2011年07月11日

西日本中心の雷雨、東日本も局地的な雷注意(7月11日)


 



千曲川の河川敷の滑走路と飯綱山、戸隠山




積雲の横を飛ぶグライダー

 昨日・・・・43分間だけでしたけど・・・本当に久々に長野の空を飛んできました(Kasayanは訓練生です)。

 ぽっかりと浮かぶ綿雲を真横から観察しつつ、志賀高原や北信五岳に湧きあがる積雲や雄大積雲の様子を眺めてきましたが・・・雷雲の発達の様子は上空からチェックするのが一番ですね。
 風の収束をイメージしつつ、積雲の発達の様子を広い視野で観察できるんですから・・・・

 とはいえ、××才の手習いで始めた操縦練習に神経の99%以上を使っているので考察まではとてもとても・・・。
 一度、雲の観察だけを目的に空を飛んでみたいな・・・


 ところで、昨日も雷雲の発生を予想してみたので、その結果から。




 昨日掲載した予想図と対比して見ると、発生場所については比較的良い結果になっていたと思います。

 もっとも、発達の程度については、長野県北部の雷雲の発生はかなり局地的で、一昨日のように長時間発達し、盆地上空まで流れ込むほどのものではありませんでした。
 総じて、降水については気象庁の計算値は過大だったと思います(気象庁の予報も実況にもとづいて11時発表、17時発表の予報の順に雨の予想を少なく修正していました)

 たぶん暖湿気の流れ込みの程度とその場所が影響しているのじゃないかと思うのですが・・・・その理由をずーっと考えていたら・・・今日の天気チェックの時間が足りなくなってしまったので、今日も雷雨の予想を中心にザックリと検討します・・・ゴメンナサイ。

 まずは、今日の気圧配置・・・・といっても、昨日の天気図と大きく変化はないので、短期予報解説資料というプロ用の資料から簡易図を抜粋。




 ポイントは、九州方面に流れ込む暖湿気の量が多くなるということと、中部地方の山岳を中心に雷雨発生のおそれがあるということ。
 
 さらに特記するとすれば、九州・四国上空に寒気が流れ込み、大気の不安定が増して、このあたりの雷雲の発生がパワーアップするということです。




 昨年の記事にも書きましたが、九州や四国方面に流れ込む寒気UCL(Upper Cold Low)といって、南から流れ込む特殊な寒気。
 大気のダイナミックな動きを感じさせてくれるモノ・・・興味のある方は「Upper Cold Low」で検索してみてください。

 で・・・・猛暑の今日の風の様子と雷雨の発生場所は?








 UCLと暖湿流が作用する九州・四国では降水が広範囲で計算されていますよね。
 あとは、東日本の内陸山沿い付近

 繰り返しになりますけど、赤の点線の場所・・・風の収束や、山肌で強制的に空気が上昇させられる場所で雷雲が発生しやすいということです。
 発生の時間も、同時ではなく、場所ごとに異なります
 (そのため、あえて雷雨発生が顕著になる時間の図のみでチェックし、時間毎のアニメにはしていません)

 したがって、実況監視・・・・つまり気象レーダーや目視で雷雲の発生をチェックするときの目安程度に考えていただきたいと思います。

 なお、発生した雷雲を流す上空3000m付近の風は南風・・・風速は弱いですから、発達したり、衰弱しながらゆっくりと北へ進むのでは?

 最後は、15時の上空3000m付近の湿数・・・ モクモクの特に背の高い雲がみえそうな場所と考えてください(先の図の青色は降水域なので範囲が広くなります)・・・






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Posted by kasayan at 06:54Comments(0)雑記

2011年07月10日

関東甲信中心の雷雨続く、登山注意!(7月10日)


 またまた今朝も早く家を出なくてはならないので、コメントがあまりできません・・・ごめんなさい
 昨日の記事とほぼ内容は変わりませんから、図の見方がわからないときは昨日の記事を参考にしてください。

 まず、昨日の夕立(雷雨)のおさらいから・・・・今日の参考になりますから・・・・
 
 昨日の雷雨の始まり・・12時~15時のレーダー画像





 で・・・今日の予想天気図・・・基本的に昨日と大きな変化はなし・・・・




 予想天気図と対応させて気圧配置の変化(ほとんどなし)と、降水の様子・・・・関東甲信の夕立に着目。




 関東甲信にズーム・・・・上昇気流を発生させる風の収束等が発生しやすい場所を赤の点線で・・・




 昨日とほぼ似たような場所。
 そして、 大気の安定度(SSI)等を見ても、関東甲信は極めて不安定・・・夕立はいつでもどうぞという感じ・・・

 発生した雷雲を流す上空の風の様子・・・・





 最後は、太平洋高気圧がそれなりに居座る様子・・・・





 とにかく、図を見て???なら、昨日の記事も併せて眺めてください・・・


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Posted by kasayan at 04:19Comments(2)雑記

2011年07月09日

雷雨予想・・・猛暑の梅雨明け?(7月9日)



 故郷長野にUターンした気象予報士Kasayan。毎朝コツコツ天気予報の老化防止?。おきまりのテレビの天気予報に背を向けて、視聴者目線で「天気予報」をチェックします。


 昨日、四国、中国、近畿、東海地方の梅雨明けの発表がありましたが、九州北部や北陸、関東甲信の梅雨明けの発表はありませんでした

 気象庁が梅雨明けを発表しなければ夏が来ないなんてことはないのですが、梅雨明けの発表をクビを長くして待つ風習?があるのはなぜでしょう・・・・

 気象庁の予報官が決めることなので、外野でどうのこうの言うことはないんですけど、昨日の梅雨明けの発表がなぜ太平洋岸中心になったのか?を含めて今日の天気・・・特に雷雨についてざっくり検討してみたいと思います。




 テレビやラジオの天気予報と同じなので、いまさらという解説ですけど、今日の雷雨の発生場所を考える上では、暖湿流の流れ方がポイントになりそうなので、一応アニメを作っておきました。

 その暖湿流(雨の原料の流れ)の様子ですが・・・・・




 太平洋高気圧が多少西側に張り出してきたので、暖湿流のメインの流れ九州の西側、九州北部をかすめて日本海を経由、北陸をかすめて東北方面の前線に流れ込んでいます。

 このため、昨日梅雨明けの発表があった四国や東海は太平洋高気圧の下降流域・・・比較的乾燥したエリアに入るので、雷雨の発生は少なめ?
 だから発表に思い切った?

 他方、梅雨明けの発表がなかった北陸や関東付近、東北方面は暖湿流のメインの流れにはあたらないものの、多少なりとも暖湿気が流れ込む傾向があるので、強い日射や風の収束、山肌の加熱によって上昇気流が発生すれば雷雨が発生しやすい状態にあります。
 このあたりが梅雨明け発表を押しとどめたのでは・・・・と思うのですが・・・・・予報官はどう考えたのでしょうか?

 今日・・・太平洋高気圧が勢力を強める気圧配置だけを考えると、関東甲信や北陸でも梅雨明け発表をしておかないと発表の機会を失いそうです。
 したがって、今日にも関東甲信あたりの梅雨明けの発表があるかもしれませんが(週末だということも考慮する必要がありますが)、大気不安定による雷雨の傘マークが付きやすい状態がしばらく続きますから、梅雨明け直後の安定した晴天を過剰に期待しないほうが無難でしょう(特にアルプスの登山者)。

 まあ、梅雨明けはどうでもイイとして、問題は今日どこで雷雨が発生するのか?ですよね。




 暖湿流がかすめる九州北部や関東甲信越、東北がアヤシイ地域になりますが、計算上は特に関東甲信に山岳地帯に雷雨が予想されています。
 このあたりは、強い日差しによる猛暑で、長野県の松本付近に熱低気圧(ヒートロー)が発生し(図中の「低」の書き込み)、日本海や太平洋の海風が集まってきやすい場所にあたります。
 また、日本有数の山岳地帯ですから、風が山で強制的に上昇させられたり、暖められて上昇気流が発生しやすい山肌が無数にあります。

 ズームしてみると・・・・




 風が集まり易い場所や強制的に空気が上昇させられやすい場所を赤の点線で示しました。
 もちろん、これ以外の場所でもゲリラ的に雷雲が発生する可能性は十分にありますから、この場所を特に注意すべき場所と考えて、お出かけには携帯で見ることのできる気象レーダーを時々チェックするのがオススメです。

 なお、時間的には高い山では昼頃からそれ以外の場所でも15時前後には可能性が急速に高まります。

 そして・・・・発生した雷雲も同じ場所には留まらず、上空の風に流されますから、そのあたりも考えねばなりませねん。




 上空の風は南西方向ですが、風速が弱いので、似たような場所で雷雨が続くかも・・・・・。

(この計算値・・・計算の解像度が雷雲のスケーを十分にカバーできるものではありませんから、あくまで雷雲発生の「傾向」を見るものと思ってください)

 最後はKasayanの備忘録・・・暖湿流の様子 





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Posted by kasayan at 07:32Comments(2)雑記

2011年07月08日

前線北上、暖湿気でムシムシ、そして不安定(7月8日)



 故郷長野にUターンした気象予報士Kasayan。毎朝コツコツ天気予報の老化防止?。おきまりのテレビの天気予報に背を向けて、視聴者目線で「天気予報」をチェックします。


 今日は暑くなるぞぉ・・・・・というイヤな話の前に・・・・




 先日、高山植物のコマクサを見に行ってきました。
 Kasayanの家から車で1時間ちょっとの万座温泉から徒歩1時間半・・・・志賀高原の本白根山(2171m)で撮影したもの。
 気温は20℃前後の天然クーラーの山はコマクサだけでなく様々な高山植物が咲き乱れていました。

 さて・・・・まずは、昨日からの雨がどうなるのか?から見ちゃいましょう。




 雨のエリアが北上して弱まる・・・さあ梅雨明けだ・・・・と言いたくなる感じがしますが、よく見ると15時あたりに、前線が通り過ぎたはずの九州や四国に降水が計算されています。

 その理由を天気図でチェック。




 太平洋高気圧が北へと勢力を強めるのに、なぜか西へは勢力を強めないので、太平洋の湿った暖かい空気が前線の南側に流れやすい傾向。
 このため、湿った空気がモロにぶつかる九州や四国を中心に雷雲が発生しやすいというわけです。
 そして・・・強い日差しと暖湿気で・・・ムシムシのイヤーな暑さ・・・・・

 そんな太平洋高気圧の様子を上空の天気図でさらにチェックしてみても・・・・




 西への張り出しがイマイチ
 不安定な雨が降り易くても梅雨明け・・・と言ってしまうことはできるでしょうが、雨の量が多ければなかなか宣言をすることはしにくいものです。
 この先1週間の太平洋高気圧や雨の様子については、昨日の記事でまとめてありますので、気になる方はご覧ください。
追記:今日気象庁から東海、近畿、中国、四国で梅雨明けという発表がありました。9月に修正が入るか否かは???ですが、ここで梅雨明けの発表をしないと機会を失うおそれがありますから、ひとつの判断としては妥当かもしれません。ちなみに気象庁が梅雨明けなどの発表をするのは11時頃がほとんどです。というのも、昼のニュースに間に合わせるためです。)

 で・・・・今日午後の不安定な雨の様子を風の流れとからめてチェック。







 今日は西日本中心の雷雨なので、今日は関東甲信のごく一部でのみ雷雨が発生する見込み。
 ただ、明日以降は東日本方面にも拡大しそうですから、スパコンの計算値が微妙に変化しているこの時期・・・・週末の天気チェックは今日夕方以降の天気予報でチェックすることをオススメします。

 ところで、この時期・・・高山植物が咲き乱れ、登山好きには待ちきれない季節ですが、この週末は湿った空気がぶつかって上昇気流が発生しやすい高い山で雷雨の可能性大




 この図は、今日1時の雨の様子ですが、西からの湿った空気がぶつかる北アルプスで降水が多くなっていることがわかると思います。
 登山には特に注意の週末といえそうです。

 最後はKasayanの備忘録・・・・例によって湿った空気が北上する様子と、ジェット気流の様子・・・








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Posted by kasayan at 06:21Comments(2)雑記

2011年07月07日

週間(梅雨明け)予報と週末の天気(7月7日)



 故郷長野にUターンした気象予報士Kasayan。毎朝コツコツ天気予報の老化防止?。おきまりのテレビの天気予報に背を向けて、視聴者目線で「天気予報」をチェックします。

 今朝、更新ができなかったので、梅雨明けが気になる週間予報を中心に天気チェックしてみました。

 まずは、今日の雨や風の様子から・・・




 MSMというスパコンの計算値ですけど、今朝からの気象レーダー画像とほぼ一致していますから、明日にかけてもこんな感じで雨のエリアが北上すると思います。
 南風が暖かく湿った空気を梅雨前線に運び込んで梅雨前線が活発に・・・・ということですね。

 この様子を昨夜、今夜、明日夜の天気図で確認してみると・・・




 梅雨前線がグングンと北上して、あたかも梅雨明け・・・という感じがしますが・・・太平洋高気圧の西(東シナ海方面)への張り出しがイマイチ
 高気圧の西の縁の南西風が暖かく湿った空気を日本付近に運び込むフォーメーションになっています。

 このため、前線が北上しても大気不安定の状態が継続
 湿った空気がぶつかる山肌や上昇気流が発生しやすい場所・・・方向の違う風がぶつかる所などでモクモクと雷雲などが発生しやすい状態が続いてしまいそうです。

 じゃ・・・・週末も不安定な天気が続くの?・・・梅雨明けは?




 どうやら、週末もにわか雨が降り易い状態継続
 太平洋高気圧・・・なんか変な挙動をしています。
 これで西へと太平洋高気圧が張り出していれば、お見事梅雨明けと言えるんですけど・・・・

 週間の天気図と予報も見てみましょう。







 太平洋高気圧の中心は日本の東側
 位置的にはずいぶん北へと勢力を強めるんですけど西へはイマイチ

 網かけの部分が降水域だと書きこみましたけど、ベタっとした雨ではなくて、散発的な雨
 24時間の予想降水域ですから、日本全体が降水域のように見えますけど・・・・・

 太平洋高気圧に特化して、上空の天気図をチェックしてみると・・・・




 日本付近はそれなりに、太平洋高気圧のエリアではあるんですけど、地上付近では・・・暖湿流が流れ込みやすいんですよね・・・・
 梅雨明けといえば梅雨明けともいえそうなんですけど、雨が降り易い状態だと、どうしても梅雨明けの宣言をしにくいと思います。
 こればっかりは予報官の胸先三寸ですね。

 最後は週間の気温の傾向を・・・・




 北日本をのぞいて平年並で推移しそうですけど、平年といっても暑い季節ですから。


 最後はKasyanの備忘録。
 梅雨前線の北上とともに、暖湿気が流れ込むように北上する様子。






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Posted by kasayan at 12:39Comments(0)雑記

2011年07月07日

更新は昼に・・・


 今朝も少々バタバタしてしまったので、今日の更新は週末の天気を含めて昼頃に行いたいと思います。

 (梅雨前線北上とともに暖湿気が東北南部まで北上する様子)



  
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Posted by kasayan at 07:05Comments(0)雑記

2011年07月06日

梅雨前線北上、西から下り坂(7月6日)


 今朝はちょっと忙しいので早めの更新・・・そしてシンプルに・・・・

 今夜の予想天気図よりも、短期予報解説資料の簡易図のほうが分かり易かったので・・・・




 一言でいってしまえば「明日にかけて前線が東北南部まで北上し、前線の活動が活発になるので、激しい雨や落雷・突風・竜巻などに注意」ということになります。

 で・・・・前線の北上に伴って、雨は?風向きは?




 見てのとおり・・・計算に近い天気変化をすると思いますけど、安全マージンをとって考えねばなりません。
 この図は、気象庁発表の予報をイメージするという二次的な使い方をするのが吉です。

 それでは、なぜ梅雨前線が北上するのか?




 太平洋高気圧が明日にかけて勢力を北に強めるから・・・なぜ強まるの?までまとめていたら時間がいくらあっても足りないのでここまでにしておいて・・・・

 なぜ、前線が活発になるの?




 勢力を強める太平洋高気圧から暖かく湿った空気(黄色の部分)が前線の南側に流れ込むから。

 前線に流れ込む強い暖湿気の様子を、前線の北側から拡大して見てみると・・・・・




 前線の北側の乾燥した空気とせめぎ合って、壁のように南から攻めてくる感じがしますよね。

 ということで、今日・明日は下り坂
 西日本中心に大雨警戒モード。

 今日はシンプルで失礼しました。

 (Kasyan備忘録・・・・)








   


Posted by kasayan at 04:20Comments(0)雑記

2011年07月05日

前線南岸に停滞、天気回復も局地的に不安定(7月5日)



 故郷長野にUターンした気象予報士Kasayan。毎朝コツコツ天気予報の老化防止?。おきまりのテレビの天気予報に背を向けて、視聴者目線で「天気予報」をチェックします。

 いきなりですが、昨夜の実況天気図と、今夜の予想天気図から・・・・




 梅雨前線がゆーっくりと南下して太平洋岸に停滞

 前線がかかる九州方面では、引き続き暖かく湿った空気が流れ込みやすく、大雨のおそれが続きますが、その他の地域は梅雨前線の北側の比較的乾燥した空気に覆われて、天気が回復し、比較的カラッとした晴天

 ただ、天気が回復する地域でも、上空には寒気があるので、地上付近で風が集まったり(収束)、気温が上がって、空気が上昇する場所では局地的に雷雲が発生するおそれがあります。
 
 ・・・・テレビやラジオの天気予報では、だいたいこんな解説があると思いますが・・・そんな気圧配置から計算される具体的な雨の様子をチェックしてみましょう。




 梅雨前線はなだらかな「U」字を描いて南岸に停滞するので、前線がかかる九州や、前線に近い東海~関東の沿岸部ではぐずつき気味
 一方、前線の北側でも、関東甲信地方では、山沿いを中心に降水域が点在していて、不安定な空模様がうかがえます。

 不安定な空模様・・・雨の様子を風の様子と絡めてチェックしてみると・・・・




 前線の北側でも、長野県に低圧部が発生・・・・日本海側や太平洋側から低圧部に風が流れ込むようです。

 ズームしてみると・・・・




 例によって、風が集まる場所や、山岳にぶつかって強制的に上昇させられる場所で降水の計算。
 とりあえず、雷雲が発生しやすそうな場所を赤の点線で表示しておきましたが、発生した雷雲を押し流す上空の風は西寄りの風なので・・・関東平野部(埼玉付近?)も雷雨のおそれがあります。
 また、関東平野部にも気温上昇による熱低気圧が発生して風が収束する可能性もあるので(計算値も計算の度にコロコロ変化する傾向)、降水エリア(青)に気をとられず、携帯でもチェックできる気象レーダーなどを使われることをオススメします。

 ところで、風が集まって空気が上昇しても、周辺の空気が冷たくないと、空気を上昇させるパワーが弱く、雷雲の発生も弱いものになるのですが・・・・




 上空5800m付近には-6℃以下の寒気がスタンバッています。

 また、集まる風が湿った暖かい空気であるほど空気が上昇するパワーが強く、湿った空気であるほど雨を降らせるパワーが強くなりますが・・・・




 九州、四国、東海・関東の沿岸部・・・前線付近に暖かく湿った空気(高相当温位)が流れ込むとの計算値。
 上空に寒気があって、空気が集まりやすく、湿った空気が地上付近にそこそこ流れ込んでいる場所・・・・関東甲信付近で雷雲が特に発生しやすくなるようですね。

 以上で今日のチェックは終わりですが・・・九州南部・・・気象庁は梅雨明けを宣言してしまいましたけど・・・懸念していたように、9月にはその時期の修正があるでしょうか?


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2011年07月04日

全国的に雨模様、北日本中心に大雨注意(7月4日)



 故郷長野にUターンした気象予報士Kasayan。毎朝コツコツ天気予報の老化防止?。おきまりのテレビの天気予報に背を向けて、視聴者目線で「天気予報」をチェックします。

 昨日夕立の予測をしてみたので、その検証から・・・・・

 昨日の気象レーダーと、昨日朝の夕立発生可能性場所の予想を比較・・・・







 一昨日長野県北部付近を中心に計算値が過大になる傾向があって、太平洋岸ほど計算値に近い結果になっていましたが、昨日は正反対・・・・・全般に過大に計算される傾向にありましたが、日本海に近い地域ほど計算値に近い結果になっていました。
 (気象庁レーダーでは不明瞭な雷雲をとらえるため、河川情報センターのレーダーを掲載しています)

 日本付近に流れ込む暖湿流の位置や雨を降らせるパワーの程度によって雷雨が発生しやすい場所が異なります。
 東京や埼玉の西部の予報・・・「所により・・・雷・・・」は、ハズレに近いものになりましたが、ハズレと思われる場所でも積乱雲に至らない雄大積雲などが発生していたと思われますから、”落雷”に注意する上では、単純にハズレと評価できるものではないと思います。

 さて・・・今日は、コマゴマとした地域を考える必要がないほどの雨模様が予想されています。
 まずは、天気図「何がおこるのか?」をチェックしておきましょう。




 発達した低気圧の北日本接近(明日にかけて通過)と、梅雨前線の日本海からの南下の二つがポイント。
 
 さっそく、前線の南下に伴って、前線の雨域の位置がどのように変化するのかをチェック。




 コメントが必要ないほどですが、降る雨はシトシトの雨ではなくて、ザッと降っては止んで、またザッと降る夕立のような雨
 東北被災地や震度5強の地震があった長野県の松本付近では、ザッと降りだしたら土砂災害・・・を頭にチラッと思い浮かべてください。

 今朝はいつもの具体的な風の様子の図は掲載しませんけど、上のアニメで明らかなように、前線の接近に伴い、全国的に南~南西の風がメインになるはずです。

 さて、テレビでもラジオでも「前線が南下するため」とか「前線上の低気圧が発達するため」という解説がされると思いますが、「なぜ、前線が南下するの?」という解説はあまり聞かれないと思います。




 これ・・上空の天気図ですが、上空の低気圧が北海道付近へと東進
 前線の南側は上空の気圧の谷になっていて次第に深まりながら東進していることがわかります。
 この低気圧に太平洋高気圧が押し下げられて、低気圧と太平洋高気圧の間の梅雨前線も南岸まで南下することになるわけです。

 そして・・・この上空の低気圧・・・・寒気を伴っています。




 このため、冷たい空気と地上付近の暖かく湿った空気の相互作用で、前線が活発になります。
 そして・・・・前線が通過すると、気温は下がる傾向




 これは、前線が早めに通過する新潟県上越市の時系列予報ですが、明日朝にかけて気温が下がりっ放し
 明日日中、日差しが出ればすぐに気温は上昇すると思いますが、朝は比較的涼しいと思います。

 お住まいの地域の時系列予報は・・ http://www.jma.go.jp/jp/jikei/

 この図では、気温の変化に加えて、前線の接近に伴い雨が降り出すタイミングもチェックできるはずです。


 最後はKasayanの備忘録・・・またまた今日の暖湿流の様子。
 3Dの画像を見ると、前線付近で暖湿気が壁のように上空まで上昇していることがわかります。
 活発な前線活動・・・ですね。







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Posted by kasayan at 07:35Comments(0)雑記

2011年07月03日

今日も各地で不安定、西から下り坂へ(7月3日)


 昨日、関東甲信地方の夕立(雷雨)の発生の可能性を予測してみたので、まずはその検証を・・・・







 南信方面の予測はほぼOKでしたが、北信や上越国境付近については、発生時間と発達の程度が過大になっていたように感じています。
 今日はどうでしょうか?

 まずは予想天気図でポイントをチェック。




 西と北で日差しが少なく、関東甲信で強い日差し。
 ただ、今日も不安定・・・・

 明日にかけて天気が下り坂に向かう理由を、上空の天気図でもうちょっと詳しく見ておきましょう。




 上空の低気圧・・・寒気を伴っていますが・・・この低気圧の南側の気圧の谷が深まりながら今夜には山陰付近まで。
 上空の気圧の谷に対応して、地上付近では低気圧が発達しますから、天気は下り坂
 前線付近でも天気は悪化。
 明日朝の天気予報は必ずチェックしたいところです。

 で・・・具体的な今日の雨の様子




 ゆっくりと変化するので、6時間おきのアニメにしておきましたが、前線の東進に伴い、低気圧付近だけではなく、前線の雨域活発になって東進するのがわかります。

 風の様子もからめてみると・・・・




 西は暖湿気を運びこむ南風が影響しているようですが、関東甲信から東北にかけては局地的な風の収束が影響しているようです。

 関東甲信にズームすると・・・




 上で見た昨日とは異なった風・・・・収束する傾向も微妙に異なります。

 点線付近で雷雲の発生の可能性が高く、雷雲を流す上空の風は西南西方向
 実際はどうなりますやら?
 いずれにせよ、南西方向に黒い雲が見えるようなら、特に気をつけたいところです。


 最後は例によってKasayanの備忘録・・・・前線や上空の気圧の谷とジェット気流の関係。






   


Posted by kasayan at 08:34Comments(0)雑記