2010年07月29日
天気予報は当たるのか?(7月29日)まとまった雨猛暑日休み

故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。久々の長野の天気に慣れるため、毎朝コツコツ天気予報の修行中。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言
今朝は、日本全体が雨雲の帯の下・・・・各地で活発な雨が降っています。

太平洋高気圧が弱まって、日本付近は湿った暖かい空気の通り道・・・南西~北東方向の通り道に沿って雨雲が発達しています。
ということは、南西の風がぶつかる山の斜面・・・南西に向いた斜面では、上昇気流が発生しやすく雨雲が特に発達しやすい傾向にあります。
これから雨が強まりそうな東海方面・・・梅雨明け直前に大雨が降った岐阜県の可児市付近から長野県方向を上空から、暖湿流になったつもりで眺めてみると・・・・・

Google earthにレーダーを貼り付けた立体画像ですけど、暖湿流のつもりでレーダー画像を見ると、どのあたりで激しい雨が降りそうか見えてきます。
レーダー :http://www.jma.go.jp/jp/radnowc/
ところで、これ・・・・今朝発表された長野県の予報・・・原文です(マークはKasayanがつけました)。

無味乾燥な電文ですけど、予報文の後ろについている(203)とか(300)という番号をテロップ番号といいます。
長い予報文をトンツーの電信で送れるように、昔作られた暗号?が今も残っているわけですが、気象会社では、この電文をコンピューターで処理して、このテロップ番号に対応する天気マークをテレビやネットの天気予報の画面に表示しています。
ですから、おなじみの絵で見る天気予報も、実はこの電文がモトになっているわけです。

この番号・・・実は100種類以上あるんですけど、これを全部マークで表示したら、マークの数が多すぎてしまうので、視聴者が混乱してしまいます。
そこで、類似した天気のテロップ番号をまとめて一つのマークにしているんです・・・テロップ番号と天気マーク対照表ですけど、サムネイルを拡大して見てください・・・・省略しまくり?ですよ。

(テロップ番号・天気マーク対照表)
ということは、本当は情報量の多い予報文ですが、視聴者のためにという理由で、天気マークにしてカットしてしまっているわけです。
ですから、Kasayanは予報文・・・原文を読みましょうよ・・・としつこく言っているわけです。
今日の各地の予報も、原文で読めば雨の降り方も詳しくわかります。
天気マークなんて止めて、表示エリアの少ない地方の天気予報くらいは昔のような文字の天気予報に戻したほうがイイと思いませんか?
予報文(原文)サイト: http://www.imocwx.com/yohoud.htm
12時30分追記:懸念していた「大雨と雷及び突風に関する全般気象情報 第1号」が11時15分に発表されました。NHKニュースでは必ず項目立てされると思いますが、強い南風が吹き寄せる山の南西斜面中心に、いきなりドバッという雨の可能性有り。ご注意ください。
気象情報URL: http://www.jma.go.jp/jp/kishojoho/
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

早くも九州北部方面は回復に向かいそうですけど、それ以外は雨モード。
200ミリを超える雨は災害のモトになるわけですけど、西日本の太平洋側中心に、防災モードの降水量が計算されています。
3、長野県の予報
長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。

北部は曇りベース、中部は雨ベースになっていますが、いずれも「時々」がついていて、天気変化サインが出ています。
一方、南部は「雨」一発・・・・マークもテロップ番号300・・・・傘マーク一つです。
暖湿流が流れ込みやすい南部ほど、しっかりと雨が降るということですね。
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。

暖湿流エリアが東へ進む・・・それにともなって雨のエリアも東へ移動。
その原因は、太平洋高気圧が東方向へ弱まるということです。
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
太平洋高気圧が弱まって、天気が悪くなって・・・・いつまで悪いの?ということが気になると思いますが、地上の天気図で高気圧のエリアを見ているだけでは、天気が悪くなるエリアや悪化回復のタイミングがわかりにくいと思います。

上空5800m付近の天気図ですが、赤の点線で書いた上空の気圧の谷が、天気悪化の目安になります。
この谷が接近してくると、この谷のちょっと東側の上空では空気が拡散・・・地上付近では、上昇気流発生・・・・天気悪化という構造になっています。
明日の夜に、北日本を通過し終わるという予想になっていますから、明日の夜には、最終的に天気悪化モードは終わりということです。
もう一つ、天気悪化は上空の高層天気図でわからないものがあります。
それが地上付近の空気の流れによって発生する上昇気流のエリア

北日本では、上で見た上空の気圧の谷と対応する地上の風の収束線が通過します。
コイツの影響が明日ありそうです。
そして、今日のポイント・・暖湿流を強く流す風の様子。

緑の強風軸が本州縦断・・・次第に東へ移動するようです。
で・・・全体の天気変化のタイミングや原因がわかったところで、今日の雨の様子。

四国・紀伊半島・静岡付近で黄色や赤の強い降水が計算されています。
南西斜面中心・・・・ですね。
西日本は夕方までには回復しそうですけど、それ以外は天気マークどおり今日一日雨模様のようです。
東日本は?

南部中心の雨・・・北部は時々止む、あるいは時々雨という感じでしょう。
もう少し雨量が多ければ、全般気象情報という大雨のニュースになりそうな状態なんで、安全マージンは多めにとらないといけない状態。
それを考慮すれば、今日のシンプルな予報・・・当たるとしかいえません。
くりかえしますが、予報文・・・原文で読んでみてください。
予報文(原文)サイト: http://www.imocwx.com/yohoud.htm
予報文の用語集:http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/mokuji.html
17時30分追記:Kasayanの備忘録なので・・・・


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Posted by kasayan at 07:25│Comments(0)
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