、「所により 雨」がついています。
 夕立はどこで?については一番最後にチェックします。

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 最近の天気予報では、上空10000m弱の高さにある高気圧と、太平洋高気圧の重なり合い・・・ビックマック?、サーティーワンアイスクリームのダブルコーン?・・・状態による猛暑の話がよく出てくるので、一応、こちらでも書きこんでおきました。

 暑そうだね・・・というイメージだけ伝わればイイです。

 今日から明日にかけて、北日本を低気圧がかすめ通り、寒冷前線が通過します。
こんな状態が、今年の夏、北日本には多いということのようです・・・・高確率で・・・・・

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 一応、上空10000m弱の高気圧の様子・・・チェックしておいたので、掲載しておきましょう。




 中心が西日本へ
 東日本へも拡大の傾向・・・ということです。

 次は、北日本を通過する低気圧や前線の雨の様子・・・・夕立の様子もあわせてチェックしておきましょう。




 夕立が一番多く発生する18時の予想図ですけど、北海道の西に前線の雨域。
北日本は下り坂ですけど、本格的に雨になるのは夜中の12時頃のようです。

 一方、夕立エリアは、東日本中心
 それも北アルプスや南アルプスなどの山沿い中心

14時10分追記:東京方面、計算外のゲリラ雷雨の可能性が高くなっています。南からの海風の強さ、そして、鹿島灘方面からの海風の入り具合が、先日の春日部・久喜方面の豪雨のときと似ています(位置は違いますが)。レーダー等で警戒が必要です。

 レーダーhttp://www.jma.go.jp/jp/radnowc/index.html?areaCode=206
 東京アメッシュ(東京都レーダー)http://tokyo-ame.jwa.or.jp/

14時20分追記:最新の計算値とレーダー画像、海風の様子をまとめておきました。最新の計算値でも計算されていません。今思えば、風向風速の予測から、可能性を危惧しておけば・・とは思うのですが、大気の安定度からすると際立って激しい雷雨になると言う程度では・・・・・ゲリラ・・・。気象庁は13時に予報を訂正しています。




 もっと詳しく夕立をチェックしてみると・・・・




 極めて局地的・・・上空に寒気が入っていないので、山の斜面が暖められて上昇気流が発生・・・雷雲モクモク・・・という山を中心とした局地的な夕立しか発生しないようです。
 日中の猛暑のあと、適度なお湿り・・・というわけにはいかないようですね。

 ということで、今日の予報・・・「所により雨」に期待しすぎなければ当たりということになりそうです。

 今日は一か月予報をチェックしてみましたけど、一か月予報って、毎月発表されるんじゃなくて毎週金曜日に発表されています
 確率論ですから(今日は連発しています)、修正が必要なんですよね。
 長期予報ははずれるなんてよく言われますけど、上のグラフを見れば、気象庁がどれだけ工夫して一か月予報を出しているか・・・・おわかりいただけたと思います。

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2010年07月30日

天気予報は当たるのか?(7月30日)回復しても夕立注意!




 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。久々の長野の天気に慣れるため、毎朝コツコツ天気予報の修行中。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言

 昨日から流れ込んでいる湿った空気
低気圧や前線の通過とはちょっと違うので、ジメッとした南風が強めに吹いて、スコールに似たような雨がバラッと降っり止んだりという感じだったと思います。




 今日は、もっと南国ムード?
 強い日差しが雲の切れ間から差し込んだと思うと、夕方頃には東日本中心に再びスコールのような雨。
 降るところと降らないところがモザイク模様のようにバラバラですから、天気予報が当たった!とか、はずれたぞ!と感じる方が極端にわかれると思います。
 自分の頭上だけで天気予報の当たりはずれを考える方が多いんですよね・・・・・

 下の降水のアニメを見ていただくとわかりますけど、小さな雨雲がバラバラと発生したり弱まったりするときに、市町村単位のピンポイント予報のマークだけを信じるなんてナンセンスです。
 だいたい下の雨のアニメがピンポイント予報のもとになるデータなんですから。

 木を見て森を見ないということになってしまいますから、こういうときには、天気変化の「傾向」で天気予報をチェックしておくのがイイと思います。

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 湿った空気の流れは東日本から北日本に移動したので、東日本・北日本は傘マークが並んで、西日本は晴れマーク。
例によって、各地の予報文には「雷」の文字が散らばっていますから、気になるエリアの天気はマークだけじゃなくて、上の緑の文字のリンクをたどって、各地の予報文を読んでください。

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 日中、どんよりとした雲の切れ間からパーッと夏の日差しが戻ってきます。
気温も急上昇
 夕立と表現してよいのか、夕立のようなと言ったほうがイイのか迷いますが、いずれにせよ、午後にあちこちで雷雲発生
 どのあたりで?については、下で詳しく。

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 ポイントは東へ移った暖湿流ですけど、本当は、南岸を北東進する風が集まる収束線と、東北を弱まりながら通過する寒冷前線も書き込みたかったんです。
 暖湿流が流れ込んでいても、一様に雨というわけじゃなくて、収束線や前線の通過によってメリハリのある雨の降らせ方をするからです。
 また、上空の気圧の谷の通過のタイミングも影響してきます。
 シンプルな地上の天気図だけではなかなか予想はできないことですから、地上の天気図だけを見て判断・・・なんてことはある意味無謀です・・・今の時代。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 今日は、どういうストーリーでまとめようかと考えましたが、多くの方があまり読もうとしない、気象庁発表の「天気概況」を使おうと思います。
 気象庁の予報官の有りがたい解説ですから、ヘタなキャスターの解説より使える場合があるんです(ヒドイものもありますけど・・)。
 天気概況(リンク先一番下):http://www.jma.go.jp/jp/yoho/322.html

 ちなみに今日の関東甲信地方の天気概況を抜粋してみると・・・
「今日は、東日本を上空の気圧の谷が通過し、引き続き、南から湿った空気が入る見込みです。
 このため、関東甲信地方では、昼前までは関東甲信地方南部を中心に、昼過ぎ以降は関東地方の山沿いや甲信地方で雨となり、雷を伴って激しく降る所があるでしょう。」

 そして、長野県の天気概況は・・・・
「今日は、東日本を上空の気圧の谷が通過し、引き続き、南から湿った空気が入る見込みです。
 このため、県内は、くもりで昼前から昼過ぎは晴れますが、所により雨で昼過ぎからは雷雨となるでしょう。」

 長野は東京の気象庁と同じ管区ですから、概況の内容はほぼ同じ。
長野県のほうが日中晴れ間が出るという点が異なります。

 さて、天気概況の書かれていた「上空の気圧の谷」・・・解説を読んだ人はわかったようなわからないような・・・ですよね?




 赤の点線の谷のちょっと東側で天気悪化
 昨日のような雨は北日本中心に移り変わるということです。

 次は「南から湿った空気」・・・・これも地上天気図では直接わからない・・・・・




 湿った暖かい空気がガンガン流れ込む強い風のエリアは東海上へと抜けていきますけど、昨日から大量に流れ込んだ湿った空気は内陸に結構残っているというイメージです。
 九州の南岸は、ちょっとだけ流れ込みやすいということでしょうか。

 で・・・・「このため」以下に書いてある空模様の予想は・・・「雨」ですから、雨の様子を見てみましょう。




 強い雨の帯は東海上へ・・・ですけど、東へ出っ張っている関東はなかなか回復しにくいという感じ。
 また、寒冷前線や南岸の収束線(シアーライン)付近では上昇気流が発生して雨雲活発
 これが通過するタイミングで雨が強まります。
 
 前線とシアーラインを詳しく。




 書き込みをしておいたので、見ればお分かりいただけるかと・・・・

 そして、東日本付近は?




 いったん回復した空模様も午後から再び夕立のように降水が計算されています。
 南風が強そうですから、吹きあがりで関東南部のゲリラ豪雨は可能性が低く、北部山沿い中心になると思いますが、用心するとしたら西側の山からの流れこみでしょう。

 長野県内についてはもうちょっと詳しく。




 風の収束や西寄りの風が高い山にぶつかって強制上昇させられてできる上昇気流で雷雲発生
一応・・目安を書きこんでおきましたけど、北部中心に県全体バラバラに発生するようです。

 そして、発生した雷雲を流す上空3000m付近の空気の流れの様子。




 西風が長野県の山でゆがめられて関東や新潟方面に流れていますが、これに乗って雷雲のアタマが風下に傾くように流れていくはずです。

 今日の予報・・・昼間の「晴れ」については、あまり期待しないで、むしろ「所により」以下の雷雨に比重をおいて考えるのなら当たりでイイと思います。
 マークの太陽マークや、ピンポイント予報だけ見た方なら、はずれと感じる方が多いのではないでしょうか?

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2010年07月29日

天気予報は当たるのか?(7月29日)まとまった雨猛暑日休み




 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。久々の長野の天気に慣れるため、毎朝コツコツ天気予報の修行中。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言

 今朝は、日本全体が雨雲の帯の下・・・・各地で活発な雨が降っています。




 太平洋高気圧が弱まって、日本付近は湿った暖かい空気の通り道・・・南西~北東方向の通り道に沿って雨雲が発達しています。

 ということは、南西の風がぶつかる山の斜面・・・南西に向いた斜面では、上昇気流が発生しやすく雨雲が特に発達しやすい傾向にあります。

 これから雨が強まりそうな東海方面・・・梅雨明け直前に大雨が降った岐阜県の可児市付近から長野県方向を上空から、暖湿流になったつもりで眺めてみると・・・・・




 Google earthにレーダーを貼り付けた立体画像ですけど、暖湿流のつもりでレーダー画像を見ると、どのあたりで激しい雨が降りそうか見えてきます。
 レーダー :http://www.jma.go.jp/jp/radnowc/

 ところで、これ・・・・今朝発表された長野県の予報・・・原文です(マークはKasayanがつけました)。




 無味乾燥な電文ですけど、予報文の後ろについている(203)とか(300)という番号をテロップ番号といいます。
 長い予報文をトンツーの電信で送れるように、昔作られた暗号?が今も残っているわけですが、気象会社では、この電文をコンピューターで処理して、このテロップ番号に対応する天気マークをテレビやネットの天気予報の画面に表示しています。
 ですから、おなじみの絵で見る天気予報も、実はこの電文がモトになっているわけです。




 この番号・・・実は100種類以上あるんですけど、これを全部マークで表示したら、マークの数が多すぎてしまうので、視聴者が混乱してしまいます。
 そこで、類似した天気のテロップ番号をまとめて一つのマークにしているんです・・・テロップ番号と天気マーク対照表ですけど、サムネイルを拡大して見てください・・・・省略しまくり?ですよ。




(テロップ番号・天気マーク対照表)

 ということは、本当は情報量の多い予報文ですが、視聴者のためにという理由で、天気マークにしてカットしてしまっているわけです。
 ですから、Kasayanは予報文・・・原文を読みましょうよ・・・としつこく言っているわけです。
 今日の各地の予報も、原文で読めば雨の降り方も詳しくわかります
 天気マークなんて止めて、表示エリアの少ない地方の天気予報くらいは昔のような文字の天気予報に戻したほうがイイと思いませんか?

 予報文(原文)サイト: http://www.imocwx.com/yohoud.htm

12時30分追記:懸念していた「大雨と雷及び突風に関する全般気象情報 第1号」が11時15分に発表されました。NHKニュースでは必ず項目立てされると思いますが、強い南風が吹き寄せる山の南西斜面中心に、いきなりドバッという雨の可能性有り。ご注意ください。
 気象情報URL: http://www.jma.go.jp/jp/kishojoho/

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 早くも九州北部方面は回復に向かいそうですけど、それ以外は雨モード
200ミリを超える雨は災害のモトになるわけですけど、西日本の太平洋側中心に、防災モードの降水量が計算されています。

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 北部は曇りベース中部は雨ベースになっていますが、いずれも「時々」がついていて、天気変化サインが出ています。
 一方、南部は「雨」一発・・・・マークもテロップ番号300・・・・傘マーク一つです。

 暖湿流が流れ込みやすい南部ほど、しっかりと雨が降るということですね。

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 暖湿流エリアが東へ進む・・・それにともなって雨のエリアも東へ移動。
 その原因は、太平洋高気圧が東方向へ弱まるということです。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 太平洋高気圧が弱まって、天気が悪くなって・・・・いつまで悪いの?ということが気になると思いますが、地上の天気図で高気圧のエリアを見ているだけでは、天気が悪くなるエリアや悪化回復のタイミングがわかりにくいと思います。




 上空5800m付近の天気図ですが、赤の点線で書いた上空の気圧の谷が、天気悪化の目安になります。
 この谷が接近してくると、この谷のちょっと東側の上空では空気が拡散・・・地上付近では、上昇気流発生・・・・天気悪化という構造になっています。
 明日の夜に、北日本を通過し終わるという予想になっていますから、明日の夜には、最終的に天気悪化モードは終わりということです。

 もう一つ、天気悪化は上空の高層天気図でわからないものがあります。
 それが地上付近の空気の流れによって発生する上昇気流のエリア




 北日本では、上で見た上空の気圧の谷と対応する地上の風の収束線が通過します。
 コイツの影響が明日ありそうです。

 そして、今日のポイント・・暖湿流を強く流す風の様子




 緑の強風軸が本州縦断・・・次第に東へ移動するようです。

 で・・・全体の天気変化のタイミングや原因がわかったところで、今日の雨の様子




 四国・紀伊半島・静岡付近で黄色や赤の強い降水が計算されています。
 南西斜面中心・・・・ですね。
 西日本は夕方までには回復しそうですけど、それ以外は天気マークどおり今日一日雨模様のようです。

 東日本は?




 南部中心の雨・・・北部は時々止む、あるいは時々雨という感じでしょう。
 
 もう少し雨量が多ければ、全般気象情報という大雨のニュースになりそうな状態なんで、安全マージンは多めにとらないといけない状態。
 それを考慮すれば、今日のシンプルな予報・・・当たるとしかいえません

 くりかえしますが、予報文・・・原文で読んでみてください。
 予報文(原文)サイト: http://www.imocwx.com/yohoud.htm
 予報文の用語集http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/mokuji.html

17時30分追記:Kasayanの備忘録なので・・・・








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2010年07月28日

天気予報は当たるのか?(7月28日)北と西から下り坂夕立は?




 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。久々の長野の天気に慣れるため、毎朝コツコツ天気予報の修行中。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言




 西日本ではすでにまとまった・・・東へゆっくりと拡大しています。
 また、東北北部や北海道にもエリア。

 太平洋高気圧も一休みのようですが、東日本は今日いっぱいは休みなし。
猛暑が続き、不安定な天気です。

 昨日の東日本の夕立・・・ゲリラ雷雨と呼べるような雷雨はなく、そこそこ計算通り・・・というか、計算より少なめの雷雨でした。




 ゲリラ雷雨が発生した一昨日より南よりの海風が強く、上空まで南よりになっていたため、ゲリラ雷雨を発生させるような複雑な空気の流れも発生せず、南風の吹きあがりで、長野県北部や関東北部の山沿いが中心の雷雨で済んだ・・・ということだと思います。

 計算以上の雷雨となった一昨日の事があったので、気象台も安全マージンを多めにとっていて、Kasayanもずいぶん安全マージンをとってしまいました。
 安全面を考えれば、見逃しよりは空振りのほうが良い雷雨ですけど、空振りが続くと狼少年になってしまいます。
 このあたりのバランスが非常に難しいところですね。
 天気予報って、心理戦?みたいなところがあるんです。

 今日は、ますます南よりの風が強まる傾向ですが・・・・どうなるでしょうか?

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 上の衛星画像で見たように、西と北から天気下り坂
 明日は、もっと傘マーク拡大・・・・もちろん・・・猛暑日は明日にかけて解消に向かいますよ。

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 相変わらず、予報文には全県に「雷」の文字がついています。
 昨日は、南部でほとんど雷や雷雨は観測されませんでしたが、今日はこのあたりどうなんでしょうか?
 下で詳しく検討してみます。

 昨日に引き続きオマケ・・・神奈川県の海上の風ですが、昨日よりさらに強く予想されています。
昨日は、この影響について判断しかねていましたが、昨日の傾向から考えると・・・・どうなんでしょう?

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 ポイントは全部書き込みましたが、高気圧が西から弱まって暖湿流が日本海を北海道方面まで北上するというのが、今日から明日にかけての天気変化の原因
 付け加えるとしたら、北海道付近に接近する低気圧が上空に強い寒気を伴っていて、北海道は不安定要素も加わるということでしょうか。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 このところの不安定要因のモト・・・上空の寒気のチェックから。




 東日本以北は、昨日と同じ-6℃以下の寒気に覆われて大気不安定が継続。
北海道の近くまで、-12℃の寒気のコアが近づいていることも着目点です。

 続いて、今日から明日にかけてのポイント・・・日本海を北上する暖湿流の流れの様子。




 今日は、暖湿流を流す上空1500m付近の風の様子をまとめてみました。
緑の部分が特に風速が強いところですけど、みごとに九州~日本海~北海道へと流れています。
 風速が強いエリアが、明日にかけて九州から東へ移動しますから、東日本も明日にかけて暖湿流がガンガン流れ込むようになります。
 ということは、雷雲の発生エリアも暖湿流が流れ込みやすい北寄り傾向?

 まずは、全国の降水の予想から見てみましょう。




 暖湿流の流れと対応して、雨のエリアが東へ拡大しているということと、北海道の雨域が拡大していくことはまず押さえることとして・・・・・
 東日本では、ここ数日とは異なって、日本海寄りに雷雲の発生が予想されています。

 東日本を拡大してみると・・・・




 昨日も上越方面で一時的に雷雲が発生しましたけど、今日はここ数日になく新潟県方面で雷雲の発生が予想されています。
 また、群馬県と新潟県の県境付近の降水量の計算値もは格段に多くなっています。

 いつものように空気の流れで詳しく見てみます。




 日中の猛暑によってできる上昇気流で発生する熱低気圧は、いつもより50Kmほど北に計算されています。
 ということは、長野県北部ではここ数日の中で最も北まで南風が入り込みやすい状態。

 また、風向はここ数日で最も南よりで、南部では、南アルプスや中央アルプス、御嶽山付近で強制的に風が上昇させられてしまうエリアに降水が予想されています。
 そして、一昨日までのように、風の合流によって南部で降水を発生させるという傾向は少なく、強まりつつある南よりの風が、伊那谷や木曽谷を一気に北上するという傾向にあるようです。

 一方、熱低気圧が発生する北部付近では、北から熱低気圧に流れ込む風と南からの風がぶつかる場所ができていて、長野県北部や新潟県上越で雷雲発生というメカニズムのようです。
(下降流域になりやすかった北アルプス東側での降水量もここ数日で最も多い)

 ただ、何度も書きましたが、雷雲の時間的・空間的スケールは、シュミレーションプログラムの解像度ギリギリですから、山の斜面の昇温や山岳の気流の影響で、もっともっと複雑です。
 一応、傾向としてとらえておいてください。

 最後は発生した雷雲を流す上空3000m付近の流れ




 上空まで南よりの風
 昨日は西南西でしたから、一気に南に回っています。
 県内で北部中心、関東でも北部山沿い中心に雷雲が発生する理由の一つです。

 ということで・・・実は今朝・・・・図を作っている最中にPCがハングアップ・・・・7割の図がつくりなおしになっちゃったんです。
 もう今日はブログなんてやめちゃおうかな・・・なんて思ったんですけど・・・1年間は長野県天気の修行の身ですから・・・・考え直してここまでで時間切れ・・・・・

 検討しながら、図をまとめているんですけど、中途半端になっちゃったんで、今日は天気予報の当たりハズレを云々する資格がありません
 北部中心の雷雨で南部は山沿いの一部に限られるんじゃないかな・・・と思いますが、安全マージンをとらなくてはならないのが雷雨
 ざっと見たところ、今日の予報も当たりでイイと思うんですけど・・・・・

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2010年07月27日

天気予報は当たるのか?(7月27日)ゲリラ雷雨?夕立予報?




 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。久々の長野の天気に慣れるため、毎朝コツコツ天気予報の修行中。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言

 関東のことですけど、昨日はゲリラ雷雨とかゲリラ豪雨と思われる雷雲が発生していました。
 埼玉県春日部市・久喜市付近




 ゲリラ雷雨とは、予測が困難な、突発的で局地的な豪雨に使われるマスコミ用語
 山沿いで発生した雷雲が流れてくるパターンの通常雷雨とは異なり、平野部などでいきなり発生、発達し、短時間に豪雨を降らせて消えてしまうというものです。

 昨日、ゲリラ雷雨が発生した15時頃の風や気温の様子・・・・・







 埼玉県南部付近に、関東平野の中でも特に気温の高いエリアが形成されていて上昇気流発生
 アメダスの風向を見ると、そこに向かって3方向から海風が流れ込み、さらに北関東で発生していた雷雲から吹きだす風が流れ込んでいました。
 これらの風が集まって上昇気流が発生してゲリラ雷雨発生・・・になったんじゃないかと思うのですが・・・




 昨日朝の地上付近の空気の流れの予想図を見ると、青で書き込んだ海風がうまく計算されていませんでした
 ただでさえ、東京湾方向から北上する海風が軽井沢方面に湾曲する場所に、これらの海風が吹きこんだため、ゲリラ・・・・ということになったのでは?

 長野県の雷雨は、基本的に山や盆地を流れる風を見ることで、およその発生エリアは予想できますから、多くの場合はゲリラ雷雨とまではいえないと思います。
 ただ、これから猛暑が続くと、山の斜面などの局地的な昇温によって、ゲリラ的な雷雨の可能性が高まることも否定できません。
  
  今日も夕立予報?・・・・夕立予想?・・・・してみました。

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 北日本の低気圧によるぐずつきエリア以外は、相変わらず猛暑の夏晴れ。
 もちろん、各地の予報文には「雷」の文字が並んでいます。
 何度も書いていますけど、マークだけじゃ「雷」はわかりませんし、「所により」の夕立なのかエリア全体に広がるような夕立なのかもわかりません
 上の(緑文字)のリンクから各地の予報文を読んでみてください。

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 長野県内全域に「雷」の文字がついています。
 このところ、エリアが限定されているので、今日もどうせ降らないんだろう?と思っている方もおられると思いますが、「所により」が今日は頭上に来るかもしれません。
 長野市内では、そろそろお湿りが欲しいところですけれど・・・・・・

 オマケですけど、今日も関東の海風は強くなりそうですね・・・ゲリラ雷雨のモト・・・神奈川の海上風速の予報もつけておきました。

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 昨日とほとんど変わらないので、着目点だけ点滅させるアニメにしました(作るのが楽だから・・・)。
 明日以降、太平洋高気圧が少し弱まって、九州や西日本で雨・・・・場合によっては大雨の可能性もありますから、この方面では天気予報の見方をちょっと変えないといけないでしょうね。
(テレビの原稿だと、大雨の”おそれ”と書けと言われていました。可能性はダメなんです・・ホントは。)

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 まず、このところの雷雨の原因になっている大気不安定のモト・・・上空の寒気




 相変わらず日本をすっぽり・・・不安定は継続

 さっそく夕立の様子を・・・ということで、まずは全国の雨の予想




 夕立についてはやはり関東北部山沿い中心
 北海道付近は低気圧の雨・・・九州の西には熱帯低気圧の強い雨域がありますけど、これが明日以降西日本へ
 ちょっとヤバそうな雨エリアですよね。

 ということで、東日本付近の雨の予想から・・・




 長野県付近は、「午後の山では雷雨に注意」といわれていることがよーくわかるような降水の分布。
ホントにアルプスの高い山々を中心に雨が予想されています。
 そのほかは、昨日同様、関東北部の山岳地帯中心に降水が予想されていますが・・・・もうちょっと詳しく見てみましょう・・・・昨日だってこれと似たようなものだったんですから・・・・




 雷雲発生のモト・・風が集まって上昇気流が発生しそうなのが赤の点線部分

 今日は、北アルプス方面に多めの降水が計算されていますが、昨日はちょっとだけでした。
昨日、実際は北アルプス方面で夕立発生・・・今日はキチンと計算されています。
 西風が北アルプスの山で強制上昇させられて雷雲発生ということでしょう。
 稜線にいたら、富山県方面からモクモクとわきあがるという光景なんでしょうね。

 その他は、昨日とほぼ同様
 同時に発生じゃなくて、発生のタイミングはバラバラ
 ここ数日の傾向としては、上田など東信方面の夕立はちょっと遅めになるようです。

 また、関東付近、黄色のエリアでは、計算されていない鹿島灘方面の海風が入ればゲリラ雷雨の可能性はあるかも?
 データの蓄積がないので、断言はできませんが、東風を感じるようになったら要注意かもしれません。

 で・・・わいた雷雨を流す風・・・上空中層の空気の流れ




 基本は西風ですけど、昨日より、ちょっと南気味・・・基本はこれに沿って流れるんでしょうか?

 さらに、夜9時の地上付近の空気の流れ




 海風は陸風に代わってきて、両者の合流地点は東京西部付近
 低圧部ができて、を巻いています。
 東京多摩地域・・・・降水は計算されていませんけど、どうなるのかな?

16時40分追記:関東付近の海風(特に東京湾・相模湾からの南風)が昨日の1.5倍~2倍強くなっています。このため、天気変化全体のストーリーは昨日より遅めに進行するかもしれません。


 ということで・・・・「所により」雷雨モードなので、今日も予報はあたるとしか言えません
上の予想はあくまで雷雲が発生する可能性が高いエリアで、実際はもっと複雑。
 下のレーダーを使い分けて、モクモクの雲が見えたら、レーダーチェック・・・早々の対応・・・・が一番イイでしょうね。

 気象庁レーダーhttp://www.jma.go.jp/jp/radnowc/index.html?areaCode=207
 Xバンドレーダーhttp://www.river.go.jp/xbandradar/index.html
 長野県砂防(雨量予測情報)http://133.105.11.45/index.html
 携帯用河川情報センターhttp://i.river.go.jp/

 これブックマークしておいて損はないですよ!


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2010年07月26日

天気予報は当たるのか?(7月26日)今日も夕立予想?




 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。久々の長野の天気に慣れるため、毎朝コツコツ天気予報の修行中。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言




 これ、昨日、長野市内から松代・・遠くは美ヶ原方面をみた写真。
 左側はモクモクの雷雲ですけど、右型はボンヤリとした薄曇りになっていますが、撮影時間はたった1時間ちがうだけです。
 長野市街地では夕立の雨は降りませんでしたが、いきなり空が雲に覆われて、夕立くるぞ!!と思われた方も多かったのでは?




 これは同時刻の気象衛星の可視画像(普通の写真と同じ。テレビでは赤外画像です)。
モクモクと上空に立ち昇った積乱雲のアタマの部分が、上空の強い風に流されて、たった1時間で関東甲信地方全体を覆っていたことがわかります。
 
 地上付近の空気の流れの影響で上昇気流ができ、雷雲発生。
 上空3000m・・・北アルプスの頂上あたりの風で雷雲が流され、さらに上空の風によって雷雲のてっぺんがバラける・・・・・
 
 この夏、かなり雷が発生しそうですから、夏休みの自由研究・・・・雷雲の観察・・・なんてお子さんに勧めてみてはどうですか?
 いまどきの小学生ですから、デジカメで空の写真をとって、衛星画像と対比してみるなんて・・・イイと思うんですけど。

16時15分追記:計算上の風の収束エリアや、降水の予想エリアとは無関係に、雷雲発生・・・ゲリラ豪雨なんていいますけど、埼玉県春日部付近で発生しています。今朝の計算値でも、12時初期値の最新の計算値でも計算されていませんでした。遠くから流れてくる雷雨と違って、春日部周辺で発生して、発達。最新のXバンドレーダーなどで、小さな兆候が現れたら用心する・・・という方法しか対応できないですね・・・こうなると。
 Xバンドレーダーhttp://www.river.go.jp/xbandradar/nowcast_top_kanto01.html
 東京アメッシュhttp://tokyo-ame.jwa.or.jp/




2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 各地の天気マーク、拡大して載せてあります。
 こうやって見ると、結構傘マークがついているんですよね。
 この傘マークは全部夕立の予告・・・・夕立マークといえそうです。
 雷については、各地の予報文を読んでみましょう・・・たぶん傘マークのところには雷の文字もついていると思います。
 予報文(原文): http://www.imocwx.com/yohoud.htm

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 こちらの傘マーク・・・もちろん夕立マークですけど、関東中心、それも埼玉以北や神奈川西部がメインです。
 今日の天気予報・・・たぶん「山沿い中心に」という解説があると思いますが、傘マークの分布を見ただけでその傾向がわかります。

 長野県は傘マークがないので、関東ほどは広いエリアで夕立にはならないということですけど、予報文にはキチンと「雷」の文字
 今日も一応、「所により」がどこか?その傾向は検討しておきます。

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 西日本の概況には「高気圧に覆われて概ね晴れますが、上空の寒気と強い日射の影響で・・・」と書かれていました。
 関東付近の概況「高気圧が本州付近に張り出しますが、東日本では上空の寒気の影響を受ける見込みです」と書かれています。
 予報官のキモチとしては、西日本は上空の寒気だけじゃなくて、猛暑の影響もスゲーんだよということを言いたいんでしょうね。
 もちろん、東日本の予報官にしてもそうでしょうけど、関東付近の今日の予想気温に35度以上の数字は少なくなっていますから、ここ数日との比較で、猛暑の影響については書かなかったんでしょう・・・たぶん。
 そんな予報官のキモチを想像しつつ、アニメを作ってみました。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 東日本の予報官のキモチを尊重したわけじゃないですけど、西日本にも東日本にも共通のポイント・・・上空の寒気の様子から・・・・




 -6℃以下の寒気は日本上空に残ります。
 ということは、今日も引き続き大気不安定
 上昇気流が発生すると、暖かく軽い空気は、冷たくて重い空気の中をグングンと上昇して・・・雷雲発達。

 ということで、雷雲発生のキッカケ・・・上昇気流が発生しやすい場所をチェック。




 昨日とほぼ同じ・・・長野県中部付近に吹き込む空気が合流する場所が中心。
関東付近では、日本海の海風と、関東平野奥深くまで流れ込む海風が山にぶつかる北部の山岳地帯

 もちろん、これらのエリア以外でも、ヒートアイランド現象だとか地形の影響などで、上昇気流は発生します。

12時55分追記12時前から雷雲が発生し始めています。発生開始の場所は、上の計算値とほぼ一致しています。下のレーダー画像に赤のラインを引いたあたりで雷雲発生中。風が集まる場所です。黄色のラインがこれから雷雲が発生する可能性が高そうな場所。雷が気になる方は、昨日の記事に掲載したおすすめレーダーでチェックしてください。




 で・・・・上昇気流が発生して、発達した積乱雲を押し流す中層・・・3000m付近の流れをチェック。




 ほぼ西風
 長野県付近や秩父付近で発生した積乱雲は関東平野へゆっくりと流れていきます。
 一方、関東北部で発生した積乱雲は、昨日同様茨城県方面には流れやすいものの、南部へは流れにくい傾向。
 南から吹き込む海風が弱まる夜には、多少南下する傾向にもなりますが、むしろ、山梨県付近で発生した雷雲がどうながれるか?ということにかかっているように思います。
 「山沿い中心」と言われる所以ですね。

 次は、いつものように具体的な雨の様子







 上でチェックした積乱雲の発生エリアと流れに沿った形で降水が計算されていますよね?

 ということで、今日もまた・・・ここ数日ずーっとですけど、天気予報はあたります
 俺のところじゃ降らなかったぞ!とおっしゃる方・・・・昨日の予報を見てください・・・・「所により」って書いてありませんでしたか?

 午後、夕立が始まったら、あとは実況監視が一番
おすすめのレーダー(携帯含む)のURLは昨日の記事に掲載してあります(ココをクリック)。

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2010年07月25日

天気予報は当たるのか?(7月25日)夕立予報?




 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。久々の長野の天気に慣れるため、毎朝コツコツ天気予報の修行中。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言

16時追記「長野県竜巻注意情報 第1号」が発表されています。関東各県でも同様。冷たい風が強まってきたな・・・と思ったら、できるだけ屋内へ・・・・・。有効期間があるので、以下URLで新しい情報をチェックしてください
長野県竜巻注意情報 第1号
平成22年7月25日15時07分 長野地方気象台発表
長野県では、竜巻発生のおそれがあります。
竜巻は積乱雲に伴って発生します。雷や風が急変するなど積乱雲が近づく兆しがある場合には、頑丈な建物内に移動するなど、安全確保に努めてください。
この情報は、25日16時10分まで有効です。

 各県気象情報: http://www.jma.go.jp/jp/kishojoho/

18時追記夕立の雲が流れる方向の目安になる上空3000m付近(中層)の流れを、朝の段階では掲載していなかったので、最新の計算値で掲載しておきます。海風の弱まりで南へ移動することも考慮すると方向は南東かな?
また、積乱雲が上空高く発達し、積乱雲上部が上層の強風に流され、雨の降っていないエリアでも、広い範囲が薄曇り状態になっています。











 今朝、関東甲信地方には、「大雨と雷及び突風に関する関東甲信地方気象情報 第3号」が発表されています。

 内容を抜粋してみると・・・・・
(本文)
[気象状況と今後の予想]
 関東甲信地方では、上空の寒気と強い日射の影響で、大気の状態が不安定となり、25日昼過ぎから夜遅くにかけて、雷雲が発達する見込みです。
[雨の予想]
 25日昼過ぎから夜遅くにかけて、関東地方北部を中心に、多い所で1時間に40ミリを超える激しい雨の降るおそれがあります。
[防災事項]
 低地の浸水や河川の急な増水、土砂災害に注意して下さい。また、落雷、竜巻などの激しい突風、降ひょうのおそれもありますので、屋外活動や農作物の管理に注意して下さい。


 ・・・ということで、主に関東平野北部・・・群馬・栃木あたりが中心の激しい雷雨が予想されているわけですが、もちろん周辺の県にも雷雲は発生しますし、発生した雷雲は上空の風に流されて、別の場所へと移動していきます。

 夕立予報とか、雷雨の予想・・・・というのは、現在の予報技術ではピンポイントで特定することは困難ですが、ある程度は・・・どのあたり?くらいは予想できます。
 漠然と気象情報を見ても、ああ夕立ね・・・くらいにしか感じられませんから、今日も、超安全マージン?をとるべきという前提で、今日は広にエリアの夕立予想・・・してみます。

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 天気マークだけを見ても、東日本、北日本に傘マークがチラッと見えるだけで、天気傾向がよくわかりませんけど、これは通り雨や夕立の傘マークです。
 太陽マークと傘マークがセットになっているときは、急激に天気が悪化してドバッと降る可能性大。

 そうそう・・・今日は、各地の天気概況を抜粋したものを並べてみました。
 同じ気圧配置でも、各気象台によって着目するところはずいぶん異なりますよね。
 このように、複数の概況モトにして天気図を見ると、漠然と眺めていた天気図も”目的”をもって見ることができますし、複眼低な見方ができますから、読めなかった天気図が読めるようになります。

 概況は、上の緑の文字中のリンクで表示される地図上の各県をクリックして表示される府県天気予報の下に掲載されていますから、天気チェックをする際には、ぜひ読んでみてください。

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 昨日の朝、今日の予報に傘マークがついていましたが、今朝は傘マークが消えています
昨日予想された夕立のエリアの計算値が、今朝は縮小されたようです。
 もっとも、エリアが縮小されたということであって、夕立が弱いということとは全然関係ありません
 「所により」が自分の頭上に来たら・・・・・・どうします?

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。

 今朝はアニメじゃなくて、ちょっと変わった方法で・・・じつは時間がなかったから・・・だったりして。




 今朝の実況天気図・・・高気圧に覆われているだけのようですが・・・・・
 これだけいきなり見ても、夕立のエリアなんてわかりませんよね?

 短期予報解説資料というプロ用の予報資料に掲載されている図を引用したものを見ると・・・・




 ポイントは、概況に書かれていた「上空の寒気」(-6℃以下)が南岸まで南下して大気が不安定になるということと、概況には書かれていなかった北日本のシアーライン・・・地上付近で空気の流れがぶつかりあって上昇気流(雷雨発生のモト)が発生する線・・・・これが通過するということのようです。

 さらに、各地の概況に書かれていた「気圧の谷」ですが・・・




 「気圧の谷」がどこだかわかりますよね・・・等圧線が凹になっている部分

 さらに「上空の気圧の谷」は・・・・




 赤の点線部分
 北日本は上空の気圧の谷にすっぽりと覆われています。
 
 太平洋高気圧に覆われて!といいうイメージが強いですけど、気圧配置は日々微妙に変化しています。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 上空の寒気と気圧の谷については、上でチェックしてしまいましたから、残るは北日本を通過するシアーライン




 北風と西風がぶつかる部分が線になっています。
 ここで上昇気流が発生するわけですが、上空には寒気・・・大気が不安定ですから、雲が発生して、シアラーインが通過する際には一時的に強い雨が降ることになります。

 ついでに、他のエリアの風がぶつかるところにも線を引いておきましたが、こちらは海風や陸風なんかも関係してできるシアーライン。
 夕立の可能性が高いエリアです。

 気象情報が発表されている東日本を拡大してみましょう。




 昨日と似たような所に風が集まる場所があります。
 今日も気温上昇・・・長野県中部に熱低気圧ができて風が集まるというストーリーは昨日と同様ですから、昨日、一昨日の記事も読んでみてください。

 で・・具体的な雨の様子







 やっぱり東日本中心
 長野県も夕立エリアですけど、比較的短時間で済むかも
 一方、関東方面は東京や埼玉の平野部でも夜遅くにかけて夕立が続きそう。
 ゲリラ豪雨なんて言われる局地的な雷雲が発生する可能性もありそうです。

 ということで、計算上は、ここまでが限界
 あとはレーダーで実況監視ということになります。
気象レーダーhttp://www.jma.go.jp/jp/radnowc/index.html?areaCode=207

 東京、名古屋、富山、大阪方面なら、現在試験運用中の高性能レーダーのXバンドMPレーダーというレーダーが使えます。
 Xバンドレーダーhttp://www.river.go.jp/xbandradar/index.html

 これらのレーダーでチェックして見てください。

 外出するなら、河川情報センターの携帯用サイトがおすすめです。
河川情報センター(携帯サイト)http://i.river.go.jp/

 今日の予報?・・・・安全マージンをとらなくちゃならない夕立モードですから、当たりです。

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(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)
  


2010年07月24日

天気予報は当たるのか?(7月24日)週末特に夕立雷雨注意




 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。久々の長野の天気に慣れるため、毎朝コツコツ天気予報の修行中。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言

 昨日、長野市付近で見られた積乱雲のうち二つ・・・・・







 30分から1時間で、写真のような雷雲が発生しては消滅・・・淡い月明かりの中、夜の10時頃まで繰り返されていました。

 海風が夜遅くまで内陸奥深くまで吹き込んでいて、22時頃になっても雷雲が発生していたようです。
 それだけ、強い日差しで地面が暖められているということですが・・・・今日は上空の寒気が南下してきます。
 今日の夕立・・発生すれば、昨日より激しいものになると考えられます。

 そして、明日にかけてもっと強い寒気が南下・・・・明日日曜日の予報には、「所により雨」じゃすまなくなって、傘マークまでついている所が多くなっています。
 つきなみですけど、雷はもちろん、川の急な増水・・・・季節がら河原でのキャンプは・・・

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 北日本は不安定というよりは、気圧の谷や低気圧の雨
 西日本と東日本は天気マークの裏に隠された夕立の雨

 昨日、東日本には、こんな気象情報が発表されています(抜粋)。
 東日本の高温に関する全般気象情報 第1号
 関東甲信地方と東海地方では、ここ数日気温の高い状態が続いていますが、向こう一週間も気温が平年より高く、最高気温が35度以上の猛暑日となるところがあるでしょう。
 気温の高い状態が続きますので、農作物の管理や熱中症などの健康管理に十分注意して下さい。

 いわば熱中症警報みたいなものですね。
 (読売新聞)熱中症、1週間で死者52人…5896人搬送

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 昨日の朝の予報は「夕方から雨」でしたが、今朝の予報は「昼過ぎから雨」
もちろん、「雷を伴う」がついています。
 「所により」もついていますから、所ってどこよ?
 昨日は、場所によって降り出しのタイミングは多少ズレがあったようですが、ほぼ計算値どおりの位置で夕立になっていましたが・・・今日は?・・・下で検討します。

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 昨日までは暖湿流と気温の上昇で雷雨・・・というストーリーでしたが、今日は上空の寒気まで加わっています。
 本当は、上空の気圧の谷も迫っていることを加えようかな?と思ったのですが、それは明日のほうが・・・と思って省きました。
 いずれにせよ、大気不安定・・・夕立モードは強まっているということです。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 まず、地上の気圧配置の骨格・・・上空の天気図から。




 日本付近・・・等高度線(等圧線と同じです)が凸傾向から凹傾向に変化しているのがわかります?
凹(上空の気圧の谷:赤の天性)傾向は天気悪化のサイン
 天気予報で「上空の気圧の谷が通過するため」なんて、わかったようなわからないような解説がされることが多いですけど、コレがそうです。

 そして、この谷は寒気を連れてきます。




 上空の谷の西側は北西の風が吹いていて、大陸上空の冷たい空気を引きずりおろします。
だから、西日本方面から-6℃以下の寒気が南下
 これだけでも十分に大気は不安定になるんですが・・・・

 地上付近の暖湿気は?




 相当温位342Kという雨の原料としては十分すぎる暖湿流が西日本・東日本中心に流れ込んでいます。
相当温位は雨の原料、大気不安定の目安になるのですが、湿度が高いほど、気温が高いほど、大きな数字になります。
 関東付近、348Kという突出した数字になっていますけど、ここ数日の猛暑日で空気が暖まっているんですね。
 
 で・・・地上に暖かく湿った空気、上空の強い寒気となれば・・・雷雲が発生しないのがおかしいくらいですから・・・具体的な雨の様子を・・・・




 午後、東日本中心の夕立・・・と書き込んでありますけど、西日本だって強い寒気が上空を覆ってきますから、ゲリラ豪雨・雷雨?があったって全然おかしくありません。

 夕立の中心、東日本は?




 関東付近が特にスゴイですね・・・あきらかに昨日以上
 長野県付近は・・・昨日同様、県東部がメインですけど、安全マージンをとれば、高い山中心にどこでも注意という感じですね。

 エリアをもっと詳しくチェックしてみましょう。




 夕立が活発化しはじめる午後3時の風の流れと降水のエリアの予想図ですけど、赤の点線部分・・日本海の海風と太平洋からの海風がちょうどぶつかったり、合流したりするエリアが要注意。
 長野県の場合、気温上昇で低圧部(掃除機?)ができるので、海なし県でも海風が吹きこむんですよ。

17時20分追記:飛騨高山付近から松本方面への収束線を赤の点線で書き込み忘れていましたが、ものの見事にそこで夕立が発生しています。この見落としが恐い・・・・イイ教訓になりました。
 気象レーダーhttp://www.jma.go.jp/jp/radnowc/index.html?areaCode=207

 そして、昨日西北西だった上空3000m付近の風は西風になって、雷雲を流します。




 地上の海風は夜になると弱まってくるので・・・雷雲発生エリアが微妙に変化してきて・・・上空の風とあいまって、雨の範囲が移動していくというストーリーが予想されます。

 こんな予想をしてみましたけど、今のコンピューターの能力や、観測網では、十分に計算しきれないのが夕立
 あくまで傾向だと思って、安全マージンは広くとる必要があります。

 ということで、ここ連日ですけど、天気予報は当たるとしか言えません

 この週末・・・レジャーですか?・・・・イイですねぇ・・・Kasayanは仕事でごわす。

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2010年07月23日

天気予報は当たるのか?(7月23日)週末天気不安定今日も夕立




 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。久々の長野の天気に慣れるため、毎朝コツコツ天気予報の修行中。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言

 梅雨明け十日といえば、梅雨明け後、雷雨の少ない安定した晴天が続く10日間をいいますが・・・・・今年は梅雨明け7日?
 夏休みスタートの週末は不安定モード突入になりそうです。




 明日、明後日の上空5800m付近の気温の様子。
 土曜、日曜と-6℃以下の寒気が南下してきます。
 涼しくなる?・・・・・・猛暑は多少・・・あくまで多少・・・解消してきますけど、むしろ大気が不安定に
昨日から東日本付近の夕立がちょっとずつ活発になっていますけど、この週末はもっと活発。




 この図は、夕立のピーク付近、午後6時の予想降水量
降水量は計算値よりちょっと割り引いたほうがよい感じはしますが、夕立の可能性は大ですよね。
 ゲリラ的な強い雨の可能性も高まっていますから、山だけじゃなくて平地でも午後はモクモクの雷雲に注意です。

08時20分追記:朝一番でこんな電文が入ってきました。出勤中の予報官が耳にしたんでしょうね。
■日時:2010年07月23日
■場所:長野県 長野
■内容:ミンミンゼミ初鳴
■平年比:01日遅い
■昨年比:01日遅い
■備考:ジヨウヤマコウエン


2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 昨日より、北のぐずつきエリアがちょっとだけ南下
 太平洋高気圧の北への影響が弱まってきている兆候です。

 例によって予報文を読むと・・・・昨日なみか、昨日よりちょっとだけ夕立を予想しているエリアが拡大しているようです。

 今週は気温の様子も掲載・・・・東日本中心に35なんて数字がありますけど、名古屋では38℃が予想されています。
 実況じゃなくて、予報でこの数字を見るのは珍しいですよ。




3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 昨日は北部に夕立は予想されていませんでしたし、実際夕立はありませんでした。
 でも・・・・今日は全県で夕立が予想されています。
(天気マークだけじゃわかりませんよね・・・予報文も読まないと夕立は・・・)
 
 昨日朝は、お隣、群馬に傘マークがついていましたが、今朝は埼玉にも傘マーク
 夕立のエリア拡大の雰囲気・・・・

 どの程度のレベルの夕立か?は下で・・・・

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 昨日と同じアニメじゃないかと思われそうですけど、ちょっとだけ違うのは、高気圧のコアが少し西日本よりになったことと、それに伴い暖湿流の流れが北海道から東北北部まで南下したこと。
 東北北部のぐずつきエリアが少し南になったのはこのためです。

 明日のアニメには、きっと上空の寒気の様子も加わると思いますよ・・・不安定と雷の文字も

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。





 太平洋高気圧のアタマ・・・等高度線5900m付近という線で、一昨日までは黄色で塗っていました・・・・は、すっかり消えています
上空まで背の高い太平洋高気圧なので、この高さの高層天気図にもアタマをだしていたのですが、ちょっとだけ弱まってきています。
 反対に、大陸からやってくる上空の気圧の谷(赤の点線)・・・うーんとゆっくり北日本へ
 この一週間、この谷の速度と深まりの予想計算値が日替わりで変化していたので、この週末の週間予報の天気マークがコロコロ変化していました。

 で・・猛暑のことは気温さえわかればよいでしょうから、そろそろ恋しくなってきたかもしれない多少のお湿り・・・夕立の可能性についてチェックしておきましょう。

 まず、雨の原料の暖湿流から・・・




 毎日このブログをご覧になっている方は一目でわかると思いますが、日本上空の暖湿流は日に日に強まっています。
 ということは、同じ気温でもそれだけ夕立が発生しやすい状況が整ってきたということ。

 で・・・全国の雨の予想は・・・・




 北海道付近は気圧の谷の雨ですが、東日本や九州中心に山沿い中心の夕立が予想されています。

 そして、昨日は東京などでも夕立があった東日本・・・・




 昨日の同じアニメと比較してみるうと、夕立のエリアが拡大しています。
あいかわらず長野県北部の予想は少なめですけど、北アルプスや菅平・浅間山方面を中心に、夕立の可能性は十分にありそうです。

 もっと詳しく・・・夕立の発生原因の一つ・・・上昇流のモトになるをチェック。




 長野県中部や山梨県付近に、猛暑の上昇流による低圧部が発生し、そこに日本海と太平洋から空気流入
 赤の点線の付近で空気が収束・・・・このあたりで上昇流が発生して雷雲モクモク。
 さらに、上空3000mあたりに吹いている西北西の風で雷雲が流されて、東京方面まで夕立拡大といった流れです。

17時20分追記:夕立の発生のタイミングが少し遅くなるかもしれませんが、確実に発生し始めています。深夜、上田方面、佐久方面でもかなり活発になるかもしれません。


21時40分追記:夕立の雷雲は21時現在終息していますが、新たな発生の兆候も見えます。日中の気温が非常に上昇したので、遅くまで海風が強く、夜まで残ったため、夕立のストーリーが全体として遅くなっている可能性があります。このまま終息する可能性もあるので、ここからはレーダー等を使用した実況監視しかないでしょう。
 レーダー: http://www.jma.go.jp/jp/radnowc/index.html?areaCode=207

 ということで、今日も天気予報は当たります
 むしろ、この週末・・・不安定が増してくるということを覚えておいて、明日以降のレジャーの天気チェックをしていただきたいと思います。

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(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)