2011年10月14日

週末は大雨と突風のおそれ(10月14日)





 今朝の実況把握3点セット。

 西から不穏な雲が迫っていて、その下では所々に活発な雨雲
 先行して暖かく湿った空気(雨の原料)が流れ込む四国付近でも雨模様になっています。

 昨夕に続いて、今朝も気象庁からは「大雨と雷及び突風に関する全般気象情報 第2号」が発表されています。
 テレビのニュースで「・・・と気象庁は注意を呼び掛けています」と伝えられている情報の元ネタ。
 情報の重要な部分を抜粋すると・・・・・

[気圧配置など]
 前線が、華南から東シナ海にのびています。
今後、前線上に低気圧が発生し、14日夜には九州付近に進む見込みです。
前線は、九州から日本海にのびて、14日夜には日本海にも低気圧が発生するでしょう。
低気圧や前線には、南から湿った空気が流れ込み、大気の状態が非常に不安定となる見込みです。
[防災事項]
<大雨>
 15日にかけて、西日本から東日本の太平洋側には南から暖かく湿った空気が流れ込む見込みです。
そのため、西日本太平洋側や東海地方では、雷を伴った1時間50から60ミリの非常に激しい雨が降り、大雨となる所があるでしょう。

15日6時までの24時間に予想される雨量は、いずれも多い所で
  近畿地方      300ミリ
  東海地方      250ミリ
  四国地方      200ミリ 
の見込みです。
 紀伊半島・・・心配ですね・・・

 ポイントは、前線と前線上の低気圧、そしてこれに流れ込む暖湿気(雨の原料)。

 文字だけでは何のことかわかりにくいので、今夜の予想天気図で内容をチェックしておきましょう。




 前線上に低気圧が発生し・・・と言いますけど、低気圧が発生するには理由があります。
 そのひとつが、地上の反時計回りの渦=低気圧にパワーを与える上空の気圧の谷
 明日にかけて、上空の深い気圧の谷がやってきます。

 また、秋の移動性高気圧が東に抜けると、日本付近は時計回りの高気圧から吹きだす南東の風の場に・・・。
 南寄りの風になるので、暖湿気が運ばれてきて、雨の原因になるわけですが、これだけじゃ大雨になりません(普通の不安定な天気になるはず)。
 上空の気圧の谷が強い寒気を運んでくるので、これが暖湿気とぶつかって雨雲活発化

 大雨のニュースや天気予報の解説・・・短くなければニュースとして伝わらないし、難しいことを言っても理解してもらえないということもあるでしょうけど・・・・
 「TPP」とか「事実上のデフォルト」とか、ニュースでは難しいことをいくらでも伝えているんですから、天気予報でも多少難しくても、説明の仕方次第で十分注意喚起ができると思うんですけど・・・・ちょっと省き過ぎのような気がします。

 では、問題の前線や前線上の低気圧にパワーを与える上空の気圧の谷の様子を詳しく。




 「ゆく川の流れは絶えずして」・・・・・方丈記でしたっけ?(偏西風を説明するとき、なぜか思い出しちゃうんです)・・・川の流れが蛇行すると、淀みに渦ができて川下に流れていきますけど、空の上の「偏西風の川」でも同じことが起こっています。
 上空の気圧の谷が深まりながら日本海にやってくると、反時計回りの渦も日本海へ。
 上空の渦が地上の空気の流れに作用し、前線上に低気圧が発生・活発化することになります。

 次は、活発化した低気圧から沸き上がる雲を、さらに活発化させて大雨をもたらす寒気の様子




 上の図で見た上空の気圧の谷が寒気を運んできます。
 上空の気圧の谷の南側を流れる偏西風がシベリアの寒気を連れてくるわけですが、これからググッと寒気が南下してくることがわかります。
 寒気がピークになるのは、雨が上がった後・・・・一雨ごとに秋が深まるというのはこのことですね。

 寒気と暖湿気の様子を3Dにしてみると・・・・




 空気の湿り気の多くは海水からやってきますが、暖かく湿った空気は霧のように海面を滑って北上
 陸上で冷やされ、水蒸気が抜けて乾燥した寒気が大陸から南下・・・暖かい空気とぶつかれば・・・・大雨の雨雲が発生しそうだなという雰囲気だけはしますよね?

 また、大気が不安定になるので、突風や竜巻などの心配も出てきます。

 以上の詳しい理由を頭に思い浮かべつつ、具体的な雨の様子を見ると・・・・・




 雨の様子ばかりに目が向いてしまうと思いますけど、風の流れ・・・・西日本の南海上から一気に北海道へと流れ込んでいます。

 実は、この風の様子・・・いつもは地上の風ですが、今日は上空約1500mの風
 いつものように、地上付近の風の様子を12時の雨の様子に重ねてみると・・・・・




 雨が活発な九州の西では、北寄りの風が計算されていて、南風と渦を巻いていることがわかると思います。
 上空の気圧の谷の渦パワーがここに現れていて、北寄りの風が運ぶ寒気と南風が運ぶ暖湿気ぶつかるつともに、暖湿気が寒気の上を滑り上がり、雨雲が活発になっている様子がわかると思います。

 最後は、雨の様子の延長線・・・・週末の雨の様子・・・天気の流れだけチェックしておきましょう。




 明日の昼には西日本が回復モード。
 明後日(日)の昼には東日本も回復モード。
 北海道だけ、回復が遅くなりそうですね。

 府県天気予報: http://www.imocwx.com/yohoud.htm

 
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Posted by kasayan at 07:30Comments(2)雑記