2010年04月12日

天気予報は当たるのか?(4月12日)


 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言

 今朝の長野市内は断続的な雨・・・・気温は8℃前後で比較的暖かです。




 衛星画像とレーダー画像を見ると、北海道や東北北部を除いてベッタリと雨雲に覆われていることがわかります。
 また、レーダー画像の黄色と赤いところ・・・九州j南部付近で雨が強く降っていることもわかります。

 この雨の強いエリア・・・今夜にかけて東日本へ。
 そして、明日から明後日にかけて劇的?に天気が変化しますから、今日のお天気放談は今日の天気に加えて明日夜にかけての天気の流れもチェックをしておきます。

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 西日本は「夕方以降回復エリア」・・・夕方=気象用語では午後3時過ぎに回復に向かうようです。
レーダーで見た雨雲は比較的ゆっくりと東へ進むようですね。
 このため、北の「晴れベースエリア」以外の「雨エリア」では日中回復は望めないようです。

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 「雨エリア」のど真ん中にある長野県は傘マーク一発。
 予報文も「雨」だけです。
 
 今日いっぱい回復は望めないようですが、どんな雨になるのか?いつやむのか?はチェックしておきましょう。

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 アニメの書き込みだけで今日何が起こっているのか?が、わかると思います。

 低気圧に吹き込む暖湿流が、低気圧周辺にとどまらず北日本まで北上しているんですね。
 東日本や北日本ははじめシトシトの雨でしょうけど、低気圧が接近するにつれてドッと雨脚が強まってくると思っておいたほうがよさそうです。

 明日夜の天気図も入れておきました。
 今日の天気図では影もカタチも無かった低気圧が日本海に発生して、北海道の北で猛烈に発達
いきなり西高東低の冬型の気圧配置になりかけています。
 おまけに2月の天気図で見られるような強力な寒気が南下。
 
 明日はまだ暖かい・・・というよりは、今日流れ込む暖湿流が残って気温急上昇ですが、明後日には一気に気温が下降して、なんと北日本日本海側中心に雪が降って吹雪になるところも・・・・

 気温乱高下の天気変化ですから明日の暖かさにだまされないでくださいね。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 まず、今日から明日にかけての気圧配置の変化をもうちょっと詳しくチェックしておきます。




 今日、南岸を低気圧と前線が進んで雨が降る・・・というのは比較的簡単にわかります。
 ただ、今夜日本海に低気圧が発生します。

 そして・・明日




  日本海に発生した低気圧が夜にかけて北海道の北に進んで猛烈に発達
 等圧線の間隔が狭くてまるで台風のよう。
  気圧配置は西高東低・・・冬型が形成されてきます。

 なんでこんなに急激な変化が起こるの?ということですが・・・・
 上空5500m付近の天気図にカギがあります。




 上空には二つの強い空気の流れがあって、日本の南の強い流れ(水色矢印)に沿って天気が変化します。
 そして、人知れず?日本海上空の空気の強い流れの蛇行が強くなっているのがわかります。

 さらに・・・・明日




 上空の流れの蛇行がきつくなって、ついには流れから切り離された空気が渦を巻きはじめ、上空に低気圧が発生します。
 この渦が今夜以降日本海に発生する地上の低気圧にパワーを与えて、地上にも強い渦・・・低気圧を発達させることになります。

 でも・・なんで流れが蛇行して上空から地上付近まで強い渦を作るんでしょうか?




 これは、上空5500m付近・・上で見た空気の強い流れと同じ高度の寒気の様子

 -42℃という真冬でも天気予報で「強い寒気」と表現されるような寒気が南下してくるのがわかります。
 北極に貯まっていた最後?の寒気が、地球上の気温のムラをなくそうとして放出されているわけです。

 そして、寒気のカタマリが漂っているのはとても不自然(不安定)なことですから、地球の空気は空気をかき混ぜて気温を一定にしようとするので、渦ができます。




 明日、上空の渦や地上の低気圧ができる場所を中心にして、西側に寒気が南下し、東側に暖気が北上しているのがわかりますよね。
 寒気が南下してきて空気の温度に大きなムラができることが、空気の流れの蛇行を強くし、しまいには地上から上空まで巨大な竜巻のような渦ができる・・・というのが今日から明日への天気変化の原因です。

 ・・・・なんか理科の授業のようになっちゃいましたけど、備忘録を兼ねて書き込みの多い天気図を作ったので、ブログにアップしたかったから・・・・ちょっと複雑でごめんなさい

 さて、明日にかけての天気の流れをチェックしたので、今日に絞ってもう少しチェックしてみましょう。

 今日の雨の原因は、南風によって流れ込む暖湿流ということでした・・・ので、暖湿流と雨の関係をチラッと見てみましょう。




 低気圧が暖湿流を南から吸い上げる・・・と思いきや、低気圧の東側(前面)にもそれなりに暖湿流が流れ込んでいます。
 暖かく湿った空気が前線の前を緩やかに滑り上がって、東北まで雨雲で覆っているようです。

 もっとも低気圧付近には強い暖湿流(色の濃いところ)が流れ込みますから強い雨
特に南風がぶつかる山の南斜面では強い雨
 四国方面などでは気象台が大雨に関する情報を発表して警戒を呼び掛けているほどです。

 で・・・・具体的に雨のエリアがどう変化するのか?ですが・・・・




 低気圧の東側中心に降水域が広がっています。
 低気圧が関東南岸に進む明日朝3時頃に長野県はようやく雨のエリアから抜けるようですね。

 そしてもう一点、日本海に低気圧が発生して、日本海に低気圧の降水エリアが拡大しているのがわかります。

 ・・・・今日はずいぶん長くなっちゃいましたけど・・・・今日の天気予報は当たる・・・というなんともシンプルな結論です。
 こうやってチェックしてみると、今日に関してはどう見ても降水のエリアから逃れる要素はないですよね。

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