2010年07月02日
雷の通り道を考える(7月2日)今日も夕立発生です
今日も夕立・・・雷雲が発生していますが・・・

上空に強い寒気がやってきて大気が不安定・・・と天気予報ではよく言いますが、それだけだったらどこでも雷雲が発生しちゃいます。
今朝の記事: http://kasayan.naganoblog.jp/e505110.html
でも「雷の通り道」なんて言葉をよく耳にしますよね。

今日午後3時のアメダスの風向風速の観測結果ですが、よーく見ると、山や盆地によって風の通り道があることがわかります。
それじゃ、山や盆地の影響を受けない上空は?・・・もちろん上空の低気圧や高気圧の位置に従って、そこそこ単純な流れ方をしています。
で・・・モクモクとわき上がる雷雲・・・積乱雲といいますが、この雲の高さは地上に近いところから始まって、最大身長?10000m(上空10キロ)まで。
雷雲の足元?は地上付近の風の影響を受けますけど・・・・・

腰のあたり・・・上空1500m付近では、そこそこ高い山や高原に影響され・・・・

北アルプスより高い所・・・遮るもののない3000m以上の部分では上空の流れに強く流されます。

そんなイメージでおなじみにレーダー画像を見ると、雷雲の通り道が見えてくるはずですが・・・・
甲信地方レーダー: http://www.jma.go.jp/jp/radnowc/index.html?areaCode=207
今日も17時に大雨情報が発表されます。
長野県気象情報: http://www.jma.go.jp/jp/kishojoho/322_index.html
予想降水量も記載されているはずですから、雷雲の通り道との関係を思い浮かべながら読むと、単に「・・・と気象庁は注意を呼び掛けています」という話をニュースを聞くよりもっとリアルに内容を理解することができると思います。
ちなみに、風と地形を考えるときのヒントは・・・・
・風と風が正面からぶつかると上昇流が発生する(雨雲発達)
・風と風が次第に接近して合流すると上昇流が発生する
・風が山にぶつかると上昇流が発生する(裏側では下降流になる)
・風は山を分岐して回り込む
・風は山の周辺や後ろで縦・横に渦を巻く
・風は山を乗り越えると上下に波うつことがある
・風は狭い溝の中(盆地)では早くなる
・・・・もっとたくさんのパターンがありますけど、こんなことを思い浮かべながらレーダー、そしてアメダスの風向風速の観測値を見ると、色々見えてくるはずです。

2010年07月02日
天気予報は当たるのか?(7月2日)半夏生の雷雲
故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言
いきなりですけど、今日も昨日並の夕立の可能性があります。
晴れている間に、昨日の雨で詰まった排水溝の掃除をしておきたいところです。
大雨と雷及び突風に関する長野県気象情報
http://www.jma.go.jp/jp/kishojoho/322_index.html
今日は雑節の一つの半夏生
「半夏生(はんげしょう)は雑節の一つで、半夏(烏柄杓)という薬草が生えるころ(ハンゲショウ(カタシログサ)という草の葉が名前の通り半分白くなって化粧しているようになるころとも)。七十二候の一つ「半夏生」(はんげしょうず)から作られた暦日で、かつては夏至から数えて11日目としていたが、現在では天球上の黄経100度の点を太陽が通過する日となっている。毎年7月 2日頃にあたる。」
(Wikipedia)
Kasayan・・・こういった季節の話題というのを天気予報の中で伝えるのはあまり好きではなくて、現役の頃は、そんな時間があればもっと天気の内容を伝えろよ・・・と思っていました。
ただ、放送局の女性(おばちゃん)プロデューサーの希望で、季節の話題をはじめて企画したのが「半夏生」。
半夏生になると(Kasayanの誕生日の前日)、歳時記なんか調べて2分ほどの原稿を嫌々書き上げたことを思い出すのです・・・・・

これ、昨日12時の可視画像
いまさら昨日の衛星画像・・・ですけど、昨日12時にひまわり6号から7号にバトンタッチして、正式運用になったひまわり7号の最初の画像です。記念にブログに保存・・・です。
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

雲マークと傘マークが散在していて、ぐずつくんだな・・というイメージ。
どのエリア予報文を読んでみても、「雷」の文字がついています。
さらに、各県の概況を読んでも「不安定」の文字ばかりですから、どういう天気になるのかイメージできますよね?
3、長野県の予報
長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。

昨日朝の予報は「夕方から雨 所により夜雷を伴う」でしたが、今朝の予報文には「雷を伴い激しく降る」と書かれています。
用語集で「激しく降る」の定義は、”1時間に30mm以上50mm未満の雨”ですから、警報が発表される1時間雨量の基準が40~50ミリの所が多い長野県にとっては警報級の雨が予想されているということになるわけですから、今日も警戒モードということですね。
降り出しも昨日は「夕方」でしたが、今朝は「昼過ぎ」。
雨のアニメはいつものように一番最後に掲載しました。
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。

実況天気図も予想天気図も(http://www.jma.go.jp/jp/g3/)なんだか間の抜けた図で、高層天気図の勉強をしていない人には「なんで大雨?」というような図。
アニメを作っている時間がなかったということもありますけど、短期予報解説資料という解説に掲載されている図を使うことにしました。
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
今朝も短期予報解説資料に基づいて、関連する図を掲載していきますが、今朝は昨日より時間があるので、多少コメントも【】の中に入れてみました。
1.実況上の着目点
①能登半島付近の日本海には寒冷渦(500hPa-9℃以下)【上空の寒気を伴った低気圧】があって、ゆっくり東進している。衛星画像で雲循環が明瞭。この寒冷渦の影響をうけて、本州中部を中心に発達した対流雲【モクモク雷雲:積乱雲】が発生し、昨日は広い範囲で発雷、現在も局地的に激しい雨が降っている。
② 沖縄周辺では、暖湿気(850hPa345K)【雨の原料】が入り、トラフの影響もあって、クラウドクラスターが【積乱雲の列】発生。



2.主要じょう乱の予想根拠と解説上の留意点
①1 項①【上の実況上の着目点の①】の寒冷渦はゆっくり能登半島付近からFT36【3日09時】 には秋田沖に進む。これに伴い、広域で不安定な場は、今日は東北地方、明日は北海道に拡大する。東日本から東北地方で、可降水量【空気の雨を降らせる能力】やPOT【発雷の可能性】などは、昨日に比べ今日は大きく、不安定現象は広域になる。発達した対流雲周辺では、1時間30~60mm の短時間強雨(局地的には80mm前後)の可能性。低地の浸水、河川の増水、土砂災害、落雷、竜巻などの激しい突風、降ひょうに注意・警戒。


②南西諸島では暖湿気(850hPa345K)が入り、明日にかけて断続的に、1 時間30~50mm の非常に激しい雨となる恐れがある。
③大陸の前線が、FT24 頃【2日21時】から対馬海峡付近にのびてくる。前線の南側には暖湿気(850hPa345K)が流入、西日本でも1 時間20~50 ミリの短時間強雨、落雷、突風に注意。

最後は、いつものように、長野県周辺の降水のアニメ。

今日も広範囲・・・・かなり早めでしょうか・・・長野県が激しい雷雨エリアの西の端っこになるようですね。

ちょうど、日本海と太平洋の風がぶつかるライン上で雷雲が発達するようです。
今日もできれば・・・できればですけど、何か変化があったら更新してみます。
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