2010年04月05日

天気予報は当たるのか?(4月5日)


 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言

 昨日、長野地方気象台から季節の便り(生物季節情報)が発表されました。

■日時:2010年04月04日
■場所:長野県 長野
■内容:杏開花
■平年比:07日早い
■昨年比:01日遅い


 長野市内でも杏の開花の発表ですが、あちこちでもう杏は咲いていますよね。




 実は一昨日、森のあんずを見に行ってきました。
まだ咲きはじめですが、十分に鑑賞にたえるだけの花が咲いていました。

 次はいよいよ桜の便りですか・・・・・?

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 今日のエリア分け・・・かなり不本意です。
特に日本海側のエリア分けはもっと細かくなるのですが、そうすると逆に全体のイメージがつかみにくくなってしまうので、ひとまとめにして「曇りベース晴れ間エリア」にしちゃいました。
 晴れと曇りのバランスの問題だと考えて、詳しく知りたい方は各地の予報をしっかりチェックしてください。

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 マークだけ見れば曇り時々晴れですけど、予報文を見ると、「所により 朝 から 夕方(夜のはじめ頃)雨」がついていて、日中ずっとぐずつく所もあるということです。
 天気マークだけ見たら予報が大ハズレと感じてしまう所があるっていうことですよね。

 「所により」は何処だろう?
これ・・・・結構重大な問題ですよね。

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 アニメを見ると、東日本・北日本の太平洋沿岸中心にぐずつくということがわかりますが、長野県も影響を受けるんじゃないか?と思われます。

 どこで、どれだけ影響を受けるの?というのは、さすがに一般の天気図だけじゃわかりませんからコンピューターの生データを見てみることにしましょう。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 まず、県内の予報文に「所により 朝から・・・雨」と書いてあるので、今朝のレーダー画像から見てみましょう。




 暖湿流の流れ込む関東付近と、低気圧と前線がある九州南岸付近に雨雲のカタマリがあるのがわかります。
 数時間前まで、県南部南ア方面で弱い雨が降っていたようですが、朝の段階では関東と東北南部中心で県内に雨雲はかかっていません

 関東付近の雨雲発生の原因が高気圧の後ろ側を北上する湿った空気の影響だということは上の天気図のアニメで説明しましたが、この湿った空気・・・高気圧が東へ遠ざかる今夜にかけて東北付近へと移動します。




 ということは・・・長野県付近に流れ込む湿った空気は少なくなるということですから、夜には回復傾向
予報文にあったように、遅くとも「夕方」や「夜のはじめころ」には回復ということですね。
 予報にあった回復の理由の一つはわかりました。

 でも、湿った空気で、どこにどれだけ雨雲が発生し、どれだけ雨が降るのかは、具体的な降水量の計算値をみないとちょっとわかりません。

 で・・・今日12時の降水量の計算値。




 降水のエリアは東北方面に拡大し、長野県内でも南ア北部や北ア付近、浅間山付近から志賀高原にかけての山岳地帯中心に降水が計算されています。
 素直に考えると、南から流れ込んだ湿った空気が山岳部で上昇して雨雲ができていると思われます。

 そして15時




 県内の降水はほとんど計算されておらず、以降も計算されていません。
予報用語では15時以降は夕方といいますから、一応夕方には回復と言ってよいですが、ちょっと早めに回復するというイメージになりますよね。

 もっとも、これとは別のちょっと解像度が落ちるGSM(一般的な天気図のモトになっている計算値)という計算値を見ると・・・




 18時頃も県南部を中心に降水が計算されています。
ちょっと微妙なところですね。
 こちらも加味して安全をみればはやり「夕方」や「夜のはじめころ」まで雨にしておきたいところです。

 今日の雨のメカニズムを考えてみるに・・・・




 地上付近の風の様子と降水の関係を見ると、やっぱり山岳の影響と密接に関係しています。
雨雲の発生と関係がある上昇流と晴れ間と関係する下降流の関係に帰結しますが・・・・赤のハッチ部分が上昇流帯・・・




 とすると・・・MSMというシュミレーションモデルを優先して考えて、多少安全を見るのがよさそうです。

 ということで・・・今日の予報・・・県西部や東部の山岳地帯付近では予報文を読まないと雨に降られてハズレと感じることになります。
 また、夕方でも最も早い15時前後に雨があがる可能性があるため、夕方といっても相当早いうちに回復する(場合によっては14時過ぎ)とイメージしておかないと、予報より早く上がったと感じるかもしれません。

 なんだか予報の読み方にうるさい予報ですが、天気予報は当たる・・・です。

 もっとも、こんな日の朝の天気予報は、予報文を読み上げるような内容じゃなくて、キャスターが解説をするとか、詳しい解説の原稿を読むなどの内容にしてほしいですよね。
 予報文だけじゃどう対応してよいのかわかりませんから。



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