2010年09月20日
9月末は気温乱高下?週間予報(9月20日②)

故郷長野にUターンした気象予報士Kasayan。毎朝コツコツ天気予報のリハビリ中。おきまりのテレビの天気予報に背を向けて、視聴者目線で「天気予報」をチェックします。

9月17日(金)に、異常天候早期警戒情報が発表されています。
今回の検討期間(9月22日から10月1日)においては、この時期としては強い寒気が北・東・西日本まで南下するため、北海道、東北地方では22日頃から、北陸地方では23日頃から、また関東甲信、東海、近畿、中国地方では24日頃からの7日間平均気温がかなり低くなる確率が30%以上と見込まれます。 農作物の管理等に注意して下さい。 |

むこう一週間の天気図に書き込みをしてみました。
23日~24日にかけて、本州南岸に停滞する秋雨前線上を低気圧が通過して太平洋側を中心に雨模様。
そして、低気圧は北海道の東で急速に発達。
25日には「西高東低」の気圧配置になります。
このタイミングで強い寒気が南下・・・・25日~26日朝にかけて気温が下がるということのようですね。
地上の気温変化の目安になる、上空1500m付近の寒気の様子をチェックしてみましょう。
今日と比較するとイメージしやすいので、今朝(9月20日09時)の観測値から。

9℃のラインは北海道の道南付近。
0℃以下の寒気ははるかオホーツク海付近です。
これが、今週どうなるか?というと・・・・

25日・・・9℃のラインは山陰付近まで南下。
0℃以下の寒気は北海道まで南下してきます。
本当にこうなるなら、北海道の高い山で降るものは間違いなく雪になるでしょうね。
これをグラフで平年値との差で表示してみると・・・・

異常天候早期警戒情報に書かれていたように、日本各地、タイミングは微妙に異なれど、平年を3~4℃下回るようになります。
25日の平年値を書き込んでおきましたから、何度くらいになるのかイメージしてみてください。
東日本・西日本では、22日あたりまで、平年をかなり上回る気温が続きますから、急激に涼しく(肌寒く)なったという印象を受けるかもしれませんね。

これは23日朝の上空5800m付近の気温の予想ですけど、猛暑をもたらした太平洋高気圧がまだ生きながらえているところに、冬の寒気(-30℃)が無理やり南下してきて、日本付近は晩夏・初秋・晩秋・初冬が圧縮して混在している状態。
どっちかの勢力が強まれば、そちら側に急激に傾くという状態です。
図やグラフで見た天気や気温の傾向を思い浮かべながら、気象庁発表の週間予報をチェックしてみてください。
週間予報は、毎日11時と17時に発表されますから、朝一番にチェックしたら、それは前日17時の予報。
週末の天気を早く知りたくても、11時までは我慢してくださいね。
今週は前線と低気圧の位置で予報が微妙に変化しそうですから、特に24日までは、新しい週間予報で頭の中をアップデートしてください。
先週土曜(11日)の週間予報は、寒気の南下がイマイチで、秋雨前線もイマイチでしたから・・・
気象庁発表週間予報: http://www.jma.go.jp/jp/week/

コメント欄・メール(kasayangw@yahoo.co.jp)にてどうぞ。
可能な限り返信いたします。

(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)
2010年09月20日
雨はいつ止む?連休最終日の天気(9月20日)

故郷長野にUターンした気象予報士Kasayan。毎朝コツコツ天気予報のリハビリ中。おきまりのテレビの天気予報に背を向けて、視聴者目線で「天気予報」をチェックします。 今日の天気予報はあたるんでしょうか? |

雨音で目を覚まして・・・「連休晴れだったんじゃないの?」と驚いた方、いらっしゃいませんか?
北陸や関東甲信の北部で雨。
西日本の所々でも夕立のような雨が降っています。

このブログで、先週木曜日には「三連休は初日OKで、だんだん天気が悪化」、金曜日には「天気予報がコロコロ変わる可能性がある」と書きましたが、ペシミストのKasayan的な計算値の読み方が吉だったようです。
現代の天気予報はスーパーコンピューターの計算値をいかに修正・補足・解釈すべきか?で決まってくるのですが、オプチミスト的解析とペシミスト的解析の二通りがあります。
連休など消費活動が活発になるときには、なぜか気象庁の予報はオプチミスト的解析になるように感じます。
災害が発生するおそれがなければ、連休はカラ振りより見逃しのほうがよいかもしれませんけれど・・・・
三連休最終日・・・今朝の雨はいつやむんでしょうか?
(9月末の異常低温の情報は土曜日の記事をどうぞ)

おなじみ天気マークの天気予報。使い方次第で効果200%。「木を見て森を見ない」と言いますが、地元の天気チェックをするなら全国から。マークでエリア分けした境目の予報はアヤシイかも? |

傘マークの有無でエリア分けすると、昨日は北日本中心だった”ぐずつきエリア”が東日本や山陰まで拡大。
また、東海から西日本も雲マークが左側・・・・雲が多めの晴れマークです。
エリア分けの白線の近くは予報がアヤシイエリア。
雨の範囲は計算値で詳しくチェックすることにします。

地元長野にズームイン。見るのは天気マークの予報だけ?「・・のち・・」って何時? 「所により・・」ってどこ?予報文は必読です。 |

”ぐずつきエリア”の南の境界線が長野県を横断しています。
長野県中部の天気マークは「雨 のち 晴れ」・・・急速な回復が予想されていて、そのタイミングを予報文で見ると「昼前」・・・北部の雨が止むタイミングも同じですね。
用語集で「昼前」は午前9時から12時の間ですから、早ければ9時過ぎですけど・・・どうなるんでしょう?

予報の理由わかりますか?理由がわからなきゃ占いと同じ。解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。 |

天気図を見ると、東日本付近に低気圧や前線が描かれていませんから、何で雨?と思われる方も多いかもしれません。
気象庁予報部発表の天気概況を読んでも、「今日は、上空の気圧の谷が昼過ぎにかけて東日本を通過する見込みです」なんて書かれていて、イマイチよくわかりません。
ただ、天気図をよーく見ると、日本付近は地上でも気圧の谷になっているんですよね。
また、湿った空気と乾燥した空気がぶつかったり、暖かい空気と冷たい空気がぶつかると水蒸気が水滴になって雲が発生しやすいんですけど、そんな状態が東日本付近に出来上がっています。
(湿り気は高層天気図を見なきゃわかりませんけど・・・後で掲載します)
このため雨になった・・・というのは簡単なんですけど、明瞭な低気圧や前線がない状態で、このようなメカニズムで発生する雨雲の程度の予想は、オプチミスト的かペシミスト的か・・・予報を作る人の性格で結構異なります。
ようは、難しいんですよね。

難しそうな専門天気図だって、書き込みをすれば超簡単。「天気予報の確からしさ」を調べる道具です。 |
朝の雨のメカニズムを見て、それが夜にかけてどうなるか?
実況から予想という、天気チェックの王道の流れでチェックしてみます(普段は変則的チェック?)。
まずは、天気概況に書かれていた「上空の気圧の谷」の様子。

今朝の段階で、最新の実況は昨夜(19日)21時の観測値。
北陸から北日本の上空には赤の点線で示した上空の気圧の谷が観測されています。
この谷が地上付近に天気を悪くする空気の流れを作るのですが、気圧の谷の南側では強い風が吹いていて、雨雲の帯と対応しているのがわかりますよね。
では、気圧の谷に対応する強い風の付近で何が起きているのか?
上空3000m付近の空気の湿り気の様子を見てみましょう。

”露点”というのは、空気を冷やして、空気中の水蒸気が水滴になる温度。
気温と露点の差が小さいほど湿った空気ということですが、差が3℃を下回ると水滴が発生・・・雲ができます。
雲のあたり・・・網かけの部分は気温と露点の差が3℃未満になっていますよね。
雲の北と南側には露点と気温の差が10℃以上ある乾燥した空気。
海上で観測ができていませんけど、台風の東側・・・東シナ海を湿った空気が北上して北の冷たく乾燥した空気とぶつかって雲が発生しているようです。
雲の下の雨のエリアは、”今日の一言”に掲載したレーダーでチェックできますよね。
北陸中心でしたっけ・・・

上空の気圧の谷は三陸沖に抜けますから、東日本は回復傾向・・のはず。
一方、北海道方面には次の上空の気圧の谷がやってきますから、夜には下り坂・・・になるはずです。
では、露点と気温の温度差3℃未満のエリア・・・雲のエリアは?

縦の網かけ部分が3℃未満のエリアですが、東日本から北日本の雲エリアは夜になっても継続。
網かけの外側までKasayanが色塗りしましたが、灰色のこのエリアは、くもり、あるいは雲が多めと感じる可能性が高いエリア。
結構広い範囲を雲が覆うようですね。
で・・・雲の下で具体的に雨が降るエリアは?

関東甲信北部の雨域は東海上に抜けそうですが、上空の気圧の谷の南側の強風帯が通過する北陸から東北の日本海側はなかなか回復しないようです。
九州方面も一日、流れ込む湿った空気による不安定な雨が予想されていますよね。
東日本の雨が止むタイミングを詳しく見てみましょう。

11時頃に長野県北部の雨が関東北部へ抜けるようです。
予報どおり「昼前」という感じですが、所々雨は残る感じもしますよね。
これをオプチミスト的に解釈するか?ペシミスト的に解釈するか?・・・あなたならどうします?

天気予報は確率論。ハズレるとしたらどうなるの?失敗しない方法を考えます。 |
そうだとすれば、「昼前」から回復ということになりますが、ペシミスト的なKasayanとしては、遅くとも午後1時あたりには止むという見方をします(13時頃までぐずつくがイイ表現かな?)。
上でチェックした上空の気圧の谷よりさらに上空の気圧の谷がしっかりしていますし、昨日から実況が計算値より悪目に推移しているように思います。
どうしても濡れちゃこまるという方は安全を見て午後1時~2時には回復と考えておけば・・・・イイんじゃないかな?・・・と思うんですけど・・・
08時25分追記 ブログをアップしてすぐですけど、ちょっと早めの回復の可能性の兆候が・・・・ 今手に入って最新の計算値でも・・・・ 雨が息をしながら回復ということなので悩ましいところですが、最終的にはレーダーと目視で判断するしかなさそうです。 レーダー:http://www.jma.go.jp/jp/radnowc/ 11時45分追記 11時45分現在、レーダーを見る限り長野県北部に雨雲散在。まだぐずついています。 先ほど旧長野市街地にもパラリとありました。スパッと回復しないときの予報の表現というのは非常に難しいものですね。 |
なにせ異常低温が予想されている週ですから・・・・・・

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