2009年12月15日

雪のピークは?週間予報チェック(12月15日)

 散髪に行ったり、営業マンと話すとき、社交辞令でとりあえず天気の話をしたりしますよね?




これ、気象予報士になってから、返答に悩むようになりました

 たいてい、天気の話は「いつになったら雪が降るんでしょうねぇ?」とか、「今度の週末は大丈夫かしら?」で締めくくられるものですけど、どうなるかを、つい答えてしまったりします。

 うまい具合に話が次につながっていかないんですよね・・・・

 反面、それがきっかけで早くうちとけたりすることもありますから、悪いというわけではないんですけど

 今夜も、今週の週間予報をチェックしときますけど・・・ここまで突っ込んだ解説はテレビでもやっていませんから、適当に覚えておくだけで営業ツールとして・・・・使えるかなぁ?

 今回は、超超長文になっちゃったので、ひとつの情報源として、面白そうな図の場所や、気になる日の部分だけつまんで読んでください







 ・・・さて・・・・今週の週間予報、長野県北部は雪マークが並んでいます

 ただ、雪マークが並んでいるからといって、毎日が同じ雪というわけじゃありません
雪だって降り方や寒さは日々異なります。

 いつものように週間の天気図を見ながら、長野地方気象台発表の週間予報をチェックしますけど・・・・
今回は気象庁が、気象事業者向けに・・・つまりプロのために発表している「週間天気予報解説資料」という虎の巻と天気図を照らし合わせながら、むこう一週間の空をイメージしたいと思います。

 難しそうに見えますけど、図とあわせて読めばそれほどでもないはず・・・です。


●18~20日:強い寒気が南下し冬型の気圧配置が続く


 これは簡単ですよね・・・今週後半、日曜日まではガチンコの冬だってことです。




 3日間とも西高東低の気圧配置ですけど、注目すべきは19日の低気圧の位置
18の低気圧は、北海道の北東かなたにありますけど、19日は北海道の東で発達しています。
 これ冬型が強烈なときの傾向です。

 寒気の予想は、850hPaでは-6℃線が太平洋側まで南下した状態が続き、-9℃線も一時本州南岸まで下がる。





 降ってくるものが雨じゃなくて雪になる目安の一つに、上空1500mがマイナス6℃以下という条件があります。
太平洋側まで南下する可能性があるので、本州で落ちてくるものはみんな雪になる可能性があるってことです。
 さらに、大雪になる目安のマイナス10℃に迫るマイナス9℃の寒気まで一時的に日本を覆うって言っています。
 まあ、大雪にならなくても19日(土曜日)は寒~い!ですね。

 500hPaでは-36℃線が19日頃本州中部にかかる予想。


 雪になるための上空の気温の条件には、もうひとつ、上空5400m付近の寒気があります。
マイナス30℃で雪、マイナス36℃で大雪の傾向にありますが、大雪の可能性があるマイナス36℃の寒気が北海道だけじゃなくて長野上空にもやってくるということですね(図はなし)。

 テレビの天気予報で「上空の寒気を天気図に重ねてみると」・・・なんてやっていますけど、まさにコレ。

 結局、言いたいのは、「19日の土曜日、降ってくるものはみんな雪になるんだよ!寒いよ!」ってことになります。

 19日の5340m付近のトラフ通過に対応して寒気はピークとなる。





 トラフというのは、気圧の谷のこと。
上空の気圧の谷が通過すると、地上の空気の流れが活発化します。
たとえば、寒気もググッと南下しますし、空気の流れがぶつかるところではより活発に雲が発生するようになりますから、予報を考える人は必ず上空の気圧の谷の動きを確認します。

 添付した天気図は午後9時のものですが、気圧の谷はすでに東海上に抜けていますから、日中に寒気のピークがくることを遠回しに言っているんだと思います。

 地上では、日本海に明瞭な収束線と、これに対応して広がる降水域が予想されている。
このため、日本海側では大雪となるおそれがある。
 また、太平洋側でも雲の広がる所が多く雪の降る所がある見込み。


上空の気圧の谷が通過するタイミングで、地上・・・日本海だから海上・・・に、はっきりとした風のぶつかりあうことろができる・・・と言っています。

 今朝の記事にも収束線=シアーラインを簡単にまとめてありますが、もう一度模式図をご覧ください。




 朝鮮半島の付け根にある山岳地帯を迂回する季節風が日本海上で合流してぶつかりあう場所です。
ここでは雪雲が発達するので、この雲がやってくる19日には日本海側で・・・大雪ということです。今日も同じことが発生しているので見てみましょう。




 日本海中央で、南北にひときわ雪雲が発生しているところがそうです。
こいつと同じものがうーんと発達するから、大雪になって、太平洋側にも雲が流れ込むってことでしょう。

 気象庁の予報官・・・19日だけにたっぷりと解説を加えています。
むこう一週間の山場が19日土曜日だってことなんですね。


●21日:冬型の気圧配置は続くが、寒気は次第に緩む





 これはそのまんま。
等圧線の間隔がゆっくりと開いて、西高東低の気圧配置が崩れてくるのがわかりますよね。

 北日本は日本海側で雪、太平洋側ではトラフ通過の影響でやや雲が多い見込み。





 上で見た図と同じです。
上空の気圧の谷が通過するから、地上付近の空気の動きが”多少”活発になるといっています。
気圧の谷がそれほど深くないとみたわけです。

 東日本と西日本の日本海側は雪や雨の所が多いが、太平洋側は20日まで降水のあった所は止み、晴れる所も多くなる。


 上空の気圧の谷が通過しても、全体として冬型は緩む傾向。
予報官は大ざっぱな天気のイメージを書いているわけです。

●22日:後述のとおりシナリオにばらつきが見られる。

 FEFE19では本州南岸に明瞭な移動性高気圧を予想しているが、割り引いて考え、日本海の気圧の谷及び東シナ海~西日本南岸付近の気圧の谷の影響も考慮した予報とする。





 未来を計算するための初期値=観測値が、ちょっとズレただけでも、一週間先の予報は大きく変わってきます。
 気象庁では初期値をわざと少し変えてみて、予報の味見をしています。

 その味見の結果、シナリオ・・・空模様の変化のシナリオがずいぶんばらついていることがわかったわけです。
 そこで、天気を悪目に予想して、図に書き込んだ弱い気圧の谷の影響があると考えたようです。

 ということは、22日の予報はあんまり当てにならないってことでしょうね。


 北~西日本は概ね曇りベースで、寒気の影響が残る日本海側では降水の所がある。


 これも大ざっぱな天気傾向を述べただけですね。


 ということで、超長文でまとめ・・・まとまってない・・・

ここから長野の予報にズームしようと思ったけど力尽きました。

ようは19日土曜日が雪や寒さのピークだよ!ということ。

 まあ、あとの情報は、営業ツールとして使うウンチクにされてもよし、子供に教えてもよし、うまく料理してください。


  


Posted by kasayan at 20:40Comments(0)今週の週間予報は?

2009年12月15日

天気予報は当たるのか?(12月15日)

 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言

 目が覚めて、「雪、積もった?」とドキドキしながらカーテンを開けるのは、子供のころから変わりません。
 良い意味、悪い意味、様々なドキドキがあると思いますが・・・・いかがでしたか?

 そんな方のために、真っ先に気象庁アメダスの積雪量から。




 昨日、気象庁が発表した「雪に関する長野県気象情報 第1号」は、降り始めから今日の昼までに大北地域の平地で10センチ、山沿いで20センチ、長野地域の平地で5センチを予想していました。

 山をひとつ越えただけで積雪がうーんと異なることは、長野県民ならだれでもご存じだと思います。
ですから、気象庁の予想が正しかったか否かは、そう簡単に結論は出せません




 ただ、長野地方気象台がある善光寺近辺では積雪ゼロ、アメダスの観測データだけ見れば、スキー場の雪が気になる白馬も積雪ゼロでした。
(追記:日が昇って、ライブカメラで見たら白馬の平は薄い雪化粧ですね。)

 蛇口をちょっとひねるとドバッと水が出すぎてしまう水道のように、長野の積雪予測の調節が難しいことはよくわかりました。

 このブログを読んでいただいた方で、昨日の雪の予報を見てイメージした雪と、今朝起きての実感について、コメントいただけませんでしょうか?・・・今後の参考になりますから。
 できれば、大ざっぱなお住まいのエリアも添えていただけると助かります。

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 昨日とほぼ同じ・・・大きくエリアは二分できます。
ただ、太平洋側「のち 曇り」マークが多くなっています。
 なぜ?・・このあたりは県南部への影響が心配になりますから、天気図を見る際のチェックポイントになりますね。

3、長野県の予報
 長野にズーム。天気マークしか見ていないんじゃ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」があるかもしれませんよ。





 北部にだけ「のち」雪だるまマークがついています。
ただ、予報文を見れば・・・北部・中部ともに、「所により」がつくこともなく、夕方から雪が予想されています。

 このエリア、明日までずっと北風の予報。
冬の季節風が吹き続けるってことですから、冬型の気圧配置が今日、明日と続くということを想像させます。

 いずれにせよ、今日のチェックポイントは、「夕方 から 雪」でしょう。
いつものように、どこに?どれだけ?を考えます。

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?
テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。


 まずは、今朝の実況天気図




 西高東低、冬型の気圧配置で、等圧線が縦に並んでいることだけ見ておいてください。

 そして、今夜9時の予想天気図




何が違うのか?・・・間違い探しみたいですけど、等圧線の間隔がうんぬんといっても大して変わらないし、せいぜい九州南岸に停滞前線ができることくらいです。

 まあ、この前線の影響で太平洋岸もやや下り坂ということでしょう。
上空の寒気とコース次第では、東海や関東でも雪がちらつくことがあるかもしれませんね。

 じゃ・・・・なんで長野県・・・「夕方 から 雪」なんでしょうか?

 気象庁の本庁が発表する、全国の地方気象台も見る虎の巻・・・短期予報解説資料を見ると・・・・

日本海では、下層寒気移流が強くFT48(16日午後9時) にかけてシアーライン(風が集まるところ)が形成されてほぼ停滞し、北陸中心に降水量が増える見込み。
モデルではFT12~18 頃(今日午前9時から午後3時)にかけてシアーライン上に小じょう乱(小さな低気圧)が発生し北陸を指向している。
小じょう乱付近では大気の状態が不安定となることから、北陸では、落雷、突風、降ひょう、降水(降雪)の強まりに注意。(カッコ内Kasayan加筆)


 なんて書いてあります。
こいつが原因かもしれませんが・・・ちょっとわかりにくいですよね

 まず、日本海にできる風の集まる場所・・・シアーラインについて。




 朝鮮半島の付け根には山岳地帯があるのですが、大陸から冷たい北風が吹きだしてくるとき、この山岳地帯を南北に風は迂回します。

 この風が、再び日本海の上で合流するのですが、ぶつかった風は上に行くしかありませんから、上昇気流ができて、暖かい日本海の水蒸気をたっぷりと吸った雪雲ができやすくなるわけです。

 で・・・このシアーラインが日本海に停滞する・・・雪雲が出来続けるということですが・・・・




 まず、午前9時のシアーラインの様子の計算値。
日本海沖で風がまとまり始めていて、まとまった部分の先端に小さな低気圧が出来ています。

 そして、午後9時




 二つの風の合流地点は、能登半島付近に上陸し、長野県北部にまでかかっています。

 気象庁(長野地方気象台)は、このシアーラインの影響を考慮して、「夕方 から 雪」を予想しているんですね。ですから、北部中心の雪で、中部にまで影響・・・ということでしょう。
(追記:北部山沿い中心、長野市内は・・・場合によってはチラチラ?・・・なのかは今日の宿題)

 予想降水量からみると、積雪は・・・下手なKasayanの予想より、たぶん今日発表されるであろう長野地方気象台の予想を待ちたいと思います・・・なにせ長野の雪の勉強中・・・・

 ただ、降ってくるものが雪になるか?は別に気温を調べなくてはなりません。




 上空1500m、雪の目安になるマイナス6℃の線は、とりあえず長野県北部まで。
ただ、長野県は標高が高い・・・・そして、今日の地上付近の予想気温も、日中の最高で5℃前後で、夕方には雪の目安になる2℃程度には下がってくると考えられますから、降ってくるものは雪になる可能性十分でしょう。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 繰り返しますが、Kasayanは長野の雪を勉強中の身

 今回の雪については、長野地方気象台の予報がどんな理由で出されているのか?を、自分なりに検討してみることにしていますから、予報のあやしさ・・・を考えるのは封印しておきます。

 ただ・・・・・・いかん、いかん・・・・・