2010年07月17日

天気予報は当たるのか?(7月17日)今日も夕立厳重注意!




 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。久々の長野の天気に慣れるため、毎朝コツコツ天気予報の修行中。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言

 これ、昨日18時の長野市の雨の様子昨日の記事参照)。




 気象レーダーの画像をGoogle earthに貼り付けたものですけど、ここ数年で最も激しい夕立になって、道路の冠水や小規模の土砂災害などがあちこちで発生したようです。

 岐阜県可児市 で洪水があったり、広島県庄原市などで土石流が発生したなど、夕立・・・という情緒ある雰囲気じゃなくなっています。

 で・・・一番気になるのは、昨日のような夕立が今日もあるのか?ということでしょう。
今日は夕立について詳しく検討してみました。

 太平洋高気圧が張り出してきていますから、梅雨明けが気になるでしょうけど・・・・災害をあちこちで発生させているこの不安定が解消しないと気象庁も梅雨明けを発表しにくいでしょうね

12時25分追記:気象庁、関東甲信も含めた広い範囲で梅雨明けを発表しました。長野県北部だけに限定された雷雨ということで、発表を決断したんだと思います。防災意識と解放された梅雨明けの気分とを計りにかけて・・・でしょう。長野県北部は解放された気分になるとイタそうです。

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 ホント・・・天気マークの天気予報では、夕立がほとんどわかりません
予報文を読むと、ほとんどの県に「雷」の文字がついています。
 長野県周辺だけ「のち 雨」マーク
わざわざ傘マークをつけるほどの夕立っていうことですね。

 テレビやネットで天気マークの天気予報だけ見ていたら、気象庁の予報の半分も見ていないことになります。
 上の緑の文字中にあるリンクをたどると、この図と同じマークの予報が開きますから、知りたい県の上をクリックすれば詳しい予報文が開きます。
 なんせ・・・税金で作られているHPなんですから、最大限利用しないと・・・

 ちなみに、予報文の生電文は以下のURLで読むことができます。
 府県天気予報電文: http://www.imocwx.com/yohoud.htm

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 先日までは、南部に多かった「激しく 降る」の文字が北部についています。
用語集によれば”1時間に30mm以上50mm未満の雨”の場合に使われる用語。
 警報級ですから、昨日の雨と併せて考えれば警戒モードというのが良くわかりますよね。

 今朝6時頃に発表される予定だった、長野県の「大雨と雷及び突風に関する長野県気象情報 第2号」が30分遅れで発表されています。
 気象台も、予想しにくい夕立を対象に大雨情報を出すわけですから、かなり悩んでいると思います。
 11時にも新しい情報が発表されるようですから、必ず新しい情報でアップデートしてください
 大雨情報(長野地台発表): http://www.jma.go.jp/jp/kishojoho/322_index.html

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 テレビの解説と同じ・・・・気温上昇で上昇流発生・・・・上空寒気の影響で・・・・雷雲モクモク成長・・・・・という話です。
 これ以上書き込んでも複雑になっちゃうだけなんで・・・・

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 激しい夕立の原因の一つ・・・上空の寒気の様子からチェックして行きましょう。




 下の図が寒気の様子ですが、-6℃の寒気が東日本・北日本の上に残っています。
上の図を見ると、太平洋高気圧が張り出しているのに・・・
 上空は夕立の準備OK

 ちなみに小笠原付近にある寒気・・・・UCL(upper cold low)といって、寒気を伴った上空の渦のこと。
 台風3号にならないか?・・・注意が必要です(今朝の短期予報解説資料にも書かれてています)。

 次は、地上付近の暖湿気の様子




 薄緑の矢羽根・・・上空1500m付近で暖湿流を運ぶ強い風は朝鮮半島付近に向かっています。
このため、朝鮮半島では、梅雨明け前の豪雨になっているわけですが(韓国旅行は雨具持参)、日本付近は豪雨後の暖湿気が残っている状態

 おまけに太平洋高気圧の張り出しによって、晴れて猛暑になりますから・・・・地上付近も夕立の準備OKになってしまいます。

 で・・・ざっくりとアニメで今日の雨の予想をチェック。




 夕立を全部計算しきれませんから、あくまで傾向として見てほしいんですけど、全国的にゲリラ的な夕立はあるものの、特に長野県周辺の降水が多く計算されています。

17時20分追記:東日本・東北南部で夕立発生。長野県付近は計算値どおりですが、東北南部は計算以上の激しいものになっているようです。長野県付近は予測ができたので、ゲリラではありませんでしたが、東北南部については12時初期値の計算値でもダメだったので、まさにゲリラでしょうね。




 中部地方を詳しく見ると・・・・




 長野県北部付近が最も降水量大。
なんで?????ですけど・・・・・




 気温上昇で(上の予想気温をもう一度ご覧ください)、長野県中部付近の空気が上昇して、弱い低気圧発生
 関東や東海、上越方面から、この低気圧に空気が集まってくるわけですが、長野県は山だらけ。
 盆地をすり抜け、山の低いところを越えて集まった空気が合流するあたりで強い上昇気流が発生します。
 それが、長野県北部付近

 これを立体的にして見ると・・・・・・




 いつもは、北アルプスが西からくる雨雲の防波堤になるんですけど、今日は東よりの風を遮って、長野県北部だけに強い夕立を発生させてしまうという悪者になっています。

17時20分追記:計算値とほぼ同じエリアで夕立になっていますが、飯山方面で特に激しくなっているようです。およそのエリアは計算できても、どこが激しくなるのか?という点をとらえるとゲリラといえそうです。




 発生した夕立は、上空3000m付近の風に流されて範囲を拡大




 こんなストーリーで夕立が発生するということになりそうです。

 昨日よりは降水量が少なくて済むかもしれない・・・という気もしますが、昨日で十分すぎる雨が降っていますから、たとえ少なくても・・・・・・ですね!

 ゲリラ的な部分がありますから、安全マージンをとるのが当然。
 予報の当たりハズレを云々している場合じゃないです。


 県内では、どの山に登るにしても、雷には厳重注意
 行動は午後1時までには終えて、安全な場所にいるようにしたいものです(といってももう出発している時間ですけど)。

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(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)