2009年12月25日
未来予想図(12月25日)
夕方、長野市内から見た槍ヶ岳。

夕焼けの中、上層の雲が広がり、槍の穂のシルエットが一段とシャープに見えました。
長野市内でもKasayanの実家は善光寺の近くでしたから、子供のころは北アルプスの山々とは縁がなく、西にはオッパイの形をした旭山が屏風のように立ちはだかっていました。
同じ長野市内でも住む場所で景色が一変。
Uターンしてあらためて長野を再発見する日々です。
ところで、今朝の記事の中で、今夜9時の曇りのエリアの予想をしてみました。

天気予報の勉強をするとき、必ずマスターしなくてはならない天気図の一つ。
気温と露点温度(水蒸気が水滴になる温度)の差を表示したものです。
灰色に塗ったところが、くもりと感じるエリア。
そしてこれが今夜8時の衛星画像。

雲のエリアの形が天気図のくもりエリアとほぼ同じ形をしています。
精度の高い計算値ですから、雲の様子をここまで予測できるのは当然なんですけど、予測を実況で検証するとき、熱力学の方程式によって未来の地球を予測できることに、いつも新鮮な感動をおぼえます。
2009年12月25日
天気予報は当たるのか?(12月25日)
故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言
ここ3カ月、出かけるときには必ずデジカメをポケットに入れています。

空の撮影をするときは、あとで方向がわかるように必ず目印になるものを写し込むのですが、長野は何を写し込んでも絵になります。
ところで、ここ数年、天気予報を作る際に使う元ネタになる情報がインターネットを通じて誰でも見ることができるようになりました。
「雨のエリアの変化」なんていうのはその典型です。
ただ、そんな時代になっても、天気予報を作る人が必ず手にしている6枚の専門天気図があります。
皆それぞれのノウハウを持って赤鉛筆と青鉛筆で色を塗って未来の天気のシナリオを考えるのですが、教科書に出ていないノウハウをなかなか公開してくれません。
Kasayanは現役じゃないので、今日はこの専門天気図を使って予報をチェックしてみます。
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

ここ数日のエリア分けと大きく異なっています。
西日本が下り坂・・・・今日はその原因をチェックすればよいことになりそうですね。
3、長野県の予報
長野にズーム。天気マークしか見ていないんじゃ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」があるかもしれませんよ。

全県で、風向や天気が一致するのはブログを書き始めてはじめてじゃないでしょうか?
日中は晴れ。
朝のくもりは良いとして、西日本が下り坂ですから、夜の曇りが気になります。
夜はくもりで済むの?雨まで進んでしまうのでは?
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?
テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。
西日本が下り坂の理由が天気図チェックのポイント。

日本海と太平洋の二つの低気圧が西から迫っています。
ありゃ・・・という感じですけど、こういうとき、二つの低気圧の雨域が長野県をはさむ形で進んで、あんがい雨にならないこともありますけど・・・その検討は明日ですね。
今日の県内の風・・・はじめの北風は北から覆う高気圧の吹きだしの風、その後に吹く南風は日本海の低気圧に吹き込む風。
南風に変わったら天気の変わり目です。
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
まず、雨は長野県に来ないのか?。
いつもご紹介しているコンピューターの生データじゃなくて、専門の天気図を使って確認してみます。

この図は、上のアニメで使った天気図の元ネタになる天気図。
点線で囲まれたエリアは、12時間の降水量が予測されているところです。
今日、日本に関係しそうな雨のエリアを点線で囲みましたが、この範囲で雨!と言ってしまうと大失敗。
一つ内側、青で塗ったところ・・・ちょっとだけ降水量が多く計算されているエリアが、感覚的に雨と感じるエリアです。
今夜の段階では、どんなに雨のエリアがずれても長野県に影響はないですね。
じゃぁ日中に曇って洗濯物が乾かなくなっちゃわないの?という点を確認。

これ、上空3000m付近の湿り気の多いエリアが縦線で塗られている天気図。
教科書では縦線で塗られているエリアが雲域にあたる・・・って書いてあったりしますが、それじゃ予報がハズレます。
縦線で塗られているエリアの一本外側の、やや湿ったエリアの内側を塗ると・・・曇りのエリアになるんです。
今夜の衛星画像を見ると、日本上空はこんな形の雲のエリアになっているはず・・・・ですよ。
これらの天気図は北海道放送のHP(ここをクリック)すると誰でも見ることができますから、興味のある方は試してみてください。
全国ネットの天気予報番組で、この方法を使って動く天気エリアのアニメの原図を作ったりしていたのですが、なかなか評判も良かったので、ノウハウとしては悪いものじゃないはずです。(冬型では使えませんのでご注意を!)
今夜の曇りのエリア・・・夜9時の段階で長野県西部まで接近しています。
低気圧や前線に近い南部が早めに曇る感じがしますが、日差しのある時間帯に雲がかかってくることはなさそうです。
ということで、今日も天気予報は当たると考えます。
あやしいエリアを上げるとすれば、湿った南風が入りやすい南部・・・・早めに雲が広がる可能性があるといったところでしょうか。
湿った南風が長野の山でどのような挙動を示すか?は今日のKasayanの宿題です。