2011年08月25日
台風11号・台風12号?の動向と秋雨前線(8月25日)
1、台風11号・台風12号?の動向
夏休み最後の週末をひかえて、旅行に出かける予定の方にとっては非常に悩ましい台風や熱帯低気圧。


早速、日本の気象庁の天気予報の中核を担うGSMという計算値のアニメ(地上気圧・1時間降水量・風)で、台風と秋雨前線の雨の様子についてチェックすることにしましょう。

今日にも発生しそうな台風12号?が、西へ進む台風11号をしり目に日本付近に接近してくるのは昨日の計算値と同じですが、昨日の計算値より速度は遅くなり、コースについては同緯度の位置が西寄りに変化しています。
二つの台風が近くにある場合、藤原の効果という相互作用が働くことを昨日の記事で書きましたが、ちょっとだけその効果が計算上加味されるようになったのかも?

朝っぱらからシコシコと藤原の効果をハンマー投げにたとえる図を作ってしまったんですけど、どちらかの台風が室伏?になってハンマーの台風を反時計回りに投げ飛ばすというイメージ。
台風の強さや位置しだいで、どちらの台風が室伏になるかは分りませんけど、仮に台風11号が室伏になると台風12号は日本にぶつかる方向(北西方向)に投げ飛ばされることになります。
GSMモデルで台風12号?が昨日より西寄りに計算されるようになったということは、太平洋高気圧の張り出しの影響以外に、11号が室伏になる可能性も考えられるということですから、今の日本に台風12号の動向を断言できる人はいないんじゃないでしょうか?(Kasayanだけだったらゴメンナサイ)
ちなみに、海外の気象機関のシミュレーションデータは・・・・


昨日まで、藤原の効果(11号が室伏)を強烈に計算し、台風12号を九州に接近させていたヨーロッパ中期予報センターの計算値も米国GFSとならんで、日本の気象庁とほぼ同様の結果をはじき出しています。
結局、三つの計算値がそろってきたことにはなりますが・・・・・まだまだ計算は安定したとは言い切れません。
じゃ・・・どうすればいいんだよ?
多くの方は、台風の中心が自分の頭上に来ることを気にされますが、上のアニメを見ればわかるように、発達した台風の大きさなんて、日本の半分近くを覆ってしまうほどデカイわけです。
上のアニメで台風やそれに伴う秋雨前線の大雨、強風域などをイメージしておいて、台風進路予想図のコースが予報円範囲でズレた場合に雨や風がどうなるのか?ということを考えて、自分への影響の安全マージンを考えていただくのが良いと思います。
迷う場合がほとんどでしょうけど・・・・旅行に行かれるの?とか、スポーツの試合があるけれど?という命にかかわらないことでしたら、「迷ったら行く!!」が原則。
登山やヨットクルージングなど命にかかわることなら「迷ったらやめる!!」が原則です。
米軍台風進路予想
http://www.usno.navy.mil/NOOC/nmfc-ph/RSS/jtwc/warnings/wp1411.gif
気象庁5日間予報
http://www.jma.go.jp/jp/typh/typh5.html
2、秋雨前線と大気不安定による雨
台風に労力を使いきってしまったので・・・・簡単に・・・・といっても大雨注意なんですけど・・・・・

前線の凸部・・・雨が活発な場所が東北方面に接近。
昨日から強まり始めた前線の南側の暖湿流がさらに強まって広範囲で大雨注意。
以上2つがポイント。
なぜ、前線の凸部が東北に接近して雨が強まるのか?高層天気図でチェック。

上空の気圧の谷が今夜にかけて北日本に接近。
地上付近には反時計回りの渦・・・低気圧性の渦・・・・が出来やすく、前線が活発に。
活発になる前線凸部分が上空の気圧の谷の南側に吹いている強い西風に乗って東北にやってくるということです。
次に、前線の南側に流れ込む暖湿気(雨の原料)はどうなってるの?

昨日に引き続き、今日は強い暖湿気がさらにググッと内陸に流れ込んできます・・・熱帯低気圧が南を進む西日本方面。
特に強い暖湿気だけを表示していますけど、暖湿気が深く内陸に入り込む場所で局地的に雷雨発生の可能性が高まります。
以上を踏まえて具体的な雨の様子を見ると・・・・

前線の南側で活発な雨が予想されています。
ありきたりですけど、暖湿気がぶつかる山や風が集まる場所が「局地的な・・・」の場所になります。
昨日の記事に、23日の岐阜県の大雨の様子をまとめた図を掲載してありますから、どんな場所で大雨になるのか?・・・参考にしてみてください。
ところで、メールや書き込みたくさんいただいてしまって、今朝の段階で返事ができません。
ヒマを見て順に返事を書いていきますから・・・・
11時40分追記 昨夜から、夏休み最後の週末(27日以降)に沖縄方面に旅行を予定されている方から「天気は大丈夫?」「飛行機は飛ぶの?」というお問い合わせの書き込みやメールをたくさんいただいています。 テレビやネットの天気予報では、「今後の台風や熱帯低気圧の動きには注意が必要です」とか「最新の情報を確認するようにしてください」というコメントばかりで、今後の台風の影響について全然といっていいほど伝えられておらず、天気マークが並んだだけの週間予報で天気チェックするしかないからだと察します。 これは、気象業務法という法律によって、民間の気象会社といえども自ら予想進路図を発表することが許されていないため、テレビやネットの天気予報の担当者としては、動きがノロノロで目先大きな影響がない台風については、とりあえず気象庁発表の台風進路予想図を短時間表示しておけばイイという心理が働くためです。 (Kasayanが番組を担当していてもたぶん同じでしょう。それほど気象業務法に抵触するということは認可を必要とする気象会社にとってメンドウなことなのです。ましてや一個人の気象予報士が台風進路の予想などを公言することは許されないのです。) さらに、今回の台風11号と台風12号?については特に動きが複雑なので、シミュレーションデータに基づいたおよその進路すら公言することは混乱を誘発しかねないという心理が働きますし、目先の秋雨前線の大雨も重要なことですから、なおさら天気予報番組などで触れられないといった状態になっていると思います。 そこで、Kasayanのブログでは、気象庁予報の中核になっているGSMというシミュレーションデータを毎日アニメにして公開するとともに、他国のシミュレーションデータと比較して、台風のコースが日々変化していく様子から、予想が困難である状態をありのままにお伝えし、気象庁や米軍の進路予想図の安全マージンを読みとっていただきたいと考え、ご覧のような内容になっています。 天気予報はあくまで科学に基づく可能性を伝えるものであって占いではありません。 台風の動きを予想するのが難しいのなら、その理由を伝え、安全策を考えていただくことが大切だと思うのです。 (シミュレーションデータという公然の事実を解説することで、メンドウな気象業務法と関わらずに未来の空模様をイメージしていただこうという下心?もありますが・・・・) この点、テレビやネットの天気予報では可能性の根拠を十分に伝えていませんから、多くの方が盲目的に進路予想図を信じるしかない状態におかれ、安全マージンすら考えることができなくなって不安になっているのではないでしょうか? 安全マージンを考えることができない未来の予想は占いと同じですよね? このブログの使い方と、様々な事情・・・ご理解いただけましたでしょうか? さて、時間も無くなってきましたので・・・・・ この週末から来月初めにかけて旅行を予定されている方・・・・本当に悩ましいと思います。 そこで、Kasayanが27日から31日まで沖縄旅行、それもマリンスポーツを予定していると仮定したらどう考えるか?という独り言を、『今日25日現在』手に入れられる情報に基づいて書いておくことにしたいと思います(なぜ仮定するのか?上記のことからご理解ください)。 27日(土)、台風11号は、太平洋高気圧の西への張り出しと、先行する台風12号の西側の南風に北上を抑えられ、動きはノロノロ・・・・沖縄はスコールのようなにわか雨の可能性は高く、波も3m程度、最大で5m前後の波もありそうでマリンスポーツはちょっとヤバそう・・・・でも強風の影響は少なそうなので、せっかくの沖縄旅行・・・飛行機が飛ばなくなるほどの天気じゃなさそうなので、とりあえず出発はできそうかな?・・・しかし、波が気になる・・・・・ 28日(日)、台風11号は動きが遅く、28日は若干西寄りに進む可能性もあるので、影響はマダマダ。台風12号は小笠原方面に北上しているから、12号の影響も大丈夫。雨もスコール程度で済みそうなので、27日に海で遊べれば28日もOKだろうね・・・・ただ、台風12号からの波も加わったら厳しそうだなぁ・・・・西海岸なら大丈夫かも? できれば28日から宮古島方面にも足を延ばしてもみたかったけど、GSMアニメを見る限り風も雨も厳しくて宮古はちょっと絶望的かなぁ・・・・飛行機も船もかなりヤバそう・・・・ 29日(月)、台風11号が沖縄の南西を北上中・・・この位置は米軍の進路予想と大体同じだから、とりあえず沖縄の南西を北上していることを前提に考えて見よう。 台風との距離は近付いているのだから、スコールのような雨がだんだん本降りになってくるよなぁ・・・・・・。 台風の位置からして沖縄全島で波は高そう・・・・・ビーチじゃなくてホテルのプールならイイかもね・・・でもKasayanはヨットに乗りたいから・・・・うーん・・・・ 30日(火)、GSMで見る限り台風11号と台風12号にはさまれちゃって、雨は強い本降りを覚悟しておいたほうがイイな・・・・でも、うまくすればスコールのように止み間はあるかもしれない?・・・希望的に考えればね。 ただ・・・この日から気象庁の5日間進路予想が若干東寄りの変化を示しているし、米軍の進路予想でも30日あたりから北東方向に転向することを予想しているから、気象庁のGSMアニメの台風位置より若干東側に台風11号があることを想定して、30日の天気はもうちょっと悪目に考えて用心しておくのがイイかも。 波はちょっと絶望的かな・・・・とりあえず30日なら飛行機は飛びそうだから・・・あらかじめ29日に航空会社に問い合わせておいたほうがイイかもね・・・・・ 31日(水)、台風11号の影響・・・・GSMで見る限り停滞しちゃうから、30日と天気傾向ほぼ同じだと思うけど、航空会社はどう考えるんだろう?GSMをそのまま信じるなら風も特に強まらないみたいだけど・・・・ でも・・・・気象庁5日間予想がさらに米軍予想に近づいて、米軍の進路予想ズバリなれば雨風ともモロの影響を受けて帰れなくなる可能性も大・・・31日が予想のヤマ場だね。 飛行機は飛べばラッキーくらいに考えておいたほうがイイかも。 やっぱり29日に航空会社に問い合わせをするべきだろうねぇ・・・ じゃあ・・・・沖縄旅行に行くべきかよ?・・・・命にかかわらないことだから行くべきっていえば行くべきなんだけど・・・・・ 宮古なら行かない・・・けど、沖縄本島だから・・・30日に飛行機の席がとれそうなら行く・・・だな・・・・でも雨に降られまくりだから悩むけど、沖縄観光だってできるんだし、それならそれでイイか! ということです・・・・・ この考え方、Kasayanが昔ヨットで日本一周をしたときの考え方とは正反対・・・命がかかる天気チェックなら、絶対に沖縄なんか行きません。 鹿児島あたりの港で台風対策モードに入るでしょうね。 ・・・・以上ですが、参考になりましたか? ちょっと早めの昼食時間に書いたので、ムチャクチャな文章になっているのをお許しください。まあ・・あくまで一人の気象予報士の独り言ですので・・・・ 沖縄の土産話・・楽しみにしています。 |
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