2010年07月07日
天気予報は当たるのか?(7月7日)今日も夕立七夕雨
故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言

長野市民なら見慣れた飯綱山や戸隠山・・・おなじみgoogle earthの3D画像に昨夜のレーダー画像を張り付けたものです。
赤が50ミリ以上の強い雨が観測されているエリア・・・この時間帯は若穂付近ですが、地形と雨の様子が一目でわかります。
最近使い始めたのですが、なかなかイイですね。
もう一つ、イイものをご紹介。

これ、普通のレーダーに見えますけど、Xバンドレーダーといって、現在国土交通省が導入試験中の新型レーダー。
従来のレーダーの16倍の精度があって、1分間隔で観測可能。
昨日から様子を見ていたのですが、大雨のシーズンだからでしょうか・・今朝のNHKラジオニュースで紹介していました。
残念ながら長野県付近はまだ拡大して使用できないのですが、来るべき冬や来年の梅雨時には威力を発揮してくれそうです。
URL: http://www.river.go.jp/xbandradar/index.html
ちなみに、この図は今朝のXバンドレーダーですが、通常のレーダーで長野県上の雨雲はとらえられていませんが、このレーダーでは弱い雨雲がチラホラ見えますよね。
14時30分追記:
前線のキンク前面に流れ込む暖湿流の雨域が関東にかかってきました。
主に伊豆半島方面で強い雨になっていますが、南西風があたる山岳南西斜面中心に雨になっているのがよくわかります。

2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

今日はエリア分けしようかな?と思ったのですが・・・九州北部なんかはちょっと落ち着いてきそうなので・・・それでも各地の予報文には「雷」の文字が散在。
念のため、エリア分けは止めました。
昨夜の予報より計算値の雨域が減ったためだと思いますが、晴れマークが増えています。
天気予報がコロコロ変わって!!と思う方も多いと思いますが、雨の予測がちょっと減っただけですから、太陽マークが目立つだけで、実質はさほどは違いありません。
予報の計算値が微妙に変化する状態ですから、安全マージンを大きめにとる必要がある場面です。
3、長野県の予報
長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。

県内の天気マークも昨夜の予報とうって変わって太陽マークが目立っていますが、実質は・・・・
予報文にあるように、今日も「昼過ぎ」から雨のオマケがついています。
午前中、いったん雲が薄くなれば、太陽が顔を出してムシムシ(昨夜の予報より約5℃アップに修正されていますね)になりますが、昨日同様夕立注意です。
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。

基本的には、昨日のアニメと同じです。
南岸の前線上に、凸部(キンクといいます)がありますが、この部分は低気圧に近い挙動を示します。
この部分が南岸に近づいたり、発達して低気圧になれば、予報より雨が多めになりますが・・・・その活動がとっても微妙な状況です。
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
お約束・・・地上の天気の台本・・上空5800m付近の様子。

上空の谷がピタッと動きを止めています。
谷に西側には大陸から乾燥した冷たい空気を運ぶ風(青矢印)、東側には太平洋から湿った暖かい空気を運ぶ風(赤矢印)。
二つの空気がぶつかって梅雨前線があるわけですが、今日は西から乾燥した寒気優勢に(教科書にあるオホーツク海高気圧はないですねぇ)。
九州北部はこれで少し安定してきそうですが、昨日日本海側付近までしか南下していなかった-6℃の寒気は南岸まで。
引き続き大気不安定のフォーメーションです。
次も昨日同様、地上付近の暖湿気の様子。

昨日より342Kという濃い雨の原料はほんの少しだけ南下傾向。
それで予報の天気マークは比較的良い方向に変化しているんだと思いますけど、南下の程度はほんのわずか。
不安定で夕立モードに大きな変化はありません。
で・・大気不安定で降る雨ですが・・・・
まず、今朝の実況から。

とりあえず、内陸部の雨は終息傾向ですけど・・・


上の予想図で見た前線上の凸部(キンク)が南岸を北東進するタイミングで長野県南部の雨拡大。
一方、長野県北部は昨日と同様、北ア方面モクモクと雷雲が湧きだしたあと、北信五岳方面や飯山方面へ拡大。
上空に成長する雷雲の腰のあたりを押し流す上空3000m付近の風は南西の風ですから、こんな傾向になるんでしょう。
というわけで、今日の予報・・・昼前後の晴れ間についてはオマケ程度・・・晴れというより一時的に太陽が顔を出す程度に考えておいたほうが良いでしょう。
むしろ、天気マークにない雨のほうが重要・・・マークだけ見ていたら失敗するパターンです。
まあ、当たりでしょうね。
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