2010年07月25日
天気予報は当たるのか?(7月25日)夕立予報?

故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。久々の長野の天気に慣れるため、毎朝コツコツ天気予報の修行中。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言
16時追記:「長野県竜巻注意情報 第1号」が発表されています。関東各県でも同様。冷たい風が強まってきたな・・・と思ったら、できるだけ屋内へ・・・・・。有効期間があるので、以下URLで新しい情報をチェックしてください
長野県竜巻注意情報 第1号
平成22年7月25日15時07分 長野地方気象台発表
長野県では、竜巻発生のおそれがあります。
竜巻は積乱雲に伴って発生します。雷や風が急変するなど積乱雲が近づく兆しがある場合には、頑丈な建物内に移動するなど、安全確保に努めてください。
この情報は、25日16時10分まで有効です。
各県気象情報: http://www.jma.go.jp/jp/kishojoho/
18時追記:夕立の雲が流れる方向の目安になる上空3000m付近(中層)の流れを、朝の段階では掲載していなかったので、最新の計算値で掲載しておきます。海風の弱まりで南へ移動することも考慮すると方向は南東かな?
また、積乱雲が上空高く発達し、積乱雲上部が上層の強風に流され、雨の降っていないエリアでも、広い範囲が薄曇り状態になっています。



今朝、関東甲信地方には、「大雨と雷及び突風に関する関東甲信地方気象情報 第3号」が発表されています。
内容を抜粋してみると・・・・・
(本文)
[気象状況と今後の予想]
関東甲信地方では、上空の寒気と強い日射の影響で、大気の状態が不安定となり、25日昼過ぎから夜遅くにかけて、雷雲が発達する見込みです。
[雨の予想]
25日昼過ぎから夜遅くにかけて、関東地方北部を中心に、多い所で1時間に40ミリを超える激しい雨の降るおそれがあります。
[防災事項]
低地の浸水や河川の急な増水、土砂災害に注意して下さい。また、落雷、竜巻などの激しい突風、降ひょうのおそれもありますので、屋外活動や農作物の管理に注意して下さい。
・・・ということで、主に関東平野北部・・・群馬・栃木あたりが中心の激しい雷雨が予想されているわけですが、もちろん周辺の県にも雷雲は発生しますし、発生した雷雲は上空の風に流されて、別の場所へと移動していきます。
夕立予報とか、雷雨の予想・・・・というのは、現在の予報技術ではピンポイントで特定することは困難ですが、ある程度は・・・どのあたり?くらいは予想できます。
漠然と気象情報を見ても、ああ夕立ね・・・くらいにしか感じられませんから、今日も、超安全マージン?をとるべきという前提で、今日は広にエリアの夕立予想・・・してみます。
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

天気マークだけを見ても、東日本、北日本に傘マークがチラッと見えるだけで、天気傾向がよくわかりませんけど、これは通り雨や夕立の傘マークです。
太陽マークと傘マークがセットになっているときは、急激に天気が悪化してドバッと降る可能性大。
そうそう・・・今日は、各地の天気概況を抜粋したものを並べてみました。
同じ気圧配置でも、各気象台によって着目するところはずいぶん異なりますよね。
このように、複数の概況モトにして天気図を見ると、漠然と眺めていた天気図も”目的”をもって見ることができますし、複眼低な見方ができますから、読めなかった天気図が読めるようになります。
概況は、上の緑の文字中のリンクで表示される地図上の各県をクリックして表示される府県天気予報の下に掲載されていますから、天気チェックをする際には、ぜひ読んでみてください。
3、長野県の予報
長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。

昨日の朝、今日の予報に傘マークがついていましたが、今朝は傘マークが消えています。
昨日予想された夕立のエリアの計算値が、今朝は縮小されたようです。
もっとも、エリアが縮小されたということであって、夕立が弱いということとは全然関係ありません。
「所により」が自分の頭上に来たら・・・・・・どうします?
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。
今朝はアニメじゃなくて、ちょっと変わった方法で・・・じつは時間がなかったから・・・だったりして。

今朝の実況天気図・・・高気圧に覆われているだけのようですが・・・・・
これだけいきなり見ても、夕立のエリアなんてわかりませんよね?
短期予報解説資料というプロ用の予報資料に掲載されている図を引用したものを見ると・・・・

ポイントは、概況に書かれていた「上空の寒気」(-6℃以下)が南岸まで南下して大気が不安定になるということと、概況には書かれていなかった北日本のシアーライン・・・地上付近で空気の流れがぶつかりあって上昇気流(雷雨発生のモト)が発生する線・・・・これが通過するということのようです。
さらに、各地の概況に書かれていた「気圧の谷」ですが・・・

「気圧の谷」がどこだかわかりますよね・・・等圧線が凹になっている部分。
さらに「上空の気圧の谷」は・・・・

赤の点線部分。
北日本は上空の気圧の谷にすっぽりと覆われています。
太平洋高気圧に覆われて!といいうイメージが強いですけど、気圧配置は日々微妙に変化しています。
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
上空の寒気と気圧の谷については、上でチェックしてしまいましたから、残るは北日本を通過するシアーライン。

北風と西風がぶつかる部分が線になっています。
ここで上昇気流が発生するわけですが、上空には寒気・・・大気が不安定ですから、雲が発生して、シアラーインが通過する際には一時的に強い雨が降ることになります。
ついでに、他のエリアの風がぶつかるところにも線を引いておきましたが、こちらは海風や陸風なんかも関係してできるシアーライン。
夕立の可能性が高いエリアです。
気象情報が発表されている東日本を拡大してみましょう。

昨日と似たような所に風が集まる場所があります。
今日も気温上昇・・・長野県中部に熱低気圧ができて風が集まるというストーリーは昨日と同様ですから、昨日、一昨日の記事も読んでみてください。
で・・具体的な雨の様子。


やっぱり東日本中心。
長野県も夕立エリアですけど、比較的短時間で済むかも。
一方、関東方面は東京や埼玉の平野部でも夜遅くにかけて夕立が続きそう。
ゲリラ豪雨なんて言われる局地的な雷雲が発生する可能性もありそうです。
ということで、計算上は、ここまでが限界。
あとはレーダーで実況監視ということになります。
気象レーダー:http://www.jma.go.jp/jp/radnowc/index.html?areaCode=207
東京、名古屋、富山、大阪方面なら、現在試験運用中の高性能レーダーのXバンドMPレーダーというレーダーが使えます。
Xバンドレーダー:http://www.river.go.jp/xbandradar/index.html
これらのレーダーでチェックして見てください。
外出するなら、河川情報センターの携帯用サイトがおすすめです。
河川情報センター(携帯サイト):http://i.river.go.jp/
今日の予報?・・・・安全マージンをとらなくちゃならない夕立モードですから、当たりです。
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kasayangw@yahoo.co.jp
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(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)