2010年07月30日
天気予報は当たるのか?(7月30日)回復しても夕立注意!

故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。久々の長野の天気に慣れるため、毎朝コツコツ天気予報の修行中。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言
昨日から流れ込んでいる湿った空気。
低気圧や前線の通過とはちょっと違うので、ジメッとした南風が強めに吹いて、スコールに似たような雨がバラッと降っり止んだりという感じだったと思います。

今日は、もっと南国ムード?
強い日差しが雲の切れ間から差し込んだと思うと、夕方頃には東日本中心に再びスコールのような雨。
降るところと降らないところがモザイク模様のようにバラバラですから、天気予報が当たった!とか、はずれたぞ!と感じる方が極端にわかれると思います。
自分の頭上だけで天気予報の当たりはずれを考える方が多いんですよね・・・・・
下の降水のアニメを見ていただくとわかりますけど、小さな雨雲がバラバラと発生したり弱まったりするときに、市町村単位のピンポイント予報のマークだけを信じるなんてナンセンスです。
だいたい下の雨のアニメがピンポイント予報のもとになるデータなんですから。
木を見て森を見ないということになってしまいますから、こういうときには、天気変化の「傾向」で天気予報をチェックしておくのがイイと思います。
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

湿った空気の流れは東日本から北日本に移動したので、東日本・北日本は傘マークが並んで、西日本は晴れマーク。
例によって、各地の予報文には「雷」の文字が散らばっていますから、気になるエリアの天気はマークだけじゃなくて、上の緑の文字のリンクをたどって、各地の予報文を読んでください。
3、長野県の予報
長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。

日中、どんよりとした雲の切れ間からパーッと夏の日差しが戻ってきます。
気温も急上昇。
夕立と表現してよいのか、夕立のようなと言ったほうがイイのか迷いますが、いずれにせよ、午後にあちこちで雷雲発生。
どのあたりで?については、下で詳しく。
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。

ポイントは東へ移った暖湿流ですけど、本当は、南岸を北東進する風が集まる収束線と、東北を弱まりながら通過する寒冷前線も書き込みたかったんです。
暖湿流が流れ込んでいても、一様に雨というわけじゃなくて、収束線や前線の通過によってメリハリのある雨の降らせ方をするからです。
また、上空の気圧の谷の通過のタイミングも影響してきます。
シンプルな地上の天気図だけではなかなか予想はできないことですから、地上の天気図だけを見て判断・・・なんてことはある意味無謀です・・・今の時代。
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
今日は、どういうストーリーでまとめようかと考えましたが、多くの方があまり読もうとしない、気象庁発表の「天気概況」を使おうと思います。
気象庁の予報官の有りがたい解説ですから、ヘタなキャスターの解説より使える場合があるんです(ヒドイものもありますけど・・)。
天気概況(リンク先一番下):http://www.jma.go.jp/jp/yoho/322.html
ちなみに今日の関東甲信地方の天気概況を抜粋してみると・・・
「今日は、東日本を上空の気圧の谷が通過し、引き続き、南から湿った空気が入る見込みです。
このため、関東甲信地方では、昼前までは関東甲信地方南部を中心に、昼過ぎ以降は関東地方の山沿いや甲信地方で雨となり、雷を伴って激しく降る所があるでしょう。」
そして、長野県の天気概況は・・・・
「今日は、東日本を上空の気圧の谷が通過し、引き続き、南から湿った空気が入る見込みです。
このため、県内は、くもりで昼前から昼過ぎは晴れますが、所により雨で昼過ぎからは雷雨となるでしょう。」
長野は東京の気象庁と同じ管区ですから、概況の内容はほぼ同じ。
長野県のほうが日中晴れ間が出るという点が異なります。
さて、天気概況の書かれていた「上空の気圧の谷」・・・解説を読んだ人はわかったようなわからないような・・・ですよね?

赤の点線の谷のちょっと東側で天気悪化。
昨日のような雨は北日本中心に移り変わるということです。
次は「南から湿った空気」・・・・これも地上天気図では直接わからない・・・・・

湿った暖かい空気がガンガン流れ込む強い風のエリアは東海上へと抜けていきますけど、昨日から大量に流れ込んだ湿った空気は内陸に結構残っているというイメージです。
九州の南岸は、ちょっとだけ流れ込みやすいということでしょうか。
で・・・・「このため」以下に書いてある空模様の予想は・・・「雨」ですから、雨の様子を見てみましょう。

強い雨の帯は東海上へ・・・ですけど、東へ出っ張っている関東はなかなか回復しにくいという感じ。
また、寒冷前線や南岸の収束線(シアーライン)付近では上昇気流が発生して雨雲活発。
これが通過するタイミングで雨が強まります。
前線とシアーラインを詳しく。

書き込みをしておいたので、見ればお分かりいただけるかと・・・・
そして、東日本付近は?

いったん回復した空模様も午後から再び夕立のように降水が計算されています。
南風が強そうですから、吹きあがりで関東南部のゲリラ豪雨は可能性が低く、北部山沿い中心になると思いますが、用心するとしたら西側の山からの流れこみでしょう。
長野県内についてはもうちょっと詳しく。

風の収束や西寄りの風が高い山にぶつかって強制上昇させられてできる上昇気流で雷雲発生。
一応・・目安を書きこんでおきましたけど、北部中心に県全体バラバラに発生するようです。
そして、発生した雷雲を流す上空3000m付近の空気の流れの様子。

西風が長野県の山でゆがめられて関東や新潟方面に流れていますが、これに乗って雷雲のアタマが風下に傾くように流れていくはずです。
今日の予報・・・昼間の「晴れ」については、あまり期待しないで、むしろ「所により」以下の雷雨に比重をおいて考えるのなら当たりでイイと思います。
マークの太陽マークや、ピンポイント予報だけ見た方なら、はずれと感じる方が多いのではないでしょうか?
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(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)