2010年02月27日
天気予報は当たるのか?(2月27日)
故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言
昨夜、県南部ではこの時期としては珍しく強い雨が降りました。

24時間の降水量が2月の観測史上最大を記録した所もあって、南ア・中アの積雪地での雪崩や融雪洪水が心配されましたが・・・・今のところニュースは目にしていませんから無事だったのかな?

週末、今日日中はいったん回復ですが、今夜から明日朝にかけてまた下り坂。
マンネリ感のあるなだれ注意報や融雪・注意報ですけど、あまり経験がないようなまとまった雨ですから、新たな目で注意したほうがよさそうです。
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

回復エリアといったん回復下り坂エリアに分類しました。
長野県はちょうど境目ですから回復といっても中途半端。
今夜以降は太平洋岸の下り坂エリアの影響を受けてしまいそうですね。
下り坂の理由はなんでしょう?
3、長野県の予報
長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。

全部「のち くもり」マーク。
回復のタイミングは北部ほど早くなっていますけど、レーダーを見る限り、予報文に書かれたタイミングよりは若干早く回復しそうです。
レーダー: http://www.jma.go.jp/jp/radnowc/
ただ、予報文からは今夜の下り坂エリアの影響がうかがえません?
本当?・・・ということで明日日曜日の予報もチェックしてみましょう。

「一時 雪」「一時 雨」のマークがついていますが、予報文を読むとタイミングは県内全域「朝 一時」です。
ということは、午前9時頃まで一時的に雨や雪が降るということですね。
これだけだと、今夜は大丈夫という感じがしますけど、ここは詳しくチェックしてみることにしましょう。
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。

いったん回復の理由は一目でわかると思いますが、前線に近い太平洋側では晴れ間がでるまで回復は難しいといったところでしょう。
だから、県南部の予報文は「のち 晴れ」がついていなかったんですね。
そして、西から再び下り坂の理由・・・弱い気圧の谷でした(前線の盛り上がり・キンクという説明も有りです)。
天気図だけ見てもちょっとわからないですよね?
ここを解説しないお天気キャスターがいたら教育的指導です。
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
まずは、今日日中の雨の様子からチェックしておきましょう。

書き込みのとおりですが、午後には弱い気圧の谷の雨が西から接近しているのがわかりますよね?
日中の回復は詳しく検討しても生産的じゃないので、再び下り坂になる原因の弱い気圧の谷の構造をチェックしてから、県内への影響をみていきます。

矢印が地上付近の空気の流れ。
前線や低気圧が東海上に抜けても、その北側で空気の流れが合流している部分があります(左側の図)。
これがシアーラインとか収束線とか呼ばれている雨雲が発生しやすいところ。前線のように気温の異なった空気がぶつかるところとはちょっと構造が違います。
こいつが明日朝にかけて東海沖まで進んできます。
東海沖に進んでくると、空気の流れが渦をまくようになって、プチ低気圧のような構造になってきます。
そのため、雨雲がわき上がってきて、関東甲信越を広く降水域が包んでしまうんですね。
西の雨雲が接近してくる・・・というイメージとは微妙に異なります。

明日朝の上空5500m付近の流れは東海付近で南に凹の状態になっています。
ここが上空の気圧の谷ですが、上空の流れのカーブには渦を起こすパワーがあるので、地上付近の空気の流れがこのパワーを受け取って、上の図のように渦になるわけです。
今夜から明日朝にかけて、雨の原料も南風にのって県南部に入り込んでくることも計算されていますから、ここまで雨雲が発達しちゃうんでしょうね。

ちょっと横にそれちゃったので、雨の様子を県内にズームしてもうちょっと詳しく見てみましょう。

今日夕方には、早くも静岡県境の南ア付近で雨雲が活発になってきます。
風がぶつかって上昇気流が発生しやすいからだと思いますが、それが明日朝にかけて次第に発達してきます。
で・・・それが雪か雨のいずれになるのか?
今日から明日にかけての上空の気温をチェック。


上空の気温は明日朝が最も下がるピーク。
0℃の線が県中部まで南下していますから、今日晴れ間が出て、今夜放射冷却でそこそこ地上付近の気温が下がれば雪の可能性があるので、予報文のように、「雨か雪」とか「雪か雨」になっているわけです。
もっとも、雪になるか否かは微妙なところでしょう。
で・・・その回復は?
上で見た明日の予報文を読んでいただければよいのですけど、天気変化のタイミングが計算値より微妙に早くなっているような気がします。
修正が出来ているか否か?ちょっとわからないので、このあたりは今夜の予報で確認するのがよいと思います。
ただ、上層の雲はすでに取れていて、地上付近だけで発生する現象ですから、回復すれば一気に青空が広がってくるはずです。
朝の雨や雪でがっかりしていると驚くと思います。
ですから、今夜の予報で回復のタイミングを再チェックして、できれば明日朝5時の予報でさらにチェックして行動判断をするのが吉です・・・・それだけ余裕があればの話ですけど。
で・・・今日の予報は・・・・予報文についている「晴れ」はオマケだと思っていれば当たりといえるでしょう。
今夜の南部の雨・・・これは多少覚悟したほうがよいかもしれませんけど、量もそれほど多い感じではないので、オマケしときます。
17時追記
午後5時発表の南部の予報は、「北の風 くもり 所により 夜遅く 雨」になっています。
明日?・・・そこまで言及できるほど、計算値はガチンコじゃないので、やめときます。
今日はたっぷり天気チェックして、アップの時間が遅くなったんですけど・・・・明日、Kasayanもお出かけモード。
自分のためには一生懸命・・・なんですけど、自分のために考えると、思い入れがあってダメというジンクスがあるんですよねぇ・・・・
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