2010年02月10日

天気予報は当たるのか?(2月10日)


 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言

 昨日、曇りベースの予報だった中南部では晴れベースのイメージに・・・雨ベースの予報だった北部は曇りベースのイメージになりました。
 一言でいえば予報は天気が良くなるほうへ少しハズレたという感じです。

 下の左側の天気図は昨日朝に発表された昨日夜9時の予想天気図、右側は実際の観測にもとづいた実況天気図




 夜9時、東海沖まで南下した前線上に低気圧が発生すると予想されたものの、実際は低気圧は発生せず前線も南岸まで南下しませんでした
 このため、県内の天気は予報ほど悪くならなかったと考えられます。

 この前線上の低気圧・・・北海道の東海上にある低気圧のように発達したものでなく、太平洋と大陸の高気圧にはさまれた気圧の谷の中にあって、相対的に周辺より「やや」気圧が低めという程度のもの。
 天気のシュミレーションを計算するたびに発達の程度や位置が異なって計算されるアヤシイ低気圧でした。

 このため、長野地方気象台も、実況にあわせて午前11時発表の予報で天気が良くなる方向に修正をかけましたが(詳しくは昨日の記事の追記参照)、今日も予報を修正する必要・・・それも昨日と異なり天気を悪目に変更する必要が生じるかも知れない状況です。

 そこで、今日も昼飯どきに時間があれば、11時の予報もチェックして追記したいと考えています。
 
2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 北日本は、日本海側雪・太平洋側晴れの傾向・・・プチ冬型天気分布と命名?してみました。

 一方、その他のエリアは広くぐずつきエリア。
ちょうど3月末の菜種梅雨のような天気分布です。

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 ぐずつきエリアの長野県。
北部と中部は「のち 雪」マーク、南部は「のち 雨」マーク。

 ただ予報文を見ると、北部は雪一発ですけど、中部と南部は「雪か雨」と「雨か雪」
中南部は雨が降るのか雪が降るのか定まらないけど、中部のほうが雪メインだな・・・という予報です。

 で・・・降りだしは県内各地とも「夜」・・・中部の降りだしだけちょっと遅くなって「夜遅く」
「所により雨」もついていませんから日中曇りベースで推移するということのようですが・・・・

 お隣の岐阜県や富山県の傘マークが気になるので、予報文をチェックしてみると、富山県では一日通して雨、岐阜県飛騨地方も一日を通して「時々 雨」、南の美濃地方では「昼過ぎから時々雨」。
 お隣の県では日中雨が降るのに長野県は大丈夫?・・・・北アルプスの壁?が守ってくれていると想像できますが、ここは詳しくチェックしておかないといけませんね。

 あと・・・北部の霧・・湿った空気が流れ込んでいる証拠です。

 そうそうもう一つ・・・今夜寒気が南下して、南部も雪に変わるかも?
東京も雪の可能性が出ていますが、このあたりは今夜の予報でチェックするのが吉です。

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 昨日と似ていますが、今日も前線が引き続き南下
北九州付近にある低気圧が夜には関東沖まで進みます。

 前線付近では、冬の空気と春の空気がぶつかりあって雨雲発生。
冬の空気優勢の県北部や新潟県では雪になり、春の空気優勢のエリアでは雨になるというシナリオです。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 今日も計算値は不安定な状況

 短期予報解説資料という気象庁が発表した業務用?の資料を読むと・・・・
「前線上の低気圧についてはイニシャル変わりがあり、モデルの不確定性が大きいが最新のGSM を基本に考える。雨域はMSM も参考。」

 ・・・なんて書いてあります。これは、計算のたびに低気圧の予測に変化があるということです。
 昨日午後発表の資料から「不確定性が大きい」と書かれ始めましたから、気象庁も昨日日中の様子を見て「こりゃアヤシイ」と確信したんでしょう。

 この点を考慮して予報を出しているにしても、今日の予報は安全マージンを広めにとっておく必要がありそうです。

 で・・・・県周辺の天気マークをチェックして気になった、岐阜や富山の雨が影響しないのか?が一番心配になってきます。夜の雨や雪の予報が空振りになるより、昼間の曇りベースの予報が見逃しになるほうが怖いのですから。

 まず、レーダーでみた今朝の雨雲の様子から。




 上のアニメで見た今朝3時の前線よりずっと北側で雨雲が発達していることがわかります。
前線上で雨・・・・って普通思いますけど、どうしてなんでしょう?




 この図は相当温位という雨の原料の多さを表した図ですけど、午前中は太平洋の湿った暖かい空気南西の風にのって、日本海付近まで流れこんでいることがわかります。
 このため、雨雲が日本海付近に多く発生しているわけですね。

 一方、になると湿った空気の流れ込みは南岸付近まで下がってきます。
ということは・・・今夜南岸付近・・・県内では南部で雨が降りやすいということになります。




 おなじみの降水量予測を見ても、南部の降水量が多くなっていました。

 じゃぁ・・・湿った空気が流れ込むエリアが南下する途中の昼頃・・・なんで県内では雨にならないの?という疑問が出てきます。

 そこで、おなじみのMSMという降水のシュミレーション昼間の雨の様子をチェックしてみます。




 どうやら北アルプスや岐阜県の山々に、湿った南西風がブロックされて県内の降水は少なく計算されているようです。
 もっとも、北アルプスのように県の西側に北アルプスのような高い山がない南部では中央アルプスや南アルプス付近で雨雲が発生して雨が予想されています。

 なんで予報は南部に「所により雨」をつけていないんだろう?

 そこで、上のアニメの原図になるGSMというもう一つのシュミレーションプログラムの計算値を見ると・・・・




 南部に降水域は拡大していません

 さらに、統計的要素も加わった天気分布予報・・・テレビでもよく見るメッシュの予報・・・を見ても・・・
    http://www.jma.go.jp/jp/mesh20/207.html?elementCode=0
やっぱり南部への雨の拡大は予想されていません

 このあたりを考慮して、気象台は日中「所により雨」をつけなかったんでしょう。
 
 でも・・・・・・このあたりが一番アヤシイ感じがします。

 本当はもっと検討したいところですが、時間切れ・・・・・

 今日の予報・・・・計算値が不安定という点を考慮して安全マージンをとれば日中「所により雨」があるかもしれません。
 ということで・・・今日の中南部の予報が特にアヤシイ(北部も「所により」を付けてもいいかも)。
 降水確率40%になっていますけど、Kasayanなら絶対折り畳みの傘を用意すると思います。
 
 まあ、昨日のように良い方向へと転がる可能性もありますけど・・・・・午後から用事のある方は午前11時発表の修正予報を再確認してください
 昨日のように修正しているかもしれませんよ?

追記11時50分
 10時~11時頃、北部、南部の西側の地域で雨。およそ2時間程度で昼前には終息に向かっています。午前11時の予報は朝発表のまま。このまま午後は曇りで推移するので予報を修正する必要がないと判断したと思われますが、岐阜県の雨雲が木曽方面に流れ込む傾向は続いていますから、引き続き安全マージンをとって、午後も予報にない雨を想定しておいたほうが良いと考えます。





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2010年02月09日

天気予報は当たるのか?(2月9日)

 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言

 今朝、最新の予報が発表された午前5時の雨の様子。




 日本海沿岸がブルーに染まっていますが、雪は北海道や標高の高い山だけ。
この雨の帯が今夜にかけて太平洋までゆっくりと南下してきますから、今日の天気回復はほぼ望めないことが感覚的にわかりますよね?

 今日の天気予報のポイント・・・今日一日ぐずつく・・・・・じゃなくて・・・・こんな天気が少なくとも金曜日(12日)まで続きそう・・・です。
 ようは週間予報がテーマになってしまうわけです。

 で・・・テレビの天気予報では朝から週間予報の画面を映して、「しばらくはぐずついた天気が・・」なんて解説があると思います。
 でも、信頼できる週間予報をチェックしたいと思うなら、朝の天気予報は無視して、お昼の新鮮な天気予報でチェックする必要があります。
 週間予報は一日2回、11時と17時に発表されるもの。
 朝の天気予報で使われている週間予報は、昨日17時に発表された古い予報だからです。
(朝の週間予報は今日・明日の予報が新しくなっているだけ。昨夜見た天気予報と内容は同じです。)。

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 今日の天気分布は日本が二分されます。
日本海側と太平洋側の冬型じゃなくて、北日本とそれ以外のエリアです。

 上のレーダー画像で見たように、ぐずつきエリアは雨域が南下することによる傘マーク。
北日本は・・・・天気を悪くする何かが抜ける・・・・下の天気図をカンニングすると、低気圧が抜けるんだなってすぐにわかります。

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 北部は雨ベースの時々くもり。
中南部は曇りベースの時々雨。
南部の「時々」は「朝晩」中心です。

 「時々」という用語の定義は、「現象が断続的に起こり、その現象の発現期間の合計時間が予報期間の1/2未満のとき。 」ですから、雨とくもりの時間比率の問題。

 中南部は雨の比率が低いようですけど、一言で県内の天気を表現すれば、「今日の県内は北部を中心にぐずつく」・・・です。

 明日の予報文も書き込んでおきました。
県内「くもり」ですけど・・・・・明日の朝の予報では「所により 雨」が付いてくる可能性が十分ありますから、明日の天気が気になる方は今夜、できれば明日朝の予報で再確認が絶対必要です。

18時追記
 午後5時発表の予報では、明日の予報は曇りマークですけど、やっぱり「所により雨」がついてきました。
計算値が不安定になっているようなので、明日朝のチェックも必ずしたほうがよさそうです。

長野県 9日17時
明日 くもり 所により 昼前 から 夕方 雨
中部
明日 くもり 所により 昼前 から 夕方 雨
南部
明日 くもり 所により 昼前 から 夕方 雨


4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 図の書き込みだけでご理解いただけると思いますが・・・・

 前線南下といっても、長野県は前線の東の端っこ。おまけに、今夜東海沖に低気圧が発生します。
 このアニメでは前線がただ南下するだけに見えますけど、前線の活動が強まったり弱まったりする複雑な場所ですから・・・何時から何時までどこどこで雨と言い切るのは難しい状況。
 結局「ぐずつく」という表現がピッタリの天気だと考えます。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 まずは、今日の雨の降り方からチェック
正午の雨の様子を見てみましょう。




 日本海側の雨・・・そのまま順調に南下するのではなくて、日本海側の雨雲が太平洋側にバトンタッチされるように変化します。
 その中間にあるのが長野県・・・中南部の雨は日中少なめ・・・・
そして、バトンタッチ前から雨雲がかかっている北部の雨の時間帯が長いことがわかりますよね。

 だから北部は雨ベースの予報で、中南部は曇りベースの予報。

 でも、バトンタッチがされると、太平洋側の雨雲が発達しはじめます。
これが南部の「朝晩 雨」の「晩」の雨です。

 見えにくいですが、図中、風の様子を示す青の矢ばねは南西の風
この風にのって雨の原料になる湿った空気が運ばれてくるのですが、この風がぶち当たる北アルプスや中央アルプス、南アルプスが湿った空気をブロックして、その周辺で降水が多くなっています。
 このあたりが中南部でも「時々」雨の降りやすいエリア・・・といえそうです。

 ただ、これはあくまで「傾向」ですから・・・頭の中のベースは「県内は北部を中心にぐずつく」にしておいてください。

 そして、この雨・・・すでに雨と言い切っていますけど・・・雪じゃないことを確認




 上空1500m付近の気温は一日を通して県内は0℃以上
標高がかなり高い山じゃなければ雨中心
 多くのスキー場が雨でベタベタの雪になってしまいそうです。
もちろん、雪崩や融雪洪水は要注意ですね。

 で・・・・・この状態が続いてしまうということを一目でチェックできるようにしてみました。







 12日まで日本は気圧の谷の底
もちろん雨のメリハリはありますけど、ぐずつきやすい状態が続くことだけは確かです。

 気温も高め




 グラフ中、館野は茨城県。縦軸のゼロより高ければ平年より気温が高めということを意味します。

 札幌以外では12日まで気温がかなり高めに推移することがわかります。
ですから、この期間、降ってくるものは雨の可能性大。

 温暖化なのに寒波とはなんだ!とブツブツ言っていた人も、今週は温暖化かも・・・とか言い出しそうです。

 で・・・・再び今日の天気は・・・・基本的にぐずつき傾向・・・

 北部の雨ベースが曇りベースになる可能性もありますし、中南部で一時的に太陽が顔を出す可能性もゼロじゃありませんけど(この表現をくみ取ってください)、「ぐずつき傾向」という本筋を崩す可能性は低いと考えます。
 したがって、今日の予報は当たると考えます。

 もし想像したより晴れたら?・・・・ラッキーと思ってください。

11時45分追記
 長野地方気象台・・11時発表の予報で、予報を良い方向にワンステップ修正してきました。県東部を中心に晴れ間が出ていることと、レーダーによる実況を考慮して、日中の雨を少なめに見積もった結果だと思います。このような修正が予報の改悪になるか改善になるか?昼から上層雲が厚くなる傾向ですが、この影響があっても午後が「時々 晴れ」といえるか?がポイントだと思います。そうなったら?ラッキーですよ。
長野県 9日11時
北部
今日 くもり 時々 晴れ
所により 夕方 まで 雨
中部
今日 くもり 時々 晴れ
     所により昼過ぎ まで 雨
南部
今日 くもり 所により 雨


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2010年02月08日

天気予報は当たるのか?(2月8日)


 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言




 この写真・・左はおなじみの衛星画像・・・今朝6時30分のもの。

 で・・右側は、今夜9時の衛星画像?
未来の衛星画像なんてあるわけがありませんから、これはKasayanが雲量の計算値の図をちょっと加工したもの。

 今朝朝鮮半島の東側にある雲のエリアが日本海を東に進んで今夜には県内に影響してくるんですね。
この雲がかかってしまうと、しばらくスカッとした晴れ間になりそうもありませんから・・・・女房に言っておかないと・・・。
 ここ数年は女房の洗濯・布団干し用おかかえ気象予報士になってます。

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 今日は珍しい分け方をしていますが、大きくは西日本日本海側からの下り坂エリアと、北日本日本海側からの下り坂エリアに二分できます。

 日本海側の西と北から天気を悪くするものがやってくることが天気マークだけでも読みとれます。

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 近県の天気マークからも、日本海側から天気を悪くするものがやってくるのがわかります。
富山や新潟の予報文を読むと「夕方 から 雨」の傾向。

 県内は全域で「夜 遅く 雨か雪」
天気マークはいきなり傘マークにチェンジですけど、予報文には「のち くもり」もついていますから、曇ってくるタイミングは例によって、時系列予報でチェックしてください。
   http://www.jma.go.jp/jp/jikei/322.html

 富山や新潟から雨が降りだすのに、長野県では南部のほうが早めに天気は下り坂
 日本海側から天気は下り坂ですが、全体としては西からも天気は下り坂・・・・北アルプスのブロック効果が雪だけじゃなくて、雨の場合にもあらわれているようです。

 いずれにせよテレビやラジオの解説が「午後には南部から次第に雲が広がって」になる天気変化が読みとれます。

 次に、今日はオマケで予想最高気温の図も付けておきます。
大雪後の晴天・・そして昨日以上に高温・・・雪崩や屋根からの落雪に注意してくださいね。





4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 今朝3時~今夜9時~明日夜9時の流れでアニメを作ってあります。

 今日日中の晴れ間をもたらす高気圧が足早に南へ抜けて明日は気圧の谷に入るという流れ。
テレビの解説では「暖かく湿った空気が日本海側へ流れ込み」というコメントが多いと思います。

 アニメを見れば、雨の原料になる暖湿流が日本海へ流れ込み、これによって発生した前線が、天気マークの図でチェックした「天気を悪くする何か」だということ・・・・そして、山陰付近で発生した前線が、明日にかけて南東方向へと進むことがおわかりいただけると思います。

 明日までの流れも簡単に説明できるのがブログの良いところ・・・・だと思うんですけどいかがですか?

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 さて、今夜県内に雨をもたらす前線の様子から。
テレビの解説の元ネタの専門天気図でチェックします。




 暖湿流が流れ込むんじゃないかな?というのは気象予報士なら上のアニメで見た高気圧の位置を見ればピンときます。
 そういうときは、この相当温位(雨の原料の程度)の図を見るわけです。

 赤の線を引いた付近が雨の原料が多いところ。
 原料がたっぷり流れ込めば雨雲も活発になります。
朝鮮半島の南まで沖縄付近と同じくらいの暖かく湿った雨の原料が流れ込んでいますよね?

 そして、雨の原料を運びこむのが高気圧の西側の縁に吹いている南西の風
これもしっかりと吹いていて、日本海へと吹きこんでいます。

 さらに、上空高い所(5500m付近)と低い所(1500m付近)の気温の様子もチェック。




 暖かい空気と冷たい空気がガッチンコすれば発達した雲が発生しやすいので、チェックしておくわけです。

 で・・・・高い所の寒気は昨日までの大雪の頃と比べれば10℃以上も上がっていますが、北から緩やかに日本を覆っています・・・・温度を示す線が曲がっていませんよね。
 一方、低い所では温度を示す線が北に凸になっていて、暖かい空気が流れ込んでいることがわかります。
 下層だけに暖かい空気が流れ込んでいるということは・・・気温が上昇するのは当然ですが・・・暖かい空気が上昇しやすくなって大気が不安定になりやすい状態
 相当温位の図と、暖気の図からすると・・・山陰付近では雷も想定したほうがよさそうですが、長野県付近はそこそこの雨で済むんじゃないかな?と思います。

 で・・・気になる県内の雨の降りだしと曇るタイミング




 雨の降りだしは、計算値では午後6時前後から。
予報文や時系列予報では夜遅く(21時以降)にしているのは、山のブロックの効果で降りだしの雨量が少ないことを考慮していると思います。
 ただ安全マージンを考えるなら・・・暗くなったら雨や雪の可能性が急増すると考えておいたほうが良いと思います(気温が上がるので雪は標高の高い所)。

 一方、曇り始めるタイミングは午後3時前後
昼前から上空の薄い雲がかかりやすい傾向ですから、朝から白っぽい青空で、昼ころには曇りのイメージになってしまうところも多いかもしれません。

 洗濯するならできるだけ早く!

 ということで、今日の予報ですが・・・・曇りのタイミングは良いとしても・・・・雨の降りだしのタイミングがずれる可能性があるので・・・夜遅く雨という部分がアヤシイ・・と思います。
 昨日から天気悪化のタイミングが早まっている傾向もあるので・・・・・

 県の西のエリアほど前倒しで対処しておいたほうが良いかも?

17時半追記:17時発表の予報で雨の降りだしが修正されています。
やっぱり早まりました。ただ、降りだしの早いのが中部になってます(これもちょっとアヤシイ・・)。実況からすると、北アの影響を受けにくい背の高い雨雲のようです。

長野県 8日17時
北部
今夜 くもり 夜 雨か雪
中部
今夜 くもり 夜のはじめ頃 雨か雪
南部
今夜 くもり 夜遅く 雨か雪


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2010年02月07日

天気予報は当たるのか?(2月7日)


 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言

 県北部ではまだまだ雪が降り続いているようですが、あと6時間ほどかけて晴れ間が拡大していく見込み。午前2時過ぎにお隣の新潟県の大雪警報が解除され、午前5時には長野県の大雪警報も解除されています(注意報は継続)。
 雪雲の故郷の新潟県から順番に回復に向かっていますから、もうちょっとの辛抱です。

 昨日に引き続き、今朝も一番気になる降雪(しつこいようですが積雪じゃありません)の様子。




 昨日の朝からマメに雪かきをしていた方は、これだけの雪を動かしたことになるんですね・・・こうやって見るとかなりの重労働。




 これは長野市の積雪・・・飯山方面の方からすれば屁で飛ぶような雪でしょうね。
グラフの点線はこれからKasayanが雪かきする雪の量の目安。
昨日12時に雪かきをしたので、10センチ程度の雪かきです。
 このグラフについては、昨日の記事にURLを掲載してあるので興味のある方はどうぞ。

 昨夜は、志賀高原の硯川で使われていないゲレンデで雪崩があり、ホテルのロビーまで雪が流れ込んだようですね。大事には至っていないようですが、新雪の表層雪崩・・・これから注意が必要
   http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100206-00000089-mai-soci
 このホテル、Kasayanが高校生の頃、スキー教室で泊ったことがあるホテルで、ホテル前の道路も先日車で通過したばかり。
 案外身近な所で雪崩が起きたりしますから、雪の切れ目なんかが見えたら要注意。
屋根からの落雪も注意しないといけませんね。

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 昨日の同じ図は、日本海側の雪マークエリアが太平洋側までしゃしゃり出ていましたが、今日は一気に縮小傾向
 太平洋型の晴れエリアが拡大します。

 もっとも、東北日本海側や北海道は今日いっぱい強風や雪が残るようです。

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 全県で「のち 晴れ」マーク。
いずれも「昼前 から」回復に向かって、今日の到達地点は「晴れ」

 急速に回復してくるんですね。

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 今日はシンプルにまとめちゃいました。
北日本はまだ冬型・・・回復が遅れることもわかりますよね?

 でも、これだけじゃ芸がないので、この晴れ間が貴重なことを専門天気図のアニメでまとめておきました。




 今日の午後に拡大する晴れ間は、明日日中でおしまい
明日の夜には高気圧が太平洋に抜けて、日本付近は気圧の谷へ
 火曜日から週末にかけて、菜種梅雨にも似たぐずつき傾向が続きますから、この晴れ間を有効に使ってください。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 まず、雪が終息に向かう傾向から・・・




 日の出頃までは、降り方が弱まるものの雪のエリアはほぼ北部全体。
日の出以降は、急速に雪のエリアが縮小して昼頃には飯山・志賀高原・信濃町・白馬小谷方面の一部だけに。

 もっとも、これは降水量の図ですから、雪雲を流す風が強めに吹き続ければ、もう少しエリアは拡大し、回復も遅れます。この点は要注意。

 で・・雪が止んだら晴れてくるのか?ですが・・・・




 雪雲の上にある上層の雲はもうすっかり抜けています
雪さえ止めば・・・つまり雪雲が消えればその上は即青空
 全雲量=雪雲ですから、急速に回復するんですね。

 今朝・・・・
[補足事項]
 「大雪に関する長野県気象情報」は、これにて終了します。

 と書かれた大雪情報が発表されています
 したがって今日も、防災上の観点から解説にとどめておきたいと思います。
   大雪情報原本: http://www.jma.go.jp/jp/kishojoho/322_index.html
[予想降雪量]
8日06時までの24時間降雪量は、いずれも多い所で、

 北部 長野地域山沿い   :10センチ
        平 地   : 3センチ
    中野飯山地域    :15センチ
    大北地域山沿い   :10センチ
        平 地   :10センチ
 中部 上田地域の菅平周辺 : 5センチ
         その他  : 3センチ
    佐久地域      : 3センチ
    松本地域の聖高原周辺: 5センチ
         その他  : 3センチ
    乗鞍上高地地域   : 5センチ
 南部 木曽地域      : 2センチ



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2010年02月06日

この雪が止むのは何時?(2月6日)



 午後7時現在、長野市内の積雪は18センチ




 県内各地、これと同じグラフを見ることができます
   https://weathernews.jp/observation/index.html
このURLをクリックして、中部、そして長野県をクリック。さらに自分に一番近いアメダスポイントのマークをクリックした後、「積雪」を選択すればOKです。

 ちなみにこのグラフは積雪深を表示していますから、雪かき後に何センチ積もったか?をチェックするには現在の積雪から雪かきをしたときの積雪を差し引けばわかるはずです。

 さきほど、善光寺の灯明まつりを見に行ってきましたが、雪がライトアップをより幻想的に見せていました。




 さて、そろそろ雪はいつ止むのか?が気になってくるわけですが・・・・テレビの天気予報では、たぶん「明日の午前中にはやんで・・・」というコメントがあったと思います。
 ということで、雪が止む理由と、そのタイミング、そして何センチ積もるのか?という予想降雪量をチェックしておきたいと思います。

 まず、予報はどうなっているかというと・・・・・




 北部「昼前からくもり」ですから、用語集にしたがえば9時から12時の間ということのようです。

 続いて、今日午後3時の実況天気図と明日朝9時の予想天気図をチェックしてみましょう。




 一目で高気圧が張り出してきて明日朝には冬型の気圧配置がゆるんでくることがわかります。
朝の段階で高気圧の入口ですから、やっぱり遅くとも昼には高気圧の恩恵にあずかれそうな感じがします。

 もっと詳しく見てみましょう。




 アニメ左下の時間と照らし合わせてチェックすると、明日午前6時頃から急激に降水域が小さくなってくることがわかります。

 ちょっと見えにくいかもしれませんが、降水域が小さくなるにつれて日本海の緑の矢ばね(風向風速を意味しています)が緑から青に変わって、風が弱まっていることもわかります。
 雪雲を県内に流し込む風も弱くなるわけですね。

 で・・・計算値からすればズバリ6時には新潟県境付近や北アルプス付近をのぞいて、県内ほとんどの所で雪はやむことになります。
 ただ・・・・昨日から計算値をチェックしていると、計算値より天気変化のタイミングがちょっと遅れ気味の傾向が見られます(感覚的ですけど)。
 また、風がちょっと強めに吹いてしまえば雪雲が散発的に流れ込んでくることになります。

 そこで安全マージンをとれば、午前中ゆっくりと雪が止むと考えておいたほうが良いでしょう。
・・・・ということは・・・・結局、予報の「昼前からくもり」と同じですね。

 最後に、夕方5時6分に長野地方気象台が発表した大雪情報から予想降雪量を抜粋引用しておきます。しつこいようですが、防災事項などが書かれている原文を必ず読んでくださいね。
 明日朝6時に、新しい情報が発表される予定ですが、今回の大雪に関しては最後の発表になるのでは?と思います。
    http://www.jma.go.jp/jp/kishojoho/322_index.html

[予想降雪量]
7日18時までの24時間降雪量は、いずれも多い所で、

 北部 長野地域山沿い   :50センチ
        平 地   :15センチ
    中野飯山地域    :60センチ
    大北地域山沿い   :50センチ
        平 地   :20センチ
 中部 上田地域の菅平周辺 :10センチ
         その他  : 3センチ
    佐久地域      : 3センチ
    松本地域の聖高原周辺:10センチ
         その他  : 3センチ
    乗鞍上高地地域   :15センチ
    諏訪地域      : 3センチ
 南部 上伊那地域     : 1センチ
    木曽地域      :10センチ
    下伊那地域     : 1センチ


 予想降雪量は明日18時までの24時間に予想される降雪量ですが、実際は新潟県境のエリアを除いて明日朝までの降雪量ということになるはず。
 この点を注意してチェックしてくださいね。
  


Posted by kasayan at 20:28Comments(0)雑記

2010年02月06日

今日の大雪について一考(2月6日)

 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言

 まずは「どれだけ降ったか?」ですよね・・・朝一番は。
雪が強まり始めた早朝5時までの24時間降雪量(積雪量じゃないですよ)から。




 飯山・中野方面に集中
 24時間降雪量ですけど、実際は昨日16時頃から降りだしていますから、事実上12時間降雪量です。にもかかわらず、すでに50センチを越えていますから、今日日中がどれだけ大変かが想像できます。

 ちなみにKasayanが住んでいる長野市では・・・・




 日の出前になって急激に積雪が増えてきました。
午前4時から5時までの1時間降雪量が2センチ・・・・このまま一時間あたり1~2センチペースだと?
いずれにせよ、今日は年末年始以来の雪かき大会・・・Kasayanもブログを書いたらすぐに雪かきです・・・
県内各地のグラフは https://weathernews.jp/observation/html/nagano.html で見れます)

 例によって今朝も長野地方気象台から大雪情報が発表されています
予想降雪量も書かれていますから、記事の終わりに引用掲載しておきます。

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 雪エリアが東北北部と東海西部で、太平洋側までエリアを拡大しています。
風が強いから太平洋側まで雪雲が流れてくるからですが、特に若狭湾から名古屋にかけては、本州がクビレていて、高い山もないので雪雲の通り道になっています。
 東海道新幹線が遅れる可能性がありそうですね。

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 北部が雪マークなのは当然。

 中南部が曇りベースなのは、北アルプスや岐阜の山々が雪雲をブロックしきれずに、押し寄せた雪雲が上を通過するから。
 風が強まるタイミングで雪雲が流れ込んで雪も・・・ただ弱まるとすぐに太陽が顔を出します。
 そして風が特に強ければ東信方面まで雪雲が流れ込みます。
 「おや?風が強まったかな?」と感じたら西の空を見てください。
(南信方面の地上付近では北アルプスを迂回した風が南よりに吹きます。冷たい南風です。)

 明日の予報文も書いておきましたが、明日は急速に回復ですね。

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 今朝3時~夜9時~明日夜9時の流れでアニメを作ってあります。

 ポイントは今日いっぱい冬型が強いということ。余計なものは省きました。
そして、今日昼前後までは、等圧線の間隔が狭くなる傾向で、まだまだ冬型が強まってきますから、雪のピークは日中です。
 
 アニメの最後・・・明日夜の県内は高気圧に覆われています。
いきなり回復傾向ですね。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 大雪情報が発表されていますから、今日も引き続き予報の解説にとどめておきます

 で・・・まずは今回の大雪の特徴をチェックしておきましょう。




 今日正午の降水量の予測ですが、昨日までの記事をお読みの方は、日本海の雪雲の帯がないことに気づかれたと思います。
 北朝鮮付近から北陸に延びていたヘビのような雲の帯・・・・大陸からの季節風が朝鮮半島付近の山岳地帯を通過して日本海上に風が集まる場所を作っていたからですが、今日の季節風は山岳地帯の東側をメインに通過していきますから、風は乱されることなく日本へやってきます。

 このため、ストレートに季節風が吹き寄せる新潟・東北の日本海沖で雪雲が活発化
そして、県内で一番そのエリアに近い場所・・・飯山・中野方面で雪が多くなっているようです。

 次は、長野県にズーム。




 雪のピーク頃と思われる正午の降水量と上空1500m付近の風速(緑が濃いほど風が強い)です。

 ポイントは図に書き込んでおきましたが、県内では強風が吹きこむ場所と、風をブロックする山で降水量が多くなっていることがわかります。

 一方、北アルプスが壁になって風が弱まる中南信地方(水色のところ)の降水は少なくなっています。
風の方向や強さ次第で、松本や上田方面に雪雲が流れてくる・・・という話もこの図を見るとわかりやすいのではないでしょうか?

 諏訪地方は、北アルプスで雪雲がブロックされ、狭い盆地を強い西風だけが通過していくのが特徴的ですね。

 もうひとつ・・・・
 雪は何時やむの?ということが気になると思いますから、止むタイミングの図も・・・・




 明日午前中には急速に回復してくるのが、今日正午の図と比較すれば一目瞭然ですね。

 最後・・・テレビの天気予報では、お約束のように「強い寒気が」と解説していますから、ブログで同じことをやっても芸がないので、アニメにしてみました。




 マイナス40℃の寒気のコアは今夜にかけて北日本を通過しますが、コア周辺の十分に大雪を降らせるに足りる寒気はやや遅れて抜けていきます。
 ですから、今日日中は大雪になるだけの雪雲が発生します。

 テレビの解説では寒気ばかり強調していますけど・・・・確かに日本海の水が蒸発して雪雲が沢山発生するためには強い寒気が必要ですが、海のない長野県で雪が降るためには雪雲を運んでくるだけの強い風が必要です。この風が弱かった一昨日は、予想されたほど風が強まらず、新潟の海岸線中心の雪になりました。
 だから、寒気は大雪の一つの目安に過ぎません

 テレビの天気予報でできること・・今はコンピューターグラフィック中心の解説ですけど、臨機応変に手書きで天気図に書き込みをして、寒気に加えて風と関係する通常の天気図の解説も十分にしなければならないと思っているんですけど・・・・どっかの放送局・・・挑戦してみればイイのに。
 全国ネットの天気予報のマネじゃなくて長野県ならではの解説が必要だと痛感しています。
(すぐに横道にそれちゃってすみません。)

 遅くなりましたが、大雪情報の予想降雪量だけ引用掲載しておきます。
重要な「防災事項」や「気圧配置」の解説などは必ず原文を読んでみてください
 なお、新しい情報は午後5時頃に発表されるようです。
 気象庁HP大雪情報: http://www.jma.go.jp/jp/kishojoho/322_index.html
[予想降雪量]
7日06時までの24時間降雪量は、いずれも多い所で、

 北部 長野地域山沿い   :60センチ
        平 地   :30センチ
    中野飯山地域    :80センチ
    大北地域山沿い   :60センチ
        平 地   :30センチ
 中部 上田地域の菅平周辺 :20センチ
         その他  :5センチ
    佐久地域      :5センチ
    松本地域の聖高原周辺:20センチ
         その他  :5センチ
    乗鞍上高地地域   :20センチ
    諏訪地域      :5センチ
 南部 上伊那地域     :5センチ
    木曽地域      :15センチ
    下伊那地域     :5センチ
の見込みです。


 当ブログの記事等に関して、ご質問・ご意見等がありましたら、
  kasayangw@yahoo.co.jp
までメールしてください。
 可能な限り返信いたします。


  


2010年02月05日

天気予報は当たるのか?(2月5日)

 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言

 実況をもとに予報を訂正するとハズレる・・・と言われることがあります。

 気象庁は朝5時に予報を発表して、午前中の新しい観測結果をもとに11時に修正した予報を発表します。ほとんどの場合は、これによって午後の予報の精度がアップするのですが、ときどき朝の予報のままで良かったじゃん!というように、予報が改悪されることがあります

 予報を作るときは、一日の天気のシナリオを何本か考え、その中で一番可能性の高いものを予報にするわけですが、実際の天気がそのシナリオ通りに進まなかった場合、使わなかったもう一本のシナリオが良かったのか?と後悔することになります。

 そして、修正予報で当初使わなかったシナリオに変更すると・・・ハズレることが多いんですよね。
 昨日の長野県の予報がそうだったように思います。

 防災的観点と実生活の観点とを天秤にかけて、午前11時の修正予報を朝5時の予報よりもちょっと悪目に発表したとたん、午後には晴れ間が広がって午後2時過ぎには大雪注意報解除。
 気象台を擁護するならば、ちょっと風が強まっただけで本当に注意報レベルの降雪になる可能性が高かったので、防災的観点からは仕方なかったと思います。

 しばしば最初のインスピレーションが大切といいますが、予報も同じ。
 昨日の「お天気放談」でも防災を考慮して予報は当たると書きましたけど、「お天気放談」は予報の予報ですから、防災的観点のサジ加減を読み取れればよいかな?と思っています。




 さて、今日は注意報に先だって、大雪情報が発表されています

 大雪情報では、先24時間の予想降雪量が記載されていますが、今日の雪が強まるのは今夜
予報がハズレた直後は、なーんだ今回も?なんて気になりますし、まして雪が強まるのが夜ならば、昼間の空をみて、ハズレてるじゃん・・・なんて考えてしまうそそっかしい人も出てきます。

 記事の文末に今朝の大雪情報を引用掲載しておきますので、土曜の早朝の雪かきが気になる方はお読みください。
 
2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 今日の予報は、天気マークがセットじゃなくて単体の所が多くなっています。
「のち」とか「時々」があまりなくて、天気分布が固定されているということ・・・冬型の気圧配置の範囲が変化するというよりも、程度の変化に着目する状況です。

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 お隣の新潟県や富山県は雪マーク一発
北部や南部は「のち 雪」ですから、新潟や富山の雪マークが拡大してきます。
 群馬県の北部でも、晴れマークからいきなり「のち」雪マークになってますよね。

 で・・・「のち 雪」のタイミングですが、北部は「午前中」
ただ、県境の雪が県内まで次第に拡大していくわけですから、北部でも中部に近いエリアはもうちょっと遅くなると考えておくべきです。

 中部は「夕方 から」、そして南部は「夜遅く」です。

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 夜にかけて等圧線の本数が増えることを強調して作ってみました。
昨日から寒気が南下していて、すでに雪の待ち受け体制が整っている状況なので、テレビでおなじみの寒気の南下の様子は、あとで元ネタの専門天気図を添付しておきます。

 県内で大雪になるポイントは、等圧線が混んできて風が強まること。
風が強まるタイミングで一気に雪雲が県内奥深く流れ込んできますから、このタイミングがズレれば降りだしのタイミングも変化します。

 今のところ、確実なのは夕方以降ですけど、風向の微妙な変化による影響も考慮して安全マージンをとれば予報文の降り出しになると思います。 

12時10分追記:長野地方気象台は11時の予報で雪の降り出しを「夕方」に修正してきました。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 大雪情報が発表されていますから、天気予報の当たりハズレは自粛

 雪のエリアが拡大していく様子を、ブログ開始以来初チャレンジの24時間アニメでまとめました。
これは降水量の予測ですから、雪になった場合には、風によって雪が流される効果も考慮する必要があります。
 ですから、お住まいのエリアに降水域がかかっていなかったとしても、安全マージンを多めにとる必要があります。





 北部は昼間でも雪の可能性が高くなっていますが、夜から明日朝にかけて降水量が増えるとともにエリアも拡大することがわかりますよね。

 最後に寒気の様子・・・




 高い所より地上に近い下層に寒気が流れ込む傾向です。
地上付近に吹き込む季節風の影響が、寒気の流入の様子にもあらわれています。

 では、最後の大雪情報・・・新しい情報は午後4時に発表されますから、必ず新しい情報で内容をアップデートしてください
   http://www.jma.go.jp/jp/kishojoho/322_index.html

16時半追記:16時8分に新たな大雪情報が発表されています。明日午後6時までに長野地域平地の多い所で30センチの降雪(積雪じゃありません)が予想されています。夜、時間があったら内容を検討して記事にしてみます。

   ********以下 気象庁HPより引用掲載********
大雪に関する長野県気象情報 第1号

平成22年2月5日05時40分 長野地方気象台発表

(見出し)
県内では、5日夜から6日にかけて大雪となるおそれがあります。降雪によ
る視程障害、積雪や路面凍結による交通障害、電線などへの着雪に注意して
下さい。また、積雪の多い傾斜地では、なだれに注意して下さい。

(本文)
[気象状況]
 日本付近は西高東低の冬型の気圧配置となっており、5日夜には、上空約
5000メートルに氷点下36度以下の強い寒気が流れ込み、冬型の気圧配
置が強まる見込みです。県内では6日にかけて、北部を中心に断続的に強い
が続き、大雪となるおそれがあります。
 また、5日夜以降は中部や南部の平地でも数センチの積雪となる可能性
あります。
 5日昼過ぎからは、山岳部では風雪が強まり、6日にかけて大荒れの天気
となる見込みです。

[予想降雪量]
6日6時までの24時間降雪量は、いずれも多い所で、
 北部 大北地域山沿い    :50センチ
        平 地    :20センチ
    長野地域山沿い    :40センチ
        平 地    :20センチ
    中野飯山地域     :60センチ
 中部 乗鞍上高地地域    :20センチ
    松本地域の聖高原周辺 :20センチ
    上田地域の菅平周辺  :20センチ
    松本地域、上田地域、
    佐久地域       :10センチ
    諏訪地域       : 5センチ
 南部 木曽地域       :15センチ
    上伊那地域、下伊那地域: 5センチ
の見込みです。
 6日明け方以降は、さらに降雪量が多くなるでしょう。

[防災事項]
 降雪による視程障害、積雪や路面凍結などによる交通障害に注意して下さ
い。また、電線や架線、樹木などへの着雪にも注意して下さい。
 特に山岳部では、風雪が強まる事に加え、積雪の多くなる所ではなだれの
危険性も高まりますので、注意して下さい。

[補足事項]
 次の「大雪に関する長野県気象情報」は、5日16時頃に発表する予定
す。



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2010年02月04日

天気予報は当たるのか?(2月4日)


 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言

 昨日、長野市内の降雪量を超簡易的に計算してみましたが大ハズレ
 そこで、昨夜の記事でその理由を考えてみましたが、やはり降水量が予測値よりずっと少なかったことが最大の原因だったようです。

 昨日の朝、長野地方気象台発表の大雪注意報に記載されていた24時間予想降雪量は、北部山沿いに限定されていたものの、最大「40センチ」が予想されていました。
 これに対して実際の降雪量は以下のようになっていました。




 最も降雪量の多かった新潟県境の小谷で20センチ
もちろん、北アルプスや北信五岳の山間では40センチの積雪があったかもしれませんが、各観測地点ではかなり少ない結果になっていました。

 一方、小谷から直線で30キロほどしか離れていない能生では約60センチの降雪が観測されていて、全国トップでした。
 予想されていたより季節風の風速が弱く雪雲が山に吹き寄せられる効果が少なかったため、沿岸部の降雪が多くなる一方、長野県内への流入が減ったのではないかと考えます。
 (風向はいわゆる里雪型でしたけど、県内北部に流入する傾向の北西ではあったと思います)

 北アルプスや北信五岳という雪雲のダムが決壊しそうだったので注意報が発表されたものの、決壊が免れたという感じです。
 
 もっとも、長野市内で雪はそれなりに降ったものの降雪ゼロの記録になった理由・・・同じ降水量でも短時間で降る場合とダラダラと降る場合の違いがかなり関係していると思いますが、イマイチ納得できていません。
 もっと勉強と経験を積まないとダメですね。
 
2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 全体の傾向は昨日の図とほぼ同じ
関東に「のち くもり」マークがついているところまで同じです。
また、その理由が書かれている概況に「上空の気圧の谷が通過するため」というところも全く同じ。
 デジャブを見ているようです。

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 北部・・・・昨日の朝の予報は雪ベースで時々くもりでしたが、今日は曇りベースの時々雪
雪のトーンは下がっています。

 中部は例によって北アルプスのブロックが効いて晴れベース
山を越えた雪雲が流れ込んでチラチラ・・・西のエリアが中心になると思います。
 一方、北アルプス南側の南部では西から雪雲が流れ込んでくもりベース
晴れ間も出ますけど、雪雲が流れ込むタイミングで木曽谷中心にチラチラ・・・が「所により雪」と書かれている理由でしょう。

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 今日のアニメ・・・気圧配置がほとんど変化しない・・・ということを表現しています。
ということは、北アルプスや北信五岳のダムの上流・・・北陸に流れ込む雪雲が継続するということです。

 さらに・・・・ダムが決壊したら北部山沿いのドバッと降る可能性もあるということですから・・・今朝7時半現在継続している北部の大雪注意報をいつ解除すべきか?・・・長野地方気象台も悩ましいところだと思います。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 とにかく今日は気圧配置に大きな変化がありません
ということは、今朝の状況に大きな変化が見られないということです。




 これは上空5500m付近の天気図ですが、今回の冬型の気圧配置をもたらしている上空の低気圧が一日を通してほとんど動いていないことがわかります。
 上空の空気の流れから切り離された低気圧で、寒気を伴っているので寒冷渦なんていいます。




 そしてこの寒冷渦、中心の寒気は-48℃の一級品。
県内中部まで-30℃の寒気が流れ込み、大雪の目安となる-36℃の寒気が北陸にかかっています。

 さらに、県内には上空1500mで-9℃という大雪になってもおかしくないだけの寒気が入っています。




 通常、この状態で北西の風が強く吹けば県内も大雪になっておかしくない状態

 でも、上の天気図アニメを見るとわかるのですが、北海道付近の低気圧はそれほど発達しておらず、日本にかかる等圧線の間隔はそれほど広くありません。
 低気圧より、高気圧優勢の冬型の気圧配置といえそうです
(押しの冬型、引きの冬型なんて言われますけど、パターン化は好きじゃないので・・)
 北陸などでは決して風が弱いというわけではありませんが、長野県まで雪雲を流れ込ませるにはちょっと足りないという感じです。

 で・・・・今日の天気予報
 中南部の予報には「時々 くもり」「所により 雪」がついていて、どう転んでもハズレることは考えにくい状況です。
 上空の気圧の谷が通過しますけど、その強さは昨日とほぼ同じか弱いくらい・・・晴れ間が出ないという選択肢は考えにくいので、中南部の予報は当たると考えます。

 さて北部・・・
 基本的に曇りベースですが、この曇りの原因になっている雪雲の上にある上層の雲は朝のうちにサッサとなくなってしまいます
 雪雲がかかれば雪が降り始めますが、去ってしまえば太陽が顔を出すといった感じ。
その傾向は北部でも中部に近い長野市南部や千曲市、大町で顕著です。
 この記事を書いている7時半の段階でも北部の大雪注意報が継続していますから、防災的意味も考慮して今日の予報は当たると考えます。




 正午の降水量予測ですが、今日の雪は北部県境付近がメイン・・・特に中野飯山方面でしょうか。
県内深く流れ込んでくる散発的な雪雲の計算は不十分だと思います。
 季節風の風速が強まれば、すぐにまとまった雪。

 昨日も午前11時に予報が若干修正されましたが、除雪などが気になる方は、午前中の実況にもとづいて修正発表される11時の予報を再チェックされることを強くおすすめします


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2010年02月03日

善光寺節分会の雪は謎の雪(2月3日)



 今日、長野市内では早朝を除いて日中は降水が1ミリも観測されませんでした

 ウソォ!!と思われるかもしれませんが・・・・・




 午前8時に0.5ミリ観測されただけ・・・朝の雪ですね・・・・。
市内では午後を中心にしっかり雪は降りましたけど、気象台の雨量計では観測できなかったようです。




 今朝の記事で、県内の降雪は雪雲を流す風の強さ次第と書きましたが、今日の風は午後になって若干風が強まったもののイマイチ
 このため計算値より降水量は少なめになったようです。




 そして・・・結局、朝を除いて長野市の平地では「日中観測された積雪」はゼロでした。




 実は、今朝の記事で今日の長野市内の降雪量を予想してみたんですが・・・・・日中の積雪に関しては全くの大ハズレでした。(簡易的な計算の方法は今朝の記事に書いてあります)

 この点、早朝の長野市内の雪については・・・降水量0.5ミリの観測値で、積雪が2センチでした。
 降水量が少なめに観測されていると考え、仮に降水量が1ミリだったとすれば、積雪2センチという観測値は、この時間の気温-3℃の雪水比約2.0(今朝の記事に書いてあります)で計算した降雪量とピッタリ合致しています。

 とすれば、日中の気温が予想最高気温の0℃まで上昇したとしても、雪水比1.0を日中のトータルの予想降水量に乗じれば、たとえ大ざっぱでもトータルの降雪量が算出されるはず・・・・とアサハカにも考えたんですが・・・・・

 ハズレの原因は、市内の降水量が計算値よりはるかに少なかったから・・・・と考えるべきなのか

 確かに、気象台の予報も11時に若干変更されて雪のトーンは下がっていたんですけど・・・それでも積雪ゼロの理由としてはちょっと腑に落ちません(国道事務所のHPで見た路面温度は高めだったので道路に積もらなかった理由はわかるのですが)。




 気温も順調に下がっていたし・・・・・・

 一日の総降水量と最高気温を使ったドンブリ計算じゃなくて、キチンと時間単位で計算した後に積算すべきなんでしょうね。
 また、降水量が少ない場合の雪水比についても勉強が足りなかったようです。

 面白半分と自分の雪かき用に計算してみたのですが、またまた悩ましくも面白そうな課題ができてしまいました。




 日中、何十年かぶりに駆け足で善光寺の節分会を見に行ったのですが、ついでに近所の長野地方気象台の積雪深計を見てきました。

 露場の枯れた芝生の上に落ちてくる雪は、すぐに融けて無くなっていました




 また、雨量計の上に落ちてくる雪・・・・頼りなげな感じでした。




 まだ、明日にかけて雪が予想されています。
大雪注意報が出ていますから、今日日中積もらなかったからといって安心しないでくださいね。

  


Posted by kasayan at 18:32Comments(0)雑記

2010年02月03日

天気予報は当たるのか?(2月3日)

 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言




 今朝の長野市内・・・日の出あたりからが強くなってきました。
 ふらふら・・・と迷いこんできた雪雲だと思いますが・・・・




 今朝7時過ぎのレーダー画像を見ると、新潟県境付近に雪雲がかかっていて、次第に長野市方面に広がっています。

 こんなとき、気になるのは何センチくらい積もるの?ということでしょう。

 いわゆる降雪量です。テレビの天気予報でアナウンサーさんが積雪と言い間違えていたりしますが、積雪は実際に積もっている雪の深さで、降雪は一定時間に積もった雪の量・・・積雪の増加分です。

 で・・・降雪量を予想する方法として、統計学的手法からズバリ計算してしまう方法と、降水量の予想に雪水比という数字を乗じてはじき出す方法があります。
 ズバリ計算する方法は複雑なプログラムが必要ですから気象庁にお任せとして、Kasayanでも簡単にできそうな方法が雪水比を使う方法です。




 雪水比というのは、雪水比=降雪量(cm)/降水量(mm)で計算され、ようは降水量を降雪量に換算するための係数。
 これを使えば、降水量の予測から降雪量を計算することができるわけです。

 で・・・・・Kasayanの住んでいる長野市内の今日日中の降水量の予測値は・・・8~10ミリ程度(かなりイイカゲン)。
そして気象台が発表した日中の予想最高気温は0℃
 気温0度の雪水比はおよそ1.0ですから、8×1.0で・・・降雪量は9センチ前後ということになります。

 まあ・・・日中の気温が0度を上回ると急激に雪水比が下がり、降雪量が大きく減ってしまう可能性もあって、適時修正する必要があるので・・・・予測というより予言の域です(信用しないでネ)。

 東京ではこのような計算を色々検討してみたことがあるのですが、長野でははじめて。
朝の寝ぼけた頭で適当に計算してみただけなので全くあてになりませんが、実際どうなるのか?楽しみです。

8時半追記:注意報では山沿いの多い所について予想降雪量を発表しています。
長野地域 [発表]大雪注意報 [継続]なだれ注意報
 雪 3日昼前から4日朝にかけて 以後も続く
   24時間最大降雪量 山沿い 40センチ
中野飯山地域 [発表]大雪注意報 [継続]なだれ注意報
 雪 3日昼前から4日朝にかけて 以後も続く
   24時間最大降雪量 40センチ
大北地域 [発表]大雪注意報 [継続]なだれ注意報
 雪 3日昼前から4日朝にかけて 以後も続く
   24時間最大降雪量 山沿い 40センチ


2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 例によって日本海側雪、太平洋側晴れの冬型の天気分布ですけど、関東は「のち くもり」ゾーン。
東京の予報文には「所により 夕方 から 夜のはじめ頃 雪」なんてものがついています。
 雪を降らせる原因が全然違いますから、一昨日の混乱を生むような雪じゃなくて、降ってもチラチラだと思いますけど、関東で「のち」に天気を悪くする何かが通過するということです。

 長野県の雪マークとも関係していそうですね。

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 北部は冬型・・・「雪」ベース。「朝晩 くもり」ですから日中中心の雪です。

中南部「晴れ」ベースですけど、「夕方 から」雲が広がって、「所によ」っては「雪」も降る・・・ですね。
(予報文をちょっと補うとあら不思議・・・アナウンサーさんが読んでいる原稿になるんです・・・余談)

 北部で日中雪を降らせる原因の何かが、夕方には中南部に雪を降らせ、そして夜になると関東でも雪を降らせるわけです。

 で・・・・長野地方気象台発表の概況を見ると・・・・
今日は、冬型の気圧配置が続きますが、午後には上空の気圧の谷が通過する見込みです。
 このため、北部では雲が多く、日中を中心に雪が降るでしょう。中部や南部では、はじめ晴れますが、夕方からは次第に雲が広がり、雪の降るところがあるでしょう。

 と、キチンと理由が書いてあります。
  気象庁HP長野県概況: http://www.jma.go.jp/jp/yoho/322.html

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 今日、雪を降らせる原因・・・・冬型の気圧配置と上空の寒気、そして日本海にできる雪雲の帯です。

 雪雲の帯が北陸にブチ当たり続けるので北陸中心の大雪になるわけですが、上で見た「上空の気圧の谷」・・・・これは後で専門の天気図でチェックすることにします。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 まず、予想天気図で見た日本海にできる雪雲の帯
この冬、何度も書いてきましたが、北朝鮮の付け根にある山岳地帯を北西の季節風が通り抜けるときにできる風の収束帯のことです。




 風が集まる場所には水蒸気も沢山集まって特に雪雲が発生する場所・・・雪雲の帯になります。
 こいつがやってくる場所で大雪になるわけですが、今日の行き先は北陸・・・・北陸の延長線上に長野県北部があるわけです。

 北陸から長野県に流れ込む雪雲を阻むのが北アルプスや北信五岳
風向や風速によって県内に入り込んだり入らなかったり・・・・・

 日中は北西風・・・・この場合は北部の山沿い中心の雪。風速が強ければ長野市内にまで・・・北部で風が強まるのは昼前後?・・・・
雪雲が大量に発生することは確かなので、今日の県内の雪は風次第ということでしょう。

 夕方以降、北西の風は西寄りに・・・・北アルプスの南側から雪雲が流れ込んで・・・中部・南部に「所により 雪」をもたらしそうです。

 次は、上空の気圧の谷




 図中、「正渦度帯」とは、低気圧性の反時計回りの空気の渦が出来やすい場所
そして、上空の気圧の谷とは特に渦が出来やすい場所で、地上の雪雲にパワーを与えます。
 こいつが日中東日本を通過・・・県北部に雪を降らせ、太平洋へ抜ける直前には中南部や関東方面にまで影響を与えることになりそうです。

 で・・・・今日の天気予報・・・・予報とは異なるもう一つのシナリオは「雪があまり降らない」ということになってしまいます。
 今朝の段階で、県北部に大雪注意報も出ていますから、もうひとつのシナリオを考えるのはあまり気乗りしません。
 防災的要素も含めて今日の天気予報は当たると考えます。

 降雪量の予言?当たるかなぁ???

 最後に、上空の寒気を検討した原図を添付しておきます。





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