2010年02月16日

天気予報は当たるのか?(2月16日)


 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言

 ヨットを趣味にしていることから、ヨットオーナーを対象にした気象講習会の講師をしたことがあります。




 ヨットオーナーですから、一通りの気象の知識をお持ちで、ラジオを聞きながら天気図を書くこともできる方が対象でしたが、皆さん異口同音に言われたのが、「天気図が読めない」ということでした。

 でも、お話を聞くなかで、皆さん「天気図が読めない」のではなくて、本当は「天気図を使って予報を作れない」という悩みを持っていることがわかりました。

 そこで、「気象庁と張り合って予報をしようなんて考える必要はないし無理。天気図が理科や数学の問題だとすれば予報が答え。答えを見ながら問題を読めば、出題の意図も問題の解き方もわかるはず。」とお話しました。




 たいしたことではないのですが、180度の意識改革だと言ってくださる方もいました。

 テレビの天気予報は、「天気図で十分な解説がされる限り」、天気図~予報という流れがわかりやすい構成だと思います。
 しかし、ネットの天気予報のように、十分な解説がない場合は・・・・予報の理由を天気図で確認するほうが、わかりやすいのではないかと思うのですが・・・・いかがでしょう?

 このブログは、答えを見ながら問題を読むという流れにしているつもりですが・・・・

2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 「のち」マークが多いので、今日日中に大きく天気傾向が変化するということです。

 「のち」に、日本海側で雪、太平洋側で晴れ傾向ですから、冬の天気分布・・・つまり、冬型の気圧配置になるということがわかります。

 ただ、関東付近は太平洋側にもかかわらず「のち 雪」マークがついています。

 関東に雪を降らせるのはなぜ?
 県内にも影響しないの?

 答えの予報だけでは理由がわかりません。
問題の天気図を見ながら解き方(理由)を考える必要がありそうです。
 
3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 県内、日中は全域で曇りベース

 ただ、北部「夜 雪」で、中部や南部でも「所により 夕方 から 雪」

 北部の雪は冬型特有の日本海側の雪だと想像できますが、中部や南部の雪・・・・関東の雪と関係しているかもしれません。

 その理由がわからないと、どの程度の雪になるのか?わかりません。

 やっぱり天気図が必要になりそうです。

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 今夜、西高東低の気圧配置になって、上空のしっかりと寒気が南下してくるので、日本海側で雪が降るのはお約束みたいなもんです。

 ただ、太平洋側の等圧線の様子を見ると、北側に凸状に折れ曲がっている部分があります。
 弱い気圧の谷があるわけですが、この部分では北西と北東の風がぶつかりあって雲が発生します。

 そこへ寒気が南下してくるわけですから、雪が降るわけです。

 もっとも、今夜の時点では、弱い気圧の谷が低気圧まで成長しないということですから、大雪!というほどにはならないと考えられます。

 そして・・・この冬型の気圧配置・・・明日には緩んでしまいそうですね。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 今日、何かが降ってくるのは、日本海側と関東付近ですから、どんな降り方をするのかコンピューターの計算値から見てみましょう。




 冬型の気圧配置が強まるにつれて、北陸沖に雪雲が成長しはじめ、午後には陸地にかかってくることがわかります。
 また、関東・東海付近には一日を通して弱い降水域がかかっているのがわかりますよね。
関東は「のち 雪」ですが、一日ぐずつき気味で夜いは雪になるというイメージ。

 南部の雪は日本海側の雪雲というよりは、関東東海の雪の影響がメインのようですね。

 つづいて、県内にズーム。




 北部の降りだしと思われる15時と、雪のエリア拡大と思われる21時の降水の様子。

 降水量から見ると、北部は新潟県境付近中心の雪で、それ以外ではそれほどまとまった雪になることはなさそうです。
 
 また南部や中部の雪は、アルプスを越えた雪が降る松本方面・・・関東の弱い気圧の谷の雪の影響を受ける佐久・野辺山・南アルプス周辺が中心になりそうです。

 これで、今日の雪のイメージがつかめました。

 ついでに、曇りの様子もチェック。




 12時の下層と上層の雲量

 下層のどんよりとした雲は12時頃から厚みを増してきます。
ということで、午前中は所々で青空が顔を出したりする可能性もありますが、朝から高いところの薄雲がかかり続けていますから、せいぜい白っぽい青空どまり。

 午後は下層・中層・上層ともに雲が広がって、県内全域曇りメインということになりそうです。

 で・・・・今日の予報・・・・・・
 北部は、全域で雪の予報ですが、当然雪の降り方は地域によって異なります。
ほとんどチラチラ程度で済むところもあれば、多少の積雪のあるところも。
 ただ、平均的に見れば予報のイメージを崩すことはないと思われますから、予報は当たる

 そして、中部と南部・・・「所により 雪」がきちんと予想されていますし、午前中晴れ間が出たからといって曇りベースであることにかわりはありません。
 同じく予報は当たると考えます。

 最後に、衛星画像と上空5500m付近の天気図を合成したもの、そして、上空5500m付近の天気図を明日の夜までアニメにしたものを掲載しておきます。

 明日は、早くも冬型の気圧配置がゆるんでしまいますが、このようにコロコロ天気が変化するのは、上空の蛇行した空気の流れ(矢印)が、日々刻々と変化しているから。
 川の流れが変化すれば、水面にできる渦の位置も変化するのと同じです。









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