2010年04月23日
天気予報は当たるのか?(4月23日)
故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言

衛星画像に午前3時の実況天気図を合成してみました(手工業?)。
昨日雨を降らせた低気圧や前線は東海上に抜けていますが、日本付近は大きな雲のカタマリに覆われています。

レーダーを見ると、雨を降らせる雲は南岸にかかっているだけですが、低気圧や前線が抜けたわりにはパッと回復していません。
この原因が今日のポイントになりそうです。
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

衛星画像で見たように、今日は太陽マークがほとんど見えません。
雲マークが目立っていて、東日本・北日本では「のち 雨」や「一時 雨」「時々 雨」マークが散在しています。
予報文も読んでみると、曇りベースで東日本・北日本中心にぐずつき気味という感じです。
3、長野県の予報
長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。

やっぱり関東甲信越もぐずつき気味・・・なんと北陸は傘マーク一発の雨になっています。
県内は日中曇りで「夕方から」・・・北部では「雪」、中南部では「雨」。
ただ、「所により」がついていて曖昧な感じ。
反対に南岸の前線に近いはずの東海地方には太陽マーク・・・もっとも晴れは夜になってからのようですが・・・。
なんで回復しないんでしょうか?
各地の気象台発表の概況を読んでみると・・・・
長野地方気象台は「低気圧が日本の東を更に東北東に進みますが、夕方には上空の気圧の谷が通過する見込みです。このため・・・」という理由が書かれています。
新潟地方気象台は「北陸地方は北からの湿った空気や上空の気圧の谷の影響を受ける見込みです。このため・・・」という理由。
どうやら「上空の気圧の谷」と「北からの湿った空気」が原因のようですが、どうもわかりにくい・・・・と思いませんか?
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。

図には長野県付近に関係しそうな二つの理由を書きこんでみました。
等圧線が高気圧側に凹になっている弱い気圧の谷と、上空の寒気です。
寒気はさすがに地上の天気図だけではわかりませんけど、それ以外はできるだけ地上の天気図で説明しないと、わざわざ天気図を表示している意味がなくなっちゃいます。
この図にもっと理由を書き込むとすれば、大陸から移動してくる高気圧と北海道の北にある高気圧の間が気圧の谷になっているということも挙げられるでしょうし、強引に南岸の前線の雲が北に広がっているため(その理由も必要になってきますけど)ということも挙げられます。
天気は一つの理由だけじゃなくて様々な理由が積み重なって出来上がっていますから、一言で説明するというのが難しい場合もあります。
でも、原因がわからないまま「日中一時的に雨があるでしょう」と言うだけなら解説者はいらないですし、予報の安全マージンだってとることができません。
今朝ご覧になった天気予報の解説者はなんて言ってましたか?
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
まずは長野地方気象台が言う「夕方には上空の気圧の谷が通過する」ことをチェックしておきましょう。

赤の点線の部分が上空の気圧の谷。
上空の等圧線(等高度線といいます)が凹になっている部分が日本海側に接近してきます。
この部分の東側に対応する地上では低気圧が発生しやすい状態になるので、天気が悪くなる目安になるのですが、今日の地上の天気図上は低気圧が発生する直前くらいまでしか悪化しません(気圧が下がりません)。
このため、気象台はしかたなく上空の気圧の谷を天気がぐずつく理由として挙げているわけです。
もうひとつ・・新潟地方気象台の「北からの湿った空気」ですが、これは南下しつつある寒気と関係しています。
冬場、新潟県には日本海の水蒸気をたっぷり吸った湿った冷たい空気・・・雪雲がやってきて雪を降らせますが、今日も日本海の上をこの季節としては異例の強い寒気が南下中です。

野菜高騰などのニュースの中でも寒気の南下の話が目立っていますが、その寒気。
上空では冬と同じ-30℃の寒気が目前に迫っていますが、下層上空1500m付近では一足先に0℃以下の寒気が本州南岸付近まで南下してきます。
北陸は雨ですけど、たまたま春に雪雲が来てしまったから・・・冬場にたくさん雪が降る高い山では今日雪になってもおかしくない・・・です。
さらに前線や低気圧が遠ざかっても回復しない理由を色々挙げてみました。

中部付近に弱い低圧部ができること・・・天気図アニメに書き込んだ弱い気圧の谷と対応します。
また、関東甲信越付近は弱い気圧に谷の影響で風がぶつかるエリア(収束線)が複雑に発生して、上昇流ができて雲が発生するということ・・・さらに、本州南岸は急激に温度が変化するところ、つまり密度の違う空気がぶつかる前線帯になっていること・・・。
このように理由が沢山あるときには、それぞれの理由の組み合わせが微妙に狂うことが多々ありますから、予報の安全マージンを多めにとっておいたほうが良い場面です。
具体的な雨の予想を見るにしても、多少悪目にみておいたほうが無難(良くなる場合もありますけど、それはラッキーと考えてください)でしょう。
まず、全国の雨の傾向。

前線による活発な降水は海上ですけど・・・・・
昼前後から東日本・北日本は雨・・・というよりぐずつくという感じで降水が計算されています。
関東甲信越にズームすると・・・

昼頃には北部や東部を中心に結構降水が計算されています。
夕方も似たような感じ。
予報文では「夕方から」ですけど・・・・もうちょっと安全を見ておいたほうが良いかもしれませんよね・・・・・
そもそも、今日は様々な理由が絡み合って安全マージンを取りたい状態なんですから・・・
ということで・・・今日の予報・・・夕方から下り坂のように書いてありますけど、北部や中部では少し前倒しで考えておいたほうが無難かも・・・と思います。
もちろん、ベタっと降る感じじゃありませんから、降らない所もあるはずですけれど・・・・
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Posted by kasayan at 07:31│Comments(0)
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