2010年05月26日
天気予報は当たるのか?(5月26日)
故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言
今朝も気象庁から「大雨と雷及び突風に関する関東甲信地方気象情報 第2号」が発表されています。
関東甲信地方では、26日昼過ぎから夜遅くにかけて、関東地方南部の平野部を含む広い範囲で雷雲が発達し、雷を伴った1時間に50ミリ前後の非常に激しい雨の降る所がある見込みです。低地の浸水、河川の急な増水に警戒し、落雷、竜巻などの激しい突風、降ひょうに注意して下さい。
昨夜から関東甲信地方上空5500m付近にはマイナス15℃以下の寒気が流れ込んでいて大気不安定。
今朝の雨もすでにこの気象情報のシナリオに書かれている雨といってよいでしょう。

今朝はこの雨の降り方を中心に天気チェックしていきますが、寒気が入ってちょっとひんやりとした朝・・・週間の気温傾向を見ると・・・・・

向う一週間、気温は全国的に平年より低め。
昨日発表された異常天候早期警戒情報によると、「関東甲信地方では、27日から2週目にかけて気温の低い状態が続き、かなり低くなる可能性があります。農作物の管理等に注意して下さい。」などと書かれています。
霜の害といい今度の低温といい、農業県の長野県のダメージ・・・なければよいのですけれど・・・・
このあたりの話、昨日には分かっているのですが、県内の夕方の天気予報番組では全然扱っていませんでした。
遅霜のときもそうでしたけど、「○○地方に××注意報が出ています」だけ。
関東ローカルの天気予報・・・ピンキリですけど、ここまでは・・・・
海がなくて雨が少なく災害が比較的起こりにくい長野県ですけど、このままじゃいつかドカンとやられちゃいます。
天気マークや降水確率の数字を読み上げるだけの天気予報は見直してほしいもんです。
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

天気マークだけじゃなくて、予報文もザッと目を通すと、雨と無関係でいられそうなのは九州と四国の西側くらい。
ほとんどの地域は天気マークに傘がついていたり、傘がなくとも予報文には「所により」「一時」などの雨が予想されています。
東日本は不安定エリアのど真ん中・・・少なくとも悪天傾向ということでは天気予報が当たっちゃうという感じがしますよね。
3、長野県の予報
長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。

天気マークは左側に雲マークがありますから、傾向としてはくもりベース。
南部では雲マーク一発、中部は「のち くもり」マーク、北部が「時々雨」マーク。
北部ほど雨が降りやすいっていうことですよね。
ただ、予報文を読むと雲マークの南部も含めて雨や雷が予想されています。
また、「昼過ぎ」と書かれていますから午後がメイン。
昨日同様、帰宅時間帯に関係してきますから、午前中いったん回復しても安心できませんね。
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。

テレビの天気予報でも「上空の寒気を伴った低気圧が・・・」というコトバが連発されていると思います。
まさに寒気が長野県や関東の上空を狙い撃ちでやってくるんですね。
寒気の南東部分が特に激しい雷雨になる傾向にあるので、関東メインの雷雨になりそうですけど、県の東部は要注意という状態です。
県内警報注意報:http://www.jma.go.jp/jp/warn/322.html
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
気圧配置の傾向は上のアニメでまとめましたから、今日の雷雨の原動力・・・寒気の様子から。

これから今夜にかけて関東甲信越地方に寒気がカタマリになって南下してくるのがよくわかりますよね。
まさに狙い撃ちです。
寒気が上空に入ってくると大気は不安定・・・雷雲が発生しやすくなりますが、その場所は?ということで大気が不安定な様子を示す指数をチェック。

特に不安定なエリアを赤で塗りましたけど、長野県東部と関東の西側。
このエリアはゆっくり移動していますから、もう少し広めの網かけ部分ではどこで雷が発生してもおかしくない状態です。
で・・・具体的に雨のエリアは?

東日本を中心にして、山陰まで広い範囲で雨のエリアになりますけど、特に東日本の降水が活発(北海道は別の低気圧の影響が強いですけど)。
そして、東日本の降水エリアでは雷や短時間の強い雨、竜巻の可能性が特に高いということになります。
長野県付近は?

一日を通して、北部中心に雨模様。
夕方には関東付近に黄色の特に活発な降水が計算されていて、長野県東部も影響を受けそうです。
予報文にあった「昼過ぎから」の部分は特に夕方ということでしょう。
そこで午後6時の雨の様子と地上の風の様子も見てみると・・・

北風と西よりの風が関東沿岸でぶつかっていて、陸上では北よりの風が山岳地帯を迂回して通過し、ぶつかりあうライン(赤の点線)部分で特に活発な降水が計算されています。
風の向き次第でこのエリアはどうにでも変化しそうですから、いきなりドバッと降ったと思ったら止んで、またドバッという降り方でしょう。
気になる方はレーダーで雨の様子をチェックされるのがおすすめです。
レーダー:http://www.jma.go.jp/jp/radnowc/
とうことで・・・・今日は防災モードが入っていますから、天気予報の当たりハズレはやめておきます。
ところで・・・今日の県内ローカルの天気予報でレーダー画像を使う番組があるでしょうか?
夕方に雨がピークと予想されていますし、不安定でゲリラ的な雨も予想されますから、県内に強い雨雲が少なくても関東ローカルの常識では、レーダー画像を表示して「もうしばらくは○○地域で強い雨が・・」とか「注意報が発表されている○○地域で雨雲が活発になっています」なんて視覚的に解説すべき場面なんですが・・・・
通常の画面のメニューを変えるのを嫌がるのが放送局の傾向・・・元のメニューにPCの設定を戻し忘れて放送事故なんてことがあるからですけど・・・・・今日はどうでしょう?
レーダーを使った放送局ほど防災意識が高いということがわかりそうです。
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