2010年07月31日
ゲリラ雷雨と隅田川花火大会

長野に住んでいると、あまり関係ないですけど、今日は隅田川花火大会。
もうずーっと昔のことですけど、隅田川花火大会の日、Kasayanは東京の某放送局の夕方の天気予報の番組担当だったことがありました。
バラエティー番組の中で、隅田川花火大会の中継が予定されていたので、番組クルーにも空模様を伝えたりしていたのですが・・・・・
夕方になって、どしゃ降りの雷雨。
そのころはゲリラ雷雨とかゲリラ豪雨なんてコトバは存在していませんでしたけど、まさにソレ。
レーダーから目をそらして、夕方のニュースの中の天気予報の内容をアレコレ打ち合わせしている最中でしたから、そりゃ大慌てでした。
今日も、14時過ぎからゲリラ雷雨が東京で発生。
仕事中だったので、タマタマ発見できました。

赤の点線の部分で発生している雷雲は、風が集まることと、強い日差しで空気が暖まることによって発生しますから、そこそこ予想はできます。
(その頃は、こんな図も簡単には手に入りませんでしたけど)
一方、赤丸で示した東京の雷雲は、とらえどころがなくてまさにゲリラ。
後からアメダスの風向風速の観測値などでチェックをしてみると、東京湾や相模湾、外房から鹿島灘にかけての海風が集まって上昇気流が発生したんだな・・・なんてわかるんですが、海風がどこで集まるか?・・・というのは、ズバッと予測できないんですよね。
ですから、実況をレーダーなどで監視しつつ、あれ?と思った時点で警戒モードに入るしかないのです。
この点、最近はXバンドレーダーなど、積乱雲が発達する初期の段階から、監視ができるので、多少は早めに警戒が可能になっています。
気象庁は、13時にそれまでの予報を大幅に修正していました。


とても素早い対応だと感心したのですが・・・・・
気象庁の予報をそのまま使っているネットの天気予報の中には、気象庁から予報訂正の電文が届いているにも関わらず、データの更新が遅いサイトが多いこと・・・・
特にピンポイント予報なんて、修正が簡単にできませんから、どのサイトでも晴れマークのオンパレード(ピンポイント予報は、気象庁GPVデータをもとに、各社のモデルで再計算して作る)。

使っている方が多いでしょう・・・Yahooのピンポイント天気。
立川のピンポイント天気ですけど、晴れマーク・・・一方、このサイトを見ている人のアンケートでは、雨が圧倒的な人数になっていますよね(かなり皮肉ですよね)。
ピンポイント天気より、気象庁の予報のほうが素早い対応や安全マージンがとられているという結果になっていました。l
ちなみに、Yahoo天気は日本気象協会がデータの元ですが(昔はウェザーニューズだった)、携帯を使った参加型の天気予報でおなじみのウェザーニューズ・・・・その時間帯にサイトで放映していた動画解説ではどうなっていたかというと・・・・

関東は、ゲリラ雷雨可能性エリアからキレイにはずれています。
全然、予測していなかったんですね・・・・・
ちなみに、対応が早かった気象庁といえども、今朝の予報作成のための資料には・・・・

「山沿い中心」「局地的」と、まったく想定していませんでした。
もちろん・・・・Kasayanも全然想定していませんでしたから、同類です。
後になって思えば・・・なんですけど、仮に懸念材料をコメントして適中したとしても、何度も繰り返すうちに、狼が来たぞ・・・ということになってしまう可能性が高いと思います。
海風の様子を、今は10分単位でチェックできるアメダスを使ってチェックしつつ、Xバンドレーダーなどの最新観測装置を使って、常にアンテナを立てていないとダメということですね。
となると・・・・それをどうやって一般に伝達するのか・・・・・
この点は、よいしょするわけじゃありませんが、現時点でウェザーニューズの携帯メール配信しかないでしょう。
その意味で、予測ははずれても、このサービスのこれからの進歩が期待されます。
長野県なら、夏山登山者用のメールサービスなんかができればイイですね。
上高地の河童橋のあたりで、屋台を開いて、期間限定の加入サービスなんかしたりして・・・・
隅田川花火大会・・・・やっぱりKasayanにとっては鬼門でした。
夕方以降・・・ゲリラ雷雨の可能性は低くなっているようですから、たぶん花火は大丈夫だと思いますが・・・・
当ブログの記事等に関して、ご質問・ご意見等がありましたら、コメント欄だけではなく、以下のアドレスにメールしていただいても構いません。
kasayangw@yahoo.co.jp
可能な限り返信いたします。

(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)
2010年07月31日
天気予報は当たるのか?(7月31日)猛暑いつまで?夕立は?

故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。久々の長野の天気に慣れるため、毎朝コツコツ天気予報の修行中。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言
昨日15時に「北日本から西日本の高温に関する全般気象情報 第1号」が発表されています。
(本文抜粋)
北日本から西日本にかけては、向こう一週間は気温が平年より高く、平均気温が平年より3度程度高い日の続くところが多い見込みです。
また、最高気温が35度以上の猛暑日となるところがあるでしょう。
気温の高い状態が続きますので、農作物の管理や熱中症などの健康管理に十分注意して下さい。
昨日は、一か月予報も発表されています。

最近は、この図もテレビの天気予報やワイドショーなんかにしばしば登場するようになりました。
あくまで確率論の話ですが、東日本・西日本では、気温が平年より高くなる確率が70パーセント以上ということを意味しています。
未来の空模様をスーパーコンピューターで計算しようとすると、初期値になる観測データのちょっとした誤差で未来の空模様は大きく変化してしまいます。
野球の遠投では、手元がちょっと狂っただけで大暴投になるのと同じ。
それじゃこまるので、初期値をちょっとずつ異なる未来の空模様を沢山計算してその平均をとると、未来の平均的な空模様が、そこそこの精度で計算できるわけす。
アンサンブル予報というのですが、むこう一か月の気温の様子をグラフにしたものでは・・・・

右(8月27日)に近づくにつれて、誤差が多くなってグラフがばらけていますが、計算値の多くが平年値(真ん中の線)より上に位置しています。
北日本と比べると、西日本や東日本はバラツキが少なく、ほとんどが平年以上。
向う一か月、猛暑が続く・・・・と断言すると当たりはずれの話になっちゃいますが、確率論ですから、その可能性が高いということになります。
その理由ですが、向う一か月・・・東日本・西日本は、太平洋高気圧に覆われる傾向が続くから・・・シンプルな理由・・・・・
暑いからどうの・・・という話はしません・・・・・テレビでたくさんやってくれるでしょうから・・・・
北日本は、低気圧や気圧の谷が通過しやすい状態が続くようですから、盆休み・・・北海道方面の旅行は、天気のタイミングをよーく見計らう必要がありそうです。
あくまで確率論の話でした。
(今朝のニュース)熱中症死者、全国で200人超
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

今日は、一か月予報の話なんかまとめちゃったので、後はシンプルに。
猛暑エリアは、太平洋高気圧の張り出しの形とピッタリ一致しています。
じゃ・・・北日本は?・・・・予想天気図でチェックです。
3、長野県の予報
長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。

「昼前から昼過ぎ 晴れ」ですから、朝残っている雲さえ取れれば夏空再開。
もちろん、「所により 雨」がついています。
夕立はどこで?については一番最後にチェックします。
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。

最近の天気予報では、上空10000m弱の高さにある高気圧と、太平洋高気圧の重なり合い・・・ビックマック?、サーティーワンアイスクリームのダブルコーン?・・・状態による猛暑の話がよく出てくるので、一応、こちらでも書きこんでおきました。
暑そうだね・・・というイメージだけ伝わればイイです。
今日から明日にかけて、北日本を低気圧がかすめ通り、寒冷前線が通過します。
こんな状態が、今年の夏、北日本には多いということのようです・・・・高確率で・・・・・
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
一応、上空10000m弱の高気圧の様子・・・チェックしておいたので、掲載しておきましょう。

中心が西日本へ。
東日本へも拡大の傾向・・・ということです。
次は、北日本を通過する低気圧や前線の雨の様子・・・・夕立の様子もあわせてチェックしておきましょう。

夕立が一番多く発生する18時の予想図ですけど、北海道の西に前線の雨域。
北日本は下り坂ですけど、本格的に雨になるのは夜中の12時頃のようです。
一方、夕立エリアは、東日本中心。
それも北アルプスや南アルプスなどの山沿い中心。
14時10分追記:東京方面、計算外のゲリラ雷雨の可能性が高くなっています。南からの海風の強さ、そして、鹿島灘方面からの海風の入り具合が、先日の春日部・久喜方面の豪雨のときと似ています(位置は違いますが)。レーダー等で警戒が必要です。
レーダー:http://www.jma.go.jp/jp/radnowc/index.html?areaCode=206
東京アメッシュ(東京都レーダー):http://tokyo-ame.jwa.or.jp/
14時20分追記:最新の計算値とレーダー画像、海風の様子をまとめておきました。最新の計算値でも計算されていません。今思えば、風向風速の予測から、可能性を危惧しておけば・・とは思うのですが、大気の安定度からすると際立って激しい雷雨になると言う程度では・・・・・ゲリラ・・・。気象庁は13時に予報を訂正しています。

もっと詳しく夕立をチェックしてみると・・・・

極めて局地的・・・上空に寒気が入っていないので、山の斜面が暖められて上昇気流が発生・・・雷雲モクモク・・・という山を中心とした局地的な夕立しか発生しないようです。
日中の猛暑のあと、適度なお湿り・・・というわけにはいかないようですね。
ということで、今日の予報・・・「所により雨」に期待しすぎなければ、当たりということになりそうです。
今日は一か月予報をチェックしてみましたけど、一か月予報って、毎月発表されるんじゃなくて毎週金曜日に発表されています。
確率論ですから(今日は連発しています)、修正が必要なんですよね。
長期予報ははずれるなんてよく言われますけど、上のグラフを見れば、気象庁がどれだけ工夫して一か月予報を出しているか・・・・おわかりいただけたと思います。
当ブログの記事等に関して、ご質問・ご意見等がありましたら、コメント欄だけではなく、以下のアドレスにメールしていただいても構いません。
kasayangw@yahoo.co.jp
可能な限り返信いたします。

(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)