2010年09月03日

猛暑いつまで?一か月予報と高温に関する情報(9月3日)




 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。久々の長野の天気に慣れるため、毎朝コツコツ天気予報の修行中。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、天気予報をチェックしています


 一か月予報は毎週金曜日に発表されています。
 この記事の次の回の一か月予報はこちらでご確認ください。




 今日、一か月予報が発表されました

 猛暑はいつまで?・・・・・
 
 今年の夏は、統計開始以来(113年)の猛暑の夏
 誰にとっても生まれて初めての猛暑の夏ですから、1カ月予報はフォローしておこうと思って、まとめておきました。




 今回も全国真っ赤っか・・・中国地方・東日本全域で平年値より高くなる確率が70パーセント以上
 その他のエリアも60パーセント以上。

 結局、まだまだ気温は平年より高い状態が続きます

 グラフでもチェックしてみましょう。




 字が小さいですけど、このグラフの見方も掲載しておきました。
 シミュレーション計算の初期値を少しずつ変化させて複数の計算値を出して平均し、計算誤差を小さくしようというものなので、ヒゲのようなグラフになっています。

 いずれにせよ、多くの計算値が平年より高いという傾向を示しています。

 もっともこの季節、通常は夏から秋へと急激に変化する季節
 本来の平年値(1970年~2000年の平均)はどうなっているかというと・・・・




 9月1日から月末までで、日最高気温は、全国各地でおよそ5℃は下がる傾向です。
 内陸部の長野は7℃も下がるのが9月(急に秋が深まるっていうやつですね)。

 ですから、平年より高いといっても、それなりには猛暑日が減ってくるはずなんですけど・・・・・

 この猛暑が続く理由・・・
 先週の一か月予報と同様、日本の西側に上空の気圧の谷があって、日本付近は気圧の尾根にあたるということ。




 気圧の谷の東側・・・太平洋高気圧が居座って熱風を吹き下ろし、高気圧の西側を暖かい空気が流れ込みやすい状態が続きます。

 もちろん、これは一か月の平均の傾向です。
 気象庁の計算値によれば、来週後半くらいになれば上空の気圧の谷・気圧の尾根が浅くなって、次第に太平洋高気圧が南下・・・・秋雨前線が姿を現す傾向も?

 もっとも、南の海上は台風のタマゴがわきやすい状態になっていますから、高気圧が弱まるということは、高気圧のブロックがとけて、台風がやってきやすい状態ともいえます。
 そして台風が日本海側を通過すれば、もちろん猛暑。
 台風の直撃が避けられても台風北上とのタイミングが問題です。

9月7日追記:台風9号が通過した後、太平洋高気圧がやや弱まり。場合によっては大陸の移動性高気圧が南下してくる可能性出てきました。そうなると、平年並の気温になる可能性があります。いつもの9月半ばくらいの秋めいた陽気ということですね。期待したいところです。

 そして、月末になると再び・・・・以下省略。

 猛暑は続きますけど、さすがに秋
 猛暑も弱まったり強まったりして、少しずつ秋の気配は感じられるようになるはず・・・・という計算値でした。
 計算値は・・・ですよ。

 ところで、今日「高温に関する関東甲信地方気象情報 第1号」「高温に関する長野県気象情報 第1号」が発表されています。向こう一週間はまだまだ要警戒の猛暑が続くということですね。

高温に関する関東甲信地方気象情報 第1号
平成22年9月3日15時05分 気象庁予報部発表
■見出し
関東甲信地方では、向こう一週間は気温が平年よりかなり高く、最高気温が35度以上となるところがあるでしょう。
■本文
 関東甲信地方では、向こう一週間は気温が平年よりかなり高いところが多く、平均気温が平年より4度から5度程度高い日が続く見込みです。
 また、最高気温が35度以上の猛暑日となるところがあるでしょう。
 気温の高い状態が続きますので、農作物の管理や熱中症などの健康管理に十分注意して下さい。



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Posted by kasayan at 16:26Comments(0)雑記

2010年09月03日

天気予報は当たるのか?(9月3日)天気チェックの思考過程





 (今朝はサーバーへの接続が重くて・・・更新が遅くなりました。

 昨日の朝、朝鮮半島を横断した台風7号は、熱帯低気圧に変わりました。
この熱帯低気圧が接近している北日本では大雨のおそれ。


 ところで、今日は9月3日ですから、あと2カ月でこのブログを初めて1年。
 毎朝の修行?は1年と決めていましたから、11月3日以降はどんなことを書こうか?と考えているところです。

 テレビやラジオの天気予報では知りたいことがわからないんじゃないの?ネットの天気予報は情報の羅列じゃないの?声の解説は自分には無関係なポイントばかり説明していない?

 そんな疑問に答えられるような、天気予報のナビゲートを考えているので、今日は、視聴者の立場での」Kasayanの思考過程をまとめてみました。

 ということで・・・・Kasayaがいつも天気チェックの真っ先に見るのが、衛星画像。




 雲の分布を見て、この赤外画像なら、書き込みのようなことを色々考えます。

 でも雲の下のことは全然わからないので・・・・レーダーで雨の分布を確認します。




 これまた書き込みのようなことを考えるのですが、衛星画像と見比べながら、雲の発達の程度などと対応を付けます。

 そして、この状態を空模様の骨格のスケッチ・・・・実況天気図で確認します。




 衛星画像やレーダー画像を、実況天気図に重ね合わせるようにイメージして、空模様のイメージ画像を頭の中につくるわけです。

 で・・・・空模様のイメージ画像がこれからどうなるのか?
 未来の空模様のスケッチを作りたいので、様々な情報をチェックするわけですが・・・・

 普通・・・まずは予想天気図を見て・・・と思われるかもしれませんが、予想天気図はあくまで骨格のスケッチなので、天気図を横目で見ながら、衛星画像に変わる未来の空模様のイメージ画像・・・・天気マークの天気予報を見ます。




 いつもは、同じマークでグリーピングして、エリア分けするのですが、その時の頭の中はこの図のイメージでエリア分けしています(一昨日の記事も見てください)。
 雨のエリア、曇りのエリア、晴れのエリア・・・・あたかも衛星画像とレーダー画像を見ているつもりで、天気マークの図を見ています。

 そして、Kasayanが住んでいる長野県付近の天気マークへ。




 もちろん、衛星画像やレーダー画像を見るつもりで、頭の中では天気マークでエリア分けしているわけですが、さらに各地の予報文も斜め読みして、エリア分けを詳細にしています。

 予想天気図が未来の空模様の骨格のスケッチなら、予報文は気象台の予報官が作った未来の空模様のメモ書き。
 メモの中の重要な部分を書き込みのように、ザッとチェックしていくわけです。

 でも、メモじゃ理由がわからない・・・・
 そこで、予報官の予報を作るにあたって考えたことの備忘録・・・天気概況を読みます。




 アンダーラインの部分・・・・予想の結果だけ書かれていて、理由がわからない。
 なんで、雲が広がって、雨が降るの?

 そこで、周辺地域の気象台の予報官の備忘録・・・周辺地域の天気概況も斜め読みします。
 三人よれば文殊の知恵?







 「湿った空気」という文字が長野県の天気概況に抜けています。
 どうやらこれが疑問に思ったことの理由のようです。

 その他、北海道の天気概況や九州の天気概況を斜め読みして、天気図に理由を書き込むようにイメージします。
 ちょうど天気予報のキャスターのように、自分に解説してあげるわけです。




 
 まあ・・・・こんな感じ。
 以上の情報は全部、気象庁のHPでチェックできますから、興味のある方は試してみてください。

 あとは、プラスアルファの部分・・・天気の勉強をしていないとわかりにくいと思いますが、テレビやラジオの天気予報をチェックすることである程度同じようなことがわかるはずです。

 天気概況にあった、「湿った空気」の様子。




 書き込みのようなことを考えるわけですが、日本海側から流れ込むのがポイント。
 今日の関東では37℃の猛暑が予想されていますが、日本海側から関東に吹き込む湿った空気がフェーン現象を起こす可能性がありそうですね。

 ついでに、上空1500m付近の気温。




 熱帯低気圧に向かって、太平洋高気圧の縁を回って暖かい空気が流れ込むので、さらに暑くなりそうです。

 で・・・具体的な雨。
 MSMというスーパーコンピューターの計算結果ですが、これだけじゃなくて予想天気図や天気マークの天気図との整合、さらに実況との整合も見ています。




 そして、東日本・・・最寄りのエリアへ。




 もちろん、この図だけを使っているわけじゃありませんけど、予報文のと見比べながら、「所により」はどのあたり?、雨のタイミングは?などと考えています。


 このように考えていくと、なんだか予報官が何を考えているの?ということをトレースしているようですよね?
 気象庁の天気予報を解説する仕事をしていたときにクセになった思考の流れなんですけど、ある意味、究極の視聴者の立場にいたときの考え方だと思います。
 
  面白いな?と思われましたら、是非お試しください。

  明日は普通の天気チェックの流れに戻します。


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