2010年07月12日
天気予報は当たるのか?(7月12日)梅雨明け前の大雨?
故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言

これ、おなじみのGoogle earthの地球に、今朝の気象庁HPのレーダー画像と衛星の赤外画像を貼り付けたもの。
日本付近を拡大すると。

全国的に雨模様。
東日本・西日本を中心に強い雨(赤のエリア)の降っている所があります。
特に強いエリアを、さらに拡大してみると・・・・



いずれも周辺の地域の中でも高い山の周辺、そおれも南西斜面側で強い雨が降っていることがわかります。
湿った暖かい空気=雨の原料が南西の風にのって流れ込み、山にぶつかって上昇・・・雨雲が発達するというメカニズムですね。
今日一日、この傾向が続きますから、強い雨が降りだしたら、特に高めの山の南西斜面・・・注意ポイントになりそうです。
Google earthはフリーソフトなので、すでにお持ちの方も多いと思いますが、小惑星に行ったあのハヤブサで有名なJAXAのHPで、Google earthをパワーアップできるツール(KMLファイル)が手に入ります。
興味のある方は是非使ってみてください。
JAXA : http://www.eorc.jaxa.jp/TRMM/data/trmmxge/google_earth_j.html
この機会に、お住まいのエリアの周辺、梅雨末期の大雨の雨の降り方をチェックしておくと、今後の防災に役立つかも?
加えて、何度もオススメしている国土交通省の新兵器、XバンドMPレーダーはこちらです。
Xバンドレーダー : http://www.river.go.jp/xbandradar/index.html
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

全国的に大雨モードなんで、エリア分けはしていません。
当然大雨情報が各地で発表されていますから、最新の情報を以下のURLで確認してみてください。
全国: http://www.jma.go.jp/jp/kishojoho/
長野: http://www.jma.go.jp/jp/kishojoho/322_index.html
3、長野県の予報
長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。

予報文に「激しく降る」と書かれている場合、1時間に30mm以上50mm未満の雨が予想されているということ。
長野県の警報発表基準からすると、警報が発表されてもおかしくない雨ということになります。
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。


予想天気図では、今後の前線の動きが分かりにくいので、短期予報解説資料というプロ用の資料に掲載されている図を使いました。
前線が南岸まで南下したあと、すくなくとも明日の夜まで停滞する可能性大。
特に九州方面では、テコの支点のように全く動きませんから、積算の降水量がますます増えるという傾向です。
また、津軽海峡付近を進む低気圧は、ここにきて急速に発達傾向。
南の太平洋高気圧から、湿った暖かい空気を、北海道付近まで吸い上げることになりますから、日本全国雨の原料だらけ・・・ムシムシした雨の降りやすい状態が続きそうです。
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
大雨情報が発表されていますから、今日も天気予報の当たりハズレを云々するのは自粛します。
とはいっても、テレビの天気予報の解説と同じことを書いていたんじゃ、天気予報ゴッコになっちゃうんで、専門の天気図をできるだけわかりやすく・・・・
さて、いつものように、地上の気圧配置の骨格・・・上空の天気図を見ると・・・・

上空の気圧の谷が深まりながら北海道方面へ。
昨日朝の計算値より深まるとともに、地上の低気圧との対応もよくなり、津軽海峡付近の低気圧は昨日の予想よりずっと発達するという結果になっています。
このため、上空の気圧の谷の後ろ側には-6℃の寒気がグッと南下、反対に谷の前面には暖かい空気が流れ込み、梅雨前線は停滞前線から、シャープな天気変化をもたらす寒冷前線に姿を変えています(上の実況天気図参照)。
下の段の地上天気図と降水量の様子をもう少し詳しく見ると、こんな感じ。

上空1500m付近では南西の風が津軽海峡付近の低気圧に、掃除機のように吸い込まれていくのがわかります。
また、降水エリアも、北西~西の風と南西の風がぶつかる前線に沿って、非常にシャープになっています。
南の南西の風に乗ってやってくる湿った暖かい空気=雨の原料の様子を見ると・・・・

昨日より、ますます強い暖湿流。
前線が停滞する九州方面には特に強い暖湿流が流れ込んでいますから、大雨による災害の危険はとても高まっているといってよいでしょう。
で・・大雨のエリアが変化する様子をアニメで見ると・・・

日本列島に沿った、非常にシャープな雨エリアが南岸までゆっくりと南下。
東日本方面では局地的・・・高い山の南西斜面中心に強い降水が計算されていますが、九州表面は強い降水がずっと計算されています。
そして、今夜以降も継続。
梅雨末期の豪雨の一つのパターンですが、明日にかけても目をはなせない状態です。
10時追記:
レーダー(http://www.jma.go.jp/jp/radnowc/)を見るとわかるのですが、長野県北部、一時的に雨のエリアに穴?が開きます。北アのブロック効果でしょうね。一時的な晴れ間に安心していると、夕方近くになってやられちゃう可能性があるのでご注意を。不安定な状態ですから、レーダーでチェックなんかもオススメです。

話は変わりますが、あと一週間で三連休・・・・早めの夏休みをとって、梅雨明け十日を楽しもうとお考えの方もいらっしゃると思いますが、「今朝の段階では」、梅雨明けは微妙な感じ・・・・・
計算は流動的ですから、まだまだあきらめる感じじゃありませんけど、下のURLをクリックすると表示される六コマの天気図の網かけの部分・・・雨のエリアですけど・・・が、今後どう変化するか・・・・気象庁発表の週間予報と比べながら、考えてみてください。
週間天気図: http://n-kishou.com/ee/exp/exp01.html?cd=fefe19&cat=e3
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