2011年07月21日
台風去っても影響残る、猛暑ひと段落?(7月21日)
今朝は南下する台風6号の影響・・・・ノロノロした台風6号の影響がどれだけ残るのか?いつまで残るのか?を考えてみたいと思います。
まず雨の様子。

アニメにするほどではなかったので、朝と夜の二枚の計算値を並べてみました。
台風に近い関東付近が最後まで不安定な空模様。
また、紀伊半島付近や山陰方面でも弱い雨が計算されています。
風とからめて詳しくチェックしてみると・・・

台風の東寄りの風とオホーツク海高気圧から吹きだす北東の風がぶつかって弱い前線が形成され、前線の先端が関東付近に影響しているようです。
回復傾向ですけど、午前中は不安定な天気が続きそう。
そこで、前線ができる様子をチェック。

北海道の北にあるオホーツク海高気圧から吹きだす北東風が冷たい空気を北日本に運び込み、さらにこの空気を、台風が掃除機のように関東付近まで引っ張り込んでいます。
この寒冷空気が台風の暖湿気との間に弱い前線帯を形成。
もっとも、台風が冷涼な空気を運びこむなら、猛暑はひと段落のはずなので気温の様子もチェック。

やっぱり上空には周囲の空気とは明らかに異なる15℃の冷涼空気が北東風に乗って東日本に流れ込んでいます。
日中の日差しで気温はそこそこ上がるでしょうけど、猛暑ということではなさそうですね。
では、寒冷空気を引っ張り込む台風の風の強さはどうでしょう?

午後3時の段階でも、関東南岸で15メートル以上の強風が予想されていますから、強風への注意は継続といったところ。
風が強ければ当然波も高そうですが・・・・・

明日の夜になっても関東沿岸では4mの高波が予想されていますから、週末土曜もマリンレジャーには注意が必要になりそうです。
以上で、台風の影響のチェックは終わりにしますが、台風は相変わらずノロノロ・・・ノロノロの原因を今日も一応チェック。


台風の動きに影響を与える上空の強い流れはまだまだ遠く、強い流れのずっと端っこの(岸辺の)弱い流れにゆっくりと流されることになりそうです。
ところで・・・・今日はKasayan・・・ちょっとウキウキ・・・・
天気とは全然関係ないんですけど・・・10年以上乗り続けた車を買い替えることを決意・・・・ついに流行のハイブリッドに手を出すことにしたので、今日は車の契約をしようかと・・・・
ご意見・ご質問等は、コメント欄・メール(kasayangw@yahoo.co.jp)にてどうぞ。
可能な限り返信いたします。

(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)
2011年07月20日
台風6号進路予想と雨・風の様子(7月20日)
台風6号も明日朝にはひと段落しそうですから、ノロノロと進む台風にイライラしていた農業・漁業、交通関係、役所の防災担当の方々・・・・もう一日の我慢・・・・・・・
さて、いつものように1時間降水量、地上の風と等圧線のアニメ。

昨日まではGSMという計算値でアニメを作っていましたが、今日は解像度の高いMSMという計算値でアニメを作ってみました。
台風本体の雨は、南から暖湿気(雨の原料)が流れ込みやすい台風の東側がメイン。
今日は東海から関東が中心になりそう。
一方、台風から少し離れた東北南部付近でも強い降水。
どうやら北海道の北にあるオホーツク海高気圧からの吹き出しの風・・・・三陸沿岸ではヤマセと呼ばれている冷たい北東風と、台風の東側の暖かく湿った南風がぶつかりあって前線が形成されるようです。
そこで前線が形成される様子をチェック。

南風が運ぶ暖湿空気と、北東風が運ぶ乾燥冷涼空気がぶつかりあって前線ができる様子がはっきりと現れています。
もっと分かり易いように立体的に・・・・

このように、台風本体だけではなく、前線の雨にも注意が必要になりますが、幸いなことに台風は南下傾向。
なぜ南下するのか?・・・・その様子を上空の天気図でチェック。

北海道の北東上空には寒気を伴った低気圧(寒冷渦)があって、その周辺は反時計回りの強い北西風の場。
その縁辺の弱い北西風は東北南部~関東北部付近で吹いていますが、紀伊半島付近にある台風への影響はわずか。
他方、太平洋高気圧の中心は日本の南東はるか沖にあって、高気圧縁辺の南西の流れも南岸はるか沖なので、こちらも台風への影響はごくわずか。
台風は太平洋高気圧縁辺の弱い流れに流されつつ、次第に上空の低気圧の北西風の影響を受けて南下する・・・ということのようです。
これを立体的に見てみると・・・・・

本当に強い空気の流れは、上空10キロメートル付近の高い所にあります。
この本流からかなり離れた弱い流れが作用するというわけですね。
おおざっぱに状況をつかんだところで、今日の雨の様子を風とからめて詳しくチェックしておきましょう。


基本的に、暖かく湿った空気が山にぶつかって降らせる雨が中心。
特に降り易い場所をチェックしておきましたが、風向が変化すれば降り易い場所も変化します。
気象レーダーをチェックすると同時に、アメダスの風向風速データをチェックして、雨と風の関係を常に把握していると、目先の降り易い場所を予想することができると思います。
12時50分追記:最新の計算値では、関東甲信の降水量がずいぶん少なく計算されています。南岸は引き続き大雨の可能性が高いと考えるべきですが、関東甲信の北部の降水は若干割り引いて考えて良いかもしれません。
最後・・・風は予想進路図の強風域・暴風域をチェックしつつ一番上のアニメを見ていただければ状況把握ができると思いますが、例によって、台風の予想進路図は、気象庁をメインにして、米軍予想をセカンドオピニオンとして使うのがオススメです。
気象庁進路予想図: http://www.jma.go.jp/jp/typh/110624d.html
米軍進路予想図: http://www.usno.navy.mil/NOOC/nmfc-ph/RSS/jtwc/warnings/wp0811.gif
(米軍進路予想図(JTWC)の表示時間は世界標準時なので、+9時間してください)
ご意見・ご質問等は、コメント欄・メール(kasayangw@yahoo.co.jp)にてどうぞ。
可能な限り返信いたします。

(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)
2011年07月19日
台風6号予想進路と風や雨の様子(7月19日)
台風6号も今日からが本番といったところ。
テレビでは天気予報だけでなく、ニュースでもトップ項目に挙がるようになっています。
「台風が大型で勢力が強く、速度が遅いから西日本(四国方面)中心に荒天が長時間続き、台風に先行して東日本でも南岸中心に大雨が継続するから注意して」という話が、どのチャンネル、どの番組でも聞かれるはずですから、Kasayanのブログでは、テレビの天気予報では放送してくれない情報にこだわってまとめていきたいと思います。
まず、台風の予想進路図ですが、3時間毎に更新されてしまいますから、書きっぱなしのブログに引用するのは好ましくありません。
速度が遅いため、フラフラと進みそうな台風6号の予想コースをチェックするには、更新頻度の多い気象庁のHPの予想進路図を主にして、米軍の予想進路図をセカンドオピニオンとして使うのが効果的な使い方だと思います。
気象庁進路予想図: http://www.jma.go.jp/jp/typh/110624d.html
米軍進路予想図: http://www.usno.navy.mil/NOOC/nmfc-ph/RSS/jtwc/warnings/wp0811.gif
(米軍進路予想図(JTWC)の表示時間は世界標準時なので、+9時間してください)
では、気象庁の通常の予報の中核に位置するGSMというシミュレーションモデルの計算結果を使って、明後日(21日)にかけての台風の位置、雨と風の様子をチェックしてみましょう。

色塗りは1時間降水量で、青<黄色<オレンジの順で降水量(mm/h)が多いことを意味しています。また、風向風速は矢ばねで表示されており、青<黄緑<緑の順で風速が強いことを意味します。(図左スケールの風速はノット表示。1/2にするとm/sになります)。
反時計回りに風が台風に吹き込み、風が陸にぶつかる台風の東~北東側の太平洋沿岸で降水量が多く計算されていることがわかると思います。
(あなたの頭上の風や雨は今後どのように変化するでしょうか?読みとってみましょう)
また、昨夜21時の観測値にもとづいて計算されたこの計算値では、高知県東部に上陸し、徳島県方面を経由して紀伊半島南部に南下することを示唆していますが、これは今朝の気象庁発表の予想進路図とほぼ一致しています。
次に、気象庁が防災用と位置付けている解像度の高いMSMという別の計算値で、同じく今日から明日(20日)朝にかけての様子をチェックしてみましょう。

GSMモデルと同様、台風の速度が非常に遅く、明日朝になっても四国付近に台風が位置していることが分かります。
もっとも、台風の上陸地点が足摺岬付近、瀬戸内海を通過する点がGSMモデルと異なっています。
気象庁では台風専用のシミュレーションモデルを使い、統計的手法も用いて予想進路図を発表していますが、台風の速度が遅く計算値が多少ふらつく現状では、MSMモデルのように進むことも十分に考えられます。
どちらかにしてくれ・・・と思われるかもしれませんが、雨の予想については大勢に影響はありません(風上斜面は多少変化しますが)。
ただ、風向については場所によって(四国南岸?)台風の中心がどこを進むのかで180度変わってきますから。特に高潮に関しては発生しやすい場所も変化します。湾口が風上に開いていないからといって安心せずに安全マージンをとった対策が必要でしょう(そもそも誤差範囲を考慮した予報円内の話ではありますが)。
このように計算値がバラツクのは、自転車をゆっくり走らせるとハンドルがグラグラしてしまうのと同様、台風の速度が遅いということが原因です。
では、なぜ台風の速度が遅いのでしょう?・・・台風を東に流す上空の早い流れと台風の位置関係を、今日のデータで立体図にしてみました。

台風の強風・暴風エリアが北日本を流れる強い流れから孤立しています。
北日本にわずかに張り出した太平洋高気圧に北上を遮られ、日本の東側にある上空の低気圧の流れに乗るまでは、太平洋高気圧縁辺の弱い流れにノロノロと流されることになるからです。
(Uターンするように南下する理由については、太平洋高気圧との関係について昨日の記事参照)
ノロノロと四国付近を進むと四国付近の降水量が急激に増えてきます。
なぜ、四国や本州太平洋岸で雨が多くなるのか?・・・雨の原料・・・暖かく湿った空気の様子をチェック。

暖かく湿った空気が、まるで竜巻のように湿った空気が渦を巻いて太平洋岸に流れ込んでいるから・・・ですね。
最後は、昨日同様、今朝の実況データを用いながら、台風チェックに多用するであろう気象レーダーやアメダスの効果的なチェック方法をまとめておきました。



各データの使い方を図中に書き込んでおきましたが、オススメのHPはやはり気象庁のHPです。
見易さはもちろん、重要なのはデータの更新時間が明記され、読み方までレクチャーしてくれています。
最新のデータを正しく読むという基本を守るためには、他の情報の追随を許さないといってイイと言ってよいでしょう。
気象庁HP: http://www.jma.go.jp/jp/radnowc/
積算雨量:http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/mdrr/pre_rct/index24_rct.html
降水量・強風等の詳細情報(文章): http://www.jma.go.jp/jp/typh/typh_text.html
自分で実況を把握したあと、上のアニメなどで雨の降り方や風の変化を予想される方も多いと思いますが、そんなときは必ず地元の気象台の予報官の頭の中(予報文)と比較してください。
予報官は、計算のふらつきや、安全マージンもしっかりと考慮して予想をしているからです。
予報文:http://www.imocwx.com/yohoud.htm
様々のデータをチェックするのはイイことですが、それだけではデータを生かすことができません。
総合的に考える・・・・難しそうですけど、それぞれのデータが互いに発生している現象の理由になっていると思いながらチェックすると新たな発見があるはずですよ。
今日も状況の変化などに気付いたら、不定期にこの記事に追記をしていきたいと思います。
19日03時40分発表 短期予報解説資料抜粋
「①台風第6号は、発達のピークを過ぎているが、この後も強い勢力を維持しながら、19日夜には、西日本太平洋側に接近・上陸する見込み。台風の北上に伴い西日本の太平洋側では、猛烈な風(四国沿岸40m/s)が吹き、西日本太平洋岸・東海では猛烈なしけとなる見込み。暴風や高波に厳重な警戒が必要。20 日には、台風は進路を東にかえて本州南岸を進む見込み。東日本でも、暴風や高波に警戒が必要。速度が遅いため、西日本・東日本では長時間台風の影響を受ける。
②東日本太平洋側では、20 日にかけて台風の外側をまわる暖湿気の流入し、地形性効果による降水が継続して降水量が多くなる。西日本では、台風本体の発達した雨雲もかかり、20 日にかけて1 時間80ミリを超える猛烈な雨が降るおそれがあり、降水量が更に多くなり大雨による低地の浸水、土砂災害、河川の増水やはん濫に警戒。また、台風が接近する時、やや離れた所で竜巻などの突風が発生することも多く、発達した対流雲周辺では注意が必要。
③西日本太平洋側では、19 日には満潮時を中心に高潮に注意・警戒が必要。20 日は東日本太平洋側でも高潮のおそれがある。」
10時20分追記 四国・紀伊半島中心の強雨になっていますが、関東北部でもまとまった雨になっています。 湿った空気がぶつかり強制上昇する地形効果がよく現れているので、レーダーとGoogleEarthを重ね合わせたものを掲載しておきます。レーダーとアメダスの風向風速データと組み合わせてチェックすると理解しやすいのではないでしょうか。 ![]() |
14時30分追記 足摺岬付近の台風6号の気象レーダー画像と、アメダス風向・風速データの関係。 ![]() |
19時15分追記 台風6号の予想進路が南東進する根拠。 ![]() ![]() |
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可能な限り返信いたします。

(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)
2011年07月18日
台風6号進路予想と風や雨の影響(7月18日)
テレビニュースでも、なでしこジャパンの次あたりに台風6号のニュースが挙げられてきましたから、このブログでは、テレビやネットのニュースや天気予報とは異なる視点で、台風情報をまとめていきたいと思います。
(今日のブログ更新が遅れた理由・・・分かりますよね・・・?・・・おめでとう!!)
したがって、一番気になるであろう台風6号の予想進路図については、日本の進路図の総本山・・・気象庁のHPでチェックし、セカンドオピニオンとして米軍の進路図をコマメにチェックしてください。
(台風接近に伴い、中心の位置関係が風向を知る重要なポイントになりますから、ブログへの引用はご法度。最新の情報でチェックしないとダメです)
気象庁進路予想図: http://www.jma.go.jp/jp/typh/110624d.html
米軍進路予想図: http://www.usno.navy.mil/NOOC/nmfc-ph/RSS/jtwc/warnings/wp0811.gif
(米軍進路予想図(JTWC)の表示時間は世界標準時なので、+9時間してください)
まずは、GSMという気象庁の天気予報の中核を担うシミュレーションデータから・・・広い画格で台風に伴う風や雨の様子を大ざっぱに把握しておきましょう(コメントはアニメに書き込んでおきました)。

繰り返しになりますが、ポイントは二つ・・・台風の速度が遅いので激しい雨や風が長時間続くこと、台風に先行して流れ込む暖湿流によって、台風接近前に南岸を中心に強風や大雨が続くおそれがあるということ・・・です。
15時追記 MSMという気象庁の計算値の最新結果が発表になりました。 ![]() 15時現在、気象庁・アメリカ軍の予想進路はいずれも四国方面への上陸を示唆していませんが、今後四国に上陸するコースに修正される可能性がでてきました(GSMでも同様の傾向)。したがって、17時以降、最新の予想進路図をチェックし、情報をアップデートすることをオススメします。 なお、台風進行に伴い起こりうることについては、上と下に掲載したアニメとほぼ同様と思われますので、アニメ中の台風の中心位置を予想進路図で修正して考えてください。もっとも、四国南岸では風向の変化が南東→南→南西→北西まわりで変化する可能性がありますので、イメージの修正には注意が必要です。 |
では、大ざっぱに台風の動向を把握したところで、地域別に「何が起こりそうなのか?」を、ズームした図で考えてみましょう。

今回は九州東岸・四国南岸・東海南岸を東進するので、風向は南東→東→北→北西という傾向で変化。
台風の強風は湿った空気を運んでくるので、風がぶつかる風上側の斜面で特に大雨のおそれがあります。
また、台風の中心が接近すると海面が吸い上げられ、風によって海水が吹き寄せられるので、風上側に湾口が開いている湾の奥では高潮のおそれが高くなります。
これらの点を意識しながら上のアニメを見ると、自分の地域では何が起こるのか?をある程度予測できると思います。
では、今日の台風の影響に絞り込んでもっと風や雨の様子をチェックしてみましょう。



西日本では、暖湿流がぶつかる風上側の山の斜面中心にまとまった雨が予想されていることがわかります。
他方、東日本には南から台風の暖湿気が流れ込み、ここ数日とは異なり、雷雨が発生する可能性が高くなっています。
特に太平洋岸の静岡や愛知方面では、平地でも雨が計算されています。

では・・・雨はどれだけ降るのでしょう?
雨は台風特有の降り方・・・ドッと降っては止んでまたドバッ・・・という降り方をしますから、一定の時間帯の降水量を考える必要があります。
これは自分で計算するより、気象庁発表の台風情報(ニュースで「いずれも多い所で○○ミリ」と言っているヤツの原本です)を読むのがオススメです。
気象庁台風情報: http://www.jma.go.jp/jp/typh/typh_text.html
(「位置」と書かれていない最新の情報でチェックします)
どうです?・・・「何が起こるのか?」を把握できましたか?
それでは、ここで、お住まいの地域の予報文をチェックしてみましょう・・・・各地の気象台が「何が起こるのか?」をどのように把握しているのか?・・・自分のイメージと比べてみるわけです。
予報文: http://www.imocwx.com/yohoud.htm
どうですか?自分のイメージと同じですか?
以上の作業で、気象庁の予報を根拠から把握ができるはずです。
さて、今回の台風・・・・・ゆっくり北上したかと思うと、いきなり東に急カーブしますが・・・なぜでしょう?

日本付近を太平洋高気圧が覆っていて、台風の北上を阻止。
20日にかけて太平洋高気圧が弱まるので、高気圧の北の縁辺の弱い風と、北海道の東にある上空の低気圧に伴う流れに乗って東へ進み、驚きの南東進をするということになります。
台風を流す強い流れがあると、台風も速度を上げてサッサといなくなるのですが、強い流れははるか北を流れていて弱い状態・・・そんな状況を分かり易いように立体図にしておきました。

さて、一応台風に関する情報をまとめた所で、これからは「何が起こるのか?」ではなく、「何が起こっているのか?」という現状を把握することも重要です。
ネットではアメダスや気象レーダー、衛星画像などを自在にチェックすることが可能ですが、それらをどう利用するかによって、得られる情報はずっと多く異なります。
そこで、オススメは頭の中で情報を合成するということ・・・・
気象レーダーで雨雲の様子をチェックされることも多いと思いますが、チェックするときは必ず地図と重ね合わせて立体的に考えます。

暖湿気が(山岳など)どこに集中して大雨になっているのかを知ることで、今後の大雨の予測ができます。
さらに、衛星画像とも重ね合わせて考えます。

断続的に降る雨の止むタイミングや降るタイミング、強まりや弱まりを雲の流れという広い視点からイメージすることができます。
また、アメダスで風の様子をチェックすることがあると思いますが、漠然と風向をチェックするのではなく、風向と台風の位置関係を把握して、今後どのような風向変化をするのか?を推定してみましょう。

そして、最後は、情報を総合的に頭の中で組み立て、台風の進路予想に重ね合わせ、台風が通過していくに当たって起こる一連の現象を連続でイメージするわけです。
メンドクサそうですが、ほんの少しでもこのように意識するだけで、同じ情報を何倍にも生かせるはずですから、是非試してみてください。

これから、しばらくは、台風の進行に伴って気付いたことがあれば、不定期に追記や更新をしてみたいと思っています。
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(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)
2011年07月17日
台風6号予想進路、台風の影響始まる(7月17日)
今日も台風6号の予想進路と、「何が起こるのか?」について・・・・
一般的な台風予想進路図は、観測値によって頻繁に更新されますから、更新頻度の少ないブログ等でそのまま引用するのは不適切だと思います。
そこで、気象庁・米軍の予想進路図で最新の情報をチェックしていただくとして、気象庁の天気予報の中核を担っているGSMという計算値(風向風速・1時間降水量・等圧線)のアニメで「何が起こるのか?」を中心にまとめてみたいと思います。
気象庁5日間進路予想: http://www.jma.go.jp/jp/typh/typh5.html
米軍進路予想図: http://www.usno.navy.mil/NOOC/nmfc-ph/RSS/jtwc/warnings/wp0811.gif
(米軍進路予想図(JTWC)の表示時間は世界標準時なので、+9時間してください)

まずは、広い画格で台風の進路と、雨の様子をおおざっぱにチェックしておきましょう。
GSMでも、17日午前3時の(気象庁・米軍の)台風予想進路図とほぼ同じコースを進むことが計算されています(昨日の記事に掲載した図ともほぼ同じですから、計算も比較的安定しているようです)。
まず、今日(17日午後)から明日(18日)にかけ、台風本体の接近に先行して流れ込む湿った空気の影響で、九州~東海の沿岸部でまとまった雨が降り始めます。
そして、台風は東寄りの転向するため、明日(18日)夜から明後日(19日)にかけていったん速度が遅くなり、九州・四国方面に長時間影響を与えることになります。
その後、20日にはやや速度を上げながら、紀伊半島付近に上陸あるいは南を通過して21日朝には関東の東海上へ抜けるということが読みとれます。
ポイントは、非常にゆっくりと日本付近を通過するということ、非常に発達した状態のまま接近し通過していくということ。
つまり、長時間の激しい雨や風が予想されることになります(海水温が高いから・・一昨日の記事参照)。
また、強い風と発達したまま(中心気圧が低い)沿岸部を通過するとなると、さらに気になるのは高潮。
低い気圧による海面の吸い上げ効果、強い風による海水の吹き寄せ効果、湾奥などの地形的要素が高潮の原因に挙げられますから、台風の中心に近くで風下にあたる湾の満潮時が要注意になります。
上の図をズームしたアニメも作っておきましたから、ご自分の地域では何が起こるのか?をじっくりと考えて、何を対策すべきかを考えていただきたいと思います(青<黄<赤の色塗りは1時間降水量、矢羽根は風向風速を意味しています)。

なお、台風の波の影響は昨日から出始めていますが、風や雨に先行して波はすでに台風モード。

明日夜、九州南部では10メートルを超える波浪が予想されています。
(テレビの中継を出すなら鹿児島県の佐多岬でしょうね・・・・)
・・・なんだか・・・ありきたりの天気予報みたいなコメントになってしまって、Kasayanとしてはなんだか面白くないんですけど・・・
防災情報であるということと・・・たぶんこれから数日間、以上のようなコメントがテレビやラジオの天気予報で何度も耳にするでしょうから、早めにまとめておくことにしました。
(なんで面白くないのか?・・どうして速度が遅いの?なんで急に東へ曲がるの?を詳しく説明していないからですね・・・。できれば明日あたりにでも・・・・)
なお、予想進路は、今後も微妙に変化してくる可能性は十分ありますが、「何が起こるのか?」については上のアニメと大きく異なることはないと思います。
予想進路が変わったら、上のアニメの中心位置を修正して考えればOKです。
一応、台風の雲や風、台風に伴う湿った空気の様子をイメージしやすいように、立体図を作っておきました。



さて、今日の天気も一応チェックしておかなければ・・・・
予想天気図に解説を書きこむだけの時間がなくなってしまったので、短期予報解説資料というプロ用に資料に掲載されている簡易図を引用加筆しました。

今日も猛暑・・・台風からの湿った空気の流れ込み方次第では、ジリジリの猛暑からジメジメの猛暑へと変化します・・・特に西日本。
また、ジメジメの原因は雨の原料になりますから、湿った空気次第で夕立(雷雨)の発生の程度も変わってきます。
ということで、今日の夕立予想もかなりアヤシイものですけど、一応チェックしておきました。


いつもと異なり、全国の図には下層雲(紫)の様子も表示させてみました。
台風の外側の雲が南岸にかかってくる様子がわかると思います。
関東甲信方面の夕立の予想に関しては、暖湿気の影響が読み切れませんので、昨日同様非常にアヤシイものです。
したがって、雷雨ではなくて、雷雲の発生可能性のひとつの目安にしていただきたいと思います。
(「山沿い中心の雷雨」と言ってしまえば簡単なんですけどね・・・・)
赤の点線エリアでモクモクの雲がわきやすく、時折局地的に雷雨が発生するといったイメージです。
PS.
皆さん、米軍の台風予想進路図がお好きなようですが、米軍のほうが当たるとか、分かり易いということはないと思います。
米軍の予想が修正され、次第に気象庁の予想に近くなることも多々あります(今回もそう)。
また、気象庁の予想図も、中心を結んだ線に着目すれば、米軍と同じです。
誤差まで考慮してくれている点で、気象庁の発表はむしろ親切かもしれないと思うんですけど・・・・
ただ・・・米軍といえば・・・なんだか当たりそうな気はしますよね。
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2011年07月16日
台風6号予想進路と雨と風、局地的雷雨続く(7月16日)
今日も台風6号・・・・予想進路と、予想進路よりずっと大切な「何が起こりそうなのか?」についてチェックしておきます。


一昨日から掲載しているGSMという計算値は一貫して日本の南岸をかすめるように台風を東進させており、当初、西日本上陸・北上を示唆していた米軍の計算値も南岸東進に変化してきていますから、この線で、コースは固まってきたようです。
となると、南岸には台風の暴風・強風域がかかるとともに、台風に反時計回りの吹き込む風が非常に湿った空気を台風の前面に運び込み、大雨の嵐になるおそれがでてきます(昨日も書きましたが高潮もですね)。
その様子(風:矢ばね、強雨:赤エリア)もアニメにしてみましたが、台風の中心が計算値より南北に100キロ程度ズレて通過した場合、自分の頭上の風はどのように変化するのか?雨はいつごろから強まり始めるのか?を安全マージンをとってイメージしておかれるのが良いと思います。
なお、一般的な予想進路図は観測結果にもとづいて時々刻々と変化するものですから、最新の情報をチェックする必要があります。
ブログのような書きっぱなしの情報源にそのまま転載するのはかえって不親切、不適切ですから、最新の予想進路図をチェックした上で、上のアニメを頭の中で適宜修正してイメージするようにしてください。
気象庁5日間進路予想: http://www.jma.go.jp/jp/typh/typh5.html
米軍進路予想図: http://www.usno.navy.mil/NOOC/nmfc-ph/RSS/jtwc/warnings/wp0811.gif
(米軍進路予想図(JTWC)の表示時間は世界標準時なので、+9時間してください)
そして・・・台風によって、目先に問題になりそうな沿岸の波浪の高まりの様子。

今朝の段階では2メートルそこそこの波が予想されていますが、明日の夜には5メートル前後の波が太平洋岸に押し寄せてきます。
あれよあれよという間の高まりですから・・・・いわずもがなですね。


(今夜24時、台風6号の暴風域、高相当温位域(暖湿気の多いところ)立体予想図)
ということで、台風の次は、今日の天気をチェックしておきましょう・・・・台風だけでちょっと疲れちゃいましたけど・・・・・

昨日の記事と全く同じ書き込みになりそうなので、短期予報解説資料というプロ用の資料の中から、簡単な解説図を抜粋しておきました。
ようは・・・今日も前線のかかる北海道を除いて、太平洋高気圧の覆われて、ジリジリの晴天。
気温上昇によって、山沿いを中心とした局地的な雷雨のおそれ・・・・ということになります。
で・・・今日も、一応・・・雷雨の予想はしておきますが・・・・・


昨日の予想も偶然?そこそこ当たっていたと自負しているのですが・・・・今日はますます分からないというのが本音です。
基本的に日本付近は太平洋高気圧の下降流エリア・・・・(相対的ですけど)乾燥した空気に覆われています。

つまり雨の原料が少ないので、モクモクと雲がわいても夕立の雨に至らない場合も非常に多いわけです。
少ない雨の原料がどこに集まって雨にまで至るのか?ただでさえ、計算値の限界を越えた無茶な予想をしているわけですから、ますます難しいというのが本音。
もっとも、雷雨に至らなくても落雷のおそれはあるわけですから、あくまで落雷を避けるという目的のひとつの目安にしてみてください。
ところで話は変わりますが・・・昨日、チャンスに恵まれて、長野県の放射線観測施設と世界でも有数の松代の精密地震観測所を見学することができました。
東日本大震災のデータなども見てきましたが、いずれこのブログでご紹介したいと思います。


ご意見・ご質問等は、コメント欄・メール(kasayangw@yahoo.co.jp)にてどうぞ。
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(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)
2011年07月15日
台風6号予想進路、猛暑続き雷雨も局地的(7月15日)
昨日に引き続き、GSMという気象庁の天気予報の中核を担うスパコンの計算値で作った台風6号のアニメから。

台風6号の接近に伴い、この図から読みとれることをちょっとだけ書きこんでおきました。
昨日も書きましたが、気象庁では台風専用の計算値なども使って総合的な予想をしているので、あくまで一つの計算値が教えてくれること・・・として客観的に受け取っていただきたいと思います。
もっとも、計算値が比較的安定していることから、多かれするなかれ、「現時点では」このようなコース・程度で事が進む可能性は十分に考えられると思いますが・・・・
今回の台風のポイント・・・・テレビの天気予報などでは、海面水温が高く、台風が衰えずにやってくるおそれがある・・・なんて言っていると思いますから、まずは海面水温の様子を見ておきましょう。

仮に、アニメのように台風が発達したまま接近・通過するならば、暴風や強雨に注意するのはもちろん、台風が衰えず、中心気圧が低いまま通過すること(低圧による海水吸い上げ)、そして、南~南東の強風(強風による海水の吹き寄せ)となるため、太平洋沿岸での高潮のおそれが考えられます。
適時に適当な注意喚起が気象庁から発表されると思いますが、ここ数年の台風以上に、台風情報に対するアンテナを敏感にしておいて欲しいと思います。
気象庁5日間進路予想: http://www.jma.go.jp/jp/typh/typh5.html
米軍進路予想図: http://www.usno.navy.mil/NOOC/nmfc-ph/RSS/jtwc/warnings/wp0811.gif
(米軍進路予想図(JTWC)の表示時間は世界標準時なので、+9時間してください)
さて、台風については、明日以降もテレビの天気予報プラスアルファをコンセプトにまとめていくとして・・・
今日の天気チェックも忘れずに・・・・

昨日とほぼ同様の気圧配置。
猛暑と極めて局地的な雷雨の二つがポイント。
その理由は、太平洋高気圧の勢力が強く、相対的に乾燥した領域にあるということ。

これ・・・暖湿気の様子ですが、東海上から張り出している太平洋高気圧が、暖湿気の流れを九州の東まで追いやっていることがわかると思います。
(台風6号の暖湿気・・・大量の雨の原料が見え始めています)
で・・・雨や風・・・特に雷雨は?


極めて局地的・・・・となると、その予想も極めて困難になります。
昨日の予想・・・偶然?にもかなりイイ線だったと思いますが、今日もそうなるとは限りません。
風の収束や降水の計算値、相当温位(雨の原料)の計算値などに加えて、前日の雷雨発生の様子などから推測しているだけなので、あくまで雷雨発生の目安としてとらえてください。
急速に発達する雷雲から逃げるには、自分の目や耳を研ぎ澄ませるしかないのです。
・・・明日から三連休・・・三連休の海のレジャーの注意喚起、連休明けの防災対策・・・休校の決定や防災体制の構築など、役所の防災担当者の方は心穏やかでない週末を迎えられていると思います。
三連休のレジャーをお考えの方・・・くれぐれも計画通りの強行軍で無茶をされませんよう・・・・
ご意見・ご質問等は、コメント欄・メール(kasayangw@yahoo.co.jp)にてどうぞ。
可能な限り返信いたします。

(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)
2011年07月14日
台風6号予想進路、ジリジリ猛暑雷雨は局地的(7月14日)

今日もいきなりリアルなアニメを掲載しましたが、これ、GSMという気象庁のスパコンが計算した台風6号の予想アニメ(青色は1時間降水量)。
気象庁では、この計算値以外にも台風専用の計算値など、様々な計算値をもとに台風の予想進路図を作成していますから、多くの計算値の中の一つにすぎないわけですが、それでもこんな計算値が存在していることは事実です。
気象業務法という法律では、気象庁以外の者が台風の予想進路を業務として発表することは禁じられています(「業務」の解釈は刑法・民法など法律によって異なりますが、気象業務法の制度趣旨にもとづく解釈論は熟しているとはいえません)。
一般人が混乱するという理由で放射能シミュレーションのデータを政府が公表していませんでしたが、気象の世界でもほぼ同じ理由で、あきらかに存在している情報の公開(の方法)が(事実上?)制約されています。
どう思われますか?
気象庁5日間進路予想: http://www.jma.go.jp/jp/typh/typh5.html
米軍進路予想図: http://www.usno.navy.mil/NOOC/nmfc-ph/RSS/jtwc/warnings/wp0811.gif
で・・・台風の影響・・・・

三連休をひかえて、まず影響が出てくるのが海の波。
とりあえず、明日(15日)あたりからうねりが高くなりはじめ、連休は太平洋側でちょっと危ない感じ。
毎年、防波堤から釣り人が一発大波に流された・・・なんていうニュースがありますが、今年くらいは同じニュースを聞きたくないものです。
さて、台風はこれくらいにして、今日の天気・・まずは予想天気図から。

ポイントは、太平洋高気圧がさらに西へ勢力をのばすということ。
西日本・東日本が、太平洋高気圧の下降気流の場に入って、比較的乾燥した安定エリアに入るので、ますますジリジリとした晴天に・・・・・
雷雨の発生も上昇気流の発生しやすい山沿いの局地的な場所に限られます。
一方、太平洋高気圧の縁辺を流れる暖湿気の流れは九州の西に追いやられて、朝鮮半島経由の多周りをして北海道方面に流れ込むようになります。
梅雨の無い北海道と言われますけど、梅雨末期のような状態のまとまった雨。
暖湿気の流れを詳しく見るとこんな感じ・・・・

では・・・今日も雷雨は局地的・・・ですけれど・・・一応雷雨の予想。


ほぼ昨日と似たような過程になるんじゃないかな?と思います。
・・・・あくまで雷雨発生場所の目安・・・点線の付近で時間的にはバラバラに雷雨のタマゴが発生するのではないかと・・・・?
東日本から西日本の高温に関する全般気象情報 第2号
平成23年7月12日15時00分 気象庁予報部発表
(見出し)
東日本から西日本では、18日にかけて、最高気温が35度以上となるところがあるでしょう。
(本文)
東日本から西日本では、向こう一週間は太平洋高気圧に覆われて、気温が平年よりかなり高いところが多い見込みです。
関東甲信地方、東海地方、近畿地方、中国地方では、13日から18日にかけて、九州北部地方では14日から18日にかけて、最高気温が35度以上の猛暑日となるところがあるでしょう。
気温の高い状態が続きますので、熱中症など健康管理や農作物の管理に十分注意してください。
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2011年07月13日
山岳中心の雷雨・台風6号の進路に注目(7月13日)
まずは、昨日(12日)発生した台風6号から・・・・・

いきなり「ナンデスカ?」という感じですけど、週間予報に使われる予想天気図の20日21時の部分。
この図を見ると慌ててしまう方も多いでしょうけれど、太平洋高気圧の西への勢力次第でコースはまだまだ変化する可能性があります。
ひとつの計算結果としてとらえ、対策をする必要から、週末の土曜日あたりまで様子を見るというのが良いかと思います(お住まいの地域によって異なりますが)。
ただ、一週間先の台風の計算値で、これだけ台風が明瞭に計算され、発達しているのは珍しいことだと思います(多くの場合、予測時間が先になるほど台風がバラけて計算される傾向にあります)から、台風の予想進路に関しては日々チェックして、余裕を持った対策ができるよう注意してください。
気象庁5日間進路予想: http://www.jma.go.jp/jp/typh/typh5.html
米軍進路予想図: http://www.usno.navy.mil/NOOC/nmfc-ph/RSS/jtwc/warnings/wp0811.gif
9時40分追記:最新の週間の天気図が発表になりました。15日~20日(いずれも21時)。

さて、今日も昨日の雷雨のおさらい。


予想通り、比較的乾燥した空気に覆われた関東の平野部では雷雨が少なく、長野県南部や静岡県の雷雨も、ここ数日の中では限定的なものになったと思います(発生した雷雲が盆地や平野部に流れると消滅するという傾向でした)。
もっとも、発生時間については、厳密な予想など困難という状態・・・まさに突然に沸く雷雨・・・。
今日はさらに局地的な雷雨になりそうですから、「所々で雷雨」といってしまえば簡単ですが、発生箇所を特定しようとすることもかなり困難。
ですが・・・今日もやってみますので・・・あくまで目安にしてくださいね。
まずは、今夜の予想天気図。

ポイントはただ一つ・・・太平洋高気圧が急に西へと勢力と強め始めるということ。
本当の猛暑の訪れということになりますが、それとともに、高気圧の縁辺を北上する暖湿気の流れも九州の西側へと押しやられることになります。
したがって、ムシムシした暑さからジリジリした(さすがにカラっとは言えません)暑さに変化し、暖湿気の影響で発生していた雷雨も、強烈な日射によって発生する山沿い中心の雷雨に限定されてきます。
それでは、太平洋高気圧が西へと勢力を伸ばす様子を上空の天気図でチェック。

上空の天気図で見る太平洋高気圧(サブハイなんていう言い方をします)は、明らかに西へと勢力を伸ばすようです。
太平洋高気圧のコアの部分に近づくほど、下降流域ですから雲も無く、ギラギラの太陽が照りつけます。
次は、昨日西日本に雷雨をもたらした暖湿流の様子。

流れの軸は九州の西に移り、今日暖湿流の影響を強く受けるのは九州付近だけ。
また、図は作りませんでしたけど、昨日山陰方面に進んだ上空の寒気・・・足早に北上して影響はあまりなさそう。
で・・・具体的な今日の雷雨は?


必要なことは図に書き込んでありますが、昨日よりかなり限定的なのでは・・・と思います。
繰り返しになりますが、雷雨を予測するには解像度の足りない計算値を使って、ここ数日の傾向やいくつかの計算値からムリヤリ予測しているものですから、あくまで雷雨発生場所の目安とだけ考えてください(とても予報などというレベルのものではありませんから)。
ましてや、発生時間は赤の点線上、バラバラだと思ってください。
いずれにしても、アルプスなど、高山植物が最盛期の山々を訪れる方は、例年以上に雷雨への警戒が必要です(早めの行動、早めの目的地着)。
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2011年07月12日
西日本の雷雨拡大、東日本は山沿いで雷雨(7月12日)

これ、昨日Kasayanの仕事場から撮影した落雷の様子。
長野市南部ではおよそ20秒に一回の割合で落雷が発生していました。
さて、今日のチェックポイントも雷雨・・・
今日の雷雨の予想をイメージしやすいように、まずは昨日の雷雨の様子のおさらいから・・・・
まずは昨日14時~16時の気象レーダーのアニメと、15時の風の様子。


大ざっぱに北からの風(日本海の海風)と、南からの風(太平洋の海風・内陸部の空気の流れ)がぶつかったり、接近したり、山にぶつかったところで雷雨が発生。
気温上昇で地面が暖められ、上昇気流が発生してできる熱低気圧(ヒートロー)も、風の流れに大きく影響しています。

二つの図をGoogle Earth上に貼り付けたものですが、予想図でもこんな図を頭の中にイメージしていただければ、どこで雷雨が発生するのか?をリアルに考えることができると思います。
それでは、今日の天気・・・まずは気圧配置から。

雷雨がポイントですが、雷雨の様子は西日本と東日本で異なります。
西日本の地上付近には大平洋高気圧縁辺の暖湿流が流れ込み、上空では寒気が通過するので、広い範囲で大気が不安定。
広範囲の雷雨が予想されます。
他方、東日本は、太平洋高気圧の高圧部に近いので、高気圧の下降流域(乾燥域)の影響を受け、雷雨は風が収束して上昇気流ができやすい内陸山岳部中心(原則的には・・・)。
もっと詳しくチェックしてみましょう。
まず、西日本上空の寒気から。

書き込みのとおりなので、次は西日本下層に流れ込みやすい暖湿流の様子。

暖湿流の主軸は西日本を通過して日本海経由で北海道方面へ。
関東地方は「相対的に」乾燥域(青色が薄い)になっていて、雷雨が局地的ということがわかります。
もっとも、気温が上昇すると海風が湿った空気を運んでくるので雷雨の可能性がまったくないというわけではありませんから、このあたりが予想の難しいところ・・・・
具体的に雷雨の様子を考えてみましょう(立体的に考えてみてください)。


東日本では長野県を中心とした中部山岳地帯中心の雷雨。
昨日同様、雷銀座の北関東平野部に雷雨を予想していませんが、万が一、海風が特に湿った空気を運びこんだり、何かの拍子に風が収束したりすれば、まさにゲリラ雷雨。
予想が困難ですが・・・・まあ、昨日同様・・・・無いとは思いますが・・・・・
何度も書いてきましたが、気象庁の計算値の解像度は雷雨の予想にはまだまだ足りていません。
あくまで、赤の点線部分での雷雨発生の可能性が高いと考えるにとどめてくださいね。

雷雨後の虹(長野駅付近)
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