2010年02月04日

天気予報は当たるのか?(2月4日)


 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言

 昨日、長野市内の降雪量を超簡易的に計算してみましたが大ハズレ
 そこで、昨夜の記事でその理由を考えてみましたが、やはり降水量が予測値よりずっと少なかったことが最大の原因だったようです。

 昨日の朝、長野地方気象台発表の大雪注意報に記載されていた24時間予想降雪量は、北部山沿いに限定されていたものの、最大「40センチ」が予想されていました。
 これに対して実際の降雪量は以下のようになっていました。




 最も降雪量の多かった新潟県境の小谷で20センチ
もちろん、北アルプスや北信五岳の山間では40センチの積雪があったかもしれませんが、各観測地点ではかなり少ない結果になっていました。

 一方、小谷から直線で30キロほどしか離れていない能生では約60センチの降雪が観測されていて、全国トップでした。
 予想されていたより季節風の風速が弱く雪雲が山に吹き寄せられる効果が少なかったため、沿岸部の降雪が多くなる一方、長野県内への流入が減ったのではないかと考えます。
 (風向はいわゆる里雪型でしたけど、県内北部に流入する傾向の北西ではあったと思います)

 北アルプスや北信五岳という雪雲のダムが決壊しそうだったので注意報が発表されたものの、決壊が免れたという感じです。
 
 もっとも、長野市内で雪はそれなりに降ったものの降雪ゼロの記録になった理由・・・同じ降水量でも短時間で降る場合とダラダラと降る場合の違いがかなり関係していると思いますが、イマイチ納得できていません。
 もっと勉強と経験を積まないとダメですね。
 
2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 全体の傾向は昨日の図とほぼ同じ
関東に「のち くもり」マークがついているところまで同じです。
また、その理由が書かれている概況に「上空の気圧の谷が通過するため」というところも全く同じ。
 デジャブを見ているようです。

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 北部・・・・昨日の朝の予報は雪ベースで時々くもりでしたが、今日は曇りベースの時々雪
雪のトーンは下がっています。

 中部は例によって北アルプスのブロックが効いて晴れベース
山を越えた雪雲が流れ込んでチラチラ・・・西のエリアが中心になると思います。
 一方、北アルプス南側の南部では西から雪雲が流れ込んでくもりベース
晴れ間も出ますけど、雪雲が流れ込むタイミングで木曽谷中心にチラチラ・・・が「所により雪」と書かれている理由でしょう。

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 今日のアニメ・・・気圧配置がほとんど変化しない・・・ということを表現しています。
ということは、北アルプスや北信五岳のダムの上流・・・北陸に流れ込む雪雲が継続するということです。

 さらに・・・・ダムが決壊したら北部山沿いのドバッと降る可能性もあるということですから・・・今朝7時半現在継続している北部の大雪注意報をいつ解除すべきか?・・・長野地方気象台も悩ましいところだと思います。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 とにかく今日は気圧配置に大きな変化がありません
ということは、今朝の状況に大きな変化が見られないということです。




 これは上空5500m付近の天気図ですが、今回の冬型の気圧配置をもたらしている上空の低気圧が一日を通してほとんど動いていないことがわかります。
 上空の空気の流れから切り離された低気圧で、寒気を伴っているので寒冷渦なんていいます。




 そしてこの寒冷渦、中心の寒気は-48℃の一級品。
県内中部まで-30℃の寒気が流れ込み、大雪の目安となる-36℃の寒気が北陸にかかっています。

 さらに、県内には上空1500mで-9℃という大雪になってもおかしくないだけの寒気が入っています。




 通常、この状態で北西の風が強く吹けば県内も大雪になっておかしくない状態

 でも、上の天気図アニメを見るとわかるのですが、北海道付近の低気圧はそれほど発達しておらず、日本にかかる等圧線の間隔はそれほど広くありません。
 低気圧より、高気圧優勢の冬型の気圧配置といえそうです
(押しの冬型、引きの冬型なんて言われますけど、パターン化は好きじゃないので・・)
 北陸などでは決して風が弱いというわけではありませんが、長野県まで雪雲を流れ込ませるにはちょっと足りないという感じです。

 で・・・・今日の天気予報
 中南部の予報には「時々 くもり」「所により 雪」がついていて、どう転んでもハズレることは考えにくい状況です。
 上空の気圧の谷が通過しますけど、その強さは昨日とほぼ同じか弱いくらい・・・晴れ間が出ないという選択肢は考えにくいので、中南部の予報は当たると考えます。

 さて北部・・・
 基本的に曇りベースですが、この曇りの原因になっている雪雲の上にある上層の雲は朝のうちにサッサとなくなってしまいます
 雪雲がかかれば雪が降り始めますが、去ってしまえば太陽が顔を出すといった感じ。
その傾向は北部でも中部に近い長野市南部や千曲市、大町で顕著です。
 この記事を書いている7時半の段階でも北部の大雪注意報が継続していますから、防災的意味も考慮して今日の予報は当たると考えます。




 正午の降水量予測ですが、今日の雪は北部県境付近がメイン・・・特に中野飯山方面でしょうか。
県内深く流れ込んでくる散発的な雪雲の計算は不十分だと思います。
 季節風の風速が強まれば、すぐにまとまった雪。

 昨日も午前11時に予報が若干修正されましたが、除雪などが気になる方は、午前中の実況にもとづいて修正発表される11時の予報を再チェックされることを強くおすすめします


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