2010年09月13日
夏の終わりに、雨のエリアのチェック方法教えます(9月13日)

故郷長野にUターンした気象予報士Kasayan。毎朝コツコツ天気予報のリハビリ中。おきまりのテレビの天気予報に背を向けて、視聴者目線で「天気予報」をチェックします。 今日の天気予報はあたるんでしょうか? |

記録的な猛暑をもたらした太平洋高気圧も今日が最後・・・という話題が、今日の天気予報番組で聞かれると思います。
そこで今朝は、本当に猛暑は終わるの?ということを詳しくチェックしたいと思います。
※9月の天気傾向、最新の一か月予報はこちら。

今朝午前3時のレーダー画像ですが、午前6時現在、北陸や東北、そして長野県の大北地域で警報が発表されるほどの強い雨。
今朝も「大雨と雷及び突風に関する全般気象情報 第5号」(ニュースで「・・・と気象庁は注意を呼び掛けています」という項目の原本)が発表されています。
大雨情報: http://www.jma.go.jp/jp/kishojoho/
一昨日、普通の天気図じゃわからない”曇りのエリア”を専門天気図を使って超簡単にチェックする方法を書きましたが、今朝は”雨のエリア”を簡単にチェックする方法を・・・・・・・

この図は、普通の予想天気図の原本になるスーパーコンピューターの計算結果を表示したもの。
太い実線は普通の予想天気図と同じ等圧線ですが、点線が予想降水量。
描かれている予想気圧配置の過去12時間の降水量を予測したものです。
ゼロと数字が打たれている点線の内側が”雨の可能性が高いエリア”で、点線に囲まれた内側にいくほど降水量が多いと予想されていることになります。
細かいことは書き込んでおきましたが、上で見たレーダーの画像とほぼ一致していると思いませんか?
それじゃあ、今朝9時から今夜9時までの12時間の降水量の予想は?

今夜9時の同じ予想天気図ですから、点線は今日日中12時間の降水量の予測ということになります。
どのあたりでたくさん雨が降る?ということをご自分でチェックしてみてください。
雨予想図(FXFE502pdf) :http://www.hbc.co.jp/pro-weather/FXFE502.html
専門天気図リスト: http://www.hbc.co.jp/pro-weather/

おなじみ天気マークの天気予報。使い方次第で効果200%。「木を見て森を見ない」と言いますが、地元の天気チェックをするなら全国から。マークでエリア分けした境目の予報はアヤシイかも? |

北海道はすでに秋。
その他のエリアは、まさに夏と秋が戦っているところ。
夏の高気圧の断末魔?が激しい雨になって東北や北陸を襲っています。
天気マークだけじゃダメ・・・と書きましたが、夏と秋のせめぎあいは、時々刻々と変化します。
ひとつ下の章に「予報文」というリンクを作ってありますから、ご自分の地域や周辺の地域の予報文を読んで、天気変化をチェックするのがオススメです。

地元長野にズームイン。見るのは天気マークの予報だけ?「・・のち・・」って何時? 「所により・・」ってどこ?予報文は必読です。 |

東日本も、傘マークがついている北陸や岐阜、長野県を中心にまとまった雨が降るんだな・・・・ということはわかりますが、その他の県で雨が降らないというわけではありません。
マークに傘を付けるほどは降らない・・・というだけのことですから、予報文をしっかりとチェックしてください。

ところで、これは気象庁発表の時系列予報。
松本のものですが、今日日中気温が上がったあと、明日朝にかけて急に気温が下がってくるのがわかります。
明日朝には秋が勝利して平年並みの気温に戻るということです。
涼しくなるのが待ち遠しい方は、ご自分のエリアの時系列予報でチェックしてみてください。
気象庁時系列予報: http://www.jma.go.jp/jp/jikei/

予報の理由わかりますか?理由がわからなきゃ占いと同じ。解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。 |

台風10号崩れの低気圧周辺で大雨、そして寒冷前線通過時に一時的に強い雨というのがポイント。
前線が通過・・といえば、そのタイミングだけ雨というイメージがあるかと思います。
確かにそうなるところもありますが、前線には二次前線とか三次前線などというものがあって、予想天気図には描かれていない前線が後ろに控えていることもあります。
前線”帯”というイメージでチェックしておいたほうがイイです。
17時30分追記 実況天気図では前線が太平洋岸まで南下していますが、レーダーを見ると二次前線が北陸まで南下しています。この二次前線が太平洋岸まで南下して、ようやく本格的に涼しくなるということでしょう。三次前線の可能性は・・・なんと明日の朝にあるかも?もともと台風10号崩れの低気圧ですから、変わったことをしてくれます。 ![]() |

難しそうな専門天気図だって、書き込みをすれば超簡単。「天気予報の確からしさ」を調べる道具です。 |

今朝9時と明日夜9時の上空5800m付近の太平洋高気圧の様子を、強引にアニメでつないでみました。
色を塗った高気圧のエリアが南に下がって、日本付近を上空の気圧の谷(赤の点線)が通過し、秋の周期的な天気変化をもたらす上空の流れ(赤の矢印)のゾーンに入ってきます。
夏と秋の戦いは、とりあえず明日夜までには決着するようです。

上空5800m付近の-6℃以下の寒気が明日夜にかけて日本の南岸まで南下してきます。
7月17日頃に、梅雨明けしてから、ここまで上空の気温が下がるのは初めてじゃないかと思います。
さらに明日夜は-12℃の寒気も東北方面に南下。
今日から明日にかけてじわじわ秋が勢力を強めます。
ちなみに、この図の一番上に-24℃の寒気が顔を見せていますが、今週末に北海道方面まで南下してきて、週末に大雪山あたりで「初雪」を降らせる可能性が高くなっています。
さて、最後は、東日本付近をズームして、今日の雨の様子をチェックしておきましょう。

前線が南下しますが、北アルプスなど中部山岳地帯の山々の影響でバラけてしまいます。
湿った空気がぶつかる北アルプス付近で強い雨・・・今朝大北地域に警報が発表されているのは、このためです。
夜にかけて回復傾向ですけど、新潟方面は通過する低気圧の周辺の二次前線の影響で、回復が遅くなりそうです。

天気予報は確率論。ハズレるとしたらどうなるの?失敗しない方法を考えます。 |
一方、北部・・・計算値でも回復傾向ですが、新潟県方面の雨の影響が気になる・・・・
中部や南部の予報は当たる・・・でイイと思いますが、北部は回復とまでとらえず、「晴れ間も出る」程度に考えて、新潟県境に近い場所ではにわか雨の可能性は想定しておいたほうがイイと思います(悲観的に考えすぎかな?)。
14時追記: 長野県北部、もう少し雲が多めかな?と思っていましたが、北ア方面や新潟県境の山々を除いて、晴れ間が広がっています。予報は当たり・・・でした。 前線帯、西日本では仕事?していますが、中部地方だけ見事にバラけています。日照が多くなった分、気温も上昇気味。 ![]() |

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(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)