2010年04月30日

天気予報は当たるのか?(4月30日)


 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言

 ゴールデンウィークの長野県といえば春山シーズン
各アルプス方面には多くの登山者が入山していることでしょう。

 登山となれば日の出とともに歩きはじめているはずですし、ブログを読めるような状況じゃありませんけど、このところ北アルプスにも登っていないなぁ・・・などと考えつつ、山の上の天気を考えてみました




 この図の矢印は、12時の上空3000m付近の風の流れ、白や灰色・紫の部分は雲のエリア、青は降水のエリア。
 北アルプス方面、朝は晴れていても富山県や岐阜県側からモクモクとわいてくる雲が稜線を覆って雨(雪)になることが予想されています。
 計算値では風速は10メートル以上で、気温も-10℃前後ですから、吹きっさらしの稜線はかなり厳しい状況でしょう・・・穂高の滝谷なんかは地獄のような景色かも?

 立体図で北信の上空をイメージするとこんな感じ。




 長野県の今朝・・・盆地は花咲き乱れていますが山は冬。
 昨日から連休がスタートして、今日の天気図は高気圧に覆われて天気がよさそうに見えますけど、厳しいアルプスの山々
 遭難がなければ良いのですが・・・・

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 東日本・西日本は太陽マークがズラリと並んでいますけど、東日本の天気マークは雲マークとセット「のち くもり」が多くなっています。
 所々予報文をつまみ読みしてみると・・・「昼過ぎ から 夕方 雨 所により 雷 を伴う」なんてオマケまでついています。

 こういうときの天気予報では「大気不安定」というコトバが聞かれます。
 また、ゴールデンウィーク頃の大気不安定というコトバにはたいてい「上空に寒気が」というコトバもセットになっています。
 このあたり、山岳をひかえた長野県の天気予報では詳しく伝えなくちゃいけないところだと思うんですけど・・・・ローカルのテレビやラジオの天気予報ではどうでした?

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 今年に入って、予報文の雨のエリアがこれだけ具体的に示されているのは初めてだと思います。
 大北地域は日中ずっと雨模様・・・乗鞍上高地・下伊那地域は夜遅く雨。
 問題の北アルプス方面・・・・一日ぐずついてしまうようですね。
 理由は後でくわしく・・・・
 
 ところで・・・大北地域はどこ? 乗鞍上高地地域はどこ? 下伊那地域はどこ?なんて方もいらっしゃるかもしれませんから、エリア分けの図を掲載しておきます。
 連休中はアチコチ移動する方も多いでしょうから、広い長野県の天気予報のエリア分けの図も必要ですよね?




4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 必要なことは書き込んでありますが、東日本は夜にかけて南下してくる寒気の影響で大気不安定・・・これがポイント。

 全国ネットの天気予報だと、ニッコリしたお天気お姉さんのコメントとあいまって、晴れの行楽日和というイメージが強くなってしまいそうですけど、長野県のローカル番組では大気不安定によるにわか雨や発雷可能性のイメージを強くした番組構成にして、天気予報のイメージを引き締める必要があると思うんですが・・・・・

 登山でなくても、ゴールデンウィークにあわせて除雪が終わった山の道路はドライブの人気のマトですもんね。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 今日、東日本の大気を不安定にする寒気・・・・そして寒気とあいまって地上の雷雲を発達させる原因になる上空の気圧の谷(赤の点線)の様子をまとめてアニメにしました。




 紫色の-30℃以下の寒気のカタマリ・・・寒冷渦が北陸方面へと南下
 今夜にかけてちょっとした上昇気流・・・地面が暖められたり、アルプスの山に風がぶつかって上昇気流ができれば雷雲がモクモクと発達する状態になってきます。

 寒気の南下はとてもゆっくりですから、明日にかけても大気不安定
 また、上空の気圧の谷が通過するのは今夜から明日にかけて。
 山は、明日一杯、突然の雨や雪、場合によっては雷に注意ですね。

 もっとも今回の大気不安定は、地上付近に暖かい空気が流れ込む・地上がうんと加熱する・・・という傾向はあまりありませんから、上空の寒気が主原因。
 大気不安定は山が中心・・・・県内の降水や雲、地上の風の流れを全部ミックスしてアニメにしました。




 北アルプス方面は、午後に一時的に回復する時間帯もありますけど雲がかかってぐずつき気味
先日開通した志賀草津ルート方面も雲の下になりそうです。
 地上付近の風の流れは全般に高気圧から吹きだす西寄りの風。
 北アルプスに岐阜県や富山県方面からぶつかって雲が発生している様子がわかりますよね。

 これが「大北地域では 雨」という予報文の理由です。

 で・・・・今日の天気予報・・・・大北地域だってずっとベタ雨になるわけじゃありませんし、地域の東側は比較的晴れていたりします
 また、その他のエリア・・・特に長野盆地では、晴れといってもスカッと晴れる感じではありません
 北信中心にムラのある天気分布・・・このあたりを上のアニメでイメージしていれば、ハズレとは感じないでしょうけど・・・・・マークだけ見たらハズレと感じてしまう可能性の高い予報ですね
 

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  kasayangw@yahoo.co.jp
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 可能な限り返信いたします。




  


2010年04月29日

短期予報解説資料(4月29日)



【今日のブログは失敗作。わかりにくくてごめんなさい】


 今日からゴールデンウィークがスタート

 毎朝の天気チェックトレーニングのついでに作っているこのブログもお休みしちゃおうかな?なんて考えましたが、この季節は気象的に面白い現象が起こりやすいので、全く休んでしまってはトレーニングをしている意味がなくなります。

 そこで、「短期予報解説資料」という資料をまとめるというカタチで、多少手を抜こうかな?と考えました。
 「短期予報解説資料」とは、気象庁が気象会社などの気象事業者のために発表している天気予報の虎の巻
 気象庁が発表した天気予報が、どんな解析にもとづいて作られたのか?とか、観測にもとづいてスーパーコンピューターがはじき出した計算値をどう修正して予報にしたのか?を簡単にまとめたものです。

 この資料を簡単にまとめてみる・・・ということで、自分で解析する労力を省いちゃおうかな?なんて考えてみたのですが・・・・・・
 短期予報解説資料を読んだ後で予報を見れば、予報の理由やアヤシサがわかるんじゃないかな?と思うので、ちょっと挑戦してみます。

 「短期予報解説資料」 2010年4月29日 03時40分発表 気象庁予報部

1.実況上の着目点
500hPa 寒冷渦に対応した低気圧は、日本海まで東進してきた。寒冷前線に対応するエコーは中国地方から四国にのびている。低気圧近傍と四国付近で発雷を検知しており、四国付近では、竜巻などの激しい突風の吹く可能性が高い状態となっている。


「500hPa寒冷渦」




 上空5500m付近にある寒気のカタマリが反時計回りに回転している渦のこと。
 上空の強い西風に流されて北極からやってきた寒気が、大きく蛇行した流れから切り離されて日本付近に漂って、一週間程度にわたって日本にイタズラをします。
 寒冷渦の様子は昨日、一昨日の記事にアニメや図に色を塗って詳しく説明してありますので、この図でわからないようでしたら、そちらをご覧ください。

「寒冷前線に対応するエコー」




 これはレーダーで見た雨雲の様子。




 レーダーの雨雲と対応して、午前3時の段階で中国地方から四国に寒冷前線がのびてますよね。

「発雷を検知」
 今ではどこで落雷があったかがわかっちゃうんですね。
 こちらを参考にしてください・・・http://weather.yahoo.co.jp/weather/lightning/

②北日本の太平洋側では、南東風の吹き付けにより、多い所で1 時間15mm~20mm の降水が続いており、東北の太平洋側では、土砂災害の発生しやすい状態となっている所がある。
③波は、東北太平洋側で5m 前後の実況。


 これは読んでそのまま。
 南東風は太平洋の湿った空気を運んでくるので、湿った空気によって雨雲が発生して雨が降っているということです。
 レーダーでも北日本太平洋側で雨雲が観測されていますよね。

2.主要じょう乱の予想根拠と解説上の留意点
①1 項①の寒冷前線の動きは比較的速く、FT12 には東北から関東北部を通り、東海沖付近まで進む。
温暖前線は、東海上の動きの遅い高気圧との間で、次第に不明瞭となる。解説FT24 の、北海道から関東の東海上にのびるシアーラインは、寒冷前線の位相を表現している。寒冷前線及びシアーライン近傍では、大気の状態が不安定なため、1 時間30mm 前後の短時間強雨、竜巻などの激しい突風、落雷、降ひょう等に注意。また、低気圧近傍の日本海と、高気圧との間の気圧の傾きによる太平洋側の海上の強風は、FT30 頃まで40KT[GW]級。強風、高波に注意。


 「1項①」というのは、上で見た「1、実況上の着目点」の項目の①の部分。
 実況天気図で見た寒冷前線がFT=12・・・観測時間の昨夜21時を基準にして12時間後・・・今日午前9時には新潟・群馬・愛知を結んだ線のあたりまで進むということです(資料はわかりにくい表現ですね)。

 「解説FT24の・・・シアーライン」




 気象庁は午後9時には寒冷前線という形をとらず、シアーライン=空気の流れが急変しているところと解析しているんですね。
 とはいえ、寒冷前線とほぼ似たような現象が起こります。
 赤の点線部分がシアーライン。
 
「大気の状態が不安定」




 激しい上昇気流が発生して、雷雲が発生するということです。
 これはSSIという雷が発生する可能性を示す指数の図。
 前線近傍が紫の色になっていて不安定を表しています。

「FT30」は、明日朝午前3時のこと・・それまで太平洋側海上の強風が強いんですね。




 一応、地上付近の風の様子・・・緑が濃いところほど風速が強いです。

②1 項②の東北の降水は、明け方頃には一旦おさまる見込みだが、前線通過に伴う降水が今日日中に予想されている。引き続き土砂災害に警戒。
③小笠原諸島付近を、FT36 からFT48 にかけて低気圧が通過する。GSM の予想は、やや不安定だが、低気圧の通過のタイミングでの、雨、風の強まりに留意。


 これはそのまんまですね。
 小笠原付近をFT36・・・明日午前9時以降に通過する低気圧のGSMという計算値が不安定・・・アヤシイということです。

3.数値予報資料解釈上の留意点
最新のGSM を基本とする。降水についてはMSM も参考
波浪モデルは、関東から四国にかけては、今日はうねりの影響で、実況との差を見ながら+0.5~1m 検討。日本海の波の立ち上がりは、早め、高めの修正検討。


 数値予報・・・スーパーコンピューターの計算値を解釈するにあたって、このように考えたという解説です。
 GSMという全世界の天気を対象にした計算値を基本に考えたけど、雨についてはMSMという日本付近の詳しい計算値を参考にしたということです。

 今日のMSMによる計算値をアニメにするとこうなります。




 午前9時から午後9時まで3時間毎のアニメです。

 最後は・・・・・

4.防災関連事項[量的予報と根拠]
①大雨ポテンシャル(06 時からの24 時間:地点最大):北海道太平洋側130mm、2 項の短時間強雨に注意。
②波(明日までの最大)北日本太平洋側6m、北日本日本海側5m。関東、北陸、西日本日本海側4m。


 防災に関して、何ミリの雨が降るの?なんてこともこうやって書いてあります。

 一応、今夜9時の予想天気図は掲載しておきましょう。





 なんだか楽をしようと思って、メンドウなことになっちゃいました
 明日からは通常営業?に戻そうと思います。

 ここまで読み進めたら、以上のことを頭に入れて、予報を見てください
なんだかお天気キャスターになった気分になりませんか?

 予報http://www.jma.go.jp/jp/yoho/


  


Posted by kasayan at 06:51Comments(0)短期予報解説資料

2010年04月28日

天気予報は当たるのか?(4月28日)


 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言




 今朝のレーダー画像
 東日本、北日本に雨雲がかかっていて、関東付近と東海北陸に強い降水が観測されています。
 これが東へ遠ざかれば回復?という感じがしますが、どうなんでしょう?

 さて、ゴールデンウィークもスタートラインですが、今日・明日の天気予報は、午前5時、11時、午後5時の発表時間毎にちょっとずつ変わる可能性があります。

 というのも、西から天気を変化させる上空の西風の流れが日本付近で大きく蛇行し、この時期としてはかなり冷たい空気のカタマリが上空の流れから切り離され、ふわふわと日本付近を漂っているからです。
 このため、天気変化が遅くなって、ちょっとした予測の誤差が目立つ状態なのです。




 野球のボールの落下地点はある程度予想できますからキャッチするのも比較的容易ですけど、ふわふわと落ちてくる風船の落下地点をあらかじめ予測してキャッチするのは難しいですよね。
 これと同じで、ここ数日は、比較的直前にならないと予報が絞り込めない状態です。

 明日の天気が気になる方は、大筋の天気の流れを把握しておいて、一日3回発表される予報をこまめにチェックして、天気変化のタイミングを修正してみてください


 昨日の記事ではGWの天気予報のチェック方法をサイトへのリンクとともにまとめておきましたが、昨日週間予報をチェックしたとしても・・・現在の天気・・・・週間予報のスタートラインがコロコロ変わっているわけですから週間予報だって・・・・・・今月中は、こちらもこまめにチェックしておいたほうがよさそうです。

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 上のレーダー画像の雨雲が順調に東へ・・・・抜けないようですね・・・・・
 東北や北海道は雨模様エリアですから今日一日雨雲がかかったまんま。

 一方、良く晴れそうに見えた西日本・・・九州方面の天気マークは早くも「のち 雨」
 東日本や西日本は一時的に回復するだけで、早くも下り坂ということのようです。

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 県内全域「雨 のち 晴れ」マーク。
 もちろん、雨が止んだらいきなり晴れるというわけじゃなくて、予報文はキチンと雨→くもり→晴れの順番になっています。
 ただ、マークがいきなり太陽マークになっているときは、急速に回復ということのサイン。

 雨が止んだら、多少雨のぶり返しはありそうですけど、まあOKという感じですね。
 回復のタイミングは下で詳しく見ておきます。

17時40分追記
 やっぱり明日の雨のタイミング、予報が変わりました。
 まだまだ変わる可能性がありますから、明日朝の予報もチラッと見るだけの余裕が欲しいところです。

長野県 28日17時
北部
明日 南の風 後 北の風
     くもり 後 晴れ 朝 から 昼前 雨
中部
明日 南の風 日中 やや強く
     くもり 後 晴れ 朝から 昼前 雨
南部
明日 南の風
     くもり 後 晴れ 朝 から 昼前 雨


4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 昨日の雨は、ゆっくり東へ進んで今日は関東や北日本中心。
 その他のエリアは回復するわけですが、一時的
 早くも西から前線を伴った低気圧がやってくる・・・という流れです。
 
 今日の天気・・・このような一般的な天気図だけではイメージするのが難しいですよね・・・・特に北日本の雨は・・・・
 今日は専門天気図のアニメで視覚的に表現するのが一番わかりやすいはずなので、ちょっと気張ってみます。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 天気変化が遅いので、大筋の天気の流れを先に把握しておきましょう。
細かな天気変化のタイミングを11時と17時発表の予報で修正できるようにしておきたいからです。

 まず、今日の地上の気圧配置の変化と対応する上空の気圧配置の様子です。




 上空には寒冷渦(青塗り)という冷たい空気のカタマリが反時計回りに回転しています。
 このカタマリはまんまるではなくて、ひょうたんのような形をしていますが、ひょうたんの先っぽの部分・・・・上空の気圧の谷(矢印の部分)がやってくると地上の低気圧の活動が活発になります。

 になると朝鮮半島付近に矢印がやってきて、対応する地上の低気圧が発達しながら、日本海へ進んでくるようです。
 はやくも西から下り坂ですね。

 一方、上空の寒冷渦と対応していない南岸の低気圧は尻すぼみ・・ただ、東北方面は等圧線が混雑して地上付近に強い南風・・・暖かく湿った空気=雨の原料が流れ込みやすい状態・・・大雨注意です。

 そして明日




 上空の寒冷渦の矢印の部分、上空の谷が日本海を通過して北海道方面へ。
 対応する地上の低気圧は発達しながら、北海道の西へ
 低気圧から南へ伸びる寒冷前線が日本を横断していきます。
 このため、今夜から明日日中、西から寒冷前線の雨が通過していくことになります。

 全体の流れ・・・・なんとなくわかりました?
 上空の冷たい空気の渦・・・寒冷渦の様子がキモですから、上空の寒気の様子をアニメで詳しく見てみましょう。




 紫色の-30℃以下の冷たい空気のカタマリが反時計回りにまわっていますよね。
そして、この寒気の東側で低気圧が発達するという位置関係になっています。
 冷たい空気がふわふわ浮かんでいるのはすごく不自然なことですから、空気は混ざりあおうとして渦を作ります。
 この渦が地上で低気圧を発達させることになるわけです・・寒冷渦のイメージできました?

 で・・・・・雨のエリアが東へ抜けるけど、西から寒冷前線がやってくるという今日明日の雨の流れを全部アニメにしてみました。




 南北に立った二つの雨の帯が通過していくのがわかりますよね。
 二つの帯の間が今日の束の間の晴れ間にあたるのが一目瞭然?ですよね・・・・

 さらに、長野県にズームして、今日の回復のタイミングと明日の寒冷前線の雨が通過するタイミングをチェック。




 今日午前8時前後に長野県は回復へ
 そして明日午前9時前後に寒冷前線の降水の帯が通過です。

 このタイミング・・・ズレそうですから、今夜の予報の確認は欠かせません。

 ということで・・・・今日の予報、当たる可能性大ということになるわけですが、お隣の関東地方の回復はちょっと遅め・・・・南からの暖湿流が引き続き入りやすい傾向にあるからですが・・・この影響を受けやすい県東部では回復遅れ気味だったり雨がちょっとだけぶり返す可能性があります。
 このあたりちょっとだけ意識しておく必要はありそうです。

 繰り返しますが、今日明日は、普通の予報(短期予報)も週間予報もこまめにチェックしたほうがよさそうですよ!
 

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2010年04月27日

天気予報は当たるのか?(GW前拡大版:4月27日)


 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言

 ゴールデンウィークの天気予報・・・様々な天気予報サイトが特集を始めています。
 天気がコロコロと変わりやすい春の大型連休ですから、天気予報のニーズが一年でも一番高いシーズン・・・週間予報も自由化されて、各気象会社がアピールするチャンスです。

 で・・・私たちは何を信じれば良いの?という話も出てきますが・・・・
 様々な予報が飛び出してくるということは、私たちにとって予報のアヤシサを知ることができるチャンスでもあります。
 いくつかの週間予報を見比べて、予報が異なっている日の予報は「アヤシイ」と考えて、悪い予報で予定を考えれば良いですし、どの予報も一致しているときはそのまま信じれば良いのです。
  なにも一つの気象会社の予報の信者になる必要はないわけです。

 そこで、どの予報を見比べるか?ですが・・・・・

 基本になるのはやはり日本の気象庁の週間予報(絵をクリック)。




 これを基本にして、民間の気象会社の予報をチェック。
 独自に週間予報を発表しているウェザーニューズをチェックしてみましょう(絵をクリック)。




 週間予報が自由化される前に、ゴールデンウィークの10日間予報を発表して自由化の問題提起をした過去もある会社ですから、気象庁と対局させるには良いでしょう。
 ちなみに、ウェザーニューズのライバル、日本気象協会のGWの予報は気象庁の予報をそのまままとめただけのようですから、気象庁の週間予報と比較することはできません。

 どうです?後半の予報になるほど違いがわかりませんか?
ウェザーニューズのほうが気象庁より先の日付の予報も出していますよね。

 で・・・もっと先の日付の予報も知りたいのなら・・・昨日の記事でも書きましたが、計画を立てるための一つの目安という位置づけで、アメリカのAccuWeatherという会社の予報を使うことができます(絵をクリック)。




 これらを上手に使って、ゴールデンウィークの行楽の計画を練ってみてください

 様々な見解を知ることができるということは、混乱を生じるのではなく、比較ができるというメリットがあると思うんですけど・・・・どう思われます?

 最後に向う一週間の天気図・・一番基本になる図をご紹介しておきます。
 毎日遅くとも午前9時前くらいに最新の図に更新されます(図をクリック:PDFファイル)。





2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 北海道を除くエリア・・・・西は「のち 晴れ」東は「のち 雨」マークになっています。
雨を降らせる原因が西から東へ移動していくのがわかりますよね。
 そして・・・・長野県はその中間地点。
 下り坂は早め・・・回復は遅め・・・という感じがします。

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 中部地方の天気マークは全部「のち 雨」
 下り坂を落ちてしまったら・・・今日は落ちたまんま・・・雨の一日という感じ。
 予報文を見ても、中南部で「昼前」、北部で「昼過ぎ」に雨が降りだしたらそのまんま。
 明日の予報文も書いておきましたが、どうやら明日の昼頃まで雨が続いてしまいそうです。

 ということで、今日のチェックポイントは、どんな理由でどんな雨になるの?・・・です。

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 南岸の低気圧がゆーっくり東へ進むので、降りだしたら回復が遅いということになります。
 また、南風が強まって、湿った暖かい空気=雨の原料がどんどん流れ込みます。
 太平洋岸、それも湿った空気がぶつかって上昇して雨雲を作りやすい場所・・・高い山の南斜面では雷雲まで発生して、短時間に激しい雨を降らせることが予想されます。

 長野県付近・・・東海や県南部では長時間雨が降りそうな位置にありますから、大雨注意ですね。

 この原因・・・実は、北朝鮮付近にある低気圧が一枚からんでいます。
 詳しく下でチェックしてみます。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 まず、今日から明日にかけての地上の天気図の流れを見てみましょう。




 今日は南岸をゆっくりと低気圧が通過・・・この低気圧明日になるとグズグズに見えなくなっちゃいます。
 一方、明日は新たに朝鮮半島の西に低気圧ができて、日本海へ進んできます。
 明日いったん天気は回復傾向ですけど、再び日本海の低気圧による雨がやってくるという流れですね。

 なんで、こんなにせわしなく天気が変化するのか?といえば、上のアニメで見た北朝鮮付近の低気圧の影響(赤の点線で囲んでおきました)。
 この低気圧の上空5500m付近の天気図をアニメにしてみました。




 青く塗った部分・・・上空の低気圧ですが・・・アメーバのように反時計回りに回転しているのがわかりますか?
 これ・・・寒冷渦といって、上空の寒気のカタマリの渦です。
 赤の点線の部分が寒気の渦の中でも地上の低気圧にパワーを与える上空の谷の部分。
 この部分が日本付近にやってくると、日本付近に低気圧ができて、日本の天気を悪くするわけです。
 先に見た地上の天気図にも上空の谷を赤の点線で書き込んでおきましたから、地上の低気圧との対応を見てみてください。

 もっと具体的に寒気の様子もチェックしておきましょう。




 寒気の中心は-33℃の冬と同じ寒気
 先週までは、上空の強い西風の流れとともに順調に日本上空を通過して行きましたが、この時期になると、上空の流れから切り離されて、ふわふわと回転しながら日本付近を漂うのが特徴です。
 明日、-33℃の寒気(水色)の中心が小さくなりながらも反時計回りで日本海に漂ってくるのがわかります。

 なにぶん、ふわふわと漂う寒気ですから、全体の動きがゆっくりで、動きの予想も難しい状態。
予報があやしくなりやすい状態ですから、ここ数日の天気予報は、発表のたびにコロコロ変わる可能性があります。

 さて、今日明日の天気変化の原因を大きくチェックしたところで・・・今日の具体的な雨の様子




 低気圧の動きが遅いので、雨のエリアもあまり変化しません
 低気圧に近い中部地方中心に雨が続きそうですね。

 県内にズームしてみると・・・




 12時前後には全県で雨
 低気圧に近い南部ほど雨が強く降りそうです。

 そして、雨雲のパワーを見るために、雨の原料の供給の様子をチェック。




 水色に塗られた部分・・・太平洋の湿った暖かい空気が尖ったカタチで低気圧へと流れ込むようです。
 流れが尖っていますから、局地的にドバッと大雨になったり、竜巻も起こりそうな強い雷雲が発生する可能性があるので要注意。
 
 で・・・・今日の予報・・・・今日に関してはハズレる要素はないと思います
 もっとも、明日の回復のタイミングや再度の下り坂のタイミングは、ふわふわと漂う上空の寒冷渦の動き次第でかわる可能性があります。
 17時発表の予報が反映される夕方や夜の天気予報のチェックは忘れないようにしてください


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2010年04月26日

天気予報は当たるのか?(4月26日)


 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言

 テレビで見る週間予報・・・とりあえず今日午前11時に発表される最新の週間予報は5月3日まで
  http://www.jma.go.jp/jp/week/
(朝のテレビの天気予報で放送している週間予報は前日発表の古い予報ですよ!)

 その先・・・ゴールデンウィーク、長い人は9日までお休みという方もいらっしゃるでしょう。
 となると、ずっと先までの天気予報を知りたい・・・そうでなきゃ計画が立てられない・・とお考えの方もいらっしゃるはずです。
 そこで、このブログでは、一週間以上先の天気図を表示できるサイトをご紹介しましたが、天気図から天気を考えるのは難しい・・・メンドウ・・という方もいらっしゃるはずです。

 そこで・・・・・なんと連休後半の5月10日までの天気マークや予想気温が「表示される」サイトをご紹介します。

(画像をクリック)





 表示されるマーク上のDays6-10とDays11-15をクリックするとあら不思議?
 遠くにお出かけなら、他の地域の予報も表示されますから、いじり倒してみてください。

 もっとも・・・・・計算上は未来の天気をはじき出すことができるわけですが、信頼に値するのは日本の気象庁が発表している一週間先まで
 「週間予報は当たらねーよ」なんて言う人も多いですけど、それよりずっと先の天気がどれだけあてにならないかは想像できますよね?

 「晴れのち曇り」「曇りのち雨」「雨のちくもり」というように並んだ予報が12時間ズレると「晴れ」「曇り」「雨」「曇り」になってしまうわけです。

 計画を立てるにあたって、エイヤッと決めるよりマシ・・・・あくまで参考に!ということでご紹介しておきます。

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 テレビの天気予報では、「晴れる所が多いでしょう」とか、「九州方面を除いて」とか「西から下り坂」というコメントが聴かれそうな天気分布。
 傘マークが目立つ九州方面、福岡の予報文を読んでみると・・・「くもり 夜 雨」・・・日中は下り坂を落ちない?感じです。

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 県内全域「晴れ 夜 くもり」
 気温も16℃前後
 今日も春の晴天・・・長野では一番いい季節ですねぇ・・・・

 今朝の長野県の概況「今日は、北日本に中心をもつ高気圧に覆われますが、西日本には気圧の谷が近づく見込みです。このため、晴れますが、夜は曇るでしょう。」なんて書かれています。
 なんだか今日のお天気放談・・・こだれけでイイんじゃないの?という気になってしまいます。

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 アニメを作ってみましたけど、まさに長野県の概況のようになってしまいました。
 じゃ他県の概況は?
 福岡県の概況は・・「九州北部地方の26日は、気圧の谷の影響により曇りで、昼過ぎからは雨
となる所があるでしょう。」ですから、似たようなもんですね。
 
5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 今日の長野県の予報・・・ここまで見みきただけで・・・・ガチンコ・・・・はずれる要素を考えるのは無意味な感じもしますが・・・一応、状況を概観しておかねば・・・

 専門の天気図で、今日の気圧配置の変化傾向と西から下り坂になる様子をチェック。




 青の点線「ぐずつく」エリアの境目、青く塗った部分「雨降りと感じる」エリア。
 とりあえず今日中にはぐずつく程度までしか下り坂になりません。
 それも九州方面ですから、長野県は問題なさそうですね。

 そして下り坂・・・次の気圧の谷にパワーを与える南からの湿った空気の様子




 オレンジで塗った湿った暖かい空気が九州の西側にどんどん流れ込み始めています。
 こいつが明日にかけてますます強くなって、西日本南岸に強い雨を降らせる可能性が高くなっています。
 上で見た「雨」のエリアと対応してますよね。
 でも・・・・今日はまだ大丈夫

 最後に・・・今日は暖かくなるようですから、昨日まで朝の冷え込みをもたらした寒気がどうなったか?を確認しておくと・・・・




 どうやら、北海道を除いて冬の寒気は抜けたといってよいようです。

 でも・・・・・今夜朝鮮半島付近に、再び-30℃以下の冬の寒気のカタマリが進んでくるのがわかります。
今までの寒気は上空の気圧の谷の流れに沿うカタチで南下してきていましたが(カタマリにはなっていましたけど)、今回の寒気はブチッと寒気がカタマリになって、独立性?が強まっています。
 寒気のカタマリがふわふわと風船のようにやってくるというイメージ。

 寒気のカタマリは寒冷渦といって、ゴールデンウィークには決まってやってくるのですが、特に強いのが今回の特徴。
 日本を横断するようなことはなさそうですが、明日以降、日本の天気に結構イタズラをしそうです。
 詳しくは明日のブログでまとめてみたいと思います。

 ということで・・・・・今さらですけど、今日の県内の予報・・・当たりですよね

 当ブログの記事等に関して、ご質問・ご意見等がありましたら、
  kasayangw@yahoo.co.jp
までメールしてください。ブログ下のコメント欄もどうぞ。
 可能な限り返信いたします。




  


2010年04月25日

天気予報は当たるのか(4月25日)


 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言




 これ、昨日の夕方、長野市内の地附山から見た志賀高原
 青空の下、上空に積雲の帽子をかぶった白い志賀高原がくっきりと見えていました。
 志賀草津ルートの除雪が終わり開通したようですが、近いうちに行ってみよう・・・という気持ちになりました。




 今朝の衛星画像・・・・日本付近は晴れのエリア。
 天気予報では「行楽日和」の四文字が躍っていると思いますが、北海道付近には「コンマ」の形をした雲
 寒冷渦といって、上空に強い寒気を伴った小粒でもピリリと辛い現象を起こす低気圧の雲です。
 北日本はこの渦の影響で雷の恐れがあるのですが、長野県周辺でも午後には大気不安定
 どのあたりがアヤシイ?のかは本文で。

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 北日本が晴れから取り残されてしまったという感じ。
 不安定・・・というコトバ・・・・なんだかよくわからないという方もおられるかもしれませんが、急に雲が広がって、にわか雨や雷雨がありそうな天気・・・と思えばよいです。

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 県内や周辺も太陽マーク一発のところが多くて「問題なし」という感じがしますが・・・・
関東付近はなぜか「のち くもり」マークになっています。
 なぜ?ということで、東京の概況を読んでみると「夕方から夜にかけて上空を寒気を伴った気圧の谷が通過する見込みです」なんて書かれています。
 東京の予報文を読むと「所により 夕方 から 夜のはじめ頃 雨」なんてことまで書いてあります。
 関東の「のち くもり」マークの裏側には小さな傘マークが隠れていたんですね。

 で・・・・この影響が県内にあるの?という感じがしてきます。特に県の東部ですよね。

 そこで、長野県の概況を読んでみると「高気圧に覆われますが、夕方から夜にかけて上空を寒気を伴った気圧の谷が通過する見込みです。このため、概ね晴れとなるでしょう。」なんて書かれています。
 寒気を伴った気圧の谷が通過するけど、影響はないのかよ?・・・・なんか変な概況ですよね。
「概ね」という表現が「完璧な晴れじゃない」ということを意味しているようですけど、わかりにくいですよね。
 ・・・チェックポイント・・・寒気を伴った気圧の谷の影響です。

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 北日本が大気不安定になるのはわかりやすいですけど、関東付近も不安定になるのがちょっとわかりにくいと思います。
 このあたりは、下で詳しくチェックします。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 まずは、大きな流れをチェック・・・「上空の」というコトバが概況で使われていますから上空の様子も確認するわけです。




 上の段・・・上空5500m付近の天気図を見ると、今夜にかけて上空の気圧の谷が北海道付近にやってきます。
 この谷のちょっと東側に地上の低気圧が対応しているのがわかりますが、こんな時は、地上の低気圧・・・発達傾向です。
 そして、下の段、アニメと同じ地上の天気図ですが、21時の天気図を見ると、太平洋沿岸に二つの弱い高圧部が計算されています。
 通常の天気図では省略しちゃいますけど、気圧の高い所の間は微妙に弱い気圧の谷ということになります。
 赤の点線の部分、ちょっと雲が広がりやすい感じがしますが・・・・天気マークが「のち くもり」になっている関東付近と一致します。

 次は・・・概況にもあった上空の寒気の様子




 強い寒気の第一波はすでに三陸沖に抜けていますけど、今夜北海道を低気圧が通過したあと、上で見た上空の気圧の谷にやや遅れて再び寒気の谷(赤の点線)がやってきます。
 昨日までの強い寒気ほどは南下しませんけど、なにしろこの季節としては強い冬の寒気ですから、大気は不安定へ。
 地上付近の上空1500mの気温は徐々に上昇しつつありますから、相対的により不安定な感じ。

 これをSSIという大気の安定度を示す指数の図で見ると・・・・




 北日本付近、茶色に塗られた不安定のエリアになっていて、青い降水が計算されているのがわかります。
 で・・・ちょっと目を南に向けると、関東付近も大気が不安定になるようです。
弱い降水まで計算されていますが・・・・東京の概況に書いてあった寒気の影響ですね。
 でも、なぜ東北南部をジャンプしてこのあたりが不安定になるんでしょうか?

 このエリアもっと詳しく見てみましょう。




 夕方18時の風の流れと上空3000m付近の寒気の様子
 上空3000m付近の-10℃以下の寒気がちょうどU字の形をしていて、その頂点が関東甲信付近を通過するのが夕方
 関東甲信の夕方の不安定な天気・・・この高さあたりの寒気がカギを握っているようです。
 そして、雨が降りそうな秩父付近には風が集まる場所・・・収束線(シアーライン)が計算されています。
 こういった収束線は弱い気圧の谷によくできますが(上の図の地上の非常に弱い気圧の谷に対応)、風がぶつかれば行き場所が無くなった空気は上にいくしかありませんから、上昇流発生・・・・上空には寒気が来ていますからすぐに雲が発達して雨・・・発達が急激なら雷も・・・・
 
 これで全体のイメージがつかめました。

 で・・・今日の天気予報は・・・県内の予報文は全域で「晴れ」一発ですけど、こうやって見ると、県の東部では夕方以降雲が広がりやすく、場合によっては雷の可能性もあります。
 エリア全体を平均的に見たり、影響の程度を考慮して、気象台は「晴れ」一発にしているとは思いますが、概況の「概ね晴れ」というあいまいな表現・・・・・・。
 基本的には当たるわけですけど、県東部・・特に八ヶ岳方面や野辺山方面では午後の雲の広がりや雷の恐れについては念のため気にしておいたほうが良いと思います。
 春の陽気に誘われて行った山で雷はカンベンですよね。


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2010年04月24日

天気予報は当たるのか?(4月24日)


 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言




 低気圧や前線の太い雲の帯は東海上へ遠ざかっていますが、日本付近は灰色っぽく写る背の低い雲に覆われている所が多くなっています。




 レーダーを見ると、日本海沿岸や関東付近に弱い雨雲
 今朝は強い寒気が南下していて、この時期としてはうーんと冷えていますから、回復傾向とはいえ、雪雲になりきれなかった雨雲が日本海沿岸で雨を降らせたり、関東沖の局地的な前線が雨を降らせているようです。




 今朝5時の気温の様子を見ると、東日本・北日本中心にかなりの冷え込み
 もっとも、日中晴れてくれば、この季節の日差しはさすがに春の日差し。
 グッと気温が上がってきますから・・・・春の行楽日和というコトバがピッタリになりそうですよ。
 
 ・・・・なんて、テレビの解説者見たいな一言を書いているのがちょっとイヤだったりするんで・・・・

 昨夜、週間予報の記事を書こうとしてくじけたので、週間の天気図だけを掲載しました。
 その記事の一番下に掲載したURL・・・アメリカNOAAのHPですが、ゴールデンウィーク全部の天気図を表示することができます。
 遠投ではどんなに優秀な選手でもコントロールが難しいように、予想がズレる可能性が大なわけですが、ゴールデンウィークの計画を立てる上で参考資料がまったく無いよりはマシという方は、HPの使い方は書きませんので、いじり倒して役立ててみてください
  昨日の記事:http://kasayan.naganoblog.jp/e452286.html

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 今日はエリア分けしませんでした。
 全国的に回復傾向というわけですが、それでも細かく見るとあちこちでマイナス要因?があります。
 このあたりは、下の予想天気図のアニメでチェックしてください。

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 全県で、「晴れ 時々 くもり」・・・・回復ですねぇ・・・
 でも、南部では「所により 夕方 雨」がついています。
 静岡県を見ると、なぜか傘マークがついていたりしますから、この影響を南部は受けるんでしょうね。
 なんで?・・・もちろんチェックします。

 例によって週末ですから、明日の県内の予報も掲載しておきますが、明日は完ぺきに回復といったところです。





4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 今日は回復傾向でも、マイナス要因が二つ
 北日本への寒気の影響と、関東南岸付近の弱い気圧の谷
 弱い気圧の谷の影響については「局地的な前線」とか「シアーラインの影響」とかいいかえることができますけど、いずれにせよ、北風が長野県を通過して南岸に吹きだすにあたって、長野県の高い山々を迂回した風が南岸付近で合流して雲を発生させるのが原因といえます。
 広い目で見ると、長野県全体が高い山のようなものですね。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 週末なんで、まずは今日から明日にかけての気圧配置の流れを見ておきましょう。




 高気圧がジワジワと東へと移動してきます。
 さすがに天気回復ということが一目でわかりますよね。
 でも、明日になると北海道を低気圧が横断
 北日本の天気は下り坂ということのようです。

 で・・・・この流れによって何が起こるのか?
 地上の天気図だけではわかりにくいところを高層の天気図で簡単にチェックします。




 上空の気圧の谷(赤の点線)と、上空の寒気の様子
 地上では高気圧が進んできますけど、上空では強い寒気を伴った気圧の谷が通過しているんですよね。
 こいつが北日本に大気不安な天気・・・雨雲や雷雲を発生させる可能性があります。
 そこで、東北地方の天気予報の予報文を読むと、マークは太陽マークなのに、「所により 昼過ぎ から 夕方 雨」のようなオマケがついています(マークの天気予報だけじゃ本当のことはわかりにくいですよね)。
 まあ、長野県には影響ないでしょう・・・・

 で・・・明日日曜は?




 寒気は抜けていく・・・と思いきや、まだまだ強い寒気は東北を覆っています。
 (遅霜の可能性は明日朝もありそうですね・・・晴れて放射冷却有りですし)
 今日通過する気圧の谷ほどじゃありませんけど、次の気圧の谷が寒気をひきつれて北海道付近を通過するようです。
 この気圧の谷、小粒でも地上に低気圧を作るようなピリリとした強さを持っていますから、東北や北海道では明日雨や雪の可能性大
 小粒ですから、一日中というわけじゃなくて、雨や雪が一時的に・・という感じでしょう。
 こちらも長野県には影響なさそうですね。

 ・・・よそ見すると、次の寒気・・・朝鮮半島の北側まで来ているのがわかりますね。

 でも・・・・今日の南部の「所により 夕方 雨」の原因・・・関東南岸や東海の雨はこれじゃ全然わかりません。
 具体的な雨や風の様子の計算値を見てみましょう。




 詳しい等圧線や風の様子を見ると、関東沖に等圧線が凸になっている部分(弱い気圧の谷)があって、その付け根の関東南岸・東海沿岸付近に弱い降水が計算されています。
 地上付近での出来事で雨が降るようです。

 ついでに明日の雨の様子も見ちゃいましょう。




 北海道付近を通過する低気圧付近で降水が計算されていますね。
 小粒でもピリリ・・・でしたけど・・・そんな感じの渦状の降水域です。

 さて、今日に戻って・・・関東南岸・東海沿岸の雨の原因・・・地上付近の風の様子を見てみましょう。




 高気圧の吹きだしの北風が中心ですが(県内の予報文も北風でしたよね)、良く見ると長野県付近を通過する風は長野県の高い山を東西に避けるように通過しています。
 そして、この風が関東南岸や東海沿岸で合流しています。
 合流した空気は上昇して雲を作って・・・・・・・・ですね。

 長野県が原因になって静岡に傘マークを付けているようです。
そして、この傘マークの影響が県南部にも一時的にあるようですね。

 ということで・・・・北部や中部、気圧配置のマイナス要因を受ける可能性はほとんどなさそうですから、寒気が通過する影響で雲が広がりやすいもののマズマズの天気。天気予報はハズレそうもないですね。
 一方南部、一時的に雨が降る可能性がありそうですが、予報では「所により」というように曖昧な感じではあるもののの指摘はされていますから、折り畳みの傘を持っていれば問題なし。降ってもハズレにはなりません。こちらも天気予報は当たる・・・ですね。

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2010年04月23日

週間予報の図だけです(4月23日)


 この先一週間の天気予報をまとめようと思って・・・・図を作りかけたところでくじけちゃいました。

 図だけ掲載しておきますから、中学校の理科で習う天気のお約束・・・・
 高気圧は晴れ・・・だけど高気圧の中心より西や南にいくほど雲が多い。
 低気圧は雨・・・・だけど、温暖前線と寒冷前線があるときは温暖前線の東側の広い範囲で雨、寒冷前線付近ではシャープな雨
 なんてことを思い出しながら天気図を見れば、それなりのイメージがつかめると思います。

 ここの掲載した天気図にもとづいて、週間予報が作られていますから、週間予報がハズレるとしたらどうなるのかな?・・・ということを低気圧が進む速度が速くなったり、遅くなったりした場合を考えながらイメージして見てください。
 気象庁が週間予報という答えを発表しているわけですから、答えを見ながら問題(天気図)を見るならわかりやすいですよね?
       週間予報:http://www.jma.go.jp/jp/week/




 下の気温のグラフも、なんとなく気温が高そうだな?低そうだな?ということが読みとれますよね?




 そして・・・・専門の天気図ですが・・・・・




 これはちょっとわかりにくいと思いますけど・・・・気象庁が発表している専門家向けの虎の巻・・・「週間天気予報解説資料」を以下に抜粋しておきますから、読みながら・・・・なんとなくイメージをつかんでみてください。
 わかるところだけ理解できれば・・・・ヘタなテレビの天気予報より週間予報を深く理解できますよ!
●25日:高気圧が本州付近を東進する。はじめ北日本で寒気の影響が残って雲が多めとなる可能性がある他は、広く高気圧に覆わ
れて晴れる見込み。朝は晴れて、放射冷却により気温の低下が顕著となる見込み。
●26日:高気圧の中心は日本の東。北日本は概ね晴れるが、東日本と西日本は高気圧の後面となる。特に西日本では、黄海付近の低気圧に向かう暖湿気の流入が顕著となってくるため、西の方で一部天気の崩れる所がある見込み。
●27~28日:大陸で長波のトラフが深まり、日本付近は深い気圧の谷となる。沿海州付近の低気圧から伸びる前線と黄海付近から進んでくる低気圧が日本付近を通過する見込み。崩れの中心は27日。28日は北日本中心に崩れ残る。西から崩れ、西から回復してくるイメージ。
●29日:日本付近は低気圧や前線は抜けるが、西谷の場が継続するため、雲が多目と見る。
●沖縄・奄美:前線や湿った気流の影響で曇りや雨となるが、高気圧圏内となる24~25日は晴れる見込み。


 こんな記事でも・・・少しはお役に立つかな?

 最後は、アメリカ海軍の似たような天気図を掲載しておきます。
 セカンドオピニオンになるでしょうか?




 
 ゴールデンウィーク間近・・・・これ以上先の計算値もありますけど・・・・12時間くらい低気圧が通過するタイミングがずれたり、低気圧の発達やコースがズレまくったりしますから、あまりあてにはなりません。
 それでも行楽の計画の目安・・・占い?・・・・が欲しいのでしたら・・・・・
 こんなサイトがありますから、いじり倒して使ってみてください。

 http://www.arl.noaa.gov/ready/cmet.html



  


Posted by kasayan at 20:26Comments(0)今週の週間予報は?

2010年04月23日

天気予報は当たるのか?(4月23日)


 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言




 衛星画像に午前3時の実況天気図を合成してみました(手工業?)。

 昨日雨を降らせた低気圧や前線は東海上に抜けていますが、日本付近は大きな雲のカタマリに覆われています。




 レーダーを見ると、雨を降らせる雲は南岸にかかっているだけですが、低気圧や前線が抜けたわりにはパッと回復していません
 この原因が今日のポイントになりそうです。

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 衛星画像で見たように、今日は太陽マークがほとんど見えません。
 雲マークが目立っていて、東日本・北日本では「のち 雨」や「一時 雨」「時々 雨」マークが散在しています。
 予報文も読んでみると、曇りベースで東日本・北日本中心にぐずつき気味という感じです。

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 やっぱり関東甲信越もぐずつき気味・・・なんと北陸は傘マーク一発の雨になっています。
 県内は日中曇りで「夕方から」・・・北部では「雪」、中南部では「雨」
 ただ、「所により」がついていて曖昧な感じ。

 反対に南岸の前線に近いはずの東海地方には太陽マーク・・・もっとも晴れは夜になってからのようですが・・・。
 なんで回復しないんでしょうか?

 各地の気象台発表の概況を読んでみると・・・・
 長野地方気象台「低気圧が日本の東を更に東北東に進みますが、夕方には上空の気圧の谷が通過する見込みです。このため・・・」という理由が書かれています。
 新潟地方気象台「北陸地方は北からの湿った空気や上空の気圧の谷の影響を受ける見込みです。このため・・・」という理由。
 
 どうやら「上空の気圧の谷」と「北からの湿った空気」が原因のようですが、どうもわかりにくい・・・・と思いませんか?

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 図には長野県付近に関係しそうな二つの理由を書きこんでみました。
等圧線が高気圧側に凹になっている弱い気圧の谷と、上空の寒気です。
寒気はさすがに地上の天気図だけではわかりませんけど、それ以外はできるだけ地上の天気図で説明しないと、わざわざ天気図を表示している意味がなくなっちゃいます。

 この図にもっと理由を書き込むとすれば、大陸から移動してくる高気圧と北海道の北にある高気圧の間が気圧の谷になっているということも挙げられるでしょうし、強引に南岸の前線の雲が北に広がっているため(その理由も必要になってきますけど)ということも挙げられます。

 天気は一つの理由だけじゃなくて様々な理由が積み重なって出来上がっていますから、一言で説明するというのが難しい場合もあります。
 でも、原因がわからないまま「日中一時的に雨があるでしょう」と言うだけなら解説者はいらないですし、予報の安全マージンだってとることができません。
 今朝ご覧になった天気予報の解説者はなんて言ってましたか?
  
5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 まずは長野地方気象台が言う「夕方には上空の気圧の谷が通過する」ことをチェックしておきましょう。




 赤の点線の部分が上空の気圧の谷
 上空の等圧線(等高度線といいます)が凹になっている部分が日本海側に接近してきます。
 この部分の東側に対応する地上では低気圧が発生しやすい状態になるので、天気が悪くなる目安になるのですが、今日の地上の天気図上は低気圧が発生する直前くらいまでしか悪化しません(気圧が下がりません)。
 このため、気象台はしかたなく上空の気圧の谷を天気がぐずつく理由として挙げているわけです。

 もうひとつ・・新潟地方気象台「北からの湿った空気」ですが、これは南下しつつある寒気と関係しています。
 冬場、新潟県には日本海の水蒸気をたっぷり吸った湿った冷たい空気・・・雪雲がやってきて雪を降らせますが、今日も日本海の上をこの季節としては異例の強い寒気が南下中です。
 



 野菜高騰などのニュースの中でも寒気の南下の話が目立っていますが、その寒気。
 上空では冬と同じ-30℃の寒気が目前に迫っていますが、下層上空1500m付近では一足先に0℃以下の寒気が本州南岸付近まで南下してきます。
 北陸は雨ですけど、たまたま春に雪雲が来てしまったから・・・冬場にたくさん雪が降る高い山では今日雪になってもおかしくない・・・です。

 さらに前線や低気圧が遠ざかっても回復しない理由を色々挙げてみました。




 中部付近に弱い低圧部ができること・・・天気図アニメに書き込んだ弱い気圧の谷と対応します。
 また、関東甲信越付近は弱い気圧に谷の影響で風がぶつかるエリア(収束線)が複雑に発生して、上昇流ができて雲が発生するということ・・・さらに、本州南岸は急激に温度が変化するところ、つまり密度の違う空気がぶつかる前線帯になっていること・・・。

 このように理由が沢山あるときには、それぞれの理由の組み合わせが微妙に狂うことが多々ありますから、予報の安全マージンを多めにとっておいたほうが良い場面です。

 具体的な雨の予想を見るにしても、多少悪目にみておいたほうが無難(良くなる場合もありますけど、それはラッキーと考えてください)でしょう。
 
 まず、全国の雨の傾向




 前線による活発な降水は海上ですけど・・・・・
 昼前後から東日本・北日本は雨・・・というよりぐずつくという感じで降水が計算されています。

 関東甲信越にズームすると・・・




 昼頃には北部や東部を中心に結構降水が計算されています。
 夕方も似たような感じ。
 予報文では「夕方から」ですけど・・・・もうちょっと安全を見ておいたほうが良いかもしれませんよね・・・・・
 そもそも、今日は様々な理由が絡み合って安全マージンを取りたい状態なんですから・・・

 ということで・・・今日の予報・・・夕方から下り坂のように書いてありますけど、北部や中部では少し前倒しで考えておいたほうが無難かも・・・と思います。
 もちろん、ベタっと降る感じじゃありませんから、降らない所もあるはずですけれど・・・・


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2010年04月22日

天気予報は当たるのか?(4月22日)


 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言

 「・・・・と気象庁は注意を呼び掛けています」というニュースを目にしますが、これ気象情報といいます。
 昨日の記事で寒気が南下するという話を書きましたが、長野地方気象台も「低温と霜に関する長野県気象情報 第1号」を発表して、春になって始まった農作業への注意喚起を呼びかけはじめました。
低温と霜に関する長野県気象情報 第1号
平成22年4月21日15時30分 長野地方気象台発表
(見出し)
 長野県内では、23日頃からこの時期としては強い寒気が流れ込むため、平年よりかなり低い気温が続き、平地でも霜などによる被害のおそれがあります。
 農作物の管理に注意して下さい。
(本文)
 長野県内では、23日頃からこの時期としては強い寒気が流れ込み、26日頃にかけて平年よりかなり低い気温が続く見込みです。
 特に、24日頃から25日頃にかけては平均気温が平年より5度前後低く、平地でも最低気温が0度以下となる所もある見込みです。
 霜や凍結による農作物の被害のおそれがありますので、十分注意して下さい。
 今後、気象台が発表する気象情報に留意してください。

 ・・・ということで、昨日に引き続き寒気南下の様子・・・・今日はアニメにしました。




 昨日は-27℃で色を塗りましたが、今朝は-30℃で色を塗っています
 それだけ寒気のコアの部分の気温低くなる傾向が強くなっているからです。

 また、地上付近の気温も下がってくる傾向




 24日(土)の午後9時の様子ですが、上空1500m付近の0℃ラインは長野県の南側
 霜は言うに及ばず、氷が張る可能性も。
 幸い、強い寒気が南下している最中、降るもの・・・降水がなくて済みそうですから、雪の心配はないと思いますけど・・・・今のところ・・・

 桃の花、咲きはじめたリンゴの花・・・・大丈夫なんでしょうか?
 長野に帰ってきたんだから、農業への影響もちょっと勉強しないといけないですね。

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 今日は北海道と沖縄を除いて傘マークばっかり。
 西は「のち 曇り」、北は「のち 雨」マークですから雨の原因がゆっくり東へ動くことがわかります。
 そして、このエリアのど真ん中・・・長野県付近は傘マーク一発・・・・一日雨エリアです。

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 関東甲信越・東海は傘マーク一発エリア。
 予報文も「雨」一発

 長野県・・・これだけ雨エリアのど真ん中だと、時間的・地域的に雨エリアがズレたとしても予報がハズレる感じがしませんよね?

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 低気圧がゆっくり・・・だから一日雨ということになります。
 低気圧に吹き込む暖湿流・・・雨の原料がたっぷり送り込まれる・・・だからしっかり雨が降るということになります。
 逃げようがないですね・・・・この雨・・・・

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 まずは今朝の雨の様子から確認しておきましょう。




 午前6時過ぎの段階で、九州西部、近畿地方、東海地方に黄色や赤のエリアがあります。
 このエリア一時間に30ミリ以上の雨が降っているエリア。
 予報用語で30ミリ以上の雨は「激しい」という表現を使いますから、まさに「激しい雨」。
 九州西部では警報も発表されているほどです。

 で・・・これからこの雨がどうなっていくのか・・・・
 低気圧の動きはゆっくりなので、12時間降水量でチェックしてみると・・・・




 青く塗った「しっかりした雨」のエリアの動きは本当にゆっくり
 雨エリアの動きがゆっくりだと、トータルの雨量が多くなってしまうので、短期予報解説資料という予報事業者向けの虎の巻には・・・・
「大雨ポテンシャル(06 時からの24 時間:地点最大):近畿200 ミリ、九州北部、九州南部150 ミリ、四国、東海120 ミリ、伊豆諸島100 ミリ。2 項の短時間強雨に注意。」

 なんて書かれています。

 その理由・・・暖湿流でしたね・・・の様子を確認してみましょう。




 相当温位という雨の原料の程度を示した線が、低気圧や前線付近で混雑しています。
 混雑しているところに南風が吹き込んでいる場合には湿った空気の上昇流ができて・・・雷を伴うような雨雲が発達・・・・大雨や雷の恐れ・・・ということです。

 一応、雨が止むタイミングも確認しておきましょう。




 今夜24時・・・日付が変わる頃になってようやく雨エリアが東に抜けるという感じですね。

 ということになると・・・・今日の予報がハズレる理由を考えるほうが難しいですね

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