2010年04月03日

天気予報は当たるのか?(4月3日)


 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言




 朝から太陽が顔を出し、白っぽい春らしい青空が広がっている長野市と菅平
4月はじめての週末に外出・・・山なんか行ってみようかな?なんて考えたくなりますけど・・・・

 今朝の長野市内、写真に写っている煙突の煙は南風を示しています。
この煙突の煙が北にかわった瞬間から天気は一時的に下り坂
 北ア方面や北信五岳方面から白く湧き立つような雲が広がって、一時的に雨や雪になりそうです。

 一般的な天気図だけを見ると、にわか雨や雪なんて想像できない気圧配置ですから、特に春山登山は要注意
 ちょっとした行楽でも、県北部や西部におでかけなら折り畳みの傘は持って行ったほうがよさそうです。

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 北陸から東北にかけて太陽マークと傘マークがセットになっています。
このあたりの予報文を読むと日本海側を中心に「雷」の文字も・・・・

 晴れと雨の対局のマークが並んで、予報文に雷がつけば・・・・大気不安定の印です。

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 北部だけ太陽マークと傘マークのセットになっていますけど、予報文を読むと中部でも「所により 雨」、南部でも昼前後にくもりになっています。

 昼前後に一時的に天気が悪くなるんですね。
理由は予想図のアニメに書き込みますけど、長野地方気象台発表の概況にも理由が書かれています。

「今日は、高気圧に覆われますが、午後には寒気を伴った上空の気圧の谷が通過する見込みです。
 このため、概ね晴れますが、北部では、昼前から夕方までは曇りで、昼過ぎには、雨か雪が降るでしょう。中部と南部では、昼前から昼過ぎまでは曇りで、所により雨が降り、標高の高い所では雪となるでしょう。」


4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 普通に天気図だけを見れば、高気圧に覆われて晴れ・・・しか思いつきませんけど、等圧線の様子をよ~く見ると、今朝の実況天気図には日本海に弱い気圧の谷が見てとれます。

 夜の予想天気図では弱い気圧の谷が見えませんから、予報のスタートラインになる実況の天気図もキチンと見なくちゃいけないということがわかりますよね。

 上空のこの時期としては強い寒気が流れ込んでくるので、ちょっとした上昇流の発生で、上昇した空気から雷雲がモクモクと発生しやすくなります。
 ちょっとした上昇流と低気圧のような渦の発生を弱い気圧の谷が手助けして、小粒でもピリリと辛い現象が北陸から東北にかけて発生するわけです。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 今日、天気を悪くする原因の一つ・・・弱い気圧の谷の原因になる上空の気圧の谷の様子からチェック。




 上空5500m付近の天気図ですけど、等高度線(等圧線と同じに考えてOK)が凹になっているところが、いわゆる上空の気圧の谷
 結構深いですけど、これが日中北陸から東北付近を通過します。
 地上ではこの位置に弱い気圧の谷や低圧部が発生。

 今度は大気不安定のモト・・・上空の寒気の様子をチェック。




 -30℃の寒気は冬の寒気といえる強い寒気。
上でみた上空の気圧の谷とほぼ一致していてサーマルトラフなんていいます。
 やはり日中に北日本を通過します。
 先っぽの部分が長野県北部をかすめていきますから、県北部の大気も不安定になるんですね。

 さらに、地上付近の風の様子と降水、気圧の関係を詳しく見てみましょう。




 弱い気圧の谷付近には低圧部が計算されていて、事実上小さな低気圧があるようなものです。
その部分では空気が渦までにはなっていませんが、風がU字に急カーブしていて(シアーライン)、カーブに沿って雨のエリアが出来上がっています。

 県内にズームしてみると・・・




 日本海の風の急カーブが北陸に近づくタイミング北部の風も南風から西~北風にまわって、北アルプスや北信五岳方面に雨エリアが発達
 これが午後長野盆地付近にまで拡大してくることになりそうです。

 で・・・具体的に何時頃から何時頃まで降るの?ということですが・・・・




 計算値からすると12時頃からスタート。
 気象庁発表の北部の時系列予報も12時過ぎの雨を予想しています。

 そして上がるタイミングは・・・・




 15時頃までには上がってしまいそうですけど、北部県境の高い山々では夕方頃までぐずつきそうです。

 ということで・・・・・不安的な天気ですから、予報も多少ブレる部分もあって、北部でもほとんど雨や雪が降らずに済むところもあるでしょうが・・・・一時的な激しい現象であることも考慮して、今日の予報は当たる・・・・です。

15時追記
 14時をピークに北部や西部で雨がぱらつきました。Kasayanの住む長野市では12時頃に風が北風に変わり風速が上がり気温が急降下しましたが、市街地では雨になりませんでした。
 飯綱方面に黒い乱層雲?が広がり、飯綱や戸隠の高原では雪が舞ったかも?









 とにかく、今日の天気悪化は普通の天気図だけではわかりにくいです。
特に春山登山では安易に考えないようにしてください。

【備忘録】




 

 当ブログの記事等に関して、ご質問・ご意見等がありましたら、
  kasayangw@yahoo.co.jp
までメールしてください。
 可能な限り返信いたします。