2010年04月02日

天気予報は当たるのか?(4月2日)


 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言

 今朝は南部中心に強い雨が降っています。




 これは全県で雨がピークだったと思われる午前3時のレーダー画像
ちょうど前線が長野県内を南下しているところ。




 ウィンドプロファイラという上空1キロ~3キロまでの風向風速のデータですが、赤の点線の位置が前線の場所と思われるところです。
 レーダーの雨雲と一致。
 地上の風向風速に近い上空1キロ付近をみると、前線の南側では南西の強風、北側は北西の風

 この前線が太平洋岸まで南下してしまえば県内の天気はすっかり回復ということになります。
今日は回復は何時?を中心にチェックしていきますが・・・・今夜は寒いですよ・・・・・ということもチェックしておきます。

 そうそう・・・テレビは番組改編期ですが・・・・県内の天気予報をザッと見たところ全然変化が無いようです。
 テレビ局の天気予報のCG送出システムはだいたいリース契約になっていて、番組改編期になるとどこか1局くらいはシステム更新をしてCGのイメージや番組構成がガラっとかわったりするもんなんですけど・・・・

 気象事業者として登録してあるSBCが天気図を一切使っていないのが気になっていましたが、なにも進化がなくてちょっと残念でした。
 そもそもどの局でも長野県に特化した天気図の解説は全く無いに等しいですけど・・・・・
 天気図がない天気予報は、漁業従事者がいる海に面した県では考えられないことです。
 農業県の長野ではそんなに関係ないんでしょうか?
 農業に従事されている方・・・教えてください!

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 全国的に回復傾向と書いちゃいましたけど、全国ネットの天気予報の原稿を書くとしたらちょっと悩む表現ではあります。
 回復を晴れととらえてしまうと東北や関東は晴れまで回復は???ですし、北海道北部は寒気が南下する影響で雪になります。
 まあ「傾向」という表現でお茶を濁しているというところですが、長野県付近をメインに考えればまあイイでしょう・・・・

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 北部はすでに前線が通過していますから「北の風」

 中部や南部は朝の段階で前線通過中ですから「後 北の風」
前線が通過しきるまでは「南の風 やや強く」です。

 その後、急速に曇りから晴れへと回復
 回復の一番遅い南部では「所により 朝 まで 激しく降る」がついていますから、雪の残っている地域では融雪や雪崩、そして融雪洪水に注意・・・です。

 前線が通過して北風にかわると・・・寒気の南下がパターンですが、今日もパターン通り。
夕方から夜にかけて気温急降下
 特に気温が急降下するのは北部ですから、今日は北部の時系列予報も掲載しておきます。
明日朝は放射冷却で今朝とはうって変わって冬の寒さ復活になりそうです。




4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 前線通過と寒気の南下です。

 寒冷前線通過後は急速に天気回復・・・というのは中学校の理科でやりますよね?

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 まず、前線通過と北風にかわる様子をチェック。




 赤の点線部分が前線の位置
 前線の北側で黒い線が密集しているところがありますが、この部分が相当温位集中域といって、雨の原料をたっぷり含んだ空気が押し寄せて上昇流ができているところ・・・・大気不安定・・・雨雲のエリアです。
 午前9時はまだまだ本州上空ですが、夜には南海上へ抜けていることがわかります。
 急速に回復ですね。

 また、午前9時頃には南風のエリアは南海上へ。
 南海上や関東沿岸は暴風ですけど、長野県内はすっかり北風にかわります。
 この北風がグググッと南部までしっかり吹きはじめる昼頃には南部も含めて回復にむかうわけですから北風の強まりが回復のサインです。

 そして、寒気が南下する様子をチェック。




 今夜9時の寒気の様子ですが、上空の寒気の中心は北日本まで。
北陸や長野県付近には比較的低いところに寒気が滑り込んできます。
 -6℃の線は雪の目安ですから北陸あたりでは今夜以降雪や冷たい雨の可能性が出てきます。
長野県内は・・・・北部山沿い中心の雪か雨になるかもしれませんね。

 で・・・・具体的な降水の様子で回復のタイミングをチェックしておきましょう。




 12時が回復の境目
 午前中は雨ですけど、昼飯を食べ終わったころには全域で回復というところですね。

 県内にズームしてみると・・・・




 地上の風の流れと降水、さらに下層の雲の様子を重ね合わせてみました。
紫っぽい色が下層雲で青や水色が降水量を表しています。
 雨のエリアはほぼ関東付近だけで、県内は北ア・中ア・南ア、新潟県境や志賀高原付近に低い雲が残るようです。
 
 風の流れと雲の様子、これとは別の上昇流のデータから空気が上昇するところと下降するところを書きこんでみました。
 山の風上で上昇、風下で下降、上昇エリアの隣の山に雲がかかって下降のエリアでは回復しています。
 空気が上昇すると水蒸気が凝結して雲ができ、空気が下降すると気温が上昇して雲の粒が蒸発して晴れると思って見ると地形と天気分布の関係がなんとなく見えてきますよね?

 ちなみに、昨日も同じようなことをしてみました
 (昨日の記事はココ
 長野盆地東側は下降流域になることが予想されたのですが、予想どおり雲の合間というか・・・穴から青空が顔を出していました。




 これは昨日昼過ぎの写真・・・ この青空の穴を空気が下降していたのかも?
 今日も雨上がりにこんな雲の切れ間ができて急速に晴れてくるんでしょうか?




 今日午後3時の上層雲の様子ですけど、県北部を含む日本海側はすっかり雲がとれています
別の計算値では、すでに中下層雲が南下しているようですから、北部は午後3時までには青空に・・中南部は白っぽい空になるというイメージでしょう。


 ということで・・・・ここまでのチェックでは天気予報がはずれる要素が見つかりません
 今日の天気予報は当たるということにしておきます。

 しておきます・・・という表現は・・・・根拠は非常に薄いのですが・・・関東付近の低気圧の南部への影響がすごく気になります。
 また、北風にかわったあと寒気が下りてくるタイミング次第では北部がイマイチ回復しない可能性も・・・・
 根拠が薄いので・・・・気にしない・・・・ことにします。
 

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