2010年07月14日
天気予報は当たるのか?(7月14日)梅雨明け前の雨ピーク
故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。久々の長野の天気に慣れるため、毎朝コツコツ天気予報の修行中。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言
天気予報番組では、連日「前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んで」という解説がされていると思いますが、暖かく湿った空気になったつもりで日本列島を眺めてみると・・・・

どのあたりの山がじゃまになるのか?どのあたりで乾いた空気とぶつかってしまうのか?、どの谷を通過すれば進みやすいのか?がイメージしやすくなります。
山や乾いた空気にぶつかるところで大雨になりやすいわけですが、乾いた空気とぶつかる九州北部や中国地方西部はすごい雨になってます。
また、四国から紀伊半島、北アルプスにかけても山がじゃましますけど、やっぱり・・・・

長野県付近・・・御嶽山では累計の雨量が記録的に増えているようですが、まるで長野県の防波堤の役割を担っているようですね。
この防波堤が決壊したり、防波堤の役割をしなくなる方向から湿った空気が流れ込むと・・・・これが問題です。
昨日に引き続き、ニュースの「・・・と気象庁は警戒を呼び掛けています」という項目の原本、気象庁発表の「大雨情報」にリンクを張っておきます。
予想降水量などは、発表毎に変化しますから、新しい情報で確認してください。
大雨情報(全国): http://www.jma.go.jp/jp/kishojoho/
大雨情報(長野): http://www.jma.go.jp/jp/kishojoho/322_index.html
ところで、昨日の記事に梅雨明け予想の方法と素材へのリンクを書きこんでおきましたから、週末が気になる方は、ご自分で梅雨明け予報にチャレンジしてみてください。
昨日の記事: http://kasayan.naganoblog.jp/e513252.html
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

梅雨の無い北海道の南部にまで影響を及ぼす梅雨前線と低気圧。
梅雨末期の天気マークの分布です。
3、長野県の予報
長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。

今日は南部に「激しく降る」という予報が出ています。
この言葉は1時間に50~80ミリの予想ということですから・・・警報モードの雨が予想されています。
また、昨夜の予報よりちょっと悪目になっているようです。
「夕方まで」が一つの山のようですね。
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。
まずは、今朝の実況と今夜の予想図を比較。

低気圧が津軽海上付近に北上するものの前線の位置はあまり変わりません。
ただ・・・・太平洋高気圧がちょっとだけ西に張り出してきています。
もうちょっと北へと張り出してくれるなら・・・・・・・・週末3連休に向けてサッサと梅雨明けしてくれるんですけど。
短期予報解説資料というプロ用の資料に掲載されている天気図もあわせて掲載しておきます。
前線の位置が変わらないよ・・・・ということだけわかればOKです。

5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
前線・・・なんでこんなに動かないの?ということですが・・・・

上空の気圧の谷(赤点線)がほとんど動きません。
ちょうど谷の部分・・・九州北部で大雨になっているわけですね。
一方、太平洋高気圧も西に張り出そうと頑張っているわけですが、東へ進もうとしている上空の谷と力比べをしていて、状況はストップ状態です。
そして、上空の谷の東側、日本の南岸付近では南西の強い風が吹いています。
太平洋高気圧の西の端っこの暖かく湿った空気が流れ込みやすい状態も継続です。

雨の原料・・・342Kの暖湿流は東北まで流入・・・北海道を除いて大雨の材料はそろっています。
一方、朝鮮半島付近には雨の原料が少ない空気・・・乾燥しているんですね・・・が南下傾向。
ぶつかるのがやっぱり九州ですね。
これ、気象衛星でもよくわかります。

で・・・・具体的な雨の様子は・・・・・

東を向いた竜が日本の上空に居座っているという感じ。
夜には低気圧の北上とともに東日本方面で若干弱まる傾向がありますけど、湿った空気が流れ込みやすい状態は明日まで続きますから、そう簡単には安心できる状態じゃありません。
東日本付近では・・・・

とりあえず、計算上は昼前後にピーク。
強い雨が予想されている長野県付近の雨の予想を立体的に見ると・・・・

ちょっとわかりにくかったかもしれませんが、御嶽山や南ア方面の山中心の雨。
湿った空気が山に向かってゆっくりと上昇していくにつれて帯状の雨のエリアができて、山のあたりで急速の雨雲発達・・・というメカニズムになっているようです。
今日も大雨モードなので、予報の当たりハズレ云々は自粛しますが、上でリンクした大雨情報のチェックをおすすめしておきます。
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