2011年08月22日

秋雨前線北上、熱帯低気圧は台風11号へ?(8月22日)


1、熱帯低気圧は台風11号に?

 不穏な動きを見せている小笠原付近の熱帯低気圧・・・夏休み最後の週末の天気に影響するおそれがありますから、台風11号まで発達するのか?と気が気でないかたもおられるのでは?




 まず、気象庁のGSMというシミュレーションモデルですが、25日朝には沖縄の東に接近、等圧線も同心円状になってミニ台風の姿が計算されています。
 風速は30ノット(約15m/s)以上が予想されていますから、17.2m/sの台風昇格の基準に達するか否かギリギリのところ。




 次は、昨日も掲載したヨーロッパ中期予報センターの計算値。
 なんだか二つの熱帯低気圧?台風?が見えますが、日本に近いほうが問題の熱帯低気圧で、南側のものが現在フィリピン付近にある熱帯低気圧と思われます(気象庁GSMにも画格を拡大すると位置は異なれど二つあります)。
 
 気象庁より北寄りに進め、接近は28日とやや遅め。




 最後はアメリカのGFSというモデル。
 台風?は一つで、沖縄付近への接近を予想していますから、位置的には気象庁と似ていますが、沖縄接近が28日と速度はやや遅め。

 じゃぁどうなるんだよ?と思われるかもしれませんけど、Kasayan的には、「今のところ」台風の直接の影響は沖縄方面だけと考えて、むしろ台風11号?からの暖湿気(雨の原料)による雨が気になります
 
 熱帯低気圧の動向が気になる方には申し訳ありませんけど、様子見・・・ですね


2、今日の秋雨前線・・・雨を中心に・・・・


 まずは予想天気図でざっくりと状況確認。




 ポイントは、①秋雨前線が東日本で北上傾向、②前線が凸の形をしている東海から東北にかけて激しい雨のおそれがある、ということです。

 ①は東海上から張り出している太平洋高気圧の勢力がやや強まるから。
 ②は前線が凸の形をしている部分は弱い低気圧(低圧部)になっていて、前線南側の暖かく湿った空気(雨の原料)と、北側の冷たい空気が渦のように混ざり合い、雨雲が発達するから。

 そんな①②の理由がまとめてわかる、上空5800m付近の天気図(高度)からチェックしておきます。




 日本付近は等圧線(本当は等高度線と言いますけど同じに考えてOK)が大きく凹になっていて、気圧の谷のエリア
 太平洋高気圧(赤塗り)は東海上に追いやられていますが、少しだけ勢力を強めてきます。
 このため、上空の強い風の場所(赤矢印)・・・・地上の秋雨前線に対応しています・・・が、若干北上
 ・・・①の原因ですね。

 また、強い風の曲がり角(凹の部分)では、蛇行する川のように渦が発生して風下の日本付近に流れ込んできますが、反時計回りの特に強い渦(赤丸)が、午前中は九州と関東付近、午後は朝鮮半島付近を通過します。
 このため、地上でも反時計回りの低気圧性の渦が発生・・・前線が凸の形になって、雨が活発に・・・・・②の理由ですね。

 また、前線上の渦ができると南から流れ込むのが暖かく湿った空気(暖湿流)




 特に強い暖湿流の様子がイメージできると思いますが、イメージを維持しながら下のアニメを見ると・・・・・




 九州付近に流れ込んだ暖湿流が近畿付近で南に迂回して、関東東北方面に流れ込むのがわかりますよね?
 これで、雨が活発になる理由がわかるわけですが、もう一つ・・・・せっかく涼しくなったわけですが・・・涼しさも折り返し点を迎えたことがわかります。
 雨の今日はまだまだですが、明日あたりから30℃越えの場所が増えてきそうです。

 ということで・・・具体的な雨の様子







 昨日も書きましたが、冷たい空気の上を、暖かく湿った空気が急激に滑り上がって雨雲が発生するというイメージでアニメを見ると、前線の凸部分の渦の話と大雨との関係が納得できるんじゃないかと思います。


 ところで、いつもならここで終わるわけですが・・・・・・
 今日は終戦後ラジオの天気予報が再開された日・・・天気予報は軍事機密だったんですよね。
 とういうことで特別企画じゃないですけど、このブログを効果的に使っていただく方法の一例をご紹介。

 このブログでは、各地の天気がどうなる・・・ということはアイマイにしていますが、気象業務法上、予報事業者登録(メンドウ)をしていないと不特定多数に対して予報を発表してはいけないことになっているから。
 もちろん、全国の各地の予報を考えることなんて一人じゃできません(長野だけならなんとか・・・でも毎日一人だけならケアレスミスもあるでしょう)。
 個人ブログでアレコレ書いても加罰的違法性がありませんから全然問題はないんですけど、メンドウなことはできるだけ避けたいので・・・・

 そこで、様々な気象データをできるだけ分かり易いように「解説」して、ご覧になっている方が、お気に入りの天気予報をチェックするときに、安全マージンを考えながらチェックすることができるように・・・と考えているわけです。
 ですから、特に今日のような雨降りの場合には、上の計算値だけではなく、お気に入りの天気予報をチェックし、天気予報の安全マージンを考えていただきたいと思います。
 天気予報は、予報官や気象予報士によって多くの計算値の誤差やズレを修正して最適に作られていますから、天気予報を基本情報にして、生の計算値で安全マージンを考えるのが正しい使い方といえます。

 そこで、基本情報にする天気予報ですが・・・・
 Kasayanとしては天気マークの天気予報ではなくて、電話の177番と同じ内容の文字情報・・・「府県天気予報」を読むことをオススメします。
 なぜなら・・・天気マークの天気予報のモトネタが「府県天気予報」だから。
 天気マークの天気予報は、「府県天気予報」の予報文の末尾の数字(テロップ番号)が100なら太陽マーク、300なら傘マークを表示しているだけ・・・・「府県天気予報」のほうが情報量たっぷりです。

 府県的予報(原文)
     http://www.imocwx.com/yohoud.htm
 府県天気予報の使い方と用語集
     http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kurashi/yoho.html


 ご意見・ご質問等は、コメント欄・メール(kasayangw@yahoo.co.jp)にてどうぞ。
 可能な限り返信いたします。



(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)

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Posted by kasayan at 05:53Comments(0)雑記