2010年04月01日
天気予報は当たるのか?(4月1日)
故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言

今朝のレーダー画像ですが、西日本・東日本は雨雲が散在・・・九州北部では強い雨が降っています。
県内も南ア付近で活発な雨雲。また、県西部の山岳地帯にも雨雲がかかっています。
この冬、県内の雪が地形の影響を強く受けることを実感してきましたけど、雨も各アルプスを中心とした山々の影響を受けているのがよくわかります。

立体図にザクッと風の様子や雲・雨の様子、上昇流や下降流の様子を書き込んでみました。
今日の地上付近の風は南~南西の風。
盆地や谷が南北に走っている南部では比較的奥深くまで湿った空気が北上・・・中アや南アにぶつかって強制的に上昇した空気が雨雲を発生させているのでしょう。
一方、北部は南部の山々や北アルプスが湿った空気をブロックしてくれて、長野付近は下降流域になって、やや高圧部・・・雨雲が消えてしまう傾向のようです。
長野県は日本有数の降水量の少ないエリアですが、今日もその理由の一端が見られるかもしれません。
レーダー画像は、もう一般的にメジャーな気象情報になっていますけど、長野県のこんな地形の特徴をイメージしながら見ると、もうすこし深い使い方ができるかもしれませんよ?
【備忘録】
ウィンドプロファイラで2000m以上は20m/s以上の西風。500hPa強風帯と対応。北ア山頂風下は負圧域となりその先で下降流となる。 風速が落ちれが下降流の高圧域となるか?
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

全国的に「のち 雨」マークが多くなっています。
「のち」のタイミングを各地の予報文で見ていくと・・・日本海側と九州方面から順番に下り坂になっていることがわかります。
そして、関東が雨の終着点。
エリアの天気変化・・・低気圧の通過とはちょっと違う・・・帯の天気変化ですから・・・・長い前線の通過が想像できます。
3、長野県の予報
長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。

県内も全部「のち 雨」マーク。
もっとも南部の「のち」のタイミングは「朝から」ですから、実質的に雨マーク一発と同じでしょう。
一方、中部や北部では「夜から」になっていますが、上で見たレーダー画像からすれば、こちらも実質的には「所によって 雨」のオマケがあると考えたほうが良いですね。
どこのエリアが「所により」にあたるのか?は立体図からイメージしてみてください。
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。

書き込んだままですが・・・・夜にかけて南西の風が強まるのがポイント。
この風が湿った空気を運んできますし、山の南西斜面で雨雲を発生させやすくしますから、今回の天気悪化の重要な原因の一つです。
この風が運ぶ暖かく湿った空気は特に大気の下層に流れ込みますから、空気は上昇しやすく大気不安定・・・上昇した空気は発達した雷雲を作ります。
アルプスの山々は強制的に空気を上昇させる良い?ジャンプ台になるんですね。
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
一応、湿った空気がどう変化するのか?をチェック。

夜にかけて北海道付近まで暖湿流(水色のエリア)が北上していることがわかります。
今夜にかけてますます強い雨の可能性が高まるということですね。
また、この図の線は相当温位といいますが、この線が蜜になっているところは上昇流が強いところ。
前線の位置とほぼ一致しますが、これが日本海から南下してくるのもわかります。
で・・・具体的な雨の降り方を見ておきましょう。

夜にかけて日本海で降水が強まるとともにゆっくりと南下してくるのがわかります。
また、九州や四国付近ではかなり強い雨が計算されています。
湿った空気が強まる様子と対応していますね。
次は長野県付近にズーム。

予報と同じく南部の降水が広めに計算されています。
その位置が中アや南ア、北アに偏っているのもわかります。
もっとも、夜になると前線の南下とともに北アルプスのブロックも崩れて県内全域で雨。
南部ではさらに降水が強まってくるようです。

この図はパスしてもらってもOKですけど、今日の前線、上空の浅い谷とその南側の強風域と連動しています。
今夜にかけて九州付近で谷がやや深まる傾向。
地上天気図では九州に低気圧が予想されていましたが、明日にかけてちょっとだけ低気圧が発達して中部地方にも影響してきそうです。

もうひとつ・・・上空の寒気・・・・
今日の暖かさでいまさら・・・という感じもしますけど、今回の前線の後ろ側には弱いですけど一応寒気が南下しています。
平地で雪ということはないですけど、アルプスなどの高い山々では前線通過後に雪という可能性もありそうです。
ということで・・・今日の予報・・・・中部は北部の「夜から雨」ということの実情は「日中所により雨」も含んでいるわけですから・・・このあたりを理解していないとハズレと感じてしまうかもしれません。
16時40分追記
やっぱり午後には長野市内でもそれなりに雨が降っちゃいました。気象庁のガイダンスでは雨がついていませんから、やはり気象台はガイダンスを優先したのでしょうか?「夜雨」じゃないと思うんですけど・・・なぜに北部に雨を付けたがらないか?すごく不思議です。

一方、南部はすでに雨が降っていますから、日中断続的に降るにしてもハズレということはないでしょう。
もちろん、南部でも日中は山の影響で雨がほとんど降らないところもありますけど、南部を平均して見れば雨ということになりますから・・・
17時追記
北部では17℃前後まで気温が上昇。富山県沿岸では20℃を超えているところも。
風は南風中心ですから、雨を降らせつつ中アや霧ヶ峰の山を超えた空気が、乾燥断熱減率で長野盆地や上田方面に下降し、フェーン現象が発生しているかもしれません。富山の高温は岐阜の山越え気流のせいかも?

・・・・久々にちょっと力んだ内容になっちゃいました・・・・
【備忘録】
大雪・大雨ポテンシャル(06 時からの24 時間:地点最大):四国太平洋側200、九州北部、
甲信150、東海130、九州南部、近畿南部、近畿中部、東北100 ミリ。

当ブログの記事等に関して、ご質問・ご意見等がありましたら、
kasayangw@yahoo.co.jp
までメールしてください。
可能な限り返信いたします。