2011年08月03日
台風9号進路予想、局地的な雷雨(8月3日)
昨日に引き続き、台風進路と太平洋高気圧の勢力の予想ストーリーの主流は、「太平洋高気圧が勢力を強めて台風の北上をブロックする・・・・台風は大陸へと進み、西日本から次第に暑さが厳しくなる」というものだと思います。
Kasayanも現役で天気予報番組の制作を担当していたのなら、ためらわずにこのようなストーリーを伝えていたと思いますが(気象業務法という法律でそうせざるを得ないということもありますが)、これはブログですから、天気予報番組を制作者が「予想がはずれる場合はこうなるんだろうなぁ・・・」と心の底で心配しているであろう情報を中心にまとめていきます。
さて、昨日は気象庁(GSM・台風モデル)やヨーロッパ中期予報センターの計算値が一貫して大陸方向を示唆している一方、アメリカ海軍のGFSモデルという計算値だけが九州に接近を示唆しているということを書きましたが・・・・

6日09時の予想ですが、今朝の計算値では、若干西寄りにコースを変えています(昨日の記事参照)。
この計算値と同じ初期値の気象庁のGSMという計算値で、同日同時刻の予想を見てみると・・・・・・

相変わらず大陸方面を予想していて、テレビで見る予想進路図を同じです。
ここで、ここ4日間の気象庁GSMの太平洋高気圧の計算値の変化も見てみましょう。

いずれも6日09時の予想ですが、台風の予想進路は安定しているように見えるものの、大平洋高気圧のカタチにはずいぶん変化が見られます。
台風の勢力や進路は高気圧の勢力と密接に関係していますから、主流の進路予想にも不確定な要素が感じられてきます。
昨日も書きましたが、もしヨットオタクのKasayanがヨットで九州方面を旅していたら、台風の予報円の一番東寄りを通る場合も十分にありうるを考えて対策を考えていると思います。
インターネット時代ですから、様々な計算値を見ることができますが、その結果が異なっていても、それぞれの計算値は科学技術の成果として、ひとつの可能性を伝えてくれているものです。
命がかかる場面で計算値を使うのであれば最悪のパターンを想定し、比較的簡単に危険を回避できる場面で使うのであれば、その程度に応じて中間のパターンを想定すればよいのです(経済効果を考えるならコマメな修正によって安全と経済の調整を図ることになるでしょう)。
米軍進路予想図
http://www.usno.navy.mil/NOOC/nmfc-ph/RSS/jtwc/warnings/wp1111.gif
気象庁進路予想図(5日間予想)
http://www.jma.go.jp/jp/typh/11095.html
台風6号に続き、ノロノロ台風に頭を悩ませておられる方も多いと思いますが、これは、台風6号のときと同様、台風を押し流す強い流れがはるか北にあるため。

自転車をゆっくり走らせるとハンドルがグラグラしてしまうように、計算値もバラツキ易くなります。
最後に、MSMという防災用の計算値で、確実に影響を受けるであろう沖縄の様子を・・・・・

これも一つの計算値にすぎず、天気悪化のタイミングは変化する可能性がありますが、台風が接近した時の影響についてはこの図から考えればよいと思います。
ずいぶん台風のチェックが長くなっちゃいましたが・・・・今日の天気・・・予想天気図から・・・

昨日とほぼ同じですが、オホーツク海高気圧の中心が南下してきていて、冷たい空気と暖かく湿った空気の流れ込み方が少々変化しています。
二つの空気がゆっくりとまじりあうように合流するというのがチェックポイント。


本州中部付近で性質の異なる二つの空気がゆるやかにぶつかって雲を作り易いという状態。
激しくぶつかるというわけではないので雷雲があちこちで活発に発生するという状態ではありません。
次に上空の大平洋高気圧の様子を見ると・・・・

西日本上空の高気圧と東海上の大平洋高気圧が合体して勢力をやや強めていることがわかります。
上空に高気圧があると、地上付近は下降流の場になって、雷雨=上昇気流が発生しにくくなりますから・・・特に上昇気流が発生しやすく、湿った空気が流れ込みやすい場所で局地的な雷雨になるはず・・・・
で・・・・今日、天気が崩れるところは?・・・風の様子とからめてチェック。


二つの空気が合流する場所で、風が複雑に流れて収束したり、山肌が暖められて上昇気流(熱低気圧)ができやすい長野県付近を中心に局地的な雷雨がありそう。
雷雲を流す上空3000m付近の風が弱いので、局地的といっても、同じ場所で降り続くので・・・・ありきたりですけど、河川の急な増水などによって流されないように注意(丹沢のキャンプ客や神戸の川で事故がありましたよね)が必要です。
今日は図も多くダラダラなブログになってしまいましたが(いつも?)・・・・必要な所や興味のある図だけ眺めてもらえるブログなんで・・・・イイですよね?
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可能な限り返信いたします。

(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)