2010年09月24日
台風12号予想進路と影響、涼しさいつまで?(9月24日)

故郷長野にUターンした気象予報士Kasayan。毎朝コツコツ天気予報のリハビリ中。おきまりのテレビの天気予報に背を向けて、視聴者目線で「天気予報」をチェックします。 今日の天気予報はあたるんでしょうか? |

一般的に、「今の空模様はどうなっているの?」を知りたいときは、衛星画像で雲の様子を見たあと、気象レーダーで雲の下・・・雨の様子をチェックします。
その後、”実況”天気図で気圧配置を見て、理由を考えるわけですが・・・・・・・

今朝の衛星画像とレーダーを一枚の絵にかさねるとこんな感じ。
今朝の涼しさ(肌寒さ)も併せて考えると、①~④の疑問がわいてくるんじゃないかと思います。
ということで・・・今日は台風の影響を中心に疑問を解決するというストーリーでまとめてみました。
(冬にかけての天気傾向「3か月予報」を昨日の記事で(クリック)まとめておきました)

おなじみ天気マークの天気予報。使い方次第で効果200%。「木を見て森を見ない」と言いますが、地元の天気チェックをするなら全国から。マークでエリア分けした境目の予報はアヤシイかも? |
それだけで疑問の結論だけは”なんとなく”解決することもあるからです。

疑問①・・・台風の影響・・・だと思われるのが東日本南岸のぐずつきエリア。
台風の影響にも直接の影響と間接的な影響がありますが、昨日の雨を降らせたのは秋雨前線。
秋雨前線がパッと消えてしまうわけがありませんから、秋雨前線を介して台風の間接的な影響があるかもしれない?・・・と考えられます。

地元長野にズームイン。見るのは天気マークの予報だけ?「・・のち・・」って何時? 「所により・・」ってどこ?予報文は必読です。 |

東日本にズームしてみると、傘マークは南岸中心。
昨日雨を降らせた秋雨前線が日本の南岸で影響を及ぼしている?と想像できます。
また、予報文を読むと、長野県中南部で雨が降るタイミングは「夜 遅く」。
刻々と台風が北上してくるようですから、秋雨前線を介した長野県内への台風の間接的な影響は夜のようです。
また、今日の予想最高気温は北ほど低く、長野県中北部では20℃以下。
そして、風も北風。
この秋で一番涼しい(肌寒い)一日になりそうですが、寒気が南下していることが考えられます。

予報の理由わかりますか?理由がわからなきゃ占いと同じ。解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。 |

ということで・・・天気マークで見た天気傾向の理由を天気図でチェック。
夜にかけて台風が前線に接近してきます。
台風は湿った暖かい空気の運搬役ですが、一方で前線の北側の高気圧は寒気の運び人。
二つの性質の異なる空気が前線で衝突。
雨雲が活発になることは想像できますが・・・・・
どの範囲で、どのくらい雨雲が活発になるのか?・・・このあたりは専門の天気図や計算値でチェックが必要になってきます。
また、台風が接近することによる強風や高波の様子も専門の天気図でチェックが必要。
専門天気図の読み方を少し知っておくだけで、情報量はグッと増えます。

難しそうな専門天気図だって、書き込みをすれば超簡単。「天気予報の確からしさ」を調べる道具です。 |
まずは、日本の気象庁の予想進路図(クリック)から。

テレビやラジオで解説をバンバンやっているでしょうから、特にいうことはありませんが、最も北よりのコースをとれば(可能性は低いでしょうが)、関東南岸も暴風域に入る可能性があるということですね。
続いて、比較のために米軍合同台風警報センター発表の予想進路図(クリック)。

速度は気象庁よりちょっと早めですが、コースはほぼ同じといってよいでしょう。
もちろん、日本の気象庁の予報円の範囲内の違いにすぎませんから、どっちが正しい・・・などと重箱のスミをつつくような話ではありません。
なお、太平洋高気圧の縁辺流と前線付近上空の南西風によって台風のコースが決定されるようです。
専門の計算値・・・MSMという計算値でいつものようにアニメを作りました。

台風接近前に秋雨前線が海上で活発になっています。
これが陸上だったら、かなりの大雨になっていたはずですから、ラッキー。
(コースが変わればアレ・・ですけど・・・)
もっとも、南岸中心にそこそこまとまった雨にはなりますから、昨日の雨と併せて注意は必要です。
では、もうちょっと・・・東日本にズームしてみましょう。

関東南部や東海東部は一日雨模様。
長野県付近は南部で雨域がかかりますが、大した雨にはならずに済みそう。
明日にかけての影響については、夕方17時発表の予報で最新の情報をチェックすればよいと思います。

今日は風速が15メートル前後の強風が南岸で吹きますが、秋雨前線による風が主体。
梅雨どきに吹く「はえ」と呼ばれる強めの風と同じです。
もっとも今夜以降は台風の接近に伴って北東の風が強まり、関東東方海上を中心に20メートルを超える可能性が出てきますから、週末のプレジャーボートなんかは出港をあきらめたほうがよいでしょうね。
そして・・・風が強まれば波も高まる・・・・

台風が接近する前に今夜から南岸では5メートルの波が予想されています。
波の方向を見ると、地上付近の寒気を運ぶ北東の風がおこした波と、台風の南東の風がおこした波が東日本南岸でミックス状態。
二つの波が合成され、三角波などイヤな波が立ちそうな状況が予想されます。
明日にかけて・・・警戒モードです。
もちろん、今日の段階で回復しているところもありますし、北日本は明後日に影響が考えられますから、明後日の予報は、今日11時発表の明後日の予報でチェックするのが吉。
今朝の週間予報は、昨日17時発表の古い予報ですから、日曜日の天気が気になる方は11時まで我慢してチェックするのがオススメです。
そして・・・やっと猛暑から解放されたエリアでは、また暑くなるんじゃないの?と心配されていると思いますが・・・・・

週間の気温傾向のグラフを見ると、28日(火)に平年を2℃前後上回るという結果が出ています。
どうして?

寒冷前線が通過するので、前線の南側に暖かい空気が流れ込むため・・・のようです。
理科の教科書では寒冷前線前面の「暖域」なんて言いますよね。
猛暑復活というわけではありませんし、前線が通過してしまえば、いきなり平年気温を下回ります。
で・・・疑問①~④はすべて解決・・・になっていればいいんですけど。

天気予報は確率論。ハズレるとしたらどうなるの?失敗しない方法を考えます。 |
したがってアヤシイといえばアヤシイですけど・・・困るほど雨が降るとは思えないので、当たりといってよいでしょう。
北部・・・まず雨の心配はないんじゃないでしょうか・・・予報は当たりでイイと思います。

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(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)