2010年09月01日
天気予報は当たるのか?(9月1日)9月も猛暑台風7号は?

故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。久々の長野の天気に慣れるため、毎朝コツコツ天気予報の修行中。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言
真っ先に台風の様子からチェックしてしまいましょう。

台風8号は、はやくも熱帯低気圧に。予想コースはこの図を見ればOKですよね?
台風はそれほど勢力を落とさないまま朝鮮半島へ上陸しそうですけど、これは東シナ海の海面の水温が高いから。

オレンジ色は海面水温28℃以上の場所・・・全部28℃以上です。
台風のパワーの源は海面からの水蒸気で、一般に海面水温が26~28℃以上なら台風は衰えませんから、昨日沖縄を通過したときのように、コンパクトだけどパワーのある台風のまま朝鮮半島へ。
図中の台風付近にある黄色や青のエリアは降水域。
通常の気象レーダーじゃなくて、TRMM衛星という人工衛星が搭載している降雨レーダーの画像(はやぶさのJAXAが運営)。
台風付近にコンパクトに強い雨域があることがわかります。
とりあえず今日・明日は日本に「直接の」影響はなさそうですから、台風はこのくらいにしておきましょう。
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

北海道道南や青森付近だけ天気悪し。
東シナ海にある台風付近から、日本海をずーっと回ってやってくる湿った暖かい空気の影響で、大気が不安定になっているからです。
一方、東日本や西日本は、猛暑「強化」エリア。
なぜ「強化」といえば、これから週末にかけてもっともっと暑くなる・・・・
ちなみに、昨日の週間予報によれば、3日(金)~5日(日)の大阪の予想最高気温は、なんと37℃。
この週末、屋外の行事があるのなら、今日11時に発表される週間予報もチェックして対策は万全にしておかないと・・・マジメに大変なことになりそうです。
3、長野県の予報
長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。

今朝は趣向を変えて、予報文の中に「雷」の文字があるところと、「雨」の文字があるところにマークを付けてみました。ちなみに「雨」のマークのところには「雷」の文字はついていません
日本海側のエリアと岐阜に強い夕立=雷雨の予想が集中していることがわかります。
どうして?理由はあとでチェックしてみることにしましょう。

長野地方気象台発表の府県天気予報の電文の原文です。
(他地域の予報文:http://www.imocwx.com/yohoud.htm)
(111)という番号は、テロップ番号といって、「晴れのち曇り」マークを表示しなさいよ、という予報官のリクエストの番号。
昨日のように、「雷」とか「激しく降る」という文字はありませんから、夕立はあるとしても限定的な弱いものが予想されているようです。
むしろ、北信~南信・・・全部猛暑日になっているということが問題でしょう。
もう9月なのに・・・・・
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。

今日のポイントは、上空にある太平洋高気圧の中心が東日本~西日本をすっぽりと覆うこと。
乾燥した熱風を吹き下ろすドライヤーの吹き出し口が上空にあるわけですから、気温が猛烈に上昇。
夕立も日本海側に追いやってしまいます。
砂漠の気候って、この状態がずーっと続くわけですが、今日の日本はサハラ砂漠を疑似体験するようなものかもしれません。
一方、この高気圧の周辺を流れる暖湿流がぶつかる青森や道南で大気不安定。
湿った空気が流れ込みやすい日本海側で雷雨が発生しやすい傾向にあります。
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
今日から明日にかけての上空の太平洋高気圧(ドライヤーの吹き出し口)の変化の様子と、地上付近の雨の様子(点線部分)の変化をアニメにしてみました。

上の段・・・色を塗った太平洋高気圧のコアは今日から明日にかけて成長がピークへ。
地面に向けて乾燥した熱風を吹き下ろし続けます。
下の段の点線で囲まれたエリアが雨のエリアですが、ほとんど台風付近に偏っています。
明日にかけて西日本南岸にポツポツのスコールのような雨域が近づきますけど、まとまった雨の気配は全くありません。
では、この太平洋高気圧のコアの周辺を流れる暖かく(暑く?)湿った空気の様子。

矢印付近が暖湿流の主流(青の濃い場所)と思われる場所。
日本の南岸には乾燥した空気があって(水色の場所)、南風に乗って、日本に流れ込んでいます。
日本付近は雨の原料が少ないですから、全般にお湿りの夕立の可能性も低くなっていますが、それでも湿った空気が流れ込みやすい山陰や北陸などの日本海側で夕立があるということでしょう。
具体的な雨のエリアは?

午前中の北日本の雨は回復に向かって、沖縄をのぞく日本は乾燥熱風列島?になるようです。
ところで、今日も具体的な夕立のエリアをチェックする時間がなくなっちゃいました。
夕立は少ないとはいえ、一応チェックはしておきたいので、昼ごはんでも食べながら追記の形で掲載してみたいと思います。
12時30分追記:夕立がありそうなところをピックアップしてみました。
昼前の可視画像を見ると、いつもと同じ山沿いに積雲の列ができていますが、長野県の西部と岐阜県、富山県方面の山々で活発な傾向がうかがえます。
大気の湿り気や安定度をチェックしてみましたが、関東よりは東海、東海よりは北陸のほうが不安定傾向。この傾向で夕立は活発になるものと思われます。
昨日は長野県南部の降水の計算値がイマイチでしたが、今日はますます分からない状態。昨日ほどの夕立になるところは少ないと思われますが、太い赤線のところではそれなりに強い雷雨の可能性があると考えて、気になる方はレーダーなどをチェックされるとよいと思います。なお、発生した積乱雲は上空3000mの流れに乗って、西~北西方向にせいぜい自転車程度の速度で流れると思われます。(関東北部は別)
レーダー:http://www.jma.go.jp/jp/bosaijoho/radar.html#a_top



いずれにせよ、今日も予報は当たる・・・・でしょうね。
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(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)