2011年07月28日
台風9号?の動向に注意、東日本は大雨注意(7月28日)
南海上の熱帯低気圧・・・昨日中には台風9号に格上げされると思われましたが、今朝3時の中心付近の最大風速は15m/s。
台風に格上げされるには風速が17.2m/s以上になる必要があるので、いまだ熱帯低気圧という扱いですが、遅かれ早かれ台風9号になる可能性が高いので、その動向には引き続き注意をしなくてはなりません。
18時15分追記 15時の実況にもとづいて台風9号の発生が発表されました。 <28日15時の実況> 大きさ - 強さ - 存在地域 フィリピンの東 中心位置 北緯 12度05分(12.1度) 東経 135度10分(135.2度) 進行方向、速さ 西 20km/h(12kt) 中心気圧 998hPa 中心付近の最大風速 18m/s(35kt) 最大瞬間風速 25m/s(50kt) 15m/s以上の強風域 全域 370km(200NM) |

これは最新のGSMという計算値ですが、昨日の計算値と同様、西日本方面へと接近することを示唆しています。
米軍の予想進路図も同様の傾向。
米軍予想:http://www.usno.navy.mil/NOOC/nmfc-ph/RSS/jtwc/warnings/wp1111.gif
イヤな感じがしますが、先週上陸した台風6号より日本接近時の大きさは小さめ。

台風6号接近時の海面水温と、一昨日の海面水温を比較してみると、わずかですが海面水温は低め。
台風の発達は海面水温だけで決まるものでもありませんが、(コースにもよりますが)台風6号ほどのおそれはないかもしれません。
さて、今日の天気・・・・東日本で大雨のおそれ・・・・

昨日と似たような書き込みですが、天気図上には停滞前線が描かれるようになりました。
近年の気象庁の天気図は、異なる性質の空気・・・特に温度(密度)の異なる空気がぶつかることが明瞭になることをもって前線を描くことにこだわっていて、風がぶつかって(収束して)雨雲が発生するだけでは簡単に前線を描かない傾向にあります。
今日の短期予報解説資料(プロ用の資料)を読むと、「北海道付近に高気圧が発生し、南の高気圧との間でシアーライン(空気がぶつかる場所)が明瞭となる。温度場(気温差)としては前線ははっきりしたものではないが、500hPa の渦度0 線(強風帯・ジェット気流)、850hPa 相当温位(雨の原料の量の差)のピーク、シアーライン(風がぶつかる場所)等を目安に、前線が顕在化すると考える(カッコ内Kasayan加筆)」と書かれていて、今日の大雨の解釈には前線を描かざるをえない状況になっているようです。
いきなり難しいことを書いてしまいましたが、ポイントは、テレビの天気予報でも言っているように、「暖かく湿った空気が日本海に流れこみ、オホーツク海からの涼しい風とぶつかって東日本付近に前線ができる。前線上空には寒気が居座っているので、前線の雨雲が発達する」です。
で・・・せっかく短期予報解説資料を抜粋したので、その中に記載されている項目に沿って天気を詳しくチェックしていきましょう(ちょっと難しいかもしれませんが・・・)。
まず、「北海道付近に高気圧が発生し、南の高気圧との間でシアーライン(空気がぶつかる場所)が明瞭となる」の部分。

シアーライン(空気がぶつかる場所)が明瞭・・・ですよね(赤の点線部分)。
空気がぶつかれば空気の逃げ場所は上空のみ・・・・上昇気流できて雲が発生しやすくなります。
そこに寒気があれば発生した雲が発達することになるのですが・・・・「温度場(気温差)としては前線ははっきりしたものではないが」という部分は比較的地上に近い高さの気温のことですが、上空の寒気も日本付近を広く覆っていて、「寒気が通過」というメリハリのある寒気ではありません。

「寒気が居座る」という表現がピッタリなので、大気不安定の状態が継続することになります。
なぜ寒気が居座るのか?ですが・・・「500hPa の渦度0 線(強風帯・ジェット気流)」が関係しています。

簡単に言ってしまえば渦度0線というのは、空気の流れの早いところを意味します。
ものすごく大ざっぱですが、図中の青の線は北から寒気を運びこむ流れで、赤の線は南から暖気を運びこむ流れ。
大陸沿岸で大きく蛇行して上空の低気圧と高気圧が細かく並んでいますが、ねじ曲がった空気の流れは簡単には解消しにくいので、日本付近には寒気がシベリア方面からの寒気が流れ込みやすい状態が続いてしまう・・・寒気が居座る・・・という状態が続いてしまうわけです。

これは日本付近のジェット気流の様子を拡大して立体的に表示したものですが、前線上空に弱いジェット。
詳しい説明はしませんけど、ジェットは前線につきものなので、気象庁は前線を描くにあたってこれも根拠しにしたようです。
最後は、「850hPa 相当温位(雨の原料の量の差)のピーク」の部分。
ようは暖かく湿った空気が流れ込む場所(先端)のことですが・・・・


大雨で災害が発生している朝鮮半島を経由して北陸・東北に流れ込むことがわかります。
日本海側中心に大雨のおそれがあるわけです。
で・・・以上をイメージしながら今日の雨の様子を見てみると・・・・

前線の雨のエリアがゆっくりと南下してくること・・・そして暖湿流が流れ込む日本海側ほどまとまった雨になることがわかるはずです。
日本の脊梁山脈の日本海側でまとまった雨になる傾向もありそうですね。
そういなると、具体的に何ミリの雨が降るのか?が気になると思いますが、これは防災情報ですから安全マージンも考えてある気象庁発表の大雨情報でチェックしてください。
大雨情報: http://www.jma.go.jp/jp/kishojoho/
なんだかダラダラと長くなってしまいました。
テレビじゃ絶対許されない内容ですが・・・読み飛ばせるブログだから・・・イイですよね?
ご意見・ご質問等は、コメント欄・メール(kasayangw@yahoo.co.jp)にてどうぞ。
可能な限り返信いたします。

(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)
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Posted by kasayan at 08:11│Comments(3)
│雑記
この記事へのコメント
東北地方の寒気はいつごろ抜けて、天気が安定しそうでしょうか?
Posted by aki at 2011年07月28日 18:53
こんにちは。あさってから沖縄本島へ8/4まで滞在しますが、やはり直撃コースでしょうか?m(._.)m
Posted by はなぽん at 2011年07月29日 06:40
akiさん
向こう一週間、オホーツク海高気圧がしっかりしているので、東北にヤマセが吹きこみやすい状態が続きそうです。
はなぽんさん
今朝の記事に掲載した今朝の計算値や気象庁・米軍の進路予想を見る限りでは、直撃ではなくともかなりの確率で強い影響を受けるということはおわかりいただけると思います。
あくまで確率論なので・・・・・
向こう一週間、オホーツク海高気圧がしっかりしているので、東北にヤマセが吹きこみやすい状態が続きそうです。
はなぽんさん
今朝の記事に掲載した今朝の計算値や気象庁・米軍の進路予想を見る限りでは、直撃ではなくともかなりの確率で強い影響を受けるということはおわかりいただけると思います。
あくまで確率論なので・・・・・
Posted by kasayan
at 2011年07月29日 06:55
