2011年08月02日
台風9号進路予想、引き続き不安定な天気(8月2日)
テレビやラジオの天気予報では、台風9号は大陸へと進み、太平洋高気圧が次第に日本を覆うようになって、暑さが戻ってくる・・・・というストーリーが主流になっています。
日本の天気予報のモトになるGSMという計算値(下のアニメ)や台風専用の計算値、ヨーロッパ中期予報センターの計算値などを見ると、このようなストーリになる可能性が高そうだ・・・・ということなのですが・・・・

一昨日の記事で、アメリカ海軍のGFSという計算値が九州への接近を示していることをご紹介しましたが、昨日のGFSは他の計算値と同様に大陸方面へ進むように変化していました。
このため、昨日は九州方面への接近の心配はもう大丈夫かな?などと考えていましたが・・・・
今朝のGFSの計算値を見ると・・・・・

再び九州方面への接近を示唆しています。
観測値や先に計算されたシミュレーションデータをスパコンに入力してバーチャルの地球を作り、バーチャル地球を高速回転させて未来の天気を予想するのが数値予報ですが、台風の計算値と高気圧の計算値は密接に関係しています。
二つのバランスがうまく取れていないと、台風の北上をブロックする大平洋高気圧を過剰に発達させてしまう場合もありますから、このブログでは、気象庁発表の台風予想進路図の予報円の一番東寄りを進むストーリーも十分にある・・・・と考えてチェックしていきたいと思います。
ちなみに、昨夜の大平洋高気圧の様子を上空から下層の天気図4枚でチェックしてみると・・・

はるか上空ではチベット高気圧と大平洋高気圧がつながって、台風の北上をブロックしていますが、地上に降りてくるに従って、大平洋高気圧が東海上に勢力を弱めていて、台風の北上を許しています。
次に、今夜21時の上空5800m付近の予想天気図を見てみると・・・・

東シナ海にあった高圧部と東海上の高気圧が西日本上空でつながって、台風北上ブロック体制ができることを予想しています(だから暑さもぶり返すと言われています)。
これだけ見ると台風の北上は心配しなくていいんじゃないの?という気になりますが、明日・明後日の計算値を見ると、大平洋高気圧がバリバリに勢力を回復するという感じがしないのです(ペシミストのKasayanのあてにならないカンですけど・・・)。
米軍進路予想図
http://www.usno.navy.mil/NOOC/nmfc-ph/RSS/jtwc/warnings/wp1111.gif
気象庁進路予想図(5日間予想)
http://www.jma.go.jp/jp/typh/11095.html
さて、今日の天気のチェックといきましょう・・・・・・まずは予想天気図から。

日本付近は弱い気圧の谷・・・・というのが、曇りベース、にわか雨のおそれがある・・・という今日の天気予報のポイント。
気圧の谷には、オホーツク海高気圧(山)から冷たい空気が・・・大平洋高気圧(山)からは暖かく湿った空気が流れ込んで合流(前線帯)します。
冷蔵庫を開けると冷たい空気が流れだして白い湯気ができるように、性質の異なる空気がぶつかって雲ができるというイメージでしょう(ぶつかった空気の上昇もありますが)。
それでは、性質の異なる空気が日本上空でぶつかる様子をチェック。

青で塗った数値(相当温位)の空気と、赤で塗った数値の空気が日本付近で緩やかにぶつかっていることがわかります。
強烈に衝突する場合は朝鮮半島付近のように等値線が混雑して、通常の天気図には前線が描かれるのですが、今日は緩やかに・・・混じるように衝突するので天気図上に前線は描かれていません。
次は性質の異なる空気の流れが、地上付近の風としてどのようにぶつかるのかを詳しくチェック。


計算値から簡単に読みとれることを書き込んであります。
点線は風がぶつかる(収束)しやすそうな場所・・・・雲が発達しやそうな場所を意味していますが、今日の空気のぶつかり方は、混じるようなぶつかり方ですから、雨雲の発生しやすい場所が時々刻々と変化します。
基本的に地形によって風が強制的に上昇させられる山沿い中心でしょうけれど、雨が気になる方は携帯の天気予報サイトの気象レーダーなどでコマメにチェックすることをオススメします。
最後は、雨の降るエリアの一応の目安としてMSMという計算値のアニメを掲載しておきます。

ご意見・ご質問等は、コメント欄・メール(kasayangw@yahoo.co.jp)にてどうぞ。
可能な限り返信いたします。

(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)
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大晦日~元日~2日の天気と初日の出(12月31日)
今日は冬型、大晦日は穏やかに(12月30日)
前線通過、今夜から再び冬型へ(12月29日)
冬型緩むも次の寒波が・・(12月28日)
年末年始の空模様・・年末にかけテンポ早く(12月27日)
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Posted by kasayan at 07:44│Comments(5)
│雑記
この記事へのコメント
はじめまして。
前回6号の台風の際にこちらを発見し、興味深く拝見しておりました。
今回4日昼過ぎのエアで伊丹発那覇に搭乗予定なのですが…
Kasayan様のご見解だと離陸しそうですか?
飛行機が影響を受けるのは台風の左側、と聞いた事もあるので
今回の迷走台風にはもう心身参っております…。
前回6号の台風の際にこちらを発見し、興味深く拝見しておりました。
今回4日昼過ぎのエアで伊丹発那覇に搭乗予定なのですが…
Kasayan様のご見解だと離陸しそうですか?
飛行機が影響を受けるのは台風の左側、と聞いた事もあるので
今回の迷走台風にはもう心身参っております…。
Posted by やまとんちゅ at 2011年08月02日 13:42
やまとんちゅさん
今朝の記事に明日09時の計算値を掲載しておきました。
天気悪化のタイミングは多少ズレる可能性がありますが、まさに天気悪化のタイミングです。
航空機が飛ぶか飛ばないかは滑走路の方向や航空機の性能による部分もありますからなんとも言えませんが、かなり厳しい状況であることは確かだと思います。
また一般に台風の右側の風速が強いといわれますが(危険半円なんて言います)、あくまで中心付近のことで、それも相対的に・・・ということなので(図をご覧いただければわかると思います)、危険には変わりないと思います。
今朝の記事に明日09時の計算値を掲載しておきました。
天気悪化のタイミングは多少ズレる可能性がありますが、まさに天気悪化のタイミングです。
航空機が飛ぶか飛ばないかは滑走路の方向や航空機の性能による部分もありますからなんとも言えませんが、かなり厳しい状況であることは確かだと思います。
また一般に台風の右側の風速が強いといわれますが(危険半円なんて言います)、あくまで中心付近のことで、それも相対的に・・・ということなので(図をご覧いただければわかると思います)、危険には変わりないと思います。
Posted by kasayan
at 2011年08月03日 07:00

よくわかりました。本土に影響がないと(特に東京近郊)台風の報道があまりされないので、本当に助かりました。
最初西に向かうとばかり言っていたのに北上を続け、ようやく西に
動いてきましたね。流動的でテレビの天気予報はいつも今一つ信用が
出来ませんでしたので・・・。
台風の影響を受けやすいのは右側なのですね。
左側だと思っておりました・・・
どう転んでも影響は受けますね。
悔しいですが今回は諦めようと思います・・・。
本当にありがとうございました。
また継続して拝見させて頂きます!
最初西に向かうとばかり言っていたのに北上を続け、ようやく西に
動いてきましたね。流動的でテレビの天気予報はいつも今一つ信用が
出来ませんでしたので・・・。
台風の影響を受けやすいのは右側なのですね。
左側だと思っておりました・・・
どう転んでも影響は受けますね。
悔しいですが今回は諦めようと思います・・・。
本当にありがとうございました。
また継続して拝見させて頂きます!
Posted by やまとんちゅ at 2011年08月03日 16:25
太平洋高気圧が…
独力で梅雨明け出来なくなったことの、証明みたいな夏になりましたね☆
太平洋高気圧で判断すると、6月の末に近畿・東海・関東は梅雨明けしてると思います☆
気象庁はチベット高気圧をなぜ黙殺するのでしょうね☆
昔の梅雨明けは、気圧配置で決定だったので、雨の降るなしではなかった☆
気象庁が独りで迷走してしまって…
異常気象ながらも、むかしの夏に近かったように思います☆
独力で梅雨明け出来なくなったことの、証明みたいな夏になりましたね☆
太平洋高気圧で判断すると、6月の末に近畿・東海・関東は梅雨明けしてると思います☆
気象庁はチベット高気圧をなぜ黙殺するのでしょうね☆
昔の梅雨明けは、気圧配置で決定だったので、雨の降るなしではなかった☆
気象庁が独りで迷走してしまって…
異常気象ながらも、むかしの夏に近かったように思います☆
Posted by 真夏も終わりに近づきましたね☆ at 2011年08月19日 18:27
>>真夏も終わりに・・・さん
はじめまして。
梅雨明けの発表も、桜の開花と同様に、いつかは民間の気象会社にゆだねられて、感覚的に一番フィットする発表を待ってくださいということになるかもしれませんね。
気象庁も大多数の感覚にあうような判断をしてきたと思いますが、そのために気象庁が労力を使うのはあまり生産的ではないような気がします。
日本では、梅雨明けの発表がないと、海水浴に出かけちゃいけない・・・とか、登山に出かけちゃいけない・・・というような、雰囲気がありますが、ここ数年、ワイドショーが話題作りに取り上げすぎるせいでしょうか・・・・あまりにも梅雨明けの発表にとらわれ過ぎているように感じています。
はじめまして。
梅雨明けの発表も、桜の開花と同様に、いつかは民間の気象会社にゆだねられて、感覚的に一番フィットする発表を待ってくださいということになるかもしれませんね。
気象庁も大多数の感覚にあうような判断をしてきたと思いますが、そのために気象庁が労力を使うのはあまり生産的ではないような気がします。
日本では、梅雨明けの発表がないと、海水浴に出かけちゃいけない・・・とか、登山に出かけちゃいけない・・・というような、雰囲気がありますが、ここ数年、ワイドショーが話題作りに取り上げすぎるせいでしょうか・・・・あまりにも梅雨明けの発表にとらわれ過ぎているように感じています。
Posted by kasayan
at 2011年08月19日 23:01
