2010年05月20日
天気予報は当たるのか?(5月20日)
故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言

今朝の菅平は水墨画のような雲に覆われ、昨日からの雨で新緑が少し濃くなったような感じがします。
初夏の晴れ間も良いですけど、ひと雨ごとに緑が濃くなっていくのを見るのもよいものですね。
なんて・・・テレビの天気予報の前フリみたいなことを書きたくなっちゃうような長野の景色です。

今朝の雨雲の様子ですが、雨のエリアを3つに分類できます。
長野県付近は関東沖に発生しつつある低気圧の雨エリアの西の端っこにあたるわけですが、これだけ見ると間もなく回復・・・なんていうように見えます。
でも、そうでもないんですよね・・・。
ところで、昨日の朝の予報は北部と南部で「夕方から雨」でしたけど、どうでした?
早めに降りだしたので、夕方からじゃなかったですよね?
何回かここでも書きましたけど、長野地方気象台の予報官・・・ちょっとちょっと良いめの予報を出す傾向にあるような気がします(反対にKasayanは心配し過ぎる傾向にあるんですけどね)。
良い悪いの問題ではないんですけど、毎日こうやって見ていると、なんとなく予報にも人間臭さが感じられるようになってきます。
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

本当の意味で回復するのは九州南部を除く西日本だけ。
東日本・北日本の広いエリアは今日も雨模様。
もっとも、全域でベターッと雨が降るわけじゃないので、雨通過エリアなんて名前をつけてみました。
上のレーダー画像で見た3つの雨のエリアが、東日本・北日本をどう通過していくのか?が今日のチェックポイントです。
3、長野県の予報
長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。

長野県付近は雨通過エリアでも西の端でしたけど回復せず。
北部と中部は「昼過ぎから夕方雨」ですから午後は雨。
南部は一日を通して「時々雨」になっています。
雨が素直に東へ抜けていかないようです。
上のレーダー画像で分類した関東沖に発生しつつある低気圧の雨のエリアが影響しそうですね。
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。

今日日本付近の天気を悪くする要素は、梅雨前線・前線上の低気圧・シアーラインの3つです。
昨日も書きましたけど、シアーラインというのは地上付近で風が集まる場所・・・収束線ともいいます。
前線のように冷たい空気と暖かい空気がぶつかる場所ではありませんけど、線にそってシャープな雨雲が発生して、寒冷前線に似た天気変化をもたらします。
この3つの要素が交差するのが中部地方。
このため、複雑な天気変化をするので予報も難しくなっていますけど、すくなくともスパッと回復するということはなさそうです。
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
今日の天気を悪くする梅雨前線・前線上の低気圧・シアーラインの3つの要素の様子をまず確認しておきます。
まず梅雨前線ですが、南の夏の空気と春の空気がぶつかる場所ですが・・・・

ピンクの点線が梅雨前線ですが、前線の南側には夏の暖湿流があって、前線北側付近では相当温位という雨の原料を示す線が混雑しています。
南風が吹いてこの線が混雑するところでは上昇気流が発生して雨雲が発生するのですが、帯状のこのエリアができています。
今夜にかけて南に下がって、西日本が回復してくる傾向が読みとれます。
次は北日本を通過するシアーラインと関東付近に発生する低気圧の様子。

水色の点線がシアーライン。
地上付近の風が水色の線の所に集まっているのがわかりますよね?
集まった空気は行き場を失って上空へ・・・雨雲発生です。
ちなみにシアーラインの東側は湿度が高く、西側は湿度が低くなっています。
シアーラインの西側と東側でほとんど温度差がありませんから、シアーラインは湿り気の差による前線ともいえますね。
もう一点、長野県付近では風の方向をしめす矢印(流線)が反時計回りの渦を巻いています。
今夜までに関東沖に発生する低気圧の兆候。
この渦の影響で長野県付近の雨は回復せず、ちょっと複雑な降り方をします。
さて、3つの要素を確認したところで、具体的に雨はどうなるの?ですけど・・・まずは全国の傾向から。

梅雨前線が南下する西日本や、シアーラインが通過してしまう北日本日本海側は回復傾向ですけど、北日本太平洋側や低気圧が発生する関東付近の回復が遅れるようです。
長野県付近は?・・・・今日も頑張ってアニメ作りました。

午前中、降水エリアは小さくなって、雨が完全に止むわけじゃありませんけどくもりベースに。
でも、午後になると再び雨エリアが拡大して、夕方にようやく回復へ。
予報文は「昼過ぎから夕方雨」ですけど、午前中くもりで午後は夕方まで雨・・・なんていうように機械的に考えちゃいけないんですね。
それに・・・・3つの要素が複雑にからんでいますから、このアニメどおりになるとは限りません。
多少安全マージンをとらないと・・・・(ペシミストのKasayanです)。
予報はあくまで平均的な地域の天気の傾向を示すものです。
ということで、今日の予報は傾向的にとらえて、一日をとおしてぐずつき気味・・・午後はちょっと悪目・・・というように考えておけば、今日の予報は当たるということになります。
イメージのしかた次第で予報は当たったりはずれたりするわけです。
17時15分追記:
今日はKasayan失敗でした。予報のズレが悪いほうではなくて良いほうにズレています。
17時発表の気象庁の予報も、結局北部が「所により夕方雨」、中南部が「所により 夜のはじめ頃 まで 雨 で 雷を伴う」になっていて、午後はほとんどくもりの状態。
所々で雷雲が発生していますが、ぐずつくというイメージまで雨は降りませんでした。
今日は難しかった・・・・・
オマケ:
上空5500m付近の寒気の様子。
今日北日本を通過するシアーラインの後ろの上空にはマイナス12℃以下の寒気が流れ込んできます。
地上付近ではシアーラインの前後であまり温度差はありませんけど、上空では温度差がありますから、今日のシアーラインは上空の寒冷前線?

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