2009年12月05日
12月の雨
長野市内も、昼過ぎから雨。
須坂方面から帰宅したとたんに降りだしました。
12月の雨ですね
・・・・荒井由実の曲を思い出しました。

はじめて聞いたのは、長野をはなれ東京に住むようになってから。
その頃は、長野では雨じゃなくて雪だよ・・・なんて思っていました。
須坂から帰宅後、あわててストーブをつけたら
・・・窓ガラスがくもって、ぼんやり見えた冬景色は・・・雲にけむる菅平でした。
土曜日の夕方・・・雨じゃ出かける気にもならないので、今日の天気のおさらいを・・・・。

これは正午前に須坂市村山の千曲川の堤防から中野市方面と千曲市方面の空を撮影したもの。
北東方向の中野市方面では、上層の雲に透かして、うっすらと青空が。
一方、南西方向の千曲市方面は、中層の雲が厚みを増してきていました。

そして、これは正午の衛星可視画像。
テレビやネットで使われる赤外画像と異なり、人間の目と同じ可視光線を撮影したもの。
昼間だけしか使えませんが、リアルな雲の様子を確認することができます。
拡大してみると、飯山から新潟にかけて雲のすきまがあることがわかります。
どうやら、中野市方面の青空はこのすきまの部分だったようです。

続けて、同時刻の下層と中層の雲の、コンピューターによる「予想」計算値。
中野、飯山方面に下層の雲は計算されておらず、中層の雲もすきまが開いています。
コンピューターは、この青空の窓?を予想していたようです。

加えて、今日正午と、午後1時のレーダー画像。
正午に岐阜県・愛知県側から雨雲がかかりはじめ、一時間後の午後1時には、北信の一部をのぞいて、ほぼ全県に雨雲が広がったことがわかります。

そして、これが今朝午前9時を初期値とした、同時刻の雨域の「予想」計算値。
上で見たレーダー画像と見比べると、ほぼ同じ形の降水域をコンピューターが予想していることがわかります。
目前の気象状況の予測計算値が恐ろしいほど正確なことは頭でわかっているつもりです。
でも、こうやって見比べてみると、改めて驚くばかりです。
毎日こうだったら予報官も、気象予報士もいらなくなっちゃいますよね。
・・・・で・・・・この雨はいつ止むの?
今朝5時発表の気象庁の予報は、「昼過ぎ から 夕方 雨」でした。
そして、午後5時発表の予報では・・・
「今夜・・雨 夜遅く くもり 所により 夜のはじめ頃 まで 雷 を伴う」になっています。
ということは、雨が止むのは夜遅く・・・21時以降ということですから・・雨が止むタイミングを遅らせる予報の変更があったわけです。
今朝、このブログで、「予報官が計算値を修正して止むタイミングを早くしたのでは?」と書いたのですが、どうやら修正をしなかったほうがよかったようです。
事業仕分けでスーパーコンピュータが話題になりましたけど、今後スーパーコンピューターが無限に能力を上げていったとすれば、いつの日か予報を考える人間は不要になるかもしれませんね。
ただ、計算された予報をどう伝えていくのか?
テレビも、衛星画像やアメダスにはじまり、雨のエリアの変化やメッシュ予報まで使って見栄えの良い映像が使われるようになりましたけど、最終的に伝わっているものは、昭和の時代とあまり変わっているような気がしません。
須坂方面から帰宅したとたんに降りだしました。
12月の雨ですね
・・・・荒井由実の曲を思い出しました。

はじめて聞いたのは、長野をはなれ東京に住むようになってから。
その頃は、長野では雨じゃなくて雪だよ・・・なんて思っていました。
須坂から帰宅後、あわててストーブをつけたら
・・・窓ガラスがくもって、ぼんやり見えた冬景色は・・・雲にけむる菅平でした。
土曜日の夕方・・・雨じゃ出かける気にもならないので、今日の天気のおさらいを・・・・。

これは正午前に須坂市村山の千曲川の堤防から中野市方面と千曲市方面の空を撮影したもの。
北東方向の中野市方面では、上層の雲に透かして、うっすらと青空が。
一方、南西方向の千曲市方面は、中層の雲が厚みを増してきていました。

そして、これは正午の衛星可視画像。
テレビやネットで使われる赤外画像と異なり、人間の目と同じ可視光線を撮影したもの。
昼間だけしか使えませんが、リアルな雲の様子を確認することができます。
拡大してみると、飯山から新潟にかけて雲のすきまがあることがわかります。
どうやら、中野市方面の青空はこのすきまの部分だったようです。

続けて、同時刻の下層と中層の雲の、コンピューターによる「予想」計算値。
中野、飯山方面に下層の雲は計算されておらず、中層の雲もすきまが開いています。
コンピューターは、この青空の窓?を予想していたようです。

加えて、今日正午と、午後1時のレーダー画像。
正午に岐阜県・愛知県側から雨雲がかかりはじめ、一時間後の午後1時には、北信の一部をのぞいて、ほぼ全県に雨雲が広がったことがわかります。

そして、これが今朝午前9時を初期値とした、同時刻の雨域の「予想」計算値。
上で見たレーダー画像と見比べると、ほぼ同じ形の降水域をコンピューターが予想していることがわかります。
目前の気象状況の予測計算値が恐ろしいほど正確なことは頭でわかっているつもりです。
でも、こうやって見比べてみると、改めて驚くばかりです。
毎日こうだったら予報官も、気象予報士もいらなくなっちゃいますよね。
・・・・で・・・・この雨はいつ止むの?
今朝5時発表の気象庁の予報は、「昼過ぎ から 夕方 雨」でした。
そして、午後5時発表の予報では・・・
「今夜・・雨 夜遅く くもり 所により 夜のはじめ頃 まで 雷 を伴う」になっています。
ということは、雨が止むのは夜遅く・・・21時以降ということですから・・雨が止むタイミングを遅らせる予報の変更があったわけです。
今朝、このブログで、「予報官が計算値を修正して止むタイミングを早くしたのでは?」と書いたのですが、どうやら修正をしなかったほうがよかったようです。
事業仕分けでスーパーコンピュータが話題になりましたけど、今後スーパーコンピューターが無限に能力を上げていったとすれば、いつの日か予報を考える人間は不要になるかもしれませんね。
ただ、計算された予報をどう伝えていくのか?
テレビも、衛星画像やアメダスにはじまり、雨のエリアの変化やメッシュ予報まで使って見栄えの良い映像が使われるようになりましたけど、最終的に伝わっているものは、昭和の時代とあまり変わっているような気がしません。
2009年12月05日
天気予報は当たるのか?(12月5日)
故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言
昨夜のテレビの天気予報をご覧になった方・・・今朝も状況はかわりません。
午前中に外仕事は済ませたほうがよさそうです。
天気予報は、予報官が現状(実況)をよく観察し、現状を初期値にしてスーパーコンピューターが計算した予測値を人間が修正して作ります。

ですから、夜に天気予報を見ても、翌朝には新しい実況にもとづいた新しい計算値による予報が作られますから、特に雨の降りだしのタイミングなど時間的要素はわりと変更される可能性があるわけです。
で・・・昨夜の長野の予報は「昼過ぎ」から雨・・・・今朝の予報も「昼過ぎ」から。
二回連続同じ予報が出るときは、それなりにガチンコの予報・・・・土曜の午後は・・・雨ですね。
今日のブログ・・・・お忙しい方は、図だけご覧になればよいですが、休日の雨でヒマになっちゃった方のために、今朝はそれなりに?いろいろ思うがままに細かいことも書いてみました(超長文かも)。
これをどこまで削ってわかりやすく解説するかが天気予報番組のキモですけど、ブログは読む人が飛ばして読めるからイイですね。
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

東日本の多くは「のち 雨」マーク。
西日本は「時々」「一時」マーク。「時々」「一時」の定義は・・・・・
「時々」=現象が連続的に起こり、その現象の発現期間が予報期間の1/4未満のとき。
「一時」=現象が断続的に起こり、その現象の発現期間の合計時間が予報期間の1/2未満のとき。
「連続的」=現象の切れ間がおよそ1時間未満。
「断続的」=現象の切れ間がおよそ1時間以上。
本当は天気マークを正しく見るためには、こんなことを知らなくてはならないんですけど、西日本(中部の一部も)ベッタリと雨が降るわけじゃないんだな・・・程度に考えておけばよいです。
ちなみに「のち」は・・・予報期間内の前と後で現象が異なるとき、その変化を示すときに用いる・・・です。
3、長野県の予報
長野にズーム。天気マークしか見ていないんじゃ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」があるかもしれませんよ。

で・・・長野県は「時々」「一時」雨マーク。
予報文を読むと、県内全域「昼過ぎ から 夕方」雨。
午後、連続的に雨が降るけど・・・「今日」・・つまり予報発表の午前5時から24時までの間で「一時」・・・全体の1/4未満の時間だけ雨が降るっていう意味のようです。
ていうことは・・・5時間前後っていうとこですから、まさに昼飯ころから晩飯前ですね。
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?
テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。
上の「今日の一言」で、実況にもとづいて計算値を修正・・・なんて書きました。
そこで、気象庁の予報官が作っている短期予報解説資料(クリック)という虎の巻に書いてある「実況上の着目点」という項目に沿って、まず実況からチェックしてみます・・・・おヒマな方だけお付き合いいただければ良いですよ。
短期予報解説資料の原文のうち長野県に関係しそうな部分は・・・・・
1.実況上の着目点
①朝鮮半島の低気圧は東進。バルジ状の雲域を伴い発達傾向を示す。
②対馬海峡~九州の西海上へ南北にのびる線状の下層雲域がゆっくり東進。西から暗域が接近中で、対流雲の発達に注意。
③紀伊半島付近の下層で合流場が形成され、海上で南北にのびる降水エコーが明瞭化。
①~③を順番に図に書き込んでみると・・・・

バルジ状の雲域?ですけど、低気圧が発達するときにできる北側に盛り上がった雲のこと。
下層雲域・・・そのまんまですけど、通常テレビで見る衛星画像(赤外画像)では薄い白に見えます。
予報官は、まず衛星画像で全体の雲のイメージをつかむとともに気圧配置を対応させているんですね。

これは水蒸気画像。湿り気の多い所ほど白く写ると思えばイイです。
白くないところを暗域といいますが、暗域と白い水蒸気の多い部分がぶつかっているところでは、雲が発達しやすいので、予報官も注目しているわけです。

雲の様子を見れば、雲の下が気になります。雨が降ってんのか?ということで予報官もレーダーを見てますね。
合流場なんて難しそうことを書いてますけど、風が集まってぶつかっている所です。
風が集まれば空気の逃げ場は上空だけ。上昇気流ができて雲ができます。
・・・で、以上の実況観察にもとづいて、予報官は計算値を修正して予報を組み立てます。
シナリオを作成するという人もいて、頭の中で未来の空の変化をイメージしていくんですね。
このシナリオについても、短期予報解説資料にかかれていますけど、あまりに長くなっちゃいます。
上の実況の着目点①~③に対応した番号を予想天気図の書き込みにふっておきました。

最後・・・傘マークと一緒に雷マークもつけておきました。
長野県の予報文に雷はありませんけど、東北方面では落雷の恐れもあります。
低気圧の東側には南から暖気が・・・西側には北から寒気が流れ込んで、発達した雷雲が発生する可能性があるからです。
この様子を上空1500m付近の気温でチェックしておきました。

5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
ずいぶん長~く検討してきましたけど、一番上で書いたように、基本的に予報はハズレないと思います(つまらない結論でごめんなさい)。
ただ、雨を覚悟したなら、今日中に雨が止む以上、止むタイミングが本当か?という気持ちになりますよね。
気象庁の予報文は「夕方」・・・ということは18時までには止むということです。
気象庁が使っているMSMという雨の予想図を見ると・・・・・

昨夜の計算値より雨の上がるタイミングは4時間ほど早まっていていますが、午後8時の時点で長野県は、まだ雨域の西の端っこに入っています。
・・・・・予報官は、計算値のクセや経験からこれを修正をして予報を出しているようですが・・・雨の上がるタイミングが遅くなる可能性もあるかもしれませんね。
いずれにせよ、明日日曜日はOKです。
超長文失礼しましたぁ