2010年04月30日
天気予報は当たるのか?(4月30日)
故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言
ゴールデンウィークの長野県といえば春山シーズン。
各アルプス方面には多くの登山者が入山していることでしょう。
登山となれば日の出とともに歩きはじめているはずですし、ブログを読めるような状況じゃありませんけど、このところ北アルプスにも登っていないなぁ・・・などと考えつつ、山の上の天気を考えてみました。

この図の矢印は、12時の上空3000m付近の風の流れ、白や灰色・紫の部分は雲のエリア、青は降水のエリア。
北アルプス方面、朝は晴れていても富山県や岐阜県側からモクモクとわいてくる雲が稜線を覆って雨(雪)になることが予想されています。
計算値では風速は10メートル以上で、気温も-10℃前後ですから、吹きっさらしの稜線はかなり厳しい状況でしょう・・・穂高の滝谷なんかは地獄のような景色かも?
立体図で北信の上空をイメージするとこんな感じ。

長野県の今朝・・・盆地は花咲き乱れていますが山は冬。
昨日から連休がスタートして、今日の天気図は高気圧に覆われて天気がよさそうに見えますけど、厳しいアルプスの山々。
遭難がなければ良いのですが・・・・
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

東日本・西日本は太陽マークがズラリと並んでいますけど、東日本の天気マークは雲マークとセットの「のち くもり」が多くなっています。
所々予報文をつまみ読みしてみると・・・「昼過ぎ から 夕方 雨 所により 雷 を伴う」なんてオマケまでついています。
こういうときの天気予報では「大気不安定」というコトバが聞かれます。
また、ゴールデンウィーク頃の大気不安定というコトバにはたいてい「上空に寒気が」というコトバもセットになっています。
このあたり、山岳をひかえた長野県の天気予報では詳しく伝えなくちゃいけないところだと思うんですけど・・・・ローカルのテレビやラジオの天気予報ではどうでした?
3、長野県の予報
長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。

今年に入って、予報文の雨のエリアがこれだけ具体的に示されているのは初めてだと思います。
大北地域は日中ずっと雨模様・・・乗鞍上高地・下伊那地域は夜遅く雨。
問題の北アルプス方面・・・・一日ぐずついてしまうようですね。
理由は後でくわしく・・・・
ところで・・・大北地域はどこ? 乗鞍上高地地域はどこ? 下伊那地域はどこ?なんて方もいらっしゃるかもしれませんから、エリア分けの図を掲載しておきます。
連休中はアチコチ移動する方も多いでしょうから、広い長野県の天気予報のエリア分けの図も必要ですよね?

4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。

必要なことは書き込んでありますが、東日本は夜にかけて南下してくる寒気の影響で大気不安定・・・これがポイント。
全国ネットの天気予報だと、ニッコリしたお天気お姉さんのコメントとあいまって、晴れの行楽日和というイメージが強くなってしまいそうですけど、長野県のローカル番組では大気不安定によるにわか雨や発雷可能性のイメージを強くした番組構成にして、天気予報のイメージを引き締める必要があると思うんですが・・・・・
登山でなくても、ゴールデンウィークにあわせて除雪が終わった山の道路はドライブの人気のマトですもんね。
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
今日、東日本の大気を不安定にする寒気・・・・そして寒気とあいまって地上の雷雲を発達させる原因になる上空の気圧の谷(赤の点線)の様子をまとめてアニメにしました。

紫色の-30℃以下の寒気のカタマリ・・・寒冷渦が北陸方面へと南下。
今夜にかけてちょっとした上昇気流・・・地面が暖められたり、アルプスの山に風がぶつかって上昇気流ができれば雷雲がモクモクと発達する状態になってきます。
寒気の南下はとてもゆっくりですから、明日にかけても大気不安定。
また、上空の気圧の谷が通過するのは今夜から明日にかけて。
山は、明日一杯、突然の雨や雪、場合によっては雷に注意ですね。
もっとも今回の大気不安定は、地上付近に暖かい空気が流れ込む・地上がうんと加熱する・・・という傾向はあまりありませんから、上空の寒気が主原因。
大気不安定は山が中心・・・・県内の降水や雲、地上の風の流れを全部ミックスしてアニメにしました。

北アルプス方面は、午後に一時的に回復する時間帯もありますけど雲がかかってぐずつき気味。
先日開通した志賀草津ルート方面も雲の下になりそうです。
地上付近の風の流れは全般に高気圧から吹きだす西寄りの風。
北アルプスに岐阜県や富山県方面からぶつかって雲が発生している様子がわかりますよね。
これが「大北地域では 雨」という予報文の理由です。
で・・・・今日の天気予報・・・・大北地域だってずっとベタ雨になるわけじゃありませんし、地域の東側は比較的晴れていたりします。
また、その他のエリア・・・特に長野盆地では、晴れといってもスカッと晴れる感じではありません。
北信中心にムラのある天気分布・・・このあたりを上のアニメでイメージしていれば、ハズレとは感じないでしょうけど・・・・・マークだけ見たらハズレと感じてしまう可能性の高い予報ですね。
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