2009年12月23日

どんな晴れですか?・・・(12月23日)

 午後の長野市、午後から雲が広がってきましたが完全に雲を覆いつくすことはなく、感覚的には晴れ、あるいは晴れ間の多い曇りだったと思います。

 でも、昨日の晴れとは違うと感じた方が多かったのでは?

 一番の違いは青空の色

 昨日は、まさにコバルトブルーの青空(16進法のコバルトブルーです)




 これに対して今日の青空は、もやがかかったような青空




 確かに青空なんですが、山裾を撮影すると白っぽく写ってしまい美しくありません。

 ほぼ同じ時間の長野市内から見た菅平・・・




 どっちも晴れですけど、空気の澄み具合が全然違います。

 そうなると、遠くの見え方も変わってきます。

 昨日、はっきりと見えていた北アルプスの大天井岳や槍ヶ岳は、カメラの倍率を上げても薄っすらとシルエットが見える程度。




 これ、お天気の教科書には、空気中の水蒸気の量が関係しているなんて書いてあります。
昨日と今日の正午の湿度の計算値を使って調べてみました

 昨日正午の空・・・・



 青が濃いところほど(相対)湿度が高いところ。
上空1500mで薄い水色ですが、3000m以上は北部県境を除いて乾いていたことがわかります。

 そして、今日・・・




 地上付近から上空3000m付近まで昨日より湿度が高くなっていることが一目瞭然です。
また、上空5000m付近もやや湿度が高め。

 今日、日本海を低気圧が東へと進んでいますが、この低気圧に向かって太平洋の高気圧から湿った空気が流れ込んでいるためと思われます。




 頭ではわかっていても、こうやってまとめてみると、イメージが豊かになります。

 明日の天気を聞かれて、「晴れだよ」と答えるのでは天気マークの天気予報を見るのと同じ
 「コバルトブルーの抜けるような青空だよ!」とか、「うっすらともやがかかるような青空だねぇ」なんて答えられなくちゃ気象予報士がいたっていなくたって同じですよね。

  


Posted by kasayan at 18:16Comments(4)雑記

2009年12月23日

天気予報は当たるのか?(12月23日)


 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言

 土曜日の大雪の朝、日本海には雪雲がバンバン発生して県内に流れ込んでいましたけど、今朝の日本海モヤッとした雲が漂っている感じ。




 空の雲がモヤッとしてとらえどころのない状態のときは・・・・天気予報だってモヤッとしてあやしくなりがちです。

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 テレビの天気予報って、かならず先に予想天気図を見せてから天気マークの天気予報を説明しますよね。
 これ、天気変化の理由を説明してから・・・じゃあ具体的にどうなるの?という流れです。

 確かに、これでわかりやすい場合も多いです。

 でも難しい試験問題を勉強するとき、答えを先に見てから理由を考える・・・なんていう勉強方法もあったりするように、天気予報だって答え=天気マークの予報を先に見てから理由(天気図)を見るほうが簡単に天気変化のストーリーを理解できる場合も多いんです。

 今日の全国の天気マーク・・・「のち」とか「時々」「一時」なんて無視して、マークのイメージだけで分類すると上の図のようになります。
 ここから・・・・東北以北では雪を降らせる何かがあるはず・・・低気圧が通過するんだろうか?・・・東北以南の寒気は弱いんだろうか?・・・とか、東日本、西日本の日本海側に傘マークが並んでいるけど、どうしてなんだろう?・・・なんて考えてみるわけです。
 
3、長野県の予報
 長野にズーム。天気マークしか見ていないんじゃ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」があるかもしれませんよ。





 県内、昨日はよく晴れましたし、天気マークも太陽マークが強調されて見えますから、パッと見ただけでは「今日も晴れ!」とイメージしてしまいます。

 でも、予報文は全県「夕方」から下り坂
ただ、北部・中部の雪には「所により」がついていますから降るエリアは限定的

 また、北部で夕方以降雪の降る時間帯は限定されていませんが、中部は「夜のはじめ頃」=午後9時前後までという限定つき
 前線かなにかが通過するなら、隣のエリアから順番に天気変化しそうなものですが、傾向がイマイチつかみにくい天気変化です。

 エリアも時間も限定的・・・こういうときの天気予報・・・あやしい・・・ことが多いんです。

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?
テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。





 西日本の日本海側の傘マークは、大陸の高気圧と太平洋の高気圧の中間に弱い気圧の谷ができていることが原因ですが、長野県に「直接」影響しているわけではないのでアニメからはカットしました。

 アニメを見ると、今日の県内の下り坂の原因が東北を通過する低気圧と、低気圧から延びる前線の影響ということは、一目でわかりますよね。
 テレビやラジオの天気予報では、天気下り坂の理由に挙げているんじゃないでしょうか?

 でも・・・前線の影響というなら、北部だけ影響を受けるか、北部から順番に天気変化しそうですよね?
今日は天気図もモヤモヤしています。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 今日の県内の天気変化・・・天気図的には(テレビ的には)、弱い気圧の谷と低気圧に伴う前線の影響という説明がされますけど、どちらかといえば・・・
 太平洋にある高気圧から吹きだす暖かい風と、大陸にある高気圧から吹きだす冷たい風が、重なり合うようにぶつかったところに発生する雲の影響と考えたほうが簡単に理解できます。




 そして、長野県付近は二つの風がぶつかるエリアにあたるんですね。
この二つの風のせめぎあいが複雑なので、予報も微妙なものになってきます。

 せめぎあいを複雑にする原因が・・・西寄りの風を遮るアルプスの山々

 その様子を雨域の予想図で見ると・・・・




 今日12時、風は西寄りの南風。
 岐阜県や富山県側には 広い雨域が計算されていますが、北アルプスが湿った空気の侵入を遮っていることがわかります。
 
 そして15時、低気圧が東北を通過するタイミングで風が南に回り、北アルプスのブロックの効果がなくなって、県内東部の高い山でも雪雲が発生し始めます。

 以後、似たような状態が続くので、予報文のような複雑な天気変化をするのでしょう。

 そして、15時の段階で、降水量は少ないとはいえ、急速に降水エリアが拡大していることがわかります。
 南風の場合、雲が北に吹き寄せられるという傾向があるので、盆地エリアでは雲が広がりやすいものの晴れのイメージを崩すほどにはならないかもしれません。
 ただ、風速が強まらなければ、午後は天気マークのイメージより悪くなる可能性も・・・・

 まあ、降っても雪の可能性が高いですし、そこまでいかなくても雲が広がる程度なので、基本的に予報がハズレたという印象は持ちにくいとは思いますが、午後はそれほど晴れに期待しないという限定つきで予報は当たると考えます。

 ・・・ということで・・Kasayanの放談も「限定つき」になっちゃいました。


オマケ

 これ、昨日の朝、全国で一番寒かった菅平のアメダスを見に行ったとき(昨日の記事)に見えた浅間山




 東京から長野に帰るときに軽井沢付近で見る浅間山や、長野市内北部の山の上で見る浅間山とはちょっと変わった姿をしていました。

 それに・・・軽井沢方面で見る浅間山より積雪が多いような・・・・
北から流れ込む雪雲が軽井沢方面に流れ込むのをブロックしているなら、ホントにそうなっているんでしょうね。