2010年08月23日
天気予報は当たるのか?(8月23日)猛暑続く、台風5号?

故郷長野の帰ってきた気象予報士Kasayan。久々の長野の天気に慣れるため、毎朝コツコツ天気予報の修行中。おきまりのテレビの天気予報とはちょっと異なる視聴者の視点から、今日の天気予報をチェックしています。今日の天気予報は当たるんでしょうか?
1、今日の一言

今日中にも台風5号が発生しそうです・・・・
とはいっても、フィリピンの西側の熱帯低気圧が台風に発達するので、足早に大陸に上陸して消滅・・・日本に直接の影響は無しでしょう。
今年は台風が少ないですけど、貯まったエネルギーがどう発散されるのか?
ちょっとだけ心配です。
22時15分追記:上空の風が弱いので、いったん雷雲が発生したら動かない・・・同じ場所で雷雲が発達・・・降水量が局地的に多くなる・・・ということで、記録的な雨量が茅野市で観測されています。
今日の雷雨・・たまたま頭上で発生してしまったら要注意。
長野県記録的短時間大雨情報 第1号 平成22年8月23日22時07分 長野地方気象台発表
21時30分長野県で記録的短時間大雨
茅野市付近で約90ミリ
2、全国の予報
テレビやネットでご存じの天気マークの天気予報。使い方次第で何倍にも役立てることができますよ。まずは全国の予報から。「木を見て森を見ない」などと言いますが、天気予報も頭上の天気だけを気にしていてもダメ。
天気の変化は他県からやってきます。

北海道が下り坂エリア。
北朝鮮と中国の国境で大雨による被害が出ているようですが、その延長線上の雨。
こちらでは、朝鮮半島のようなことはないと思いますが、それでも短時間の強い雨には注意が必要です。
その他のエリアは・・・・・・昨日と同じ・・・・・・・・暑い・・・・・
3、長野県の予報
長野にズーム。見るのは天気マークの天気予報だけ?
「・・のち・・」って何時でしょう? 「所により・・」はマークだけじゃわかりません。

一昨日、昨日と、北部で夕立は予想されておらず、実際もほとんど夕立はありませんでしたが、今朝は北部にも「所により・・・雨・・・雷・・」が付いていて、夕立が予想されています。
北部と中部の午後の風・・・北風が予想されているときは南部中心の夕立になりますから、今日もその傾向だと思いますが、今日は特に雷雲を押し流す上空の風が弱い・・・
気温もここ数日で最も高めに予想されていますから、発達する積乱雲は上へ上へとそのまま成長・・・山沿いを中心に局地的な雷雨の可能性が北部でも高くなっているようです。
一方、関東方面の予報文、山沿いの地域だけに夕立が予想されていていますから、予報では、昨日同様、平野部ではほとんど雷雨の可能性はないと考えられているようです。
4、一般的な天気図の評
どんな理由でその予報は作られたんでしょうか?理由がわからなければ占いと同じ?テレビの解説は「天気予報の確からしさ」を知るための道具です。

昨日、西日本にあった高気圧の中心(1014hPa程度)が東海上に移っていますから、なんだか太平洋高気圧が弱まった感じがしますけど、東海上の中心の気圧は1018hPa。
西日本付近の等圧線は1014hPaのままですから、全然弱まっているわけじゃないですね。
高気圧の北側には前線帯。
秋と夏の境目・・・この季節・・・秋と夏がガチンコで戦っているので、前線活発。
朝鮮半島では大雨になっているわけです。
5、今日の天気予報は当たるのか?
100%じゃない天気予報。もしハズレるとしたらどうなるんでしょうか?
予報のハズレで失敗しない方法を考えます。
毎日同じ天気ばっかり続いて、同じことばっかり書いていて飽きてきました。
予想中心にブログを書いていましたけど、同じ天気が続いているなら、実況をもうちょっと詳しく掲載しておいてもイイだろう・・・と考えて、上空から地上付近までの天気図をまとめてみました(更新も遅くなっちゃいました)。
専門的なことで詰まらないと思いますが、興味のあるようでしたらつまみ読みしてみてください。
まず、上空9600m付近・・・エベレストより1000mほど高い所。
ずいぶん高そうですけど、ビルの屋上から見ると、10キロ先は比較的近く感じます。あんがい近くて、旅客機だって平気で飛んでいる高さ。

チベット高原の空気が暖められて日本付近にやってくるチベット高気圧が東日本・西日本をすっぽり。
一番上空にあるドライヤーの吹き出し口。
暑さのフォーメーションはガッチリですから、暑さはまだまだ続くでしょうねぇ・・・・・
次は、上空5900m付近・・・ヨーロッパアルプスより1000mほど高く、富士山より2000m以上高いところ。
地上の気圧配置の骨格になる高さの天気図。

こちらは、赤道付近が熱せられ、上昇した空気が北上して、吹き下りる太平洋高気圧が見えています。
熱気が北上しなければ赤道付近の海水は沸騰しちゃいますから、地球の温度を均一化するためには必要な流れなんですけど、なんでずっと日本付近に吹き下りるかなぁ・・・・・
気付いたことは図に書き込みましたが、秋の冷たい空気が日本海の大陸沿岸まで南下していて、高気圧の暑い空気とぶつかって・・・・そこに強風帯ができていて・・・・その下・・・地上には前線ができて・・・北朝鮮で雨になっているわけです。
最後は地上近く・・・上空1500m付近の天気図。
標高の高い長野県の多くの場所は、事実上地上天気図ですね。

最新といっても昨夜の天気図ですから、高気圧の中心は西日本。
高気圧の中心を時計回りに風が吹いていて、その周辺を網かけの部分・・・湿った空気が沖縄~朝鮮半島~北海道へと回り込んでいます。
日本海北部の前線に湿った空気を送り込む流れですね。
一方、日本は乾いたドライヤーの吹き出し口の真下・・・北海道を除いて基本的に晴れですが・・・気温が上がれば地上付近が極端に温められて上昇流発生・・・大気の状態が不安定になって・・・夕立の可能性が出てきます。
そこで、大気の状態・・・・夕立発生の可能性をエマグラムという地上から上空までの温度と露点温度(雨粒ができる温度)のグラフでチェック(大気の心電図?)。


地上付近の空気が上昇気流にのって上昇したらどうなるか?ということを考えるためのグラフです。
昨夜21時のデータが最新・・今日の夕立チェックのためには午前9時観測データが必要です。
読み方に興味がある方は・・・ネットでエマグラムと検索して調べて見てください(この説明だけで時間がかかっちゃうので)。
いずれにせよ、東日本より、西日本・・・それも太平洋側で大気が不安定になりやすい傾向。
高気圧の周辺の流れからすると、西日本の南岸ほど湿った空気が入りやすいですから。
今日も似た傾向・・・西日本ほど(東海もかな?)雷雨が発生しやすい可能性がありそうですね。
ということで、実況をチェックしたところで、時間が・・・・予想はいつもと同じなのでサッサと・・・・

こちらは、上空5900m付近の今夜の予想図。
昨夜とあんまり変化はありませんが、あえていえば5920mの等高度線(等圧線と同じに考えてください)が消えている程度でしょうか。
上空の強風帯の位置もあまり変化せず、上空の低気圧と気圧の谷がちょっとだけ東へ動くといった程度です。
対応する地上の天気図は、予想天気図のアニメをご覧いただいているのでOKとして、さっそく全国の降水の様子・・・夕立が活発になる午後3時の予想図です。

北海道に前線の降水域がかかってくるというほかは、予想される夕立のエリアは昨日とほとんど変わりません。
東日本は?

長野県南部中心ですけど、夜になって昨日よりやや活発な降水が予想されています。
今日の夕立は熱雷といって、上空の寒気ではなく地上が日射で特に暖められやすくなって発生する夕立。
特に暖められやすい山肌での雷が中心になります。
北部に予想されている雷雨・・・・昼間不十分に発達した積乱雲の子供が、夜になって上空が冷えてきたことをイイことに、積乱雲に発達するというメカニズムでしょう。
発生した積乱雲を流す上空の風。

長野県付近で渦を巻いていますが、風速はきわめて弱い状態。
発生した積乱雲は流されず、上へと成長して、それなりに発達することになりそうです。
その位置は、あまり積乱雲が流されないということを考えると、上の降水のアニメの中の黄色や赤で示された降水の多いエリア付近ということでイイでしょう(発生エリアの予想図を作る時間がなくなっちゃったことも・・・)。
ということで、超長文になってしまいましたが、なんのことはない・・・今日の予報は当たるでしょう・・・という結論。
ちょっと目先を変えて見たということで更新が遅くなってしまいました。
15時30分追記:西日本中心に雷雲が発生していますが、発生した雷雲は動かず停滞。関東では多摩・秩父など西部山岳と北部山岳の一部で雷雲発生。千葉方面でゲリラ的に雷雲が発生したものの移動せず。全般に雷雲が発生した場所で強いエコーが観測されていて、その場所で発達・衰退を繰り返すだけ。今朝9時の700hPa高層天気図を見ても、雷雲を流すはずの風は10ノット以下になっていると思われます。09時のエマグラムを見ると、関東・・・茨城県で孤立した熱雷が発生する程度には不安定。夜の長野県の雷雲の発達の仕方に興味があります。



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(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNIより使用許諾を得ています)