2011年08月15日

不安定な天気、北と南はまとまった雨(8月15日)


 昨日の長野市内・・・・浸水被害や屋根のトタンが飛ぶような激しい雷雨が発生しました。

 今日はどうなの?・・・ということで早速・・・・







 一言で言ってしまえば、昨日ほどではありませんけど、雷雨はある・・・ということです。
 
 低気圧と前線に伴う北海道の雨は引き続き警戒が必要。
 そして、雨の原料・・・暖湿流がモロに流れ込む九州の雨・・・・それも暖湿流がぶつかる九州西部の山岳西斜面でも引き続きまとまった雨に注意が必要です。

 そんな様子を詳しく・・・・まずは、地上の天気の骨格・・・上空5800m付近の天気図から・・・・




 上空の天気図で見る太平洋高気圧は凹のカタチをしていて、九州の西側で弱い気圧の谷になっています。
 この谷の上空には-6℃以下の寒気が入っていて、雨雲が高く成長しやすい状態。
 地上付近に暖湿流が流れ込み雨雲が発生すれば、大雨必至という状態になっています。

 一方、太平洋高気圧の勢力が及ばない北海道方面はしっかりとした気圧の谷になっていて、谷に南側にジェット気流
 この流れに沿って地上では前線が発生し、気圧の谷付近を低気圧が東へと進みます。

 そして、太平洋高気圧の北の端っこにあたる東日本方面・・・
 赤の■で塗った数字・・・渦度といいますが、+マークの部分では反時計回りの低気圧性の空気の渦が出来やすい場所。
 昨日より数字が小さくなっていて、低気圧性の渦・・・上昇気流が出来やすさの程度・・・・雷雲が発生しやすさの程度も昨日よりやや低めといったところ。

 では、雨の原料・・・暖湿流の様子




 九州には真西から暖湿流が流入。
 西斜面で大雨というイメージが沸きますよね。

 九州を回り込むように流れる暖湿流が山陰や北陸、そして北海道方面へ流れ込みますから日本海沿岸付近も不安定な天気・・・雷雨の発生可能性は十分。
 九州の南を回り込む暖湿流によって、紀伊半島方面でも雷雨になりますが、紀伊半島の風下にあたる中部や関東では、上空の渦度が低くなるということと相まって、昨日ほどの雷雨は発生しない・・・ということになりそうです・・・・計算値上は・・・・

 それでは具体的に雨の様子を・・・・







 暖湿流の流れと雨の様子をイメージしやすいように全国の図には赤矢印を書き込んでおきました。
 15時45分追記:書き込みを忘れてしまいましたが、関東甲信越地方で発生した雷雲は上空3000m付近の西~南西風に流されます。赤の点線の発生可能性エリアの北東側も要注意ということになります。
 
 沿岸部を流れる暖湿流は海風によって内陸部に運び込まれますが、海風などの局地的な風は地形や内陸の暖まり方によってものすごく微妙
 関東甲信越方面の雷雨・・・・いつものように発生しそうなところに点線を引いてありますが、細い線で引いた、「やや可能性がある」「発生しても局地的」と思われる場所・・・・かなり怪しくなっています。
 あくまで目安に・・・・・

 東京都心部・・・・ちょっとアヤシイ風の流れになっているので・・・どの程度計算値を信じられるのか?イマイチわかりませんが、今日の着目点です。

 気象庁レーダー(基本ツール): http://www.jma.go.jp/jp/radnowc/

 河川情報センター(広域詳細チェック用): http://www.river.go.jp/

 Xバンドレーダー(地域詳細チェック用): http://www.river.go.jp/xbandradar/

 東京アメッシュ(地域限定詳細チェック用): http://tokyo-ame.jwa.or.jp/

【昨日(14日)の雷雨の様子】
 昨日の雷雨では、Kasayanの住む長野市内でも被害が発生するほどの雷雨になりましたから、多少は詳しく書かなければ・・・

 まずは、雷雨の発生に影響する風の収束のモト・・・風を支配する気圧配置から。




 東日本は等圧線が太平洋高気圧側に凹になった弱い気圧の谷
 谷の真ん中にはずいぶん衰弱した熱帯低気圧があって北東に進んでいました。
 ということは、日本海側を北海道の低気圧や前線に向かっていた暖湿流が日本海の海風に乗って内陸に流れ込みやすい状態

 同時刻の局地的な天気図を見ると・・・・




 日中の猛烈な気温上昇もあって、長野県付近にガッチリと局地的な熱低気圧(ヒートロー)が発生
 さらに、岐阜県内にもここ数日では見られなかった熱低気圧が発生し、東北方面も含めて内陸部は帯状に低圧部になっています。
 したがって、日本海側、太平洋側いずれからも海風が熱低気圧に向かって流れ込みやすい状態
 気温が最も上昇する14時以降、熱低気圧の勢力がピークになって、強まった海風によって暖湿気が内陸に運びこまれたものと思われます。

 その際、海風は熱低気圧の位置と山岳などの地形によって複雑な流れ込み方をします。




 昨日15時の熱低気圧の中心は長野県佐久市の南
 低気圧の東側と北側を反時計回りに流れる風が軽井沢~上田~長野市方面の盆地を流れる風と、上越~野尻湖付近~長野市への風、という二つの風を強めたようです。
 このため、二つの風がぶつかる長野市南部で帯状に上昇気流が発生・・・・雷雲が急速に成長したというメカニズムになっていた・・・・・のではないかな?と思います。







 発生した雷雲は上空3000m付近の南西の風に流されて北東方向へ
 松本周辺で発生した雷雲も長野市方面に流れ、長野市南西部では夜になっても衰弱しつつある弱い雷雲による雨がありました。

 最後・・・昨日朝の雷雨発生予想は当たっていたのか?ですが・・・・




 完璧じゃありませんけど、解像度に欠ける計算値を使いながら、そこそこイイ結果になったかも?
 今日は予想はどうかしらん?



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 可能な限り返信いたします。



(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)

  


Posted by kasayan at 05:49Comments(3)雑記