2010年02月02日

天気予報は当たるのか?(2月2日)

 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言

 長野県南部では、やっと雪らしい雪が降ったという感じですから、朝起きて「何センチだった?」というところが気になると思います。




 いつもの日本海産の水蒸気じゃなくて太平洋産の水蒸気で出来た重い雪ですから、雪かきも大変だったと思います。

 この冬初めての南部の大雪でしたから、ちょっと総括を・・・・




 1月の大雪は西高東低の冬型の気圧配置によるものでしたけど、今回は南岸低気圧によるもの。
まさに低気圧が通過するタイミングで雪がドバッと降るという傾向でした。




 冬型の気圧配置で北部に雪が降るときは、気圧が上昇するタイミングで降雪が強まるのですが、南岸低気圧の場合は、気圧が一番下がったときに降雪が強まります。
 昨日、飯田に低気圧が一番接近した午後6時前後、気圧が最低になって雪が強まっていました。
午後2時以降、低気圧が地上付近に寒気を引きこんで気温が急降下・・・雨から雪に変化したようです。

 ふと・・・・このブログ・・・仕事じゃないからこんなマトメなんかやってられるんですよね・・・・
大工さんが隠居して趣味で木彫りをやっているような感覚かも・・・ふと我にかえると驚きです。

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 今日の天気分布は冬型の天気分布と同じですが、その前兆の天気分布といいましょうか・・・・?
日本海側各地の予報文を見ると、夕方頃から雪が強まる傾向です。
 
 また、太平洋側で太陽マークが目立っていますが、関東付近を中心に「のち くもり」マークが多くなっています。
 午後にちょっとだけ天気を悪くする何かが通過するわけですが、これは予想図でチェックしてみましょう。

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 北部の天気傾向・・・冬型の気圧配置が強まってきて夜から雪・・・・って簡単にイメージできます。

 また、中南部は太陽マークがありますから回復傾向・・・こちらも冬型にありがちな傾向ですけど・・・・予報文には「所により 昼過ぎ から 夕方 雪」がついています。

 午前中なら昨夜の雪が尾を引いているとわかりますが、いったん回復したあとの午後ですから、ちょっと気になります。
 全国の天気マークで見た関東の曇りマーク・・・これと同じ天気を悪くする何か?が影響しているはずですから、こちらも予想図で確認・・ですね。

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 長野県中南部に午後雪を降らせ、関東方面をくもりにする原因が、今日日本海から関東の東へ抜ける弱い低気圧の影響だということがわかればOKです。

 本州を通過する際には、かなり弱まって「上空の気圧の谷」と呼んだほうが良いくらいになりますから、ちょこっと天気を悪くする程度のイメージです。

 あとは・・・・今夜からの冬型の気圧配置・・・今夜からの雪は、再び北部が主役ですね。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。

 
 今日のチェックポイントは、北部の「夜 雪」と、中南部の「所により 昼過ぎ から 夕方 雪」でしょう。

  まず北部ですが、お隣の上越地方の雪は「夕方 から」
 夕方から次第に雪のエリアが拡大・・・というイメージを持っていれば良いと思いますが、午後に上空を通過して中南部に雪をちらつかせる低気圧の影響は?
 中南部とあわせて低気圧の影響をチェック。




 午後3時前後が低気圧の影響のピークですが、北アルプスで降水(雪)が強まって・・・ようは北アルプスが雪雲をブロックして・・・北部への影響は小さいようです。
 一方、中南部へは西から降水(雪)のエリアが拡大しています。




 上空1500m付近の流れを見てみると、午後3時は西の風
西風は北アルプスを南北に迂回するように流れて、北アルプスの南側から南よりの風に方向を変えて中南部に吹き込んでいます。

 中南部の風の予報・・・「南の風 日中 やや強く」と「北の風 後 南の風 やや強く」になっていますから、この南よりの風がちょっと強めに吹いたタイミングで雪チラチラになる可能性が高いということですね。

 このピークが午後3時ですから、多少時間帯がズレても予報は大ハズレにはならないでしょう。
また、「所により」がついていますから、雪チラチラがなくても予報はOK。

 結局・・・今日の長野県の予報は当たる・・・と思います。

9時半追記:午前中でも南部で雪雲が散在。チラチラの可能性が出てきちゃいました。中部・南部の「昼過ぎから」はないほうが良かったかもしれません。訂正しておきます。

 今夜からの北部の雪・・・どれだけ降るんだろう?
とりあえず新潟県境中心に並雪だと思うんですけど、こっちの検討は・・・・・今朝は時間切れですから、夜ヒマがあったら検討してみるつもりです。

 当ブログの記事等に関して、ご質問・ご意見等がありましたら、
  kasayangw@yahoo.co.jp
までメールしてください。
 可能な限り返信いたします。




  


2010年02月01日

大雪情報が発表されています(2月1日)



 今日の雪はちょっとトロピカルな感じがしませんでしたか?
加山雄三的というかサザン的というかチューブ的というか?

 いつもの雪は森昌子的というかジェロ的というか・・・なのに・・・・・




 おバカはこれくらいにして・・・いつもの雪は日本海の海水が蒸発して降りますけど、今日の雪は太平洋の海水が蒸発してできた水蒸気が冷やされて降る雪。

 原材料の産地が違いますから雪の質も降る場所も違います。
南部を中心に降っていて、標高の高いところを除いては湿ったベタベタの雪がメイン。
 寒いと感じていても気温は高めなんです。




 ベタベタということで、電線への着雪による停電や果樹の枝が折れるなどの被害が心配される点で、これまでの雪とは違いますから気をつけてくださいね。
(この雪のメカニズムは今朝の記事をご覧ください

 さて・・・今朝に引き続いて大雪情報が発表されています
 雪は今夜日付が変わるころにはいったん止むようですが、なにしろ重たい雪ですし、あまり雪が降らなかった南信地方を中心に降っていますから、降雪量予測が少なくても警戒モードに変わりはありません・・・・雪に強い長野県ですから大騒ぎの東京ほどじゃないと思いますけど・・・・

 とりあえず、いつものように大雪情報の原文を引用掲載しておきますが(引用文中、掲載天気図は気象庁発表天気図にKasayanが加筆)、明日朝6時にも新たしい情報が発表される予定のようですから、気象庁のHPをブックマークしておくことをおすすめします。
  http://www.jma.go.jp/jp/kishojoho/322_index.html

大雪に関する長野県気象情報 第2号

平成22年2月1日17時10分 長野地方気象台発表

(見出し)
県内では、2日未明にかけて断続的に雪が降り、中部と南部では大雪となる
所があるでしょう。平地でも積雪となる見込みですので、降雪や積雪による
交通障害、路面の凍結、電線などへの着雪に注意して下さい。

(本文)
[気象状況]

 四国の南には前線を伴った低気圧があって、東北東に進んでいます。この
低気圧は、1日夜遅くには伊豆諸島南部に達する見込みです。
 このため、県内では、2日未明にかけて断続的に雪が降り、中部や南部で
は大雪
となる所があるでしょう。平地でも積雪となる見込みです。
 また、2日以降は冬型の気圧配置が強まり、北部を中心に雪が降り続くで
しょう。




[予想降雪量]
 2日18時までの24時間降雪量は、いずれも多い所で、

 北部 大北地域山沿い    :15センチ
        平 地    :15センチ
    長野地域山沿い    :15センチ
        平 地    :10センチ
    中野飯山地域     :15センチ
 中部 乗鞍上高地地域    :15センチ
    松本地域の聖高原周辺 :15センチ
         その他   :10センチ
    上田地域の菅平周辺  :15センチ
         その他   :10センチ
    佐久地域       :10センチ
    諏訪地域       :10センチ
 南部 上伊那地域      :15センチ
    木曽地域       :15センチ
    下伊那地域      :15センチ 

 の見込みです。

[防災事項]
 降雪や積雪による交通障害、路面の凍結に注意して下さい。また、農業施
設や電線、架線、樹木などへの着雪
に注意して下さい。
 積雪の多い傾斜地では、なだれにも注意して下さい。

[補足事項]
 次の「大雪に関する長野県気象情報」は、2日06時頃に発表する予定
す。

  


Posted by kasayan at 18:10Comments(0)雑記

2010年02月01日

天気予報は当たるのか?(2月1日)


 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言

 昨日、長野市内のスパイラルで見たボブスレー競技の様子。




 恥ずかしながら初めて生で見ました。
 100キロ以上の速度で目の前を通過していくので、速度が落ちる登りの直線の所を選んでも視界に入っている時間は2秒程度。撮れた写真がコレでした。
 オリンピックのときは世界の一流選手の迫力ある戦いが繰り広げられたんでしょうね。

 買い物ついでに思い立って15分の寄り道・・・・オリンピックの施設でボブスレーが見れちゃうなんて・・・ちょっとスゴイぞ長野!

 なんて話はこのくらいにしておいて・・・・今日は中部・南部の大雪パターン。
ここのところ北部中心の雪でしたけど、今日は全く正反対。
 南部としてはこの冬一番?の大雪情報も発表されていますから、このあたり詳しくチェックしていきます。
 (大雪情報の内容は文末に抜粋引用しました)

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 パッと見ると、東日本の太陽マークが目立ちますけど、どれも「のち 雪」マーク。
西に目を向けると、東海や近畿地方は「のち 雨」マークが多く、四国や九州は「のち くもり」マークになっています。
 九州付近で降っている雨のエリアが東へ進み、次第に雪になるというパターンが見てとれます。

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 久しぶりに県内全域「のち 雪」マーク
タイミングを見ると、南部は「昼過ぎ」で、中部と北部は「夕方 から」
 もっとも南部は「雪か雨」
 ですから南部で雨の所があったって予報がハズレたわけじゃありません。

 そして・・・・関東も広いエリアで雪マークがついています。
東京でも雪!首都圏の帰宅の足は大丈夫?なんて話題を聞かされそうです。

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 今日の雪の原因が南岸を進む低気圧と前線ということは一目でわかりますよね?
そうなると、低気圧に近い県南部や中部の雪が多くなるということが予想されます。

 普段雪の少ない地域ですから、混乱がないと良いのですけど・・・・

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 (防災情報が発表されているので、予報の当たりハズレは自粛します)

 長野地方気象台のHPhttp://www.jma-net.go.jp/nagano/kikou_tokucyou/nagano_fuyu_tokucyou.html)には、県内で雪が降りやすいパターンがまとめられています。

 今日はその中でも「中部・南部の大雪」というパターンに当てはまりますから、今朝は気象台のHPに書かれている条件を確かめるという流れで天気予報をチェックしていきましょう。

 気象台のHPには・・・・・
○南岸低気圧
 東シナ海などで発生した低気圧が、日本の南海上を進むとき「南岸低気圧」と呼んでいます。2月から3月にかけて、この低気圧が太平洋の沿岸を発達しながら進む場合には、北からの冷たい気流が流れ込み中部・南部を中心に「大雪」になることがあります。
 また、低気圧の発達の程度や進路のわずかな違いで「雨やみぞれ」になることもあります。雨で降れば被害にならないものが、雪になると被害の出ることが有るため、雪か雨かの判断が大切となります。

 ・・・と書かれています。

 上で見た関東南岸に進む低気圧が「南岸低気圧」
 「2月から3月にかけて」多いのですが、まさに2月1日というところから当てはまっています。

 まずは、その低気圧で何かが降るのか?という点からチェックします。




 長野県には昼過ぎあたりから降水エリアがやってきて、全域で夜まで降り続けます。

 次は「北からの冷たい気流が流れ込」んでくるのか?ですが・・・




 県内・・・朝のうちは風が弱くてその傾向はありませんが、夜にかけて次第に北東の風が東日本に吹き込んできます。
 この北東の風は三陸沖の冷たい空気を東日本に、それも日中暖かくなりやすい地上付近まで運んでくる役目をします。

 ここまでは、条件にピッタリ。
 さらに、本当に「冷たい」のか?が問題になりますが、気象台のHPには降るものが雪になるための詳しい条件が書かれています。
 県内の地上の気温が2℃以下で、上空 1,500m(850hPa)での0℃の温度線が太平洋側まで下がる時には、南岸低気圧による県内の降水は雪になります。

 今日日中の予想気温は・・・長野5℃、松本7℃、諏訪6℃、飯田8℃・・・・・なんだ条件に当てはまらないじゃん!・・・・と思われそうですが・・・・冷たい空気を運ぶ北よりの風が吹き始めると、暖かくなった地上付近の気温が急激に下がってきます。それが日が落ちる夕方ならなおさら。

 続けて「上空 1,500m(850hPa)での0℃の温度線が太平洋側まで下がる」のか?もチェック。




 マイナス3℃の線が東京の南側まで南下していますから、この条件は余裕でクリアしています。

 以上から、気象台のHPに書かれている条件はクリアすると考えられます。
 ただ、飯田では日中8℃まで上がりますから、暖かい空気が残る南部では降りだしの段階で雨の可能性も十分に考えられます。
 このため、予報文は「雪か雨」になっているんでしょう。

 最後に、大雪情報の内容のうち、予想降雪量を引用掲載しておきます。
 原文には電線着雪などの防災事項が書かれていますし、今日午後5時頃に新しい情報が発表されるようですから、原文もあわせて読んでみてください
  大雪情報原文: http://www.jma.go.jp/jp/kishojoho/322_index.html

【大雪に関する長野県気象情報 第1号】
[予想降雪量]
 2日06時までの24時間降雪量は、いずれも多い所で、
 北部 大北地域山沿い    :15センチ
        平 地    :10センチ
    長野地域山沿い    :15センチ
        平 地    :10センチ
    中野飯山地域     :15センチ
 中部 乗鞍上高地地域    :20センチ
    松本地域の聖高原周辺 :20センチ
         その他   :15センチ
    上田地域の菅平周辺  :20センチ
         その他   :15センチ
    佐久地域       :15センチ
    諏訪地域       :15センチ
 南部 上伊那地域      :15センチ
    木曽地域       :20センチ
    下伊那地域      :15センチ

【大雪に関する関東甲信地方気象情報 第1号】
[降雪の予想]
 2日06時までの降雪量は、いずれも多い所で
  山梨県               30センチ
  長野県               20センチ
  箱根から多摩地方や秩父地方にかけて 15センチ
  関東地方南部の平野部        10センチ
  関東地方北部            10センチ





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