2010年05月06日

天気予報は当たるのか?(5月6日)


 故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?

1、今日の一言

 まるで夏のような暑さになった昨日、上田では32.2℃を記録し全国第2位




11時追記:朝の記事で統計開始以来の記録更新と書きましたが、誤りでした。お詫びして訂正します。

 そして、今日の予想最高気温・・・




 長野の30℃・・・新潟県上越や富山も30℃が予想されていますが、この図では全国トップですね。
沖縄が27℃前後ですから、避暑地の長野が沖縄より暑くなるんですねぇ・・・・・
 どうしてなんでしょう?

14時40分追記
14時10分現在、なんと飯山が13時47分に全国トップの33℃を記録しています。
こちらは間違いななく5月の1位の記録を更新しています。
最終的にどうなるか?
いずれにしても、北陸など強い南風が山越えして吹き下りるエリアで高温を記録していますから、フェーン現象が発生していることは間違いなさそうです。





2、全国の予報
 テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。





 西と北から下り坂・・・「のち 雨」マークがついていますが、どっちもゆっくり下り坂。
各地の予報文や概況をつまみ読みすると、降ったりやんだりしながら、夕方以降に本降りになるようです。

 一方、夏?と書いたエリア・・・・湿り気を感じさせる白っぽい空を通して紫外線たっぷりの日差しが降り注いで・・・・上で見た予想気温になりそうです。

3、長野県の予報
 長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。





 予想気温はご覧の通り。

 天気マークは太陽マークと雲マークのセット。
 太陽が左にあれば太陽優勢、右にあれば雲優勢ということですけど、予報文を読むと県内全域日中は「晴れ」のようです。

 ただ、全県とも夜になってから「雨」
 北部と中部では具体的なエリアを特定して雨を予想しています。
 地形的な影響が濃厚な雨の降り方をすると考えて、ここまで地域を特定しているのでしょう。

 また、南風も強そうですね・・・

 今朝のチェックポイントは・・・・記録的?になりつつある気温の上昇の様子と理由地形の影響が濃厚な雨のエリアの2点です。

4、一般的な天気図の評
 どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。




 今日、気温を上昇させたり、北と南からを降らせる主原因は、低気圧に向かって流れ込む暖かく湿った空気
 暖かく湿った空気が北上して大陸の冷たい空気とぶつかったところに温暖前線(赤)と寒冷前線(青)ができて(コップの表面に露がつくのと同じ)、西と北からやってくるんですね。

 そして二つの前線にはさまれた夏?エリアは・・・太平洋温泉?のサウナのようです。

5、今日の天気予報は当たるのか?
 100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。


 まずは、全体の状況把握
今日の天気を作る主原因・・・南から流れ込む暖湿流の様子から見てみましょう。




 今夜9時・・・l右の図の青く塗られたエリアが暖湿流が強いエリア
今夜にかけて西から暖湿流が強まって、日本全体に流れ込むようです。

 左側に同じ時間の降水量の予測も並べておきましたけど、暖湿流が流れ込んだ日本海のどん詰まりで大量の雨が予想されています。。
 前線の進行方向のちょっと先の場所ですけど、北日本はベタ雨で、暖湿流が横をかすめて通り過ぎていく寒冷前線付近の西日本はシャープな雨雲による通り雨という感じですね。

 暖湿流が流れ込んでぶつかる寒気の様子も一応チェック。




 前線の北側には久々に冷たい空気が流れ込んでいて、冷たいコップの役割を果たしそう・・・
前線はそこそこ活発になりそうです。

 どんな風に活発か?というと・・・




 網かけの部分が特に大気不安定なところ。
 寒冷前線と対応して大気不安定エリアが計算されています。
 短期予報解説資料というプロ用の資料にも「低気圧近傍や寒冷前線周辺では大気の状態が不安定となり対流雲が発達し、1 時間30 ミリ前後の短時間強雨、落雷、突風、降ひょうに注意」と書かれています。
 明日、前線通過の際は要注意ですね。

 さて、全体を把握したところで、長野県に注目。




 これは上空1500m付近の上昇流の様子の計算値ですが、赤のエリアが空気が上昇する場所。そして上向きの矢印があるところが特に上昇気流が強いところ。
 矢羽根は風向風速を表していますが、全般に南風です。

 高い山の多い長野県、書き込みをした山の南側周辺で上昇流が発生
風下の山の北側は白い下降流域
 湿った空気が上昇して山越えをして下りてくる・・・これフェーン現象のお約束の解説と同じです。

 今日午後2時の気温分布をみると・・・・




 山の風下にあたる松本や長野、上田方面でオレンジの高温が予想されています。
 北陸も同様ですが、数日連続で空気が日照で温められてきたことに加えて、湿った暖かい南風によるフェーン現象も発生して気温上昇・・・と考えられそうです。

 そして、上昇流が発生するとなると、そのあたり雲が発生して雨になるということが想像できます。




 上で見たように、夜にかけて、西から湿った空気の流れ込みが強くなりますから、西から、そして南から雨雲が発生しやすくなって、夕方からポツポツと始まって、今夜日付が変わるころには青で示された上昇流のエリアで雨になるようです。
 地形に影響される雨・・・・予報文に書かれていたエリアとほぼ一致ですね。
 
 さて・・・季節の変わり目・・・長野県の天気チェックのトレーニングのためのブログですから、ずいぶん図が多くなってしまいました。

 そのわりには・・・・今日の天気予報は当たる・・・です。
 暖湿流の流れ込みがちょっと強くなったり、風向風速と地形の組み合わせ次第で、午後ちょっと早めに雨が降る可能性もありますけど、これ以上予想を絞り込むことは無理
 県南部ほど、また県東部ほど早めの雨の可能性は高いですから、帰りが遅くなりそうなら、折り畳みの傘くらいはあってもよいかもしれません・・・使わない可能性も高いですけど・・・・


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