2011年08月01日

台風9号進路予想、西日本沿岸中心に雷雨(8月1日)


 8月に入りましたが、早めの梅雨明けからずいぶん経ちましたから、いつものように、あらためて夏を感じないのは私だけ?

 さて、ここ数日、台風9号の進路の計算値をアレコレ見てきましたが、日本に限らず、各国の機関の計算値が大陸方面へ進むことを示すようになりました。




 例によって、気象庁のGSMという計算値をアニメにしてみましたが、沖縄を通過して大陸方面へと進むことを示しています。

 米軍進路予想図
  http://www.usno.navy.mil/NOOC/nmfc-ph/RSS/jtwc/warnings/wp1111.gif

 気象庁進路予想図(5日間予想)
  http://www.jma.go.jp/jp/typh/11095.html

 そうなると、台風のコースより、台風によって何が起こるのか?を考えるほうが生産的。
 台風が接近すると天気予報でしばしば耳にするのが「台風からの湿った空気」というフレーズですが、湿った空気で発生するのが雨雲です。

 上のアニメで青や赤で塗られた部分は1時間降水量を意味していますが、台風の接近に伴って日本付近はなんだかぐずつき気味
 台風の北上をブロックする大平洋高気圧が、どのように日本付近を覆うかが、どれだけ不安定な天気になるかを左右します。




 「今朝の計算値では・・」、太平洋高気圧の中心が南海上にあって、上空の大きな空気の流れは矢印のように日本海経由東日本行き
 先日のように新潟方面や東北日本海側に湿った空気が流れ込んでにわか雨や雷雨を降らせやすい状態になるおそれもありますから、今後台風が大陸に進むからといって、安心ばかりはしていられないといったところです。


 さて・・・・今日の天気・・・まずはいつもの気圧配置から。




 Kasayanの住む長野県の気温は20℃を下回る所が多く、風に吹かれると少々肌寒さを感じるほどですが、東海以北では多くの方が涼しさを感じておられると思います。
 
 北海道の北にあるオホーツク海高気圧(地上に向けた扇風機みたいなもの)から吹きだす冷たい風が北東風になって東日本の太平洋沿岸に吹き込んでいるため。
 沿岸部では、この風が海から水蒸気を運んでくるので、低い雲や霧に覆われ、広い範囲で濃霧注意報が発表されています(ヤマセですね)。

 一方、西日本では相変わらず熱帯夜になった所も多いと思いますが、西日本には大平洋からの暖かく湿った風が流れ込む状態が継続。
 関東沖の低気圧が暖湿気を吸い込んで東海地方に流し込み、先の北東風と相まって今朝は紀伊半島でまとまった雨になっています。

 この二つの風(空気)が点線で示したあたり・・・・朝鮮半島で大雨を降らせている前線の延長線上でぶつかって、弱い前線帯を形成
 前線付近は特に不安定な天気になりそうです。

 まずは、東日本に涼しさをもたらしている北東風の影響を見てみましょう。




 地上に近い高さの気温の分布ですけど、北東風が寒気(冷気?)を太平洋岸に運び込んでくる様子が良く分かります。

 次は暖湿気の様子を、気温や水蒸気量を加味した相当温位という空気の性質(雨を降らせる能力と密接に関係)を示す数値でチェックしてみると・・・・こんな感じ。




 暖湿気(数字を赤で塗ったエリアの空気)がドバッと流れ込むわけではありませんけど、南から複雑な風の流れに乗ってジワリジワリと流れ込みます。
 一方、東日本には北東の風に乗って、冷涼乾燥空気(青で塗った数字)が南下してきています。

 この二つの空気がぶつかる本州付近が弱い前線帯になっています。
(線がうんと混雑しているところの南側が明瞭な前線帯。朝鮮半島の前線が活発ですね)

 以上、性質の異なる空気がぶつかるということを念頭において、地上付近の空気の流れと雨の様子をチェックしてみると・・・・




 二つの性質の異なる空気が収束する場所や、暖湿気がぶつかって強制的に上昇させられる山岳地帯で雨が予想されています。

 さらに、下層雲(地上付近の低い雲)の様子を重ねてみると・・・・




 東日本太平洋岸にべったりと雲がかかっている(黒色)のがわかります。
 これがひと夏・・ずーっと続いてしまうと、東北で冷害が発生してしまうのですが、今回は一時的。

 大ざっぱに言ってしまえば、今日の夏空は東日本太平洋岸を除いて、全般に雲の多い晴れ・・・・暖湿気が流れ込みやすい場所・・・それも弱い前線帯中心に雷雨ということになりそうです。


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 可能な限り返信いたします。



(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)

  


Posted by kasayan at 07:31Comments(0)雑記