2010年04月15日
天気予報は当たるのか?(4月15日)
故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言
ブログを書きはじめたのが昨年11月。
ず~っと冬型の気圧配置と長野県の天気の関係について考えてきましたが、先月後半から季節の切り替わりの天気変化を考えるようになっています。
いずれにしても、30年住んできた関東地方の天気を中心に見てきたKasayanにとって、長野県の高い山々の影響を詳しく見るのは初めて。

いつもこんな立体図を見ながらアレコレ考えています。
そして、立体図とセットで見ることが多い図がコレ・・・

午前9時の地上の風の流れと気圧配置、そして降水の関係を示したものですが、山々と雨が降るエリアの関係、山々と風の流れる通り道は、長野県が特に複雑です。
これは今朝の図ですが、風の流れと雨のエリアの関係・・・・地形と関連しているのがわかりますか?
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

北日本が中心になった春の冬の嵐(ものすごく変な表現ですね)はひと段落。
一方、西日本・東日本には傘マークが散在しています。
でもよーく見ると、日本海側ほど「のち 晴れ」マークがついています。
ぐずつくけど日本海側からゆっくりと回復してくるようですね。
3、長野県の予報
長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。

全国の天気マークを見た後、県内にズームすると・・・・傘マークばっかり。
もっとも、雲マークとセットの傘マークは右側ですから、基本的に曇りベース。
予報文を読むと、「朝から昼前」が傘マークの出番のようですから、傘マークばっかりの関東甲信越エリアでもゆっくりと回復傾向ということは変わりなさそうですね。
今日の県内のチェックポイントは、午後にはもう雨・・・大丈夫なの?・・・ということでしょう。
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。

今日のアニメ・・・昨日と比べてうーんと短くなっています。
どうまとめて良いか?案外難しいんですよね・・不満足な出来・・・
コトバで説明したほうが楽というか・・・・・
今日天気を悪くする原因を地上の天気図だけからピックアップすると・・・・高気圧と高気圧にはさまれた気圧の谷と、二つの高気圧の周辺を回る冷たい北よりの風、そしてこの北よりの風が太平洋の暖かい空気とぶつかる前線・・・・という三つが挙げられると思います。
この三つの原因が一番影響するエリアに雨雲が発生するわけですが、今日はこのエリアがゆーっくりと日本の上空から南岸へ南下するという流れです。
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
数日前から、高層の天気図を多く掲載するようになりましたが、その理由は天気変化が時間的にもエリア的にも複雑かつ激しい春の天気を、大きな流れでとらえることができるから・・・です。
大きな流れでとらえたあと、必要なエリアを細かく見れば木を見て森を見ないということにならずに済むからですが・・・・・これの考え方・・・・どの季節でも必要ですが、この季節は特にこのような考え方で見ないとわけがわからなくなっちゃいます・・・・
ということで・・・・天気変化を推し進める流れ・・・・上空の空気の流れからチェック。

日本付近・・・ざっくりと見ると全部で3つの強い流れがあるようです。
それぞれ特に風速の強い位置や風向が異なりますが、ここ数日の天気の流れを支配しています。
昨日までの嵐は寒冷渦と津軽海峡付近の流れが原因・・・こちらは一息ついたようです。
一方、今日のぐずつきをもたらしている流れは北陸と南岸を流れる流れが原因。
今夜にかけて流れが南に下がってきて、関東付近で合流してきます。
今日のゆっくりとした回復と関東甲信地方の回復の遅れ・・・関係していそうですよね。
次は・・・風というのは気圧の差が大きいほど(気圧傾度が大きいほど)強く吹くもんですけど、気圧の差がデカイということは、空気の重さが異なるとも言えます。
気温が下がれば空気は縮んで単位体積あたりの重さが重くなり、気温が上がれば膨張して軽くなります。
重くなれば気圧は上がり、軽くなれば気圧は下がり・・・気温のムラによって気圧のムラが出来て・・・・ムラが大きいほど風が強く吹く・・・・・
ということで、気温の分布・・・気温のムラの大きさをチェック。

上層5500m(上の図)から下層1500m(下の図)も同じ形で西日本ほど気温が低くなっています。
上から下まで冷たい空気に覆われているんですね。
上だけ冷たいと大気不安定、下だけ暖かくても大気不安定・・・ですが、今日は上から下まで冷たい・・・ということで、大気不安定ではありませんけど、この寒気が太平洋の暖かい空気とぶつかるエリアで雨雲が発生します。
前線・・・ですけど・・・これが今日広い範囲で雨を降らせるんですね。
で・・・具体的な雨の様子ですけど・・・大きな流れでチェックということですから、1時間ごとの降水量じゃなくて12時間降水量でチェックしてみましょう。

青く塗ったエリアが雨!という感じが特に強いエリアで、点線の内側は曇りベースで時々パラッというイメージ。
雨!という感じが強いエリアが南岸を東へ進むととともに、パラッと感じるぐずつきエリアがゆっくりと南下しています。
これで・・・大きな流れのチェックは終わり。
これまで見てきた大きな流れが全部矛盾なく結びついてます。
上空の流れは等圧線(等高度線)と対応し、上空の等圧線は上空の気温と少しズレながら対応し、上空の流れと気温に地上の前線が対応して・・・・・・
全体のバランスを考えながら・・・地上の天気を理由を付けながらイメージしつつ・・・・
・・・やっといつもの具体的な雨の様子を見てみましょう。

雨のエリアが南下しているのは当然・・・ただ一つ気になるのが関東付近の回復の遅さ。
風の様子を見ると関東は北東の風。
三陸沖の海上の冷たく湿った空気が流れ込むためと考えられます。
このため気温も低め。
そしてようやく長野県付近へズーム。

やっぱり関東だけが回復遅れ気味。
北東の風が茨城付近から関東に流れ込み、長野県や山梨県と関東の境目の山にぶつかるエリアで特に降水が残りやすいようです。
長野県東部もちょっと影響を受けやすいようですね。
で・・・・・・やっと今日の天気予報ですが・・・・もうおわかりだと思いますが、昼前後には雨は上がるけど、県東部ほど回復が遅め・・・ですから・・・・・このあたりを十分把握していれば天気予報は当たる・・・・県東部では回復が遅くハズレと感じる可能性が高そう・・・ということです。
うーん、長すぎる文章になっちゃったなぁ・・・・
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