2010年07月11日
天気予報は当たるのか?(7月11日)大雨モード開始
故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言
昨夜から天気予報番組は”大雨!”モード。
どのチャンネルでも、「梅雨末期の豪雨」とか、「これまでの雨で土壌には雨水が」という防災上の話や、「前線に向かって湿った暖かい空気が・・・」という解説が多くになっていると思います。

今朝の段階では、前線が朝鮮半島南岸付近にあるので、雨雲の中心は日本海の海上中心。
強い雨のエリアがもうちょっと南だったら・・・と思うと、ちょっと幸いという感じ。
ただ、前線の南側、南西の強い暖湿流(雨の原料)が流れ込んでいるので、この風がぶつかる南岸の高い山を中心に局地的なまとまった雨になっています。

今日は、九州・四国・紀伊半島中心にでこんな傾向が続きそう。
気象庁からは、「大雨と雷及び突風に関する全般気象情報 第2号」が発表されています。
予想降水量だけ抜粋しておきました。
12日6時までの24時間に予想される雨量は、いずれも多い所で、
四国地方 200ミリ
九州北部地方 180ミリ
九州南部、東海地方 150ミリ
中国地方、近畿地方、関東甲信地方 120ミリ
北陸地方、東北地方 100ミリ
気象庁大雨情報: http://www.jma.go.jp/jp/kishojoho/
今日は防災モードなので、天気予報の当たりハズレの話は自粛です。
今夜からは前線が南下開始。
ということは、明日は陸上でまとまった雨。
長野地方気象台は今朝の段階で大雨情報を発表していませんけど、今夜までには発表するかもしれませんから、明日の出勤時間帯に影響する雨・・・今夜の天気予報は必見です。
17時15分追記:
やっぱり大雨情報が発表されました。計算値が計算のたびに変化していますから、悩んだ末の降水量の計算値だと思います。梅雨末期の豪雨はホントに恐ろしいものがありますから、今日日中の雨が天気予報番組から受けたイメージ以下だったとしても、今夜から明日にかけては警戒モードでいたいところです。
大雨に関する長野県気象情報 第1号
平成22年7月11日17時02分 長野地方気象台発表
■見出し
県内では、12日明け方から12日昼過ぎにかけて、南部を中心に激しい雨が降り、大雨となるおそれがあります。土砂災害、低地の浸水、河川の増水に注意して下さい。
■本文
[気象状況]
梅雨前線が、対馬海峡から山陰沖の低気圧を通って本州の東海上にのびています。低気圧は発達しながら日本海を進み、12日夜には北海道の南海上に達し、低気圧からのびる前線が12日夕方にかけて長野県を通過する見込みです。この低気圧や前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込むため、前線の活動は活発な状態が続くでしょう。
[雨の予想]
県内では南部を中心に、12日明け方から12日昼過ぎにかけて1時間30ミリの激しい雨が降り、大雨となる見込みです。
11日18時から12日18時までの24時間に予想される降水量は、いずれも多い所で、
北部 100ミリ
中部 140ミリ
南部 180ミリ
の見込みです。
[防災上の留意事項]
土砂災害、低地の浸水、河川の増水に注意して下さい。今後、気象台の発表する警報や注意報、気象情報に留意して下さい。
[特記事項]
次の「大雨に関する長野県気象情報」は、12日06時頃に発表する予定です。
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

西日本中心の雨、夜までには東北まで拡大。
同じ傘マークでも、「のち 雨」とそれ以外で分けるだけで、天気の変化傾向が読みとれます。
日本海に雨雲の中心があるので、西から下り坂とはいえ、境目の線が斜めになっているんですね。
3、長野県の予報
長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。

週末日曜日の天気となれば、雨の降りだしのタイミングが一番気になるところでしょう。
富山県・岐阜県・愛知県の降りだしは、北から順番降りだすことになっていますが、長野県は、中南部が「昼前から」で北部が「昼過ぎから」ですから、南から順番に降りだす予想になっています。
なぜ?・・・ですけど、富山県と長野県北部との間には立山や北アという壁があるから。
計算値も、北アが雨雲をブロックするという予想になっていましたから。予報官もそのように考えたと思うんですが・・・・

ちょっと思惑がはずれて、北部から雨が降りだしているようです。
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。

今日のアニメ・・・テレビの天気予報とほとんど同じだと思うので・・・・・ちょっと不本意なんですけど、あれこれ書き込んでもわかりにくくなってしまうので・・・・
一応、前線が南下して、強い雨のエリアが陸上中心になる明日の天気図も入れて差別化してみました。
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
今日は梅雨末期の大雨モード。
一年にわずかの期間しか勉強できないチャンス(失礼)ですから、色々検討して図をとっちらかして、更新も遅れてしまいました。
ちょっとわかりにくいかもしれませんけど、テレビの天気予報じゃ見られない情報ということで、興味があるところだけでも斜め読みしてください。
テレビの解説の理解が倍増するかも・・・倍増するといいな・・・倍増するかもしれない・・・・
さて、地上の天気図の骨格にあたる上空の天気図と寒気の様子。

朝鮮半島付近に上空の気圧の谷(赤の点線)がありますけど、動きはすごーくゆっくり。
地上の天気の骨格が動いていないので、前線は日本付近に停滞。
また、上空の気圧の谷のやや東側で低気圧が発達する傾向にあるんですけど、日本海を進む低気圧のほうが足早なので、両者の対応が悪く春一番の低気圧みたいには発達しません。
でも、上空の谷も全く動いていないわけじゃなくて、明日にかけてちょっと深まりながら南東方向へ南下。
これに対応して、梅雨前線もちょっとだけ南下して、陸上に停滞するようになります。
ここからが大雨本番といっても良いかもしれません。
あと、下の段、-9℃の強い寒気は北海道付近まで。
次第に不安定の原因になる寒気は抜ける傾向ですが、地上付近に暖湿流が流れ込んでいれば、結果的に不安定になりますから、地上付近の暖湿流もチェック。

昨日は南岸付近にあった342Kという強さの暖湿流(雨の原料)は、一気に日本海まで流れ込んでいます。
多少寒気が北上傾向でも、昨日よりずっと大気は不安定になりそうです。
そして、暖湿流が行きつく前線付近(点線)部分、上で見た6℃の寒気の位置と対応しているようなので、このあたりで上昇気流が発生して雲がモクモクの可能性が高くなるので、上昇流の計算値を確認。

赤の部分・・・暖湿流の行きつく先、日本海で強い上昇流が計算されています。
ということは、このあたりで雨雲大量発生。
もっとも、陸上の赤で印をつけたところも上昇流の極大値・・・こういうところでは、暖湿流が山にぶつかって雷雲が湧く可能性大・・・・紀伊半島なんかはかなり怪しそう。
で・・・具体的な雨の様子を12時間降水量で。

今日のところは、日本海の海上中心でホントに良かったね・・という感じですけど、太平洋側の短時間の強い雨はこれだけじゃわからない。

MSMという計算値の一時間降水量。
もちろん、強い雨は日本海ですけど、太平洋側も所々で強い雨。
上昇流の極大値が計算されていた紀伊半島や九州付近で、強い雨が降ることが予想されています。
じゃ、長野県付近は?・・・という流れえ、いつものように、具体的な降水のアニメで・・・と思ったのですが、上で見たように、計算値と実況が微妙に違う感じ。
地形がものすごく影響する降り出しのタイミングですから、誤解を生みやすく、あまり良い資料にならないかもしれないので今日は掲載するのをやめておきます。
長野県付近は昼前後には降りだすという程度に安全マージンをみておいくのがよいと思います。
そうそう、国土交通省の新型レーダー、XバンドMPレーダー、今日からしばらく役立つかもしれませんよ。
長野県内はズームできませんけど、お隣の富山方面や愛知県は完ぺきに網羅していますから。
Xバンドレーダー: http://www.river.go.jp/xbandradar/index.html
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